「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論18

著者 高田敞


     

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

銀河の赤方偏移(P88)

問題

{銀河が赤方偏移している}{もし光の波長のずれがドプラー効果だとしたら、赤いほうにずれるということは、それらの銀河が銀河系から遠ざかっていることを意味している。}

考察

{もし光の波長のずれがドプラー効果だとしたら}とあるが、この「もし」は「もし」のままである。光の波長のずれがドプラー効果だという証明はされていない。いつの間にか、なし崩し的に、ドプラー効果とされているだけだ。この本でもその証明なしに、{遠方の銀河ほど後退速度が大きい}と、いつの間にかドプラー効果であるということを既成事実とし、後退が事実だとしている。その間、赤方偏移は後退速度によるという証明は一切ない。もちろん他の原因についても一瞥もない。

結論

科学なら証明がいる。一番根本である、出発点{光の波長のずれがドプラー効果だ}、という証明がなされていないから、これに続くすべてが間違いである可能性がある。

問題

{この銀河の遠ざかる速度を後退速度と呼んでいる}

赤方偏移の原因は何か?

考察

赤方偏移の原因は3つ言われている。一つはこの本で述べているように銀河の後退速度によるドップラー効果である。もうひとつは、宇宙空間が膨張しているために光が引き延ばされているという説である。この二つは、ビッグバン説の人たちが言っている説である。古いのは後退説で、その後、空間膨張原因説が現れた。もうひとつは、ビッグバン説ではない意見で、昔から、ビッグバン論者が無視している意見である。それは、銀河の光が宇宙空間のガスや塵などに衝突して光のエネルギーが減じるために赤方偏移しているという意見である。

そこでこの3つを比較してみる。

 

後退説(ドプラー効果説)

空間膨張説

衝突説

理論

物質が動くとそこから出る光は、物質の速度に応じて、波長が変化し、ドプラー効果が起こる。

・理論がある。

空間が膨張すると、光も引き延ばされる。

・ どのようにして空間が光を引き延ばすのかは物理学的に信頼できる理論はない。あるのはせいぜい中学生並みの意見にしかすぎない。たとえば、光は波長だけ伸びているという意見である。しかし、空間が膨張するとすると、3次元的に膨張しているはずだから、光も縦、横、高さのどの方向にも膨張しなければならないはずだ。なぜ、ビッグバン論者は波長だけ伸びるとしたのか。

確定した物理理論はない

光は物質に衝突すると、その原子を動かす。その動かすエネルギーを奪われるので、エネルギーが減じる。すると波長が伸びる。

・理論がある。

ハッブルの法則

一部可能

後退が空間膨張によるときは可能

単に後退しているときは当てはまらない。

可能

可能

 距離が大きくなると光は、それに比例して宇宙間物質に衝突する回数が増えるので、距離に比例して、赤方偏移が大きくなる。

実証

観測されている。

・恒星の動き。銀河の回転等

観測されていない。

・地球上で、空間膨張による現象は観測されていない。

・太陽系で、空間膨張によると考えられる現象は観測されていない。

 空間膨張は、ビッグバン論者によると、この宇宙を、137億年で1点から半径120億光年以上まで膨張させたという。巨大な銀河団も吹きとばしている。それが46億年間太陽系に何一つ影響を与えていない。巨大な矛盾である。

 地球上の空間も膨張しているはずだ。ところが、風船一つ膨らませない。巨大な銀河団をいくつも吹きとばした力が、塵にもならない風船を膨らますことができないのだ。矛盾である。

観測されている。

太陽光(太陽の光は中心でガンマー線で発生し、表面に出るまでに、太陽の物質に衝突し、可視光まで赤方偏移している。

 星の、星間ガスによる、赤化現象

・銀河の光は無数の暗線が入っている。光が地球に届くまでに物質に衝突したために、おこった現象である。

 部屋の中で、電気を消すと、瞬時に暗くなる。これは光が壁などに当たってエネルギーを失って赤方偏移して消える現象である。

光電効果

 

考察

 ドップラー効果説は結局空間が膨張していることが原因であるということだ。したがって、ドップラー説も、空間膨張説も、同じ空間膨張が原因であるといえる。

 ところが、空間膨張は、実証されているかというと、否である。ハッブルの観測から、空間膨張が原因だといっているだけである。そのほかの証拠は何一つない。

 少なくとも、地球では空間膨張の現象は起こっていない。太陽系でも空間膨張の現象は観測されていない。銀河系でも、空間膨張の現象は観測されていない。あるのは、遠い銀河の赤方偏移だけだ。

 太陽系ができて46億年の間に、太陽系の空間も大きく膨張したはずである。しかしそれが太陽系に何一つ影響していない。

 重力が強くて、空間膨張を打ち消しているといっているが、巨大な銀河団を高速で吹きとばしている。銀河団の重力に比べれば、太陽系の重力などないに等しい。それが何一つ空間膨張の影響を受けていない。小さな彗星の軌道さへ1ミリも変えられないのだ。

 近くて、観測が正確にできるところでは観測されない。遠くて、観測が不正確なところでは顕著に表れる。空間膨張はこれに一致している。

 空間膨張は、何一つ科学的に分かっていない。

・ 空間とは何か

・ 空間が膨張するとは空間の何がどのように変化することか。

・ 空間膨張のエネルギーは何か。

・ 空間が膨張すると、どのようにして光を引き延ばすのか。

・ 空間はどのようにして、銀河団を動かすのか。

すべてが一切不明である。今まで分かっている物理学ではすべて解けないのが、空間膨張の現象である。

 もうひとつの考え方を見てみよう。

宇宙空間のガスやちりなどに衝突して光のエネルギーが減じる、という考え方だ。

 これは、理論がある。実際に太陽や、星の赤化現象で見られる。また、部屋の明かりを消すと瞬時に暗くなるのはこの現象である。光は壁に衝突し、エネルギーを減じる。光は光速だから、一瞬で、無数に壁に衝突する。光はそのたびにエネルギーを減じ、赤方偏移し、電波になりマイクロ波になり、消えてしまう。光のエネルギーは壁の熱を少し上げる。エネルギー不変則にも合う。

 また、アインシュタインは、物質にガンマー線を当てると、電子が弾き飛ばされる幻想を観測している。光が、物質にエネルギーを与えている実験である。

 このように、空間膨張は、地球上や太陽系や銀河系では観測されていないが、衝突により赤方偏移するということは、地球上でも太陽系でも、銀河系でも、実験でも観測されている。理論も既成の理論で十二分に説明できる。

 

結論

ビッグバン論者の押すドップラー効果説(後退説)も空間膨張説も。基本的な原因は空間膨張である。ところが、この空間膨張は、既成の物理学では何一つ説明できない。今まで分かっていない、まるっきり新たな物理学を構築しないことには説明できない。もちろん相対論の、時空や、空間が曲がるという言葉だけの理論も何一つ空間膨張を説明できない。その上、空間膨張の現象は、何一つ観測されてもいないし実験で証明されたということもない。あるのは、遠い銀河ほど赤方偏移しているという観測だけだ。もちろん赤方偏移が空間膨張を示しているとビッグバン論者は言うのだが、その証拠は何一つない。理論もない、実際に観測もされていない、実験も存在しないということから分かることは、事実は、空間膨張がないということを示しているということだ。

ビッグバン論者が無視している、銀河の光が宇宙空間の物質に衝突することから赤方偏移が起こっているという考えは、既存の理論ですべて説明できる。現実には、地球上の日常生活から、太陽の光、銀河系の星の光など、普通に観測されている現象が、それを証明している。アインシュタインの光電効果の実験は、光が、物質を弾き飛ばすことを証明した。

理論がある、実際の観測でつねに観測されている、実験もある。明らかに、衝突説の方が事実を説明しているといえる。

銀河の赤方偏移は、宇宙膨張を表しているという理論は、既存の理論や実験で証明されている現象を新たな理論の証明には使えないという科学の方法論に反するといえる。

 ビッグバン論者は、なぜ衝突説を無視しているのだろう。不思議なことだ。相対論と同じ、不利なことは無視に限るというのだろうか。困ったものだ。