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宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)8
著 田 敞
(以下{ }内は上記本からの引用)
重力レンズ
重力は光りを曲げるとアインシュタインが言いました。星や銀河や銀河団の重力によって起こる様々な現象がその証拠として挙げられています。
{十分に大きな質量があれば、ある状況下では、その質量は重力レンズとしてふるまうことがあるらしい}
{遠くの星からの光が近くの星の縁をかすめると、その二つの星を結ぶ線上にいる観測者から見ると環状になることを示した―今ではアインシュタイン・リングと呼ばれる。しかし、そのような配置になる確率はごくわずかだとも言い、さらに、リングの半径は観測できないくらい小さいことも示した。}
問題
ア アインシュタインの考え
{十分に大きな質量があれば、ある状況下では、その質量は重力レンズとしてふるまうことがあるらしい}
イ 普通の物理学の考え
十分に質量があれば(火星や金星くらい以上で十分)、その周りにはガスが存在する。ガスは光学レンズとしてふるまう。
この二つの現象は区別されているのだろうか。
考察
1 エディントンの観測は重力によって起こったといえるか。
重力レンズの最初の観測とされているのが、エディントンの観測だ。
この観測は、太陽の重力によって、太陽に隠れて本来は見えないはずの星の光りが曲げられて太陽の縁から見えたということだ。
これが重力レンズの最初の観測だということになっている。
では次のことはどうだろう。
エディントンの観測した星は太陽コロナの中に写っている。コロナは太陽大気だ。したがって、この星の光はコロナによって屈折しているはずだ。屈折は重力による曲がり(そんなのがあればだが)より大きく曲がる(注)ので十分太陽から離れて見える。これは、日没のときの太陽が水平線下に沈んでいるにもかかわらず見えるのと同じ現象である。地球大気によって、太陽の光が屈折して浮き上がって見えるからだ。毎日、計算上の日没より実際の日没が遅くなっている。
(注:アインシュタインは、重力による光の曲がる現象は{さらに、リングの半径は観測できないくらい小さいことも示した。}と曲がりが小さすぎて星の光と区別できないだろうと述べている)
大気による星の光の屈折現象は、このほかにも星のまたたき現象として毎日観測されている。反対に、重力による光りの曲がりは、このほかでは、アインシュタインリングとか、アインシュタインクロスとかである。しかし、これらが重力レンズであるということは証明されていない。
このことから、エディントンの観測は重力が原因とは決められないといえる。
2 アインシュタインリングやアインシュタインクロスは重力によってできたのか?
次にアインシュタインリングとアインシュタインクロスを考える。
銀河系は大きなハローに覆われている。銀河もやはり大きなハローに覆われている。ハローはガスでできている。したがって、この中を通る光は光学的屈折を起こす。銀河の起こす、アインシュタインリングや、アインシュタインクロスは、ガスによる屈折現象といえる。銀河団も、大きなガスに包まれているのが観測されている。したがって、この中を通る光は光学的屈折を起こす。銀河団が起こす、アインシュタインリングや、アインシュタインクロスもガスによる屈折現象だといえる。
結論
もし、重力で光りが曲がるとしても、星や銀河や銀河団にはガスがあるのだから、必ずガスによって光は曲がっているから、光学的な屈折現象は否定できない。重力による曲がりがなくても光りは十分曲がる。それも重力によるのより大きく曲がる。そして、ガスによる光の屈折は理論も実証もある。一方、重力による光の屈折には実証がない(エディントンの観測や、アインシュタインクロスやアインシュタインリングはガスによるともいえるので実証にはならない)
このことから、現在観測されている、銀河や銀河団によるアインシュタインリングや、アインシュタインクロスなどの重力レンズだといわれている現象は、銀河や、銀河団のガスによる屈折現象であり重力によるとはいえないといえる。