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ブラックホールと時空の方程式(小林新平・森北出版株式会社)について 2

 

著者 田 敞

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{時空の新しい見かた:光速の不変性とローレンツ変換}より


重力波
は相対性理論の証拠になりえるか

 

1 問題点

 重力波によって、相対性理論の時空の曲がりの証明になるということです。そうでしょうか。相対性理論の空間の曲がりの理論によって重力波を説明しただけなので、それが証明になるとはいえません。「重力波」と言っている現象は、他の説明でも可能であるからです。さまざまな可能性があるのですから、それを検討しないで、最初から「重力波」が観測されたから相対性理論が正しいとすることはできません。科学は、一番不利なことを真っ先に取り上げなくてはならないという方法論があるのですから。それを検討しないで、手放しでアインシュタイン様の相対論は正しいともろ手を上げることはできないはずです。

 

2 重力波の観測

 重力波は2015年2月に最初に観測されたということです。

 相対性理論では、ブラックホールどうしの衝突によって時空がゆがみ、それが地球に届いてきたという解釈です。

 時空は時間と空間からできているというのが相対性理論です。ということは時空の歪みは、時間がゆがみ空間がゆがんだということになります。このことを考えてみます。

(1) 時間の歪み

ア 時間はどのように歪むのでしょう。

 時間が歪むとは具体的に時間がどうなることなのでしょう。昨日と今日と明日が行ったり来たりするのでしょうか。1秒過去と、今と、1秒未来が行き来するのでしょうか。それとも、現在の時刻が歪むのでしょうか。現在の時間がゆがむとは時間がどういうことになることなのでしょうか。縦波なのでしょうか、横波なのでしょうか。

 それとも、ムンクの絵のように時計が歪んでいるとか。

 時間の歪みを説明できる人はいるのでしょうか。相対論者はどのように説明しているのでしょう。今のところ時間の歪みを説明した理論を見たことがありません。私の勉強不足だけでしょうか。そうではないでしょう。時間がどのようになっているのかを知っている人はいないでしょう。時間とは時計の針の回転であるかのように説明している相対性理論を信じている科学者もいますが、小学生だって、時計の針が速く進むと時間も早く進むなんて考えてはいません。時計の針が速く進むのは壊れた時計だけだって知ってます。

 ま、時間が歪むなんてことをいうなら、歪んだ時間の仕組みや形状や何がどのように時間のどこに働いたら時間が歪むのか具体的に示してほしものです。できないでしょう。そもそも時間とは何かが分かっている人は今のところいないのですから。

イ 時間を歪ませるエネルギーは何なのでしょう。

 ブラックホールの合体によって時間が歪んだと言っています。では、ブラックホールの合体がどのように時間に作用して時間をゆがませたのでしょう。相対性理論では、物質の速度や重力によって時間の速さが変わるということです。重力波はブラックホールの合体で、重力が一カ所に集中して増えたのだから、それによって、時間の速さが変化したことによって、時間が速くなったり遅くなったりしたということも考えられます。

 速くなった時間は、遅い時間とどのようにかかわったのでしょう。ブラックホールの衝突で速くなった時間の1秒後に遅い時間が来たとしたら、早い時間は消えてしまっているはずです。たとえば時速100kmで走っていた車が、時速50kmに速度を落としたとしたら、あるのは、時速50kmで走る車だけです。過去の時速100kmで走っていた車は存在しません。時間も同じです。現在の瞬間の時間しか存在しません(時間というものが存在するとして)。

時間の速度は今現在の速度以外にはありません。今の時間が過ぎたら、過去の時間がやってくるということはありません。未来の時間がどこからかやってくるということでもありません。時間は津波(物質)ではないのですから、未来と今と過去の時間が波の形を取って存在するということはありません。水の波のように連なっているということはありません。未来の時刻も、過去の時刻も、「今」には存在しません。全宇宙であるのは今現在の瞬間の時刻だけです。今現在の時刻に長さも幅も高さありません。長さも幅も高さもないのだから歪みようがありません。

どちらにしろ、ブラックホールの合体がどのようなエネルギーを出して時間を歪ませるのか、歪んだ時間とはどんなものなのか、その仕組みを説明するべきです。できないでしょう。できないから、「時空」が歪むなどと、かっこいい言葉でごまかしているのです。ごまかす人は往々にしてかっこいい言葉を使います。かっこ悪い言葉では誰も騙されませんからね。

ウ 時間の波の伝わり方

 12億年前に12億光年先で起こった時間の歪みはどのようにして、12億年後、12億年離れた地球にやってきたのでしょう。

 相対性理論者の言うように時間に歪みができるとします。12億年前のブラックホールの合体で、その場にあった12億年前の時間が歪んだとします。その歪みはどのようにして地球に伝わってきたのでしょう。水の波なら、水の上下動が隣の水を上下させて次々隣の波にエネルギーを伝えて波の上下動が遠くに伝わっていきます。

 では時間はどのようにして次々に歪みを伝えていくのでしょう。時間は物質ではありません。ブラックホールの傍でブラックホールの重力で速くなったり遅くなったりした時間は、ブラックホールから離れたところで、普通に進んでいる時間とどのようにかかわったのでしょう。12億光年離れたところの地球の普通に進んでいる時間をどのようにして、歪ませたのでしょう。

12億年前にできた12億光年先でできた時間の歪みは、次々に隣の時間に歪みを伝えて現在の時刻の地球にその歪みを伝えてきたのでしょうか。今日の時間の歪みはどのようにして明日の時間に歪みを伝えるのでしょうか。

あるいは、ブラックホールによって最初に歪んだ時間が光が広がって行くように宇宙に広がって、そのまま地球まで飛んできたのでしょうか。これでは最初に歪んだ時間がそのまま伝わってきたということになり、時間は12億年前のままです。現在時刻にはなりません。

 ところが、12億光年離れたところのブラックホールの衝突でできた時間の歪みが12億光年離れた地球に12億年かけてやってきたというのです。

 時間は、地球でも12億年前から現在まで独自に経過しています。12億光年先のブラックホールの衝突した場所の時間とは無関係です。なぜ12億年たつと、12億光年先の時間が地球にやってくるのでしょう。

 例えば、太陽は8分光年離れています。8分前に太陽を出発した太陽の時間が、8分後地球に到達するのでしょうか。やってきた時間は、8分過去の時刻を指しているのでしょうか。それとも時間も宇宙を渡ってくるときに同じように時間が経過するのでしょうか。

 元から地球で経過していた地球の時間と太陽からやってきた太陽の時間はどうなるのでしょうか、衝突するのでしょうか。それとも、すんなり混ざり合うのでしょうか。どちらかが消えるのでしょうか。

 ブラックホールの衝突で歪んだ時間は、それまで地球で経過していた歪んでいない時間とどのように折り合いをつけるのでしょう。歪みが検出されたというのだから、やってきた時間に地球の時間がゆすられたということなのでしょうか。

 水なら可能でしょう。地震でも可能でしょう。水も地面も物質ですから、次々に揺れを伝えられます。しかし、時間は物質ではありません。具体的な何かではありません。なにもないものがどのようにして隣のなにもないものを揺らすのでしょう。時間には縦も横もありません。実態もありません。だから、歪んだり、歪みを伝えたりはできません。縦波も横波もできません。地球は勝手に時間が経過しています。12億年前12億光年先で起こった時間の歪み(そんなものがあったとして)がどうして、今の地球の時間をゆがませるのでしょう。答えられないでしょう。

 

ということで、地球の時間はどう考えても歪んだりしないといえそうです。ということは、時空の歪みというのは、時間を除いた、空間だけが、歪んでそれが伝わってきたといえそうです。そこで空間の歪みについて考えてみます。

(2) 空間の歪み

 ブラックホールの合体で空間が歪んだということを考えます。

では、空間はどのようにして歪んだのでしょう。相対性理論によると、空間は重力で歪むということですから、その理論が本当ならそれは可能かもしれません。本当なら、です。しかし、本当としても不明なことが多々あります。検討してみます。

ア 空間の歪みとは

 空間は物質ではありません。今のところ、それがなにかであるということは観測されていません。すなわち現実的には実態のないものです。実態のないものが歪んだら、歪む前と後でなにがどのように違うのでしょう。実態のないなにかが歪んだとしても実態のない歪みしか生まれません。相対論者は空間そのものがどのようなものかを示す必要があります。「空間」の説明ができないので「時空」などとかっこいい言葉にして、根本の「空間」とは何か、構造は、何からできているか、などの本質の説明から逃げているとしか思えません。

イ 空間の歪みの伝わり方

 波の伝わり方と同じと考えます。すると、ブラックホールの合体で空間が歪みます。その歪みは隣の空間を歪ませます。次々と隣の空間を歪ませて、宇宙に広がっていきます。それが地球に届いて、重力波として観測された、ということになるのでしょうか。

 空間はなにもありません。なにもないものが隣のなにもないものを歪ませるというのです。どのようにしてなにもないものがなにもないものをゆがませるのでしょう。そのエネルギーはどのような種類のものでしょう。重力ということでしょう。そうでしょうか。相対性理論では、重力の原因は空間の歪みから生じるということですから、重力が空間の歪みを作ることはありません。

(3) 重力の原因。

重力は空間の歪みである、というのが相対性理論です。

相対性理論では、重力は空間を曲げるといったり、空間の曲がりが重力だとも言っています。相対性理論者はこれをうまく使い分けています。

先に重力があってそれが空間を曲げたのか、さきに空間が曲がったから重力が生まれたのか、卵と鶏のような関係です。

どちらが先でしょう。考えてみます。

 相対性理論の重力の説明は、ゴム膜に鉄球を乗せます、するとゴム膜がへこみます、ゴム膜の上にビー玉を乗せます、すると、ビー玉は鉄球の作ったへこみに落ちます、これが重力だというのです。

太陽と地球で考えてみます。

相対性理論の説明では、太陽がまず空間を曲げます。すると、空間がへこみます。そのへこみに地球は重いから転げ落ちます。地球は進行方向に動いているので、太陽の周りを公転することになる、というのが、よく見る相対性理論の重力の説明です。これだと、先に太陽が作ったへこみがあります。へこみがあるから落ちるというのですから、重力は、先にへこみができなくては発生しません。重力がへこみを作っているのではなく、へこみが重力を作っているということです。相対性理論家も、重力の原因は空間の曲がりだということが分かったと言っています。

このように、相対性理論ではへこみが先です。では、太陽は、太陽の何が作ったへこみに落ちているのかということが出てきます。これは不明です。だから、重力が空間のへこみを作るという意見も出てくるのです。

重要なことは重力がへこみを作っているのではないということです。へこみがないと重力が発生しないのですから、物質がもともと持っているのは空間を曲げる力であって、重力そのものを持っているということにはなりません。重力は空間の曲がりから派生的に発生するということです。相対性理論ではそうなります。ニュートンの万有引力との大きな違いです。万有引力では、物質がもともと持っているのは物質どうしが引き合う力です。物質が元々持っている強い力、弱い力、電磁気力と同じように物質は元々引力も持っているのです。だから万有引力は空間を曲げません。空間とは無関係な力です。

相対性理論では重力をもともと持っている力だと言っていますが書いたように、相対性理論では、物質がもともと持っている力は、空間を曲げる力であって、それによって曲げられた空間が重力を生むというのが理論ですから、もともと持っている力は空間を曲げる力で、重いものを落とす力(重力)ではありません。

では何が空間をへこませているのでしょう。このことについてはアインシュタインはなにも言っていません。だから重力が空間をへこませ、へこんだ空間が重力だという、堂々巡りのようなことをいう人が現れるのです。理論がもともとあいまいなのです。

では、ブラックホールの衝突は、何が空間を歪ませるのでしょう。相対性理論では、空間の曲がりが重力を生むのですから、最初に空間をゆがませたのは重力ではありません。物質が持つなにか不明の力が空間をゆがませるのですからその何かが空間の歪みを作ったのでしょう。ブラックホールのなにかが空間を極端に曲げ、その極端に曲がった空間の歪みが伝わってきたのでしょうから、重力波とはいえないのではないでしょうか。空間の歪み波です。重力波を言っている人は、空間は重力が曲げるという考えを取っている人たちのようです。相対論者は適当なんです。

よくブラックホールの強い重力が空間をロート状に歪ませたという絵がありますが、相対性理論ではあれは順序が逆です。何らかの原因で強く曲がって漏斗状になった空間のために、星がそこに落ち込んで、果てしなく縮んでいくというのが相対性理論のはずです。

では、ブラックホールが衝突すると、何がどのようにして空間のどこに働いて空間をゆがめるのでしょう。空間が歪むとどうして重力が発生するのでしょう。説明がありません。説明してほしいものです。(注:空間がゆがむと、物質は重いからそこに落ちる、という相対性理論の説明を見ます。リンゴは重いから地面に落ちるという、ニュートン以前の考え方に戻っています。説明になっていません)

相対性理論の重力の定義はかなり適当だということです。これに対して万有引力は単純明快です。物質は物質どうし引きあう力を持っている、です。だから空間も光も曲げません。物質同士の引き合う作用だけです。万有引力と、重力はまるで違う考え方です。近似値ではありません。どちらか、あるいは両方が間違っているということです。

(4)空間が曲がる証拠

なんにしろ、星があると空間は勝手に曲がるようです。しかし、空間の曲がりの直接の観測はありません。当然です。空間は実態がないからです。ないものを見ることはできません。触ることもできません。直接観測することはできないのです。そこで、相対論者は間接的証拠として、エディントンの観測や、アインシュタインクロスなどの、星や銀河の光が曲がる現象を挙げています。しかし、これが、空間の曲がりの証拠であるという証明はされていません。天才アインシュタインの予言どおりだ、とうのが唯一最大の証拠のようです。しかし、これは証明にはなりません。たんなる権威主義です。予言だというのですから、権威以上に、魔法使いか神様になっています。

証拠と言われているエディントンの観測は、太陽コロナ(太陽大気)による光の屈折現象である可能性が大です。アインシュタインクロスは、銀河間ガスや、星間ガスによる光の屈折現象で説明できます。これらのガスは観測されています。気体や物質が原因でも光が曲がる現象が起こるのですから、エディントンの観測や、アインシュタインクロスの観測が空間の曲がりの証拠だと言いきることはできません。特に、光が空気や水やガラスで屈折することは、日常的に観測されてもいるし、理論もあります。しかし、重力で光が曲がる現象は、このほかのことでは観測されていません。エディントンの観測や、アインシュタインクロスは、気体による屈折現象であるという方がはるかに科学的です。(注:太陽コロナは日食などで観測されている。銀河団が巨大なガスの固まりの中に埋もれているのも観測されている)

(5) 重力波検出器への作用

 地球に伝わってきた重力波が検出器を伸び縮みさせたということです。ということは、空間が検出器を伸び縮みさせたということになります。なにもない空間がどのようにして検出器を伸び縮みさせたのでしょう。物質が伸び縮みするにはエネルギーがいります。検出器を伸び縮みさせたエネルギーはどのようなエネルギーなのでしょう。なにもない空間がどのようにしてそのエネルギーを運んできたのでしょう。科学的説明が必要です。

 普通、空間は物質に何の影響もしません。車が走っても、空間は車と摩擦を起こしません。人工衛星も、高速で飛んでいるのに空間から抵抗を受けていません。地球も46億年間自転と公転をしていますが、空間の影響で、速度を落としたり速くなったりはしていません。

 銀河の回転も、空間の抵抗を受けていません。

 私が手を振ると、空気抵抗は受けても、空間の抵抗は受けません。

 普通の現象で空間が物質に何らかの作用をしているという現象は観測されていません。これは、普通の場合は空間は物質には作用しないということの表れです。

 それなのに、なぜ空間の歪みは検出器を伸び縮みさせるのでしょう。それもいっさいのロスなしにです。銀河が秒速数100キロで回転しても空間は何の影響もしないのに、どうして、検出器を伸び縮みさせることができるのでしょう。その仕組みはどうなっているのでしょう。これは、検出器だけでなく地球も伸び縮みさせていることになります。とても大きなエネルギーです。そして、銀河系も伸び縮みさせていることになります。数千万個の恒星を動かすのです。膨大なエネルギーです。なにもない空間がどのように作用しているのでしょう。不可思議です。

 

3 何が重力波検出器を伸び縮みさせたか

 重力波は、万有引力波だと考えたらどうでしょう。ブラックホールの合体で、ブラックホールと地球との距離が極端に速く変化したことにより、地球に対する万有引力の強さが激しく変化したと考えたらどうでしょう。万有引力は距離の2乗に比例して変化します。大きな万有引力が集中しているブラックホールどうしの高速の回転や、衝突によるブラックホールの光速の移動により、地球とブラックホールの距離が激しく変化したことで地球にやってきた万有引力の強さがすばやく変化したことで起こったのでしょう。

 その万有引力が地球に届いたとしたら、検査機器を引っ張る力が変化します。すると検査機器の長さが変化します。これが検出された重力波と言われているものではないでしょうか。重力波ではなく万有引力波です。(注:重力はアインシュタインの考えです。万有引力はニュートンの考えです。書いたように似て非なるものです。重力は空間の曲がりに物質は重いから落ちるという力です。重い力、重力です。万有引力は、物資が本来持っている引っ張る力、引力です。強い力、弱い力、電磁気力と同じように物質が本来持っている力です。だから万有引力です)

 これだと、なにもない空間や、時間がゆがんだり波打ったりする必要はありません。距離が変化することで、地球にやってくる万有引力の引っ張る力が変化するということで検出器の伸び縮みが起こったと、簡単に説明がつきます。

 

結論

 アインシュタインは、「Simple is beuty」と言っています。ところが相対性理論の重力波は、simpleとはとてもいえません。しかし、ニュートンの万有引力で考えると、とてもsimpleになります。

 相対論者でない私は、もちろん、「Simple is beuty」がこの世界の真実を表しているとは考えていませんが。相対性理論のアインシュタインが言っているのだから、相対性理論を考えるときは、相対論者はそれも考えなくてはならないでしょう。でもそうはしないでしょう。相対性理論は都合のいいことだけ持ちだして説明するのが得意だから。都合の悪い時は知らんぷりですから。