「100歳になった相対性理論」(福江純著、講談社サイエンティフィク)への反論2

著者 高田敞


     

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(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

特殊相対性原理

1 問題

{じっと静止している人にとっても、動いている人にとっても自然の法則は同じように成り立つという考え方}

{自然の法則は誰に対しても同じように成り立つという、ガリレイ以来の考え方をより広くとらえた原理である}

2 考察

これでは、ガリレイの相対性を{広くとらえた}という意味の説明になっていない。なにを拡げたのかが、わからない。なぜ、「特殊」とつけたのかの説明ができていない。特殊相対性原理はガリレオの慣性系と大きな違いがある。たんに広げたでは済まされない問題である。

特殊相対性原理の肝心かなめの理論は特殊相対性という考え方だ。これこそガリレオにはなく、他の科学者も夢でも思いつかなかった理論だ。

アインシュタインが考えた特殊相対性とは、どちらが動いているか決めることができない、立場によって動いている方が変わる、という考え方だ。どういうことかというと、私が歩いているとする。道路から見ると、私が歩いている。しかし私から見ると、道路が動いているということだ。列車から見ると、景色が後ろに動いているように見えるというのに似ている。普通は、あれはそう見えるだけで実際に景色が動いているわけではないと解釈する。ところが特殊相対性理論は、あれは実際に景色が動いていて、列車に乗っている私たちが止まっていると解釈する。これが、特殊相対性原理がガリレオの考えと決定的に異なる点だ。これが「特殊相対性」ということだ。

もうひとつは、光と慣性系のことだ。ガリレオやその後のニュートンなどの考えは、慣性の法則は質量を持ったものにしか働かないという考え方だ。アインシュタインはこの慣性の法則を、光にも適用した。ここが二つ目に大きな違いだ。だから光は何物にも、光速度であるということになった。

筆者はなぜこのことをはっきり書かなかったのだろう。

これは私の推論だが、書けなかったのではないだろうか。

 筆者の専門は天文学ということだ。天文学では星の動きは決まっているとして考えている。太陽と地球はどちらが動いているか決められない。観測者の立つ位置によって動いている方が変わるなどとは考えていない。それでは天動説と、地動説が、立場によって変わり、どちらも正しくなってしまう。また、月は地球の周りを公転している。月から見れば地球が月の周りを回っている、と特殊相対性原理では言わなければならない。

これでは天文学者は困るのである。天文学者は、全ての星の動いている速度は決まっているとして考えている。月は地球の周りを回り、地球は太陽の周りを回り、太陽は銀河中心のまわりを回っている。そして、銀河はおとめ座銀河団の方向に動いている、と考えている。その反対はないと考えている。現在の天文学者は、地球から見ると、星は毎日東から出て西に沈む。だから、地球から見ると、地球が静止し、星が動いているなどとは考えない。昔、アインシュタインとガリレオ以前の天文学者や多くの人々は星が動くと考えたようだが、今は違う。地球が自転しているためにそのように見えるだけで、星が地球を回っているのではないと考える。動きは決まっていると考える。

 アインシュタインの言う、どちらが動くかは決められないというような現象は現在のところ宇宙では観測されていない。また、理論でも不可能だ。立場を変えれば太陽が地球の周りを回るということは理論上も不可能だ。地球の33万倍強も質量のある太陽が地球のまわりを公転するということはあり得ない。ケプラーやニュートンの理論を完全否定することになる。

だから、宇宙科学者としては特殊相対性の本質を書くことができなかったのだろう。

 また、宇宙背景放射(光の一種)というものがあり、宇宙からの電磁波が、地球の進行方向で青方偏移し、後方で赤方偏移しているのが観測されている。これは地球と背景放射が地球の進行方向で相対速度を上げ、後方で相対速度を下げていることを現わしている。このように、地球が光に対して相対速度(地球に対して光は光速度ではない)を持っているということも観測されている。

光は何物にも光速度であるという特殊相対論とは相いれない観測である。

 また、特殊相対論なら、背景放射が地球に対して光速度で動いているのか地球が背景放射に対して光速度で動いているのか決められない、ということにさえなる。背景放射から見ると、地球が光速で飛ぶということになる。地球が光速で飛ぶと地球が粉々になる。

 だから、アインシュタインの特殊相対性原理の本質は書けなかったのではないだろうか?

3 結論

この宇宙で、特殊相対性理論が述べている、どちらが動いているか決められないという現象は観測されていない。宇宙の星の動きや現象はどちらが動いているか決まっている。観測は、ニュートンの絶対空間で考えるしかない現象しか観測できていない。太陽や星が東から昇り、空を移動し、西に沈むのを見て、地球は静止し、それが動くと考えたのは、アインシュタイン以前の科学者や人びとである。本当はそうでないのは理論や観測でわかっている。特殊相対性原理は、現実には観測できていないばかりか、それに反する現象しか観測されていない。また、理論としても不可能なことである。