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ヒッグス粒子への疑問2
参考図書
「図解雑学よくわかるヒッグス粒子・広瀬立成・ナツメ社」
「ヒッグス粒子の発見・イアン・サンプル・講談社」
(以下{ }内は図解雑学よくわかるヒッグス粒氏子。[ ]内はヒッグス粒子の発見よりの引用)
著者 田 敞
問題
ヒッグス粒子が質量を生みだす仕組み
{量子力学における真空は、ヒッグス粒子という素粒子がつまっている。}{素粒子は、この真空に詰まっているヒッグス粒子と相互作用をして抵抗力を受けるため、動きにくくなる。=質量の獲得}
これが素粒子がヒッグス粒子から質量を受け取る仕組みだということです。
疑問1
抵抗力は質量になるか
考察
「図解雑学よくわかるヒッグス粒子」の説明は、パーティー会場に有名人(素粒子)が入ってきたら、周りに人(ヒッグス粒子)が集まってきて有名人は動きにくくなる。これが素粒子が質量を得た仕組みだと述べています。
1 空気と比べる
空気も周りに詰まっています。空気抵抗で動いている物体は動きにくくなります。そっくりです。
しかし、物質はこのことで質量を獲得したりはしません。質量の仕組みとはまるで違うのでできないのです。
もうひとつの、違いは空気の場合はやがて物質は空気抵抗で止まってしまうことです。しかし、ヒッグス粒子の場合は一定の動きにくさはあっても、動きは止まってしまうことはありません。慣性質量は等速直線運動をおこないます。
ヒッグス粒子の場合は抵抗力は一瞬働くだけで、後は一定速度で有名人が動くことを容認しているようです。ヒッグス粒子はなぜ途中で抵抗力がなくなるのでしょう。
2 海で考える
海に浮かぶ船は、エンジンを切ると水の抵抗力で止まってしまいます。ヒッグスの海とは上と同じように影響力が異なります。
3 原理
1,2共、慣性力と運動エネルギーが関係しています。動いている物体は運動エネルギーを持っています。物体が空気や、水に衝突すると、空気分子や水分子を押しのけることになります。このとき物体の持っていた運動エネルギーの一部が、空気や水分子を動かすためのエネルギーになって空気や水分子に移動します。そのため、物体の運動エネルギーが減少します。これが続くと、物体の持っていた運動エネルギーがすベて空気や水分子に移動して、運動エネルギーがなくなるから停止してしまいます。
ヒッグス粒子の場合は、素粒子がヒッグスの海を動いていても止まることはありません。動きにくさを与えるということから、素粒子の運動エネルギーがヒッグス粒子を動かすために移動したから速度が落ちるということではようです。仕組みは分からないけれど、ヒッグス粒子があるとなぜか動きにくくなり、それが質量を与えることになるということのようです。エネルギー移動ではない何かのようです。仕組みがまるで違います。似て非なるものです。
その仕組みについてはなにも書いていません。水や空気が起こす動きにくさとは根本的に異なるシステムのはずなのに、関係ない物質の動きにくさになぞらえているだけで、本質はなにも書いていません。これでは分からないからごまかしているとおもわれますよ。
説明の必要があります。でも、できないでしょう。それとも、めっちゃ難しい計算式でも持ち出してきますか。
疑問2
抵抗力は素粒子の質量になるか。
考察
海の水に浮かぶ船は、水の抵抗で動きにくくなります。しかし、それは船が質量を獲得したことではありません。上に書いたように運動エネルギーが移動することであって、質量の獲得ではありません。これは空気でも同じです。
普通の物質の場合、抵抗力は質量にはならない。たんなる運動エネルギーの移動だけです。
ヒッグス粒子の抵抗力が素粒子を動きにくくさせたら、なぜ素粒子の質量になるのかについてはなにも説明がありません。
疑問3
このことについて「ヒッグス粒子の発見・イアン・サンプル・講談社」では、ビッグバン直後[宇宙は一瞬でビーチボールほどの大きさに膨張し、ヒッグス場が働くようになるのに十分なほど冷えた。その瞬間、物質の最初の構成単位はヒッグス場に手なずけられて重さを獲得し、光の速さから、ゆっくりした動きへと減速させられたのである。まるでスープに落ちたハエのように。]とあります。
考察
スープに落ちたハエは、スープから質量をもらうことはありません。ただ溺れるだけです。
ヒッグス場はどのようにして、物質の最初の構成単位を手なずけたのでしょう。物質の最初の構成単位を手なずけるとは何がどうなることなのでしょう。素粒子は犬じゃないのです。手なずけたりできません。それこそ肝心なことなのに、やはりこの本でも何一つ書いていません。
疑問4
「現代サイエンスの常識辞典」「成美堂出版」によると、「素粒子の動きにくさ、つまり質量は、ヒッグス場というプールの中に物質が沈んでいるために獲得されます。一方ヒッグス粒子は、ヒッグス場からある確率によって出現する粒子です。」とあります。
この本では質量を与えるのはヒッグス粒子ではなく、ヒッグス場であるということです。上記の本とは主張が異なります。
ヒッグス場については「普通の粒子は1個、1個飛び交っている。ヒッグスというのは宇宙全体を満たしているような媒質で、その中にまたヒッグス粒子が飛び交っている。」と説明しています。まあ、昔のエーテルのようなものなのでしょう。
ヒッグス粒子は発見されたようですけれど、このヒッグスという媒質は発見されていません。ヒッグス粒子は頑張って証明しようとしているけれど、この媒質は見つけようとはしていないようです。また、みんなが言っている、ヒッグス粒子を生む「ヒッグス場」についても同じです。あると言いながら、見つけようという考えもないようです。ないのが分かっているからでしょう。
それはさておき、この論でも、「素粒子の動きにくさ、つまり質量は、ヒッグス場というプールの中に物質が沈んでいるために獲得されます。」とはいっているけれど、その仕組みは説明されていません。プールの水で、動きにくくなっても、それは質量ではありません。水の中ではぽっかり浮かんで重さはありません。他の物質を引きつける力も出てきません。運動エネルギーは奪われ続け、やがて止まってしまいます。
ヒッグスという媒質が宇宙を満たしていて物質を動きにくくしていても、地球は、一定速度で動き続け、太陽と引き合い、世界中のリンゴを引っ張り落とし続けています。プールの中ではこんなことは起こりません。手足を動かしていなければ止まってしまいます。船を浮かべても、漕ぐのをやめれば止まってしまいます。エネルギーを加え続けなくては物質は止まってしまいます。宇宙がヒッグスという媒質で見たされたからといって、物質が、運動エネルギーを保存することや、万有引力を持っている現象の説明にはなりません。ヒッグスが、リンゴを落とし続けているわけではありません。
結論
{素粒子は、この真空に詰まっているヒッグス粒子と相互作用をして抵抗力を受けるため、動きにくくなる。=質量の獲得}ということでは、ヒッグス粒子が素粒子に質量を与える仕組みについて何一つ説明になっていません。ヒッグス場でも同じことです。
要するに、一番肝心なこと、ヒッグス粒子がどのようにして、素粒子に質量(動きにくくなるのに止まらないこと、運動エネルギーを保存すること、万有引力をもっていること)をもたらしたのかという科学的説明はないということです。
パーティー会場の有名人にしろ、スープに落ちたハエにしろ、プールの底にしろ、動きにくさにしろ、手なずけるにしろ、子供だましの比喩にしかすぎません。本質を何一つ説明していないばかりか、本質から目をそらしているといえます。本質がわからないからごまかしのために比喩を使っているのじゃないかとさえ思えます。