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宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)9

 

著 田 敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

ダークエネルギーについて


問題

{たぶん、加速する膨張の一番単純な理解の仕方は、この宇宙がダークエネルギーで満たされていると仮定することだろう。「ダーク」という言葉がここでふさわしいのは、ダークマターのときと同じく、それが見えないからで、現段階では、それが何なのかについて科学者は闇(ダーク)の中にいる。}

 {天文学的には、現時点でこの宇宙の質量=エネルギーのうち約74%がダークエネルギーの形をとっていると信じられている}

(注:この本では、ダークエネルギーは現在72%という記述もある。どうせダークなのだから、2%の差なんてなんちゃない値なのだろう。しかし、この2%の差はすごいことだ。全宇宙の物質は5%しかない。ということは、全宇宙の物質の40%に相当する何かが計算していたら適当に消えたということだ。全宇宙の40%の銀河が忽然と消えたらどうする。太陽の40%が消えたらどうする。それが何でもないことだというのがビッグバン理論だということだ。そんなことができるのは、ビッグバン理論が、実際の宇宙ではなく、パソコンの中の数字いじりだからだ。

ちなみにその時の原子は4,6%、ダークマターは23%である。すると、この宇宙のダークな部分が95%、原子が4.6%になる。残りの0.4%は書いていない。宇宙の普通の物質の2%が消えたのだ。どこに消えたのだろう。簡単である。これもパソコンの中に消えたのだ。ビッグバンはパソコンの中に生まれパソコンの中にある宇宙にしか過ぎないことをよくあらわしている)

 参考

「Newton別冊、宇宙無からの創生」では、ダークエネルギー69%、ダークマター26%、普通の物質5%となっている。

この場合、この本の理論のダークエネルギーとの違いは5%(74%−69%=5%)になる。実に、この宇宙のすべての銀河と銀河間ガス(原子4.6%)より大きい量が差になっている。巨大な太陽が、数千億個集まって銀河系を作り、その銀河が数兆個もあるという。それがすべて誤差の中なのだ。観測でわかっている宇宙のことのすべてが誤差の中なのだ。そして、何一つ分かっていない「謎」が宇宙のすべてだというのが、ビッグバン論だといえる。

宇宙論者は、何を計算しているのだろう。なぜ宇宙全体が誤差になるかというと、机上の計算だからである。机の上だと何だって可能である。コンピューターのシュミレーションだって、都合のいい式と数値を入れて自分たちの考えた理想の宇宙をパソコンの中に作りあげているだけだ。昔はこういうのを机上の空論と言ったものだ。だから、地球1000億個がポンと闇から飛び出てきても何の問題もないのだ。そんなの朝飯前ということだ。実証?昔のことだから調べようがないから、「謎」でいいんだ、というわけだ。ビッグバン宇宙論に「謎」という言葉はあふれていても、不可能という言葉はない。

考察

ダークエネルギーの作用

 ダークエネルギーが宇宙を膨張させているという。ダークエネルギーが宇宙を膨張させるシステムは解明されているのだろうか。元がダークなのだから、もちろん作用についてもダークなのだろう。

 宇宙の74%も占め、宇宙を膨張させ、巨大な銀河や銀河団を加速しているエネルギーが、われわれの太陽系を膨張させることができないのである。不思議なエネルギーである。さすがダークの名前をもらっただけある。強き(銀河団)をくじき(動かし)、弱き(地球)を助ける(太陽系が膨張したら、地球は暗闇の宇宙にほうりだされる)闇の戦士だ。もちろん、銀河系も膨張させない。そんなことをしたら、太陽系の運命もあやしくなるからだ。ありがたいありがたい。

 でも考えてみよう。地球は太陽の引力でつなぎとめられている。ダークエネルギーは、宇宙のすべての銀河を1点からここまで膨張させてきたというすごい力の持ち主だ。

たとえば太陽と地球はできたての粒子の時は1点にあったというのがビッグバン理論だ(注)。それをここまで引き離したのがダークエネルギーということだ。いま、地球は太陽の引力の影響だけを受けて公転している。巨大なダークエネルギーの影響は何一つ受けていない。かつて地球と太陽を引き離した巨大なダークエネルギーはどこに消えたのだろう。

(注:太陽系は星間ガスが収縮して、太陽や惑星系を作ったということだ。だから、もともと太陽と地球は離れていたと考えるかもしれない。たぶんそれが正しい。しかし、ビッグバン理論では、そのガスは、もっと時間をさかのぼり、宇宙が生まれた時には1点にあったという。そこから膨張して、星間ガスになり、その後なぜかまた収縮して太陽や地球になったということだ)

太陽系ができて46億年たっているという。その間、ダークエネルギーは何一つ太陽系を膨張させたり、動きに影響を与えたりしていない。ダークエネルギーは46億年間太陽系には存在しないのとまるで同じだ。その46億年間(宇宙の歴史の3分の1)にも、宇宙全体はダークエネルギーで2度目のインフレーションを起こしすごい速度で膨張しているというのに太陽系が1ミリも膨張していないというのがビッグバン理論だ。実に見事にえこひいきをする不思議なエネルギーだ。

これは銀河系にも当てはまる。銀河系ができて100億年という。(60億年という人もいる)その間ダークエネルギーは銀河系を1ミリも膨張させていない。ビッグバン宇宙の歴史の72.5%も占める年月を銀河系に何一つ影響していないというのだ。その間宇宙はどれだけ巨大に膨張したことか。

その理由は、膨張の力より、重力の方が強いから膨張できなかったという説明である。しかし、宇宙誕生から40万年間、宇宙の晴れ上がり以前は、宇宙のすべては光も真っすぐ飛べないくらい粒子ぎっしり詰まっていたということだ。もちろんその時にはビッグバン論でも物質は重力を持っていたといっている。それでも宇宙は膨張している。今太陽系の中も、銀河系のなかも光は直進している。それくらいスカスカだ。宇宙のすべての物質がぎゅうぎゅうに詰まっていたときに比べ、重力は比べ物にならないくらい弱いはずだ。だから晴れ上がり以前の宇宙の中の物質をダークエネルギーが膨張させることができたのなら、今の太陽系や、銀河系を膨張させることくらい朝飯前のはずだ。太陽一つの重力なんて、全宇宙の重力に比べれば無きに等しい重力なのに、それを引き離せないなんて。不可解。

昔は膨張力が強かったということかもしれない。しかし、太陽ができたころにはすでに第2のインフレーションが始まっていたのだから、昔に負けず劣らずダークエネルギーは強いはずだ。

また、銀河系は宇宙の晴れ上がりの時他の粒子と共にその中でぎゅうぎゅうに詰まっていたはずだ。それが空間膨張によっていったんバラバラに広がっていったはずだ、それが集まって銀河系ができたということになる。ぎゅうぎゅう詰めからバラバラにしたのに、それ以降は一切影響を与えないばかりか、かえって収縮しているというのも変な話だ。

ぎゅうぎゅう詰めの時は、重力が強く、宇宙はまだ小さいからハッブルの法則では膨張速度は小さい。膨張して、銀河系になったときは、重力は小さくハッブルの法則による膨張速度は大きいはずだ。それなのに、ぎゅうぎゅう詰めの時は膨張したが、重力が弱く、速度が速くなったときには何一つ影響しないというのは、法則に反している。

したがって重力が強いから膨張できないというのは理由にならないといえる。

銀河系とアンドロメダ銀河の関係も同じことが言える。二つの銀河は今近づいているという。しかし、ビッグバン当初は二つの銀河の物質は粒子の形で1点にあったというのがビッグバンだ。それが、宇宙誕生後約40億年ほどで、最低でも260万光年の距離にまでダークエネルギーで離れたということになる。その後、粒子は二つの銀河になり、100億年の間近づいているという。近くて重力が強い時は離れて、遠く離れたときには重力で近づいている。少なくとも、今現在、二つの銀河間には、ダークエネルギーは何一つ影響を与えていないといえる。この二つの銀河を1点から離したダークエネルギーは今どこにあるのだろう。

距離が近いと、ハッブルの法則では動かないということだが、最初の宇宙は非常に小さかったということだから、距離はそんなに離れていないはずなのに、しっかり膨張しているのだから、アンドロメダ銀河と銀河系との距離が短すぎて重力が強すぎるから膨張できないということはないはずだ。

空間膨張の速度より、銀河の固有運動の方が大きいと云っている人もいる。確かにもっともらしい。しかし、銀河の固有運動は重力で起こる。上に書いたことに尽きる。

ダークエネルギーの現れる場所

 見方を変えると次のことが言える。ダークエネルギーは、近くて観測がしっかりできるところには一切現れず、遠くて、暗くて観測があやふやなところ(ダークなところ)には顕著に表れる。なんだか丑三つ時に現れるお化けそっくりだ。人の目を避けているところなどほほえましい限りだ。

結論

ダークエネルギーは、近くてしっかり観測できる月の公転には何一つ影響を与えられないが、遠くて観測があやふやな銀河団は高速で動かすことができるという不思議な性質を持っているエネルギーだ。

すべてがダークであるエネルギーは、仮説としても条件がそろっていなさすぎる。せめて、エネルギーの正体は何なのか、とか、そのエネルギーがどのように空間に作用して、どのように空間を変化させて、空間を膨張させているかとか、巨大な質量を持つ銀河団をどのように動かしているのかとかの理論くらいは示す必要があるのではないだろうか。

すべてダークであるというのでは仮説にもならない。ビッグバンに必要であるから、というのが根拠であるなら、それは科学ではない。まるっきりSFの世界だ。宇宙の95%がダークなものでなくては成立しない理論は、理論そのものが間違っているということを示唆している。

まあ、闇(ダーク)に似合うのは、幽霊とお化けくらいである。幽霊とお化けの違いは分かりますか。幽霊は死んだ人がまたこの世にあらわれたもので、お化けは、人以外の物や生きものが化けて出てきたものだということだそうです。ところで、幽霊とダークエネルギーとの共通点は分かりますか。すべてが「謎」で、想像の産物というところです。

ではダークマターと、ダークエネルギーの違いは分かりますか。違いは、マターとエネルギーです。同じ所は分かりますか。同じ所は、両方とも、何一つ、理論も、実証もない、ないないづくしで何にも分かっていないところです。今のところ、学者の頭の中にしか存在ない想像の産物だということが同じです。

 

問題

{たぶん、加速する膨張の一番単純な理解の仕方は、この宇宙がダークエネルギーで満たされていると仮定することだろう。}

考察

・ 単純な理解

もっと単純な理解の仕方があります。宇宙は膨張していない、と仮定することです。すると、この宇宙の95%ものものが謎であるなどというあきれたことがなくなります。宇宙は今観測されている銀河やガスなどの通常の物質だけでできているとすればいいのです。今分かっている素粒子だけでできているとすればいいのです。ほとんどの「謎」は無くなります。もちろん宇宙はいつ生まれたのか、とか、宇宙の果ては、とか無限の問題は残ります。ただ、ビッグバンのように、95%が謎で、現在証明されている物理理論に反することばかりで宇宙ができているというようなことはなくなります。

・ ダークエネルギーで満たされている宇宙

宇宙はダークエネルギーで満たされているということですが、宇宙のどこが膨張しているのでしょう。実際に観測されているのでしょうか。理論があればそれが実際にあるかどうかを観測しなければなりません。ビッグバン論者のいっている膨張している宇宙は、銀河が離れているのを実際に測定できない遠い宇宙の中だけです。

銀河が距離に比例して赤方偏移しているのが宇宙の膨張の実証である、というのは間違いです。ビッグバン論者さえ、銀河の赤方偏移は後退速度ではないと云っています。したがって、銀河の赤方偏移は、銀河の後退の実証ではないということです。

ビッグバン論者は、銀河の赤方偏移は空間膨張のためだと述べています。だから、空間が膨張していると述べています。

これには問題が二つあります。一つは、空間が膨張すれば銀河などの物質も膨張しているということが言えるかどうかです。

地球は膨張していない。太陽系は膨張していない。銀河系は膨張していない。銀河系と、アンドロメダ銀河は接近している。この付近の局部銀河団は膨張していない。

 観測の正確にできる範囲の宇宙は膨張していないのが観測されています。空間が膨張しても物質は膨張しないというのが、観測が正確にできる宇宙の現象です。したがって、空間膨張が、物質宇宙を膨張させるということはいえません。空間膨張が、物質宇宙を膨張させるというためには、実際に空間膨張が物質宇宙を膨張させている例を観測して示さなければなりません。それはありません。あるのは、その反対の、物質宇宙は膨張していないという観測だけです。

宇宙膨張は距離に比例して銀河が赤方偏移しているという観測から、銀河が後退しているとビッグバン論者が考えただけです。ところが、赤方偏移は後退速度ではない、空間の膨張である、とビッグバン論者も訂正しています。銀河が後退していなくても赤方偏移している銀河があるということです。それが普通なのです。

銀河団は重力で結びついているので、膨張しないという考えが出てきたからでしょう。銀河系やアンドロメダ銀河が作る、局部銀河群は膨張していないということになったのです。観測からそれは実証されています。また、銀河系が所属している、おとめ座銀河団も膨張していないということになったからでしょう。

したがって、銀河の赤方偏移は銀河が離れていっているということを表していないということになっています。

ではそれ以外に銀河が離れていっているという観測はあるのでしょうか。銀河団同士は離れていっていると述べています。でも、銀河団同士が衝突している幻想が観測されています。銀河団同士も、離れていっていない例があるということです。今のところ宇宙膨張の証拠は銀河の赤方偏移と宇宙マイクロ波背景放射だけです。直接銀河が離れていくという宇宙膨張は観測されていません。それでも、ビッグバン論者は宇宙の物資はすべて膨張しているという考えを訂正する気はないようです。

 

もうひとつの問題は、空間が膨張しているということが観測されているかということです。

ありません。赤方偏移がその証拠ということです。銀河の赤方偏移が空間膨張の証拠になるかというと、なりません。ビッグバン論者の手前みそな解釈にしかすぎません。空間膨張があるというには、やはり、実際に空間が膨張していることを直接観測しなければなりません。

もし、空間は観測できないというならその理由がいります。この宇宙の巨大な銀河や銀河団のすべてを動かしたのだから、何らかの強い構造があるはずです。巨大なエネルギーがあるはずです。それを観測しなければなりません。ダークで済ませているうちは、証明もダークのままで、意味はありません。

空間の膨張とは空間の何がどのようになることなのか。もちろん「謎」です。空間がなにかが分かっていないのだから、考えようもないのでしょう。ダークエネルギーは、空間の何にどのように作用して空間を膨張させているのか。「謎」です。空間が銀河を動かすのは、空間の何がどのように銀河に作用して動かしているのか。「謎」です。肝心なことはすべて「謎」なのが、宇宙膨張です。

 空間を膨張させたいからダークエネルギーなるものを考案したのはいいけれど、それが何かいっさい「謎」では、話にならないのではないでしょうか。

 先に書いたように、ビッグバンの証拠は、銀河の赤方偏移だけしかありません。銀河の赤方偏移の原因が、空間膨張だという証拠はありません。空間膨張が光りを引き延ばすシステムは適当すぎます。実証もありません。これに対して、光は物質に衝突すると赤方偏移するという現象は普通に毎日身の回りで起きているありふれた現象です。試してみたい方は、夜、電気のスイッチを切ってみてください。瞬時に暗くなることでしょう。これは、光が壁などの物質に当たって赤方偏移して、赤外線になり、電波になりして、目に見えなくなるからです。

 銀河の光も、宇宙のガスに衝突すると赤方偏移します。

 構造も、なにかも、分かっていない、なんにもない空間が光りを赤方偏移させると考えるよりよっぽど実際に即しています。

 {加速する膨張の一番単純な理解の仕方は、}宇宙膨張は存在しない、という理解の仕方です。すると、地球や太陽系や、このあたりの観測が正確にできる宇宙は膨張していないという観測結果とも矛盾なく一致します。「謎」が「謎」を生んでいるビッグバン宇宙はSFにはもってこいでも、観測がしっかりできるこのあたりの現実の宇宙には何一つ合わない考え方だといえます。

 このあたりの観測が正確にできる宇宙は、ビッグバン宇宙膨張を完全否定しているといえます。勿論、観測が不正確な遠い宇宙でも宇宙膨張を肯定するような事実は観測されていません。

 このことから、ダークエネルギーを肯定する事実は存在しないということが言えます。また、理論も、すべて「謎」しかないのだから、理論にもダークエネルギーを肯定するものは何一つないということです。これは、ダークエネルギーは存在しないということをはっきり示唆しています。