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相対論の二つの土台」(ニュートン2017,5)について 3

著者 田 敞

(以下{ }内は上記本からの引用)

 

{どちらがほんとうに止まっているか,なんて決められない!}

 

問題

すれ違う宇宙船で考える相対性原理

{宇宙船AとBは、(地球に対して)時速1万メートルですれ違うように等速直線運動をしているもの(慣性系といいます)の中では、その速度がどんなに速かろうと、物の動き方(運動の法則)に違いはありません。これが相対性原理です。}

問題1 

{宇宙船AとBは、(地球に対して)時速1万メートル}

考察

地球は、自転し、公転し、太陽系と共に、銀河系を回転し、銀河系と共に、アンドロメダに接近し、また、宇宙空間の中を動いていきます。(この本でも次のページにそれを書いてあります)地球は複雑な弧を描いて高速で動いています。このページのタイトルと矛盾するのですがこの本にもそう書いてあります。その{(地球に対して)時速1万メートルで}速直線運動をしているという設定だけれど、地球が複雑な曲線をえがいて動いているのだから、それに対して動くと等速直線運動をすることはできません。

 これは、絶対速度0メートルの空間を否定しているから、何らかの基準の物体を出さなければ宇宙船の速度を決めることはできないから、地球という、普段は動いていないように思っているわれわれの意識をうまく使って持ち出したのでしょう。止まっているものから見たら等速直線運動ができるというのでしょう。しかし、地球が動いていることは、コペルニクスを持ち出さなくても、小学生でも知っています。この本にもあるように{宇宙から見れば,地上の建物の中で「止まっている」人たちも,地球の自転と共に動いているように見えます。}とあります。実際は{見えます}ではなく地球は24時間で1回転自転しています。また、{地球は自転しながら、太陽の周りを1年かけて公転しています}これは実際の運動です。{見えます}という、どこかから誰かが見たから、その人のために動いているのではありません。この地球の動きは、{動いているか止まっているかは立場によって変わります}ということではありません。相対性原理ではそうかもしれませんが、地球の公転周期が、見る立場によって、25日になったり、653日になったりすることはありません。地球の実際の楕円軌道と速度はケプラーの法則で計算もされています。太陽と地球の距離と質量の問題です。誰が見るか、ではありません。人間がいない46億年前から、地球はそうやって動いています。

 このことから、複雑な楕円軌道の組み合わせで動いている地球に対して宇宙船が動くと、宇宙船は当然直線運動はできません。また、宇宙船が、地球の動きに対向する方向に動いているものと、それに反対に動いている宇宙船とでは速度が異なることも分かります。動いている地球を基準にすると宇宙船Aと宇宙船Bでは実際の速度が異なります。これは{のように見える}のではなく、実際の速度がです。では実際の速度とは何なのだろうという問題が出てきます。

相対性原理では見る人の立場によって速度が変わるので、確定した速度はありません。そこで地球から見たらになったのでしょうが、今見たようにそれでは等速直線運動はできません。ニュートンの絶対空間では、すべての物質の速度は絶対速度です。地球も、宇宙船も、です。

結論

 {速度は見る人の立場によって速くも遅くもなる}という相対性理論では、観測者がどこにいるかという場所、基準がいります。しかし、地球を基準にすると、等速直線運動はできません。等速直線運動を見てくれで作るためには、静止している観測者が必要です。しかし、{「完全に静止した場所」はどこにも存在しない}のが相対性原理です。地球以外の基準を設けても、その基準が他の基準から見たら、動いてしまいます。相対性原理では{時速1万メートルで宇宙を進む2機の宇宙船}を決めることはできません。宇宙船の速度は見る人の立場を変えればどのようにでも変化するので{時速1万メートル}は意味のないものです。ところがここではなぜか宇宙船の速度が絶対速度でもあるかのように決まっています。ご都合主義です。

問題2

宇宙船Aから見れば宇宙船Aが止まり、宇宙船Bが時速2万メートルになり、宇宙船Bから見れば宇宙船Bが止まり宇宙船Aが時速2万メートルになる。このことにたいして、

{地球上にいる私たちは、地面が基準になるので、動いているか止まっているかは簡単に決められると思ってしまいがちですが、宇宙船AとBの両者ともそれぞれの立場から見れば正しいことをいっています。}

考察

昔は、地面が基準でしたから、太陽が西から上がり、空を通り、西に沈んでいくという、見た目どおりに太陽が動いていると考えていました。宇宙船地球号から見ればその通りです。でもこれは正しいことでしたか。今では違っているという見解です。この本でも地球の自転や公転を認めています。

 今では太陽の周りを地球が動いているという解釈です。これは観測もされていますから事実です。地球から見たら太陽が動いている、は間違いです。しかし、宇宙船地球号から見たら、宇宙船太陽号が動いているのが相対性原理のはずです。それが間違いであるということは、{宇宙船AとBの両者ともそれぞれの立場から見れば正しいことをいっています。}という考えは間違いであるということです。

これは、見た目では速度は決まらないということの実証です。

もし地球から見て地球は見てくれどおり止まっているなら、地球は太陽に落ちてしまいます。相対性原理なら、太陽の中心から見た場合のみ地球は公転できるのでしょうが、見る場所によって速度が変わるなら、ニュートンやケプラーの法則は無意味になってしまいます。

地球の速度は、宇宙背景放射に対して赤方偏移が観測されてそこから速度がドプラー効果によって計算されました。宇宙背景放射に対しての地球の相対速度です。これが地球の絶対速度です。

(また、このことは、光に対して地球が相対速度を持っているということの現れです。観測者に対して光速度不変が否定されたということです)

問題3

{等速直線運動をしているもの(慣性系といいます)の中では、}

考察

慣性系は{等速直線運動をしているもの(慣性系といいます)の中}だけに通用するものです。したがって、互いにすれ違う宇宙船は、異なる慣性系です。Aの宇宙船はAの宇宙船内だけの慣性系で、Bの宇宙船はBの宇宙船内の慣性系です。二つは異なる慣性系です。関係ない慣性系です。したがって、{その速度がどんなに速かろうと、物の動き方(運動の法則)に違いはありません。}というのは、それぞれの宇宙船の中だけに通用する原理です。相手の宇宙船の中には通用しません。これを他方の宇宙船まで通用するとしているのは間違いです。

問題4

{宇宙船Aの中の人から見れば,宇宙船Bは時速2万キロもの速さで宇宙空間を進んでいるわけですから,宇宙船Bの内部で浮いている人は,宇宙船の動きに取り残されて宇宙船の後方へと押しやられてしまうようにも感じます。ところが実際にはそうはなりません。}

問1

{{宇宙船Aの中の人から見れば,宇宙船Bは時速2万キロもの速さで宇宙空間を進んでいるわけですから,}

考察

{時速2万キロもの速さで宇宙空間を進んでいるわけですから,}とありますが、これは,宇宙船Bから見た見え方であって、実際に宇宙船Aが時速2万キロメートルで宇宙空間を飛んでいるわけではありません。この速度は地球に対してということでした。すると宇宙船Aから見た地球は時速1万メートルで飛んでいることになります。そんなことなったら大変です。地球は太陽系から吹っ飛んでしまいます。まっ暗闇の宇宙に放り出されてしまいます。宇宙船を飛ばさないようにしなければなりません。それか、宇宙船には絶対窓を作らないようにして、地球が見えないようにしなければなりません。

このように、宇宙船Aから見れば、宇宙船Bの周りの宇宙空間も時速1万メートルで進んでいるように見えるはずです。いや、宇宙空間は見えないから関係ないということですか。では、観測者が目を閉じたら宇宙船Bは見えないですよね、その時の宇宙船Bはどのような動きをするのでしょう。見えないからというのは、関係ないことです。

 また、宇宙空間はなにもないから関係ない、というのも当たっていません。一般相対性理論では、物質は空間を曲げるといっています。その曲がりに落ちるのが重力だと述べています。空間は物質と相互作用するなにかであるということです。また、光はこの空間の曲がりによって、曲がるといっています。相対性理論では空間は何もないということはできません。この空間が宇宙船Aから見て動かないなら、宇宙空間は完全静止になります。相対性原理に反します。

 そのほかにも、小さな問題ですが、星間物質や銀河間物質の問題もあります。この宇宙には星間物質があります。銀河にも星の見える範囲よりはるかに遠くまで大きくガスがあるのが観測されています。巨大な銀河団でさえも、ガスにすっぽりと包まれているのが観測されています。星間ガスは宇宙のどこにでもあるのが観測されています。その星間物質はどう動くのでしょう。宇宙船Aを基準としたときと、宇宙船Bを基準にしたときではガスの動きは正反対になるのでしょうか。見た目で動く星間物質の範囲はどこまでなのでしょうか。肉眼で見える範囲でしょうか、望遠鏡で見える範囲でしょうか、それとも全宇宙のすべての星間物質でしょうか。星間物質は星より量が多いでしょう。小さいけれど、大きな問題です。基準を変えるたびに宇宙全体の星間ガスが右往左往していては宇宙は大混乱になってしまうでしょう。

結論

{時速2万キロもの速さで宇宙空間を進んでいるわけですから,}は間違いです。「進んでいるように見えている」としなければなりません。そうしなければ、新幹線から見た富士山が時速250キロで東京に向かって「進んでいるわけですから」、ということになってしまいます。地球から見たら太陽が地球を回っているわけですからということになってしまいます。そんなことは起こっていません。宇宙空間の宇宙船ならそれが起こるというのならその実証がいります。

問5

{宇宙船Bの内部で浮いている人は,宇宙船の動きに取り残されて宇宙船の後方へと押しやられてしまうようにも感じます。ところが実際にはそうはなりません。}

考察

慣性系に属する物の法則が述べてありません。だからこんな疑問が出るのです。

 慣性の法則です。慣性の法則は、物体は運動エネルギを保存するということです。したがって、停止しているものは停止したままで、動いているものは、その動きを継続します。等速直線運動です。

 {{宇宙船Bの内部で浮いている人は,}宇宙船と同じ速度で動いているので、宇宙船が慣性運動(等速直線運動)をしている限り宇宙船と同じ速度で等速直線運動をするので、宇宙船に取り残されることはありません。誰が見ようと同じです。

 これは、宇宙船の船内とは関係ありません。人が、宇宙船の外に出ても、宇宙船に取り残されることはありません。外でも、やはり人は宇宙船と同じ速度で等速直線運動をしているからです。これは、宇宙ステーションで船外活動している人が、宇宙ステーションに取り残されないことからも分かります。

 宇宙船に浮いている人は、これ以前に宇宙船が等速直線運動に入るまで固定されていることが必要です。この人が、宇宙船と同じ速度まで加速される必要があるからです。すなわち宇宙船のエンジンの運動エネルギーを受け取る必要があります。

 これは他の宇宙船から見るか見ないかとはまるで関係ない現象です。見る見ないにかかわらず起こっていることです。ニュ−トンの運動法則です。運動エネルギー保存の法則です。相対性原理にはない法則です。

結論

 慣性の法則は、宇宙船Aから見ると、とか、宇宙船Bから見ると、という、「見ると」いう現象とは関係なく、本来物質が持っている性質です。運動エネルギー保存則です。宇宙船Aから見ると、宇宙船Aが停止し宇宙船Bの速度が倍になるというのは、この運動エネルギー保存則の否定です。どこからも新たな運動エネルギーが加わっていないのに宇宙船Aの運動エネルギーが0になるはずがありません。どこからも新しいエネルギーが加わっていないのに、宇宙船Bの速度が倍になることはありません。

宇宙船Aから見ると、宇宙船Bの速度が倍になるということで、{動いているか止まっているかは見る人の立場によって変わり,}ということは証明されていません。見る人の立場によって変わるのは見てくれが変わるだけで、実際の運動は変化しません。それは、新幹線から見ると、富士山が東京に向かって時速250キロで走っているということを実際の運動だというのと同じです。富士山が動いているように見えるのは、見てくれだけです。錯視です。

富士山が東京に向かって走り出すという、現実にはありえない現象が起こるのが、「相対性原理」です。実証は不可能です。どのようにして富士山を時速250キロで東京に向かって動かすのでしょう。それができない限り、「相対性原理」の実証はできません。

 この宇宙船の話は、ことばによる巧みなごまかしです。「相対性原理」の証明にはなりません。

{動いているか止まっているかは見る人の立場によって変わり,等速直線運動をしている限り,常に同じ運動法則が成り立つ―これが「相対性原理」なのです。}の、{動いているか止まっているかは見る人の立場によって変わり,}の部分が間違っているのです。見る人の立場によって速度が変わるのですから、{等速}ではなくなります。

以上のように、動いているか止まっているかは、見る人の見え方ではなく、物質の持つ運動エネルギーの問題です。富士山が動いているように見えても、それは見え方なだけで、実際の動きではありません。地球が止まっているように見えても、それは実際の地球の動きではありません。太陽が地球の周りをまわっているように見えてもそれは太陽の実際の動きではありません。天の川が地球を回っているように見えてもそれは実際の動きではありません。富士山も地球も、太陽も、天の川も、実際の動きは決まっています。宇宙の銀河や星の動きは決まっています。見え方で変わることはありません。基準を変えてもそれで動きが変わることはありません。

相対性原理が正しいとすると、このように矛盾しかありません。ニュートンの絶対空間から考えると、すべて矛盾はなくなります。

相対性原理の証拠は「言葉巧み」しかありません。しかし、ニュートンの絶対空間は、すべての銀河の動きから証明されます。また、宇宙背景放射が地球に対して相対速度を持っていることが測られたことから、光速度不変の原理(観測者に対して光速度)も間違っていることが実証されています。相対論者には残念なことでしょうが、この世界は相対性原理で動いているのではありません。