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ブラックホールと時空の方程式(小林新平・森北出版株式会社)について 1

 

 

著者 田 敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)
 

{時空の新しい見かた:光速の不変性とローレンツ変換}

 ここでは{観測者の運動状態によって,流れる時間の間隔は異なる}という特殊相対性理論で言われていることの説明がされています。

 

設定

1 この本では、10m/Sで動いている車を4m/Sで走る自転車から見るという設定です。

 10秒間なら、車は100m、自転車は40m進むので、{自転車から見て車は100−40=60mだけ進んだことになります。}{自転車から見た車の速度は60m÷10s=6m/sになってしまいます。これは私たちがよく知っている速度の合成則です。ではどこが違っていたら10m/sのままに見えることがおきえるのでしょう}

 {自転車に乗った人が計ったところ,かかった時間が10秒ではなく6秒だったならば60m÷6s=10m/sという結論になるのです。}

{地上に静止した状態で観測している人から見ると,車や自転車の移動した時間は10秒だったが,動いている自転車に乗って観測するとその時間は6秒だったとすれば,自転車に乗った人から見て車の速度は10m/sのままということになります。つまり観測者の運動状態によって,流れる時間の間隔は異なることこそが、特殊相対論的な速度の合成則の本質にあるのです。}

 

問題

 {自転車に乗った人が計ったところ,かかった時間が10秒ではなく6秒だったならば60m÷6s=10m/sという結論になるのです。}

考察

ア 計算式の問題

自転車に乗った人が計ったら、車のかかった時間が6秒だったならば、車の進んだ距離は10×6=60m、自転車の進んだ距離は4×6=24mになります。これは、速度×時間=距離という算数の簡単な式です。かかった時間が10秒なら、車は10×10=100m進み、自転車は4×10=40m進む計算式と同じ考え方です。

 したがって、両者の距離の差は60m−24m=36mになります。速度の差は36m÷6s=6m/sになります。10m/sにはなりません。なぜそうなったかというと、10m/sになった計算では、自転車から計ると6秒しか経っていないのに、その間に車は10秒間走った距離(100m)を走ったことにしたからからです。自転車から計ると、時間は6秒しか経っていないのに、車はなぜ100m(=10m×10s)走ることができたのでしょう。その説明がありません。相対論に都合のいいところだけ動かしています。

イ 速度と時間の問題

 自転車から見るということで測っています。では、自動車から見るとどうなるのでしょう。自動車は自転車よりもっと速いのですから、相対論では時間はもっとゆっくりになるはずです。自動車から見ると自動車の時間は、4秒しか経っていないかもしれません。すると、自動車は40m(=10m×4s)しか動いていないことになります。自転車は16m(=4m×4s)です。

 静止している人から見ると、自動車は10秒時間が経ち100m進んでいます。自転車から見ると、自動車は6秒時間が経ち60m進んでいます。自動車から見ると自動車は4秒時間が経ち40m進んでいることになります。このずれはどうすればいいのでしょう。自動車は1台しかありません異なる3つの時間に異なる場所に現れなくてはならなくなります。忍術で云う分身の術です。

 1時に自動車と自転車が走り出したとします。私が見ると、私も、自動車も自転車も、1時10秒にいます。自転車から見ると、自動車も、自転車も、私も、1時6秒にいます。自動車から見ると、自動車も、自転車も、私も、1時4秒にいます。

 私が1時間たった時のそれぞれの位置を考えてみます。

 

 

私から見たとき

自転車から見たとき

自動車から見たとき

私からの自動車の位置と時刻

36000m

2:00

21600m

1:36

14400m

1:24

私わたしからの自転車の位置と時刻

14400m

2:00

8640m

1:36

5760m

1:24

私の位置

と時刻

0m

2:00

0m

1:36

0m

1:24

 

 私の時間が1時間経ったとき、車に乗っていた人から見るのと、自転車に乗っている人から見るのとでは進んだ距離も時間も大きく違っています。私の時間が1時間経ったとき、車や自転車は実際にはどこにいるのでしょう。

 現実には、車や、列車や飛行機に乗る人はたくさんいます。中には、宇宙ステーションに半年も乗っている人もいます。それぞれの人がそれぞれの時間の速度で暮らしています。1年後見る人によってそれぞれの人の時刻と存在場所はみんな異なっていることになります。さまざまな場所に分身の術で何十人にも分かれて暮らしていることになります。タイムマシーンと、分身の術の合わさったようなことが起こってしまいます。それが相対論です。

結論

{観測者の運動状態によって,流れる時間の間隔は異なる}ということを言うために、都合のいいことだけ変化させています。時間が変化するということを正しいとした計算式を作って、そのうえ計算式に入れる値を都合のいいように操作したら、思いどおりの答えが出ます。しかし、それでは事実は説明できません。実際、同じ人を私が見たときと、自転車から見たときの時間が異なっているということはありません。同一人はいつも同じ時刻と同じ場所にいます。現実は相対論のようにはいかないのです。

 観測者の見方によって時間の速度が変わるなどということは現実には起こっていません。あるのなら、速度によって、流れる時間の間隔が変化したために、異時刻にいることになった人や物を示す必要があります。宇宙ステーションに半年いたために、時間の間隔が遅れて、地球に帰還したとき、地上の人より、4分過去の時刻にいる、という人はいません。どんなに速度が変わっても、地球に戻って来た時は、同時刻にいます。時間間隔は変化していないということの実証です。時間間隔が変化したために、異時刻に行ってしまったという現象がなに一つ観測されていないのと比べると、雲泥の差があります。かたや実証があり、かたや実証がないということです。

 これは、この世界は絶対時間絶対空間であるというニュートンの考えを支持している現象です。もちろん、相対時間相対空間と言っているアインシュタインの考えを否定している現象でもあります。