「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論15

著者 高田敞


     


(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

あなたも一般相対論の世界に住んでいる  一般相対論の導く現象}

問題

{さまざまな証拠が、僕たちの住んでいる世界は、一般相対論の予言どおりに曲がっていることを示しているのだ。近日点移動、光線の曲がり、重力赤方偏移、重力レンズ効果、重力波…。以下、その一部を紹介しよう。}

 これら挙げられている例が本当に一般相対論の予言からなっているのか検討してみる。

考察1 近日点移動

水星の軌道は近日点の移動が起こっている。これが相対論の預言であるという主張だ。

その理由は{引力の性質はニュートンの万有引力とは違ってきて、逆2乗の形で表せないために、楕円軌道は閉じなくなる。}その結果、{近日点の位置は少しずつずれていくことになる。}ということだそうだ。

しかし、こうも書いてある。

惑星の影響である。金星や木星や地球やその他の惑星の影響で、{100年につき531秒角までは説明できた}{しかし、水星の近日点の移動量のうちで、ニュートン力学だけではどうしても説明できない部分が、100年につき43秒角分だけ残っていたのだ。}

ニュートン力学で574秒角のうち531秒角、92.5%は説明できるということだ。ニュートン力学でも近日点の移動は起こるということだ。初めの主張では{引力の性質はニュートンの万有引力とは違ってきて、逆2乗の形で表せないために、楕円軌道は閉じなくなる。}とあたかも相対論でなくては近日点移動が起こらないように書いてあるが、何のことはないニュートン力学の方がはるかに大きく近日点移動を起こしている。{逆2乗のかたちで表せないために}などといっているが、ニュートン力学で十分だということだ。{引力の性質はニュートンの万有引力とは違ってきて、逆2乗の形で表せないために、楕円軌道は閉じなくなる。}というのは関係ないということだ。

では残りの43秒角、全体の7.5%はどうなのだろう。

{この不具合を鮮やかに解決したのが、アインシュタインである}とある。検証してみよう。

アインシュタインは{自分の構築した一般相対論を使って、この説明不能だった43秒角分を鮮やかに解決したのだ}とある。

43秒角は彼の持ち分だということだ。しかし、理論はあってもそうだという実証はない。ニュートン力学で証明できる可能性もある。

他の原因を探してみよう。昔から、ここに書かれているように、バルカン星の存在が言われている。それと同じように、ここでは取り上げられていないが、昔から太陽楕円球説というのもある。太陽が楕円球であれば、水星は軌道が移動するという説だ。ある本では、相対論者に「太陽が楕円球であることを証明しろ、そうでない限り、その説は採用されない」といって否定されたと書かれていた。

ところが、太陽は楕円球であることが観測されたと雑誌「ニュートン」に去年載っていた。当然でもある。太陽は自転しているのだから、楕円球になるのは力学的にも自然の成り行きだ。自転している恒星が真球になることの方が奇蹟だ。観測は理論にも一致している。

すると、太陽が楕円球であれば、水星の近日点は移動するという説が、浮上してくるはずだ。残りの43%はそれで説明がつく。相対論が入る余地はなくなる。

月も水星と同じように近日点が移動している。この原因は、地球が楕円球であることが原因であるということだ。相対論ではない。丘にも、楕円球で近日点移動が観測されていることから、太陽が楕円であることで、近日点が移動したということは例外ではないということがいえる。

ところが、近日点移動が、一般相対論によるという例はほかには今のところ観測されていない。

結論

太陽楕円球説を取ると、すべては、相対論がなくてもニュートン力学で説明できる。既存の理論で説明できる現象を、新たな理論の証明には使えない、という科学の考え方がある。水星の近日点移動は、相対論の証明には使えない、といえる。

追記

バルカン星は目暗ましである。なぜか。バルカン星がないのがわかっているのにそんな説を出した。それは太陽楕円球説を霞ませるためである。太陽楕円球説が知れ渡ると、相対論説は危うくなる。そこで太陽が楕円であるということを上回る、センセーショナルなバルカン星説を出したのではないだろうか。太陽が楕円であるというのは、大してセンセーショナルではない。半面未知の惑星が存在するという説は、はるかにセンセーショナルである。

ないのがわかっているバルカン説は相対論に脅威ではない。かえって相対論を裏付ける説だ。他の説は否定された、と大見えを切れるからだ。それに比べ、太陽楕円球説は相対論説を否定されかねない、この本でも、否定されたバルカン説よりはるかに重要な説なのに書いていない。そんな説はなかったかのようだ。なぜ書かないのだろう。宇宙学者の筆者が知らないわけはない。太陽楕円球説を書いてはっきり否定すべきである。

ここでも、不都合なことは無視、という相対論特有の現象が出ている。

 

2 光線の曲がり

 エディントンの観測

 太陽近傍で星の光が曲がっていることが観測された。

 {太陽コロナや地球大気、観測機器などに起因するさまざまな誤差を注意深く取り除いた結果、実に1%以下の誤差で、太陽のそばをかすめる光線(電波)の曲がりが実証された。}

考察

エディントンの観測は、誤差が大きいとされている。実際、観測結果にばらつきがある。太陽の重力がそのようなばらつきを起こすほど瞬時に変化していることはないから誤差だとされているのだろう。エディントンの観測のばらつきは、おそらく太陽大気による屈折率の変化によると思われる。地球上で見られる星のまたたき現象と同じ現象である。地球上の星のまたたき現象は風などで空気の密度が瞬時に変化するので屈折率も瞬時に変化するためにおこる。太陽大気は地球よりはるかに変化するので、屈折率が大きく変化するから、またたき現象が起こるのは当然だ。

ここでは、太陽コロナの影響が取り上げられているが、エディントンの時代も、あとでも、そのことは出てこなかった。曲がるのは、一般相対性原理が原因だということだった。そのころはまだ、太陽大気の屈折を取り除けなかったのだろう。

この本で初めて、太陽コロナの影響が出ている。それまでの本には出ていない。太陽大気の影響は無視、ということだったのだろう。やっと否定できたので、取り上げたとすれば、情けない話だ。

で、太陽近辺で星の光が曲がる現象の原因は、太陽大気の屈折であるということも事実である、ということだ。

地球上では、星のまたたき、理論上の日の出日の入りより太陽が早く登り、遅く沈む現象など、星の光は地球近傍で曲がっているのが観測されている。これは相対論効果ではなく、空気による屈折現象である。このことから、太陽近傍の星の光が曲がるのも同じ現象だといえる。相対論ではなく屈折だけで十分説明がつく現象である。

おそらく、上の近日点移動のときと同じように、相対論のために、適当に、屈折率を、少なく見積もったのだろう。

結論

星の光が重力で曲がったという証明はできていない。相対論のとおりだという理屈以外に証拠はないからだ。反対に、大気による屈折現象であるということには、地球の現象が実証になる。気体の濃淡によって光が曲がる現象は、実験でも実証されている。太陽近傍で光が曲がる現象は太陽大気による屈折現象であるといえる。

3 重力レンズ現象

@{「光線の軌跡は重力場中で曲げられる」この単純な性質から重力レンズまでの道はそう遠くない}

A光線は、物質内を通ると屈折する。この単純な性質から重力レンズまでの道はそう遠くない。

 どちらが重力レンズといわれている現象の説明になるだろうか。

考察

ここで述べられている重力レンズの現象のすべてが、宇宙にある、水素の雲による屈折現象であるともいえる。

銀河にしろ、銀河団にしろ、その内部や周りに水素の原子や分子を大量に伴っている。それは中心で濃く、離れるに従って薄くなる。宇宙に浮かんだ水素のレンズだ。

そこを通過する光は必ず屈折する。すると、ここでいう重力レンズによるといわれている現象は起こる。重力レンズ現象が観測されたといっても、それが、重力で起こるのか、水素の雲の屈折で起こるのか判定できない。そのためには他の現象に同じものがあるか見つけることが必要である。重力によるという現象は、太陽近傍の星の光が曲がる幻想がるということだが、それは、先に書いたように、屈折であるといえる。ところが、水素の場合は地球上でいくらでも観測できるし理論もできている。

 これも証明されている既存の原理で説明ができる現象である。科学的には、新しい理論の証明(重力による光が曲がる現象)には使えない現象であるといえる。

結論

 ここでも、やはり、水素雲による屈折現象は完全無視されている。相対論には強敵なのだろう。しかし、科学なら取り上げて説明する必要がある考え方である。そうすると水素による屈折現象になって重力レンズといえなくなって相対論の証明に使えなくなって困るのであろう。

 

3 その他の現象

{宇宙には他にも、白色矮星や中性子星、そして重力波など、一般相対論的な現象がゴロゴロしている。}

{非常に精密な測定では、太陽の重力や地球の重力の一般相対論的な効果が無視できない}

考察

 これらは、検証されているのだろうか。疑問である。ただ口先だけではないのだろうか。たとえば、重力波はまだ検出できていない。観測施設はできたが、検出されたということはない。

白色矮星や、中性子星も、何も空間が曲がったり、時間が伸び縮みしなくてもニュートンの万有引力だけでできるのではないのだろうか。

{一般相対論的な現象がゴロゴロしている。}と、さも他にもあるようなことが書いてあるが、具体的には記述がない。その他にどのようなことがゴロゴロしているのだろう。地球上や、正確に観測できる近傍の宇宙ではごろごろしていることはみんなニュートン力学で説明がつくことばかりだ。光の曲がりも、全部気体の屈折現象で説明できる。地球上の出来事には相対論の出る幕があることはない。ごろごろしているのはニュートン力学の方で、相対論の方ではない。

結論

相対論の予言通りのことが観測されたから、相対論は正しいというのは、科学的態度ではない。その現象が他の理由で起こったのではないかと疑問を持つことが科学の必須条件だ。思いこんでいるのは科学的態度ではない。

 理論通りの現象を観測した、というのはいい。しかし、それが他のことが原因で起こっているのではないかと疑うことは必ず必要である。バルカン星のように。ところが太陽楕円説は取り上げない。不都合なことは無視したり、観測したことを都合のいいように解釈したり、ただの願望を事実のように述べるのでは本当のことは分からないのではないだろうか。

科学は何事も疑ってかかるというのが基本姿勢である。まして、相対論は正しいのだから他の考えは無視するというのでは真実は永久に闇の中だろう。昔、神の言葉は正しいから、といって、ガリレオが否定されたように。