「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論6
著者 高田敞
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(以下{ }内は上記本よりの引用)
宇宙船内の時計(ナビの人工衛星の時計)と我が家の古時計の関係。
問題(P19)
{宇宙船内の時計と地上の時計を「見比べた」ときに、それらの時計の進み方は違うということなのだ。
考察
このことの検証実験は行われたのだろうか? 行われていない。したがって、これはまだ、仮説の段階であるといえる。
ナビの衛星を持ち出す人もいるだろうが、ナビの衛星は相対論をもとに人工的に進み方を速めてあるということだ。自然に遅くなったり速くなったりしているということではない。それで位置測定がピタリになるという意見もあるが、下記に述べるようにそれでは大きな矛盾が生じる。
矛盾1
ナビの衛星は、相対論効果(特殊・一般)で時間の進み方が遅くなるので人工的に時間を早めて時計を合わせるということだ。それでぴったりと測定ができるということのようだ。すると、特殊相対論効果で時計が遅れることと、人が時計の針を人工的に進めることが等価になる。すると、指で時計の針を速く進めると時間は速くなり、遅くすると、時間の流れは遅くなるということになってしまう。
時計の針を人工的に速くしたり遅くしたりすることで本当の時間が速くなったり遅くなったりする現象が観測されたという報告は一つの例外を除き今のところない。その一つの報告は相対論者のいうナビの時計だ。ナビの時計だけが時間の進み方を人工的に速くすると、本当の時間も速くなるといっている。
そのほかにもう一つある。映画「バック・トウ・ザ・ヒューチャー」の車の時計だ。この車はタイムマシーンになっている。行きたい過去の時間に時計を合わせると過去に吹っ飛んでいくという魔法の車だ。それなら日本にもある、ドラエモンの机の引き出しだ。
ということは、時計の針を動かすと、時間が変わる例は、3つあるということだ。
では他の時計はどうだろう。私の家の時計の針の進み方が変わったところで1日が早くなったり遅くなったりすることは今まで1度もなかった。おそらく世界中の時計でも、同じように、時計の進み方で、本当の時間が速くなったり遅くなったりするという現象は観測されていないと推測する。
世界中に何百億とあるだろう時計の進み方を速くしたら、時間が速くなり、遅くしたら時間が遅くなったという事例は報告されていない。数百億の反証があるということだ。
なぜナビの時計だけが、例外的に、時計を速くすると、時間が速くなるという手品を起こせるのか。不思議な現象である。相対性理論家はその原理を説明する必要がある。特殊相対論や、一般相対論で、時間が延び縮みする原理をこと細かく説明しているのだから、時計の針を速くしたり遅くしたりすると、時間が伸び縮みすることくらいたやすく説明できるだろう。そして、我が家の時計が遅くなっても(古くなっているので少しずつ遅れる)、我が家の時間が遅くなり日の入りが他の家より遅くなったりしないのはどうしてなのかの説明も。まさか、時々ノブを回して、針を合わせるからそのたびに正しい時間に戻っているなどとは言わないでしょうね。
矛盾2
人工衛星を考えてみる。ナビの人工衛星が、速度と重力によって時間が遅れたことから、他の人工衛星も時間が遅れていくだろうことが推測できる。ところが、ナビの衛星と違って、普通の人工衛星は、それを修正するための時計がついていない。したがって、普通の人工衛星は時間が遅れっぱなしになることになる。地球の時間と人工衛星の時間はだんだん離れていく。人工衛星の時刻はだんだん過去になる。しかし、望遠鏡があれば人工衛星はいつも見られる。相対論では過去になっているはずの人工衛星が今現在の時刻で見られる。人は過去を見ていることになる。矛盾である。(これは、アンドロメダを見ることは、230億年前の過去のアンドロメダを見ていることになる、ということとはまるで違うシステムだ。アンドロメダの光は230万年前にアンドロメダを出て、230万年かけて、現在の地球に到達した。われわれが見ているアンドロメダの光は230万歳である。光は230万年の時を経過している。地球が230万年経過する間に、アンドロメダ銀河の光も230万年経過している。時間は同じ速度で経過し、ともに「今」という時刻になっている。同時刻である。もちろん光速で飛ぶ光も時間は同じ速度で経過するとして)
矛盾3
いや、今の人工衛星は相対論効果を加味した時計が積んである、ということかもしれない。それを前提に考えてみる。
ア 時計の針と、本当の時間
時計の針の動きを制御することで、時間も制御できるという考え方と現実との不一致は上に書いた。
イ 時計の影響範囲
相対論効果を加味して速く進むようにした時計を積んだ人工衛星(ナビ衛星も含む)を考える。その時計の影響範囲はどこまでなのだろう。人工衛星全体に及ぶのだろうか。それとも、時計からの電気でつながっている機器だけなのだろうか。
そんなことはどうでもいい、時計さえ合っていればそれでいいというのかもしれない。相対論者は時計の時間さえ合わせておけばそれで気が済むのだろうけど、時間というものはそんなものではないのではないのだろうか。
相対論効果で遅くなった人工衛星の本体は,どんどん地球時間から遅れて過去になってしまう。見上げると過去の人工衛星が見えるということになる。
結論
「時間」とは時計の針の回転であると看破したのはアインシュタインの慧眼である。しかし、それは小学生が学校で習う「時間」である。だから、時計の針を動かすと時間も動くのだ。過去になった人工衛星が今見えることになっても、何の不思議とも考えないのだ。いやそれすら考えないのだ。
相対論者のガモフはその著書「不思議の国のトムキンス」の中で、特殊相対論効果で地球から遅れた時間を地球時間に合わせるために時計の針を指で進めたりするのである。「時間が合った」とトムキンスを喜ばさせている。我が家の時計が遅れたときにするやり方と同じである。小学生が習う時間概念である。時計の針を進めることで実際に遅れた時間が取り戻せるのである。相対論効果の時間の遅れ=時計の針の遅れ=我が家の古時計の遅れということだ。どれも指で針を動かせば解決する。
要するに、「時間とは何か」、という問いに、アインシュタインは「時計の針」であると答えているということだ。
アインシュタインの考える「特殊相対論の時間の遅れ」というものは、我が家の古時計が遅れる」と同じだということだ。相対論の「時間」とはせいぜいそのレベルということだ。