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タイムトラベルと双子のパラドックスについての疑問13

(「Newton7,2017」ニュートンプレス)


著者 田 敞

(以下{ }内は、上記本よりの引用)


問題1

{ずっと地球にとどまっている弟は,加速・減速を行いませんから、}{加速減速を行う兄の時間だけが絶対的に遅くなる}

{往復の等速直線運動の期間においては,兄から見た弟の時間はゆっくり進みます}

考察

 加速減速を行っている時は、相対性は現れず、宇宙船の方だけが加速減速をするということです。しかし、宇宙船が等速直線運動をしているときは相対性が現れて、兄から見れば、地球も光速の80%で動くということです。

 では、いつ地球は、光速の80%に速度を上げたのでしょうか。加速・減速はないのですから一瞬のことになります。この地球の速度を、加速もなしに、光速の80%に一瞬であげるのですから、相対性とはたいしたものですね。

 これは実際には不可能な現象です。

問題2

{ずっと地球にとどまっている弟は,加速・減速、を行いませんから、}

考察

加速・減速のときは動くのは宇宙船だけで、兄から見ても地球は動かないという主張です。

等速直線運動のときは、兄から見ると弟(地球)が動いているように見えるから、弟が動いている、という考え方でした。

では、加速運動のときはどうでしょう。兄から見るとやはり弟が加速したり減速したりして見えると思います。電車に乗っていると、駅が加速して遠ざかり、減速して近づいて来るように見えます。すると、兄から見ると、やはり弟が加速したり減速したりすることになるのではないでしょうか。

等速直線運動のときは相対性が現れ、加速のときは、相対性はなくなるということです。

相対性は、見えるから、ということではないようですね。

では考えてみましょう。宇宙船が、1秒エンジンを動かして加速します。すると、相対性は消えるので、兄から見ると、今まで光速の80%で動いていた地球が、突然通常の、秒速300kmの速度に落ちます。1秒後、また、光速の80.00001%の速度になります。とてもすごい速度の変動が起こります。

問題3

{宇宙船が目的地の惑星に着陸するために減速を始めると,周囲の空間が急にのびはじめて,これまで宇宙船の後方14光年ほどの距離にあった地球が,24光年先まで遠ざかっていくことでしょう。}

考察

 14光年の距離が、24光年に広がります。10光年伸びています。10光年は、光で10年かかります。宇宙船が1年かけて減速したとしたら1年で地球は10光年遠ざからなければなりません。光速の10倍の速度です。

 宇宙船から14億光年の距離にも銀河があることでしょう。すると、その銀河は、宇宙船の減速で、14億光年の距離から、24億光年の距離まで、遠ざかってしまいます。10億光年の距離を移動します。140億光年先の銀河は240億光年先に移動します。100億光年の移動です。すごいですね。

 宇宙にあるすべての銀河がその距離に応じて移動するということです。宇宙船の減速時間が1年とすると、1年でそれだけ移動するということです。ビッグバンの再来ですね。ものすごいエネルギーがいることでしょう。

 まあ、机上の空論ですね。口では何とでも言えます。1センチのゴム、1秒で、1光年まで伸ばした。言えました。でもこれを実際に行うことはできません。

昔の人は言いました。「言うは易し。おこなうは難し」

 何とでも言えます。しかし、物理学は言葉の巧みさから考えるのではなく、実際の現象を考えなくてはならないはずです。

 乗り物が減速したら、宇宙全体が伸び縮みするという現象は観測されたかということです。理論では、その物理的仕組みはどのようになっているのか、エネルギー不変則は守られているか、等です。
考察2
 上の話では、このとき地球が光速を超えて、宇宙船から離れていくということです。すると動いている地球の時間は遅くなるはずです。しかもも光速を超えています。どうなるのでしょう。何とも言っていないから、何ともならないのでしょう。相対論は都合のいいことしか起こらないことになっていますから。空間が伸びた時は、速度は光速を超えてもいいとか、動いていても動いていないとかいうのかもしれませんね。ビッグバン宇宙論がそうですから。もっともらしいけど、物理的理屈は0ですよ。

結論

宇宙船が減速したからといて、宇宙が伸びるわけがありません。現実に飛行機が着陸するために減速すると、宇宙が伸びたりしたら困ってしまうでしょう。地球上で飛行機が着陸するたびに100億光年先の銀河が動かされてはたまったものではありません。微々たることだから構わない、ということでは物理学ではないでしょう。