「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論17

著者 高田敞


     


(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

1 風船表面宇宙(P78)

問題

{宇宙の構造(時空の形状)とは、風船の形が、丸いとか、細長いとか、くびれたひょうたん形だとか、そういった様子を意味する。}

考察

では、この私たちの宇宙はどのような形をしているのでしょう。誰もわかっていないのです。もちろん三角だとか、ひし形だとか、星型だとか、かってな想像はいくらでもできます。でも宇宙の形を観測した人はまだいません。約100億光年先ぐらいまで、星や銀河が浮かんでいるのが観測されています。さまざまな構造があるのが見つかっています。しかしそれは、宇宙そのものの形ではなく、万有引力で引き合い、あるいは万有引力から生じる位置エネルギーの力で説明できる物質同士の関係です。3次元世界に、銀河が散らばっているだけです。銀河が空間をゆがめて宇宙がひょうたん形に歪んでいるとか、細長くなっているとか、宇宙の形については何一つ観測されてはいません。もちろん空間が凹んでいる現象は観測されていません。そこに銀河が転がり落ちているということも観測されていません。銀河の衝突はへこみに落ちているという考え方も有ります。しかしそれは、何一つ証明されていません。それらは相対論者の推測と願望にすぎません。だから、この問題にあるような風船表面宇宙の根拠はどこにもないのです。

結論

これはたんに、こうかもしれない、という憶測にすぎない。科学的な話ではないといえる。

問題

{風船表面宇宙で、銀河などの質量が一か所に集中すると、そのまわりでは集中した質量のせいで風船の形状が凹んでしまうだろう。これが、物質・エネルギーの分布が宇宙構造に影響を与えるという意味だ}

1 小問1{集中した質量のせいで風船の形状が凹んでしまうだろう。}

考察

これは地球上で風船に物を乗せたときに起こる現象です。この現象は地球の引力が物を地球側に引き寄せることで起こっています。物を風船の下に置くと風船はへこみません(風船の重みでかすかにへこむが)。

この風船表面宇宙に銀河を乗せた場合どちらが下になるのでしょうか。銀河が風船の上に乗っているのか、風船が銀河の上に乗っているのか決めることはできないはずです。地球上の風船には、風船の上下を決める地球があるが、風船表面宇宙には、その上下を決める引力源(引っ張る力)はないから、銀河があっても、凹む方向が定まりません。銀河が重いから下に沈むといっても風船表面宇宙には下がないので沈めないのです。

これは宇宙ステーションの中で、風船にバーベルを乗せてみると分かります。風船はへこみません。どんなに重いバーベルでも風船を凹ますことはできません。

このことから、風船表面宇宙が凹むとしても、風船表面宇宙が凹む原理は、普通の風船が地球上で凹む原理とはなんの関係もない現象であることがわかります。この比喩が実際の宇宙とはなんの関係もないことだということです。

結論

銀河があると宇宙が凹む現象があるとするなら、風船ではなく、直接、科学的な説明をしなければなりません。比喩は科学ではありません。分かったような気になるから、かえって真実を追求できなくなる恐れさえあります。

 

2 小問2

凹む仕組み

考察

このわれわれがいる3次元宇宙で、空間が質量によって凹むということだ。では質量はどのようにして、空間を凹ませるのだろう。質量の何が空間にどのように働きかけて、空間の何が凹むのだろう。

何かが、空間から空間へ伝わっていっていると思われる。万有引力も空間を越えていく。それと同じようなものなのだろうか。

へこみが伝わっていくという意見もある。すると、空間は何らかの構造をもっていて、その構造が凹みを次々に伝えているということになる。風船はゴム膜だから、へこみがゴム膜によって伝わるように。

空間の構造とはどのようなものなのか。質量はあるのか。それは4つの力のうちの何かを持っているのだろうか。風船のゴム膜のへこみが伝わるのは、4つの力のうち、電磁気力のはたらきが大きい。空間のへこみはどのような力(あるいはそれに代わる何か)によって伝わるのだろうか。

また3次元空間が凹むとは空間がどのようになることなのだろうか。

物質・エネルギーがどのような力を出して、空間のどのようなところに働きかけて、空間の何を、どのように動かすのか。その動く方向は何によって決まるのか。それらが何一つ説明されていない。そして地球上でそれらを観測する必要がある。地球上では、万有引力はリンゴ一つもないがしろにせずに働いているのだから、万有引力は引力ではなく空間の歪みであるというなら、万有引力と考えられていたすべての現象が、空間の歪みでできているということになる。するとそれらのすべてで、空間の歪みが観測されるということだ。落ちるリンゴは空間の歪みがどのように作用して、リンゴを地球に向けて、動かすのだろう。まさか坂を転がるようにとは言わないでしょうね。万有引力は引き寄せる力であるから、リンゴは引き寄せられて、地球に衝突する。坂は引力という力が働いているから、坂の上、坂の下ができる。ところが、曲がった道ではころがらない。曲がりだけでは上下はできない。曲がりくねった道があっても、物は転がらない。

同じように、もし空間が曲がったとしても、曲がりだけでは上下はできない。ただ曲がっているだけだ。上下には、引力という力がいる。

結論

{物質・エネルギーの分布が宇宙構造に影響を与えるという意味だ}けれど、実際の3次元宇宙では何一つ説明できない現象である。風船の説明でお茶を濁しているけれど、風船のへこみと、実際の宇宙の空間のへこみとは共通点は何一つない現象である。一見説明できたように錯覚しているだけだ。この宇宙の3次元で説明しなくてはならない。できないでしょう。形も、仕組みも、エネルギーも。原理は何一つ説明できないでしょう。

 比喩でしか説明できない事柄は、SF小説でしかない。