ヒッグスの海ってあるの?目次   ヒッグス粒子の崩壊とヒッグスの海 ヒッグス場の構造は? 


ヒッグス粒子への疑問5

 

著者 田 敞


参考図書

「図解雑学よくわかるヒッグス粒子・広瀬立成・ナツメ社」

「ヒッグス粒子の発見・イアン・サンプル・講談社」

(以下{ }内は図解雑学よくわかるヒッグス粒子。[ ]内はヒッグス粒子の発見よりの引用)



問題


ヒッグス場が働いたときの宇宙の状態

 [宇宙は一瞬でビーチボールほどの大きさに膨張し、ヒッグス場が働くようになるのに十分なほど冷えた]


考察

1 宇宙の大きさと素粒子の重力

 ヒッグス場が働いたときは宇宙はビーチボールほどの大きさのときということです。

 では、そのときの素粒子の量はどれくらいあったのでしょう。

ビッグバン宇宙論ではビッグバンで全宇宙の物質とエネルギーができて、その後にはできた様子はありません。ダークエネルギーは増えるという説もありますが、物質が増えていったという話はありません。

このとき、ヒッグス場が現在ある全宇宙の素粒子に質量を与えたということなので、このときに今この宇宙にある全素粒子に質量を与えたということになります。

 このことから、ビーチボールくらいの大きさの宇宙空間に今ある宇宙の全物質がつまっていたことが類推できます。

 このことを考えてみます。

太陽1個でもビーチボールの大きさに詰め込んだらブラックホールになってしまいます。そこに、全宇宙の物質を詰め込むとどうなるでしょう(太陽1000個とか10000個なんてちゃちい数じゃない。その100億倍の百億倍は軽くあるのです)。その全部が、ヒッグス粒子から重力をもらったらどうなるでしょう。一瞬で宇宙はブラックホールになってしまうことでしょう。

2 ビーチボールの体積に素粒子が入るとどうなるか

 ビーチボールの大きさに、宇宙の全素粒子を詰め込んだら、素粒子は素粒子で居られるのでしょうか。質量がないから光速で飛び交っていたと書いてありますが、10−11mmでも動いたら隣の素粒子に衝突してしまうでしょう。それどころか、おそらく隣の素粒子も、その隣の素粒子も、その隣の素粒子もこちらに食い込んでいることでしょう。素粒子に大きさがあるとすれば、ビーチボールの大きさの中に、宇宙の全物質を詰め込むには宇宙の体積が少なすぎます。素粒子1個分の空間に何千億個の素粒子を詰め込んでもまだ足りないでしょう。

 そのほかにも、ビッグバン論では、その何倍ものダークマターがあるということです。それも重力だけは持っていると言われています。そのダークマターもビーチボールの中につまっているというのです。宇宙はブラックホールどころではなくなるでしょう。

3 ヒッグス場とダークマター

ところで、ヒッグス粒子論ではダークマターは出てきませんが、ダークマターが重力を持ったのはいつのことなのでしょう。やはりヒッグス粒子からもらったのでしょうか。通常の物質だってよくわからないのに、重力を持っている以外はすべて謎ということしか分かっていないもののことなどついでに謎にしとけということなのでしょうか。今さら一つくらい謎が増えても、大勢に影響はないですからね。

4 ヒッグス粒子が働くまでの宇宙とヒッグス粒子

 それ以前の、宇宙がビーチボールの大きさに膨らむまでに、質量を持ったヒッグス粒子の海がつまっている宇宙は膨張できるのでしょうか。ヒッグス粒子の持っている重力で宇宙全体がブラックホールになってしまわないのでしょうか。なんせ、全宇宙の素粒子にくまなく質量を与えるほどの量があるヒッグス粒子なのだからかなりの質量があるはずです。ブラックホールになっても不思議ではありません。

 それを克服してビーチボール大の宇宙に膨張したとしても、その時の宇宙にはヒッグス粒子と、通常の物質と、ダークマターがつまっています。それぞれが互いにくっつきあうどころか、のめり込み合って、どうしようもない状態になっていたはずです。


結論

 すべてはビッグバンのときにできたというのが、ビッグバン宇宙論です。ビッグバン後、宇宙が膨張しながら物質や、ダークマターや、ヒッグス粒子を増やしていったという理論ではありません。したがって、ビーチボールの大きさのときに既にこの宇宙に今あるすべてが存在していたということになります。ビーチボール1個の中に全宇宙が詰め込めるわけなどありません。もしできたとしても、それが重力を振り切って膨張できるわけはありません。今のところ、1個の星の爆発でできたブラックホールでさえ、膨張させることのできるエネルギーの存在はないことになっているのですから。

「真空のエネルギー」。素晴らしいエネルギーです。ビッグバン論者の望みを何でもかなえてくれる魔法の呪文です。言葉以外に実際にはなにも観測されていません。ビッグバン論者が困ったら何でも出てきます。インフレーション、ダークマター、ダークエネルギー、ヒッグス粒子、ヒッグス場、空間膨張。言葉だけで何一つ実証されていません。それが99.9パーセントを占めるのがビッグバン宇宙論です。発見されたという、ヒッグス粒子だって、直接観測したわけではありません。最初からそれは無理だから、その痕跡を見つけるということでした。見つけたのは普通の素粒子です。ヒッグス粒子は10−22秒しか存在できない、すなわち人間には見えないということです。理論家にとってはとてもありがたい粒子です。人間には観測できないのだから実証できなくても仕方がないだろうということです。

発見されたのは本当にヒッグス粒子の痕跡なの。あれでもいい、これでもいいと、大きな幅を取って、でてきた観測値のどれでも合うようにしているのじゃないのかな。ひょっとして。