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宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)7


著者 田 敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

ダークマターについて

 {宇宙マイクロ波背景放射の研究は、今日の宇宙にある全質量=エネルギーの二三パーセントはダークマターの形で存在することを教えてくれる}

解説

ビッグバン論者は、宇宙にはダークマターなるものがあると云っています。人によって少し違いがありますが、およそ、この宇宙にある銀河など通常の物質の5倍から6倍の量だということです。そして不思議なことにそれが決して見えない新種の量子でできているということです。まだ人間が見たことがない触れたこともないので、ダークとついているということです。まあ、「謎」だけでできている不思議な何かだそうです。

問題1 フリッツ・ツヴィッキーの研究

かみのけ座銀河団の観測で、彼は見ることができた質量の500倍近くの質量がある見えない何か(ダークマター)が有ることを観測した。

考察

彼の観測は1933年である。彼が見たのは、見える銀河の数と、銀河団の全体の明るさである。

この当時の観測技術では、通常の物質にも見えないものが多くあった。最近になって、銀河団はガスにすっぽり埋もれていることが観測されています。フリッツ・ツヴィッキーにはこのガスは見えなかったのです。

銀河団の見える銀河の占める空間より、それがない空間の方がはるかに大きいのです。ガスは星に比べてはるかに希薄ですが、その占める空間の大きさから考えると、ガスの質量が膨大なことが分かります。銀河の見える物質(星)よりはるかに多量にあるのが分かります。この本でもその例を書いてあります。このガスがフリッツ・ツヴィッキーにとってのかみのけ座銀河団の見えない質量ダークマターです。謎の物質のダークマターがあったとしても、少なくともこのガスも彼には見えなかったのですからダークな質量であったのは確かです。そしてこのガスは現在はダークではなく観測されたあきらかな水素を中心とした通常の物質です。

2 ルービンの観測

渦巻銀河のガスで観測したら、やはり質量が足りなかった。{このような「平坦」な回転曲線は、銀河が円盤状でなく球形だった場合にはまさしくそうなると予想されるものだ。}

{このことから、渦巻き銀河の明るい円盤を囲んで、大量の物質があるような兆候は見られないので、この物質は光りを出さない―つまり「見えない(ダーク)」―とせざるをえない。}

考察

この渦巻銀河の見えない(ダーク)とされているものは何なのか。

最近は観測技術が発達して、様々なものが見えてきています。たとえば「ネイチャー2019,9号}では、銀河系の周りに大きなハローがあることが観測されていることが載っています。このハローは半径50万光年の球になっているということです。

銀河系の渦巻き部分は半径5万光年の、平べったい形です。渦巻円盤部分だけを見ていたら、確かに質量は足りないだろうけれど、ハローを見ると、十分に質量は足りるのではないでしょうか。ハローの中の物質(水素を中心とした、分子や原子だろう)は希薄であるけれど、体積が巨大であるから。総質量は巨大なものになるはずです。しかも球状です。

他の渦巻き銀河も同じように、巨大なハローを持っていると類推できます。どの銀河も巨大な球体なのです。{このような「平坦」な回転曲線は、銀河が円盤状でなく球形だった場合にはまさしくそうなると予想されるものだ。}という予想にぴったり一致します。

それに対してビッグバン論者が言う、謎のダークマターは観測技術が発展しているにもかかわらずいまだに何一つ、影さえも見せていません。あるのは理屈の発展ばかりです。

ルービンの観測した渦巻銀河のダークマターは、銀河をすっぽりと覆っているガスであるといえます。

3 初期宇宙に必要なダークマター

{初期の宇宙で大規模構造がどのようにできたかを表すコンピュータ・モデルは、ダークマターを成分に加えるときれいな結果を出す。}

{この宇宙にあるダークマターの量はとほうも無く、「通常の」物質よりもダークマターの方が5倍も多い。}

 これがビッグバン論者が言うダークマタ―の証拠の一つであるということです。

 この考え方は間違っています。ビッグバンに必要だから、ダークマターは存在する、というのは証拠にはなりません。証拠は実証される必要があります。ビッグバンに必要だからというのは、ビッグバン論者の願望にしかすぎません。今証明されている物理学では何一つ証明できない現象でできているのがビッグバンだから、それに新たに一つ謎を付け加えることくらいなんでもないのでしょうけれど、それでは,謎が謎を生むという、探偵小説と同じになってしいます。

4 ダークマターの正体

(1)候補1

この宇宙の通常の物質

考察

この本で取り上げている、ビッグバン論者がいっている通常の物質について。

名前はMACHO。

{ブラックホール、中性子星、矮星などが考えられる。}{しかしこの40年にわたり、天文学者は使える相当量の武器すべてを使ってMACHOを調べた結果、今やそれがダークマターの主体となるほどはないことが明らかになった。}

 このように、ビッグバン論者はダークマターは通常の物質でないと述べている。しかし、否定したのは{ブラックホール、中性子星、矮星など}である。この中には宇宙にある星間ガス、銀河間ガスが入っていない。ツヴィッキーや、ルービンの時代には見えなかった、銀河や銀河団を埋め尽くし、さらに大きく広がっているガスが抜けている。銀河のハローを構成してるガスの質量は銀河を構成している星の質量よりはるかに大きい。上に書いたようにハローのガスを考慮すると、渦巻銀河も楕円銀河のように球体になるのだから、銀河の動きは銀河を埋め尽くしているガスであるということになりそうである。なぜそれを無視しているのだろう。また、銀河団においても、銀河団のガスの質量は、銀河団を構成している星の質量よりはるかに大きい。

もし、通常の物質ではビッグバン論には困るからガスを無視しているとしたら、非常に問題だ。観測から自分の主張に必要なことだけ取り上げて、観測からあると分かっているのに無視しているのは、自分たちの主張に不都合だから隠していると取られても仕方がない。科学は不都合なことを真っ先に取り上げなくてはならない。それが科学の方法だ。

このことから、ダークマターは通常の物質ではないというこの本の主張は、科学的とはいえないと言える。

 

(2) 候補2

通常の物質ではない何か。

考察

いろいろな粒子が考えられているがすべて「謎」である。観測も、理論も無い未知の何かということである。

通常の物質の5倍もあるダークマターが、なぜ一切検出されないのか。なぜ一切が不明なのだろうか。答えは簡単である。そんなものはこの宇宙にはないからである。一切観測されないという事実がそれを証明している。

それなのにビッグバン論者はなぜ自分たちの理論(ビッグバン論では、ダークマターがなければ、宇宙の銀河や、銀河団や大構造ができない)に必要だからというだけで、あると信じているのだろうか。科学者なら観測できないという事実を直視しなくてはならない。観測事実と合わない理論は、理論を見直さなければならない。理論を見直すのではなく観測事実を見直そうとしている今の宇宙論では、「謎」は増えていくばかりだ。今のビッグバン宇宙論が「謎」が「謎」を生んでいるのはそのためだ。

 

5 ビッグバン論者のダークマターを考える

(1) ダークマターの性質

ビッグバン論では、ダークマターは、重力だけあって他の性質はまるでないということだ。だから、見えない、反応しない、謎の物質であるということになっている。

これはいろいろな観測機器で観測しても検出できないことからきている。

しかし、そうだろうか。いろいろやっても観測できないことは、それがないということの証明でもある。言えるのは、ダークマターはビッグバン論者が必要としている性質(重力)はあるが、不必要な性質は一切ないという、ビッグバン論者にとっては理想的な物質であるということだ。自分たちに必要な性質だけの物質を考え出すのは、タイムマシーンの登場する、SFと同じやり方だ。

(2)ダークマターの重力

 ダークマターは重力を持っている。すると、ダークマターは引き合って、ダークマターの星になれそうである。あるいは、普通の物質と引き合って、普通の物質と混ざった星ができそうである。

 しかし、実際にはそのような星は存在しない。普通の物質の5倍もあるのだから、太陽系にダークマターでできた5個の太陽があっても不思議ではない。あるいは宇宙に普通の銀河の5倍のダークマターでできた銀河があっても不思議ではない。

 また、太陽の5分の4がダークマターであるとなっても不思議ではない。

 ところがダークマターの星も銀河も一つもない。5倍もあるのに一つもない。不思議なことだ。答えは簡単だ。そんなものはこの宇宙に存在しなからだ。

ア ダークマターの星のでき方を考える

@ 通常の物質でできた星のでき方

 離れて存在する普通の物質は位置エネルギーを持っている。引力で引き合うと、加速しながら接近する。位置エネルギーが運動エネルギーに変化して加速するからだ。このエネルギーはすべて引力から生まれている。やがて衝突すると、跳ね返り、離れていく。このとき引力に引っ張られているから、減速しながら離れていく。運動エネルギーは位置エネルギーに変化し、もとの位置に戻ったとき運動エネルギーはすべて位置エネルギーになるので止まる。

 これではいつまでたっても、物質は離れていることになって星はできない。なぜ星ができるかというと、衝突したとき、運動エネルギーの一部が、熱エネルギーに変化するからだ。すると、物質の持っていた位置エネルギーから変化した運動エネルギーが減るので、もとのところまで戻れない。これを繰り返すことで物質はくっつく。地面に落としたボールが跳ね返りながら地面にくっつくのと同じことだ。このときボールが持っていた位置エネルギーは熱となって地面を温めている。

 このときの熱になったエネルギーは電磁波となって空間に飛び出す。

 物質は位置エネルギーを運動エネルギー→熱エネルギー→電磁波に変えて放出することで位置エネルギーを失い、くっついて星になる。

これが普通の物質から星ができる原理だ。

A ダークマターの星のでき方

 ダークマターも重力を持っているので位置エネルギーを持っている。離れて存在するダークマターは互いに加速しながら近づいていく。そして衝突する。しかし、ダークマターは互いに反応しないようなので、あっさりすれ違っていくことだろう。すると重力で減速しながら離れていく。そして、元あった距離と同じ距離で止まる。位置エネルギーが運動エネルギーに変わり、また位置エネルギーに変わったので、エネルギーは変化していないので、もとの距離と同じだけ離れる。

 そしてまた重力で引き合い、接近しすれ違い、もとと同じ距離だけ離れて止まる。この繰り返しになる。

 これだと、ダークマターは永久にすれ違って元の距離を縮められないので星になれないことになる。

 もし、ダークマターどうしが反応するとすると、衝突したダークマターは跳ね返る。跳ね返ったダークマターは元の位置に戻る。衝突したときダークマターが熱を持ったとしても、電磁波を出さないから、その熱エネルギーを放出することができない。熱は互いを遠ざけ合うから、結局ダークマターは最初に持っていた位置エネルギー分だけ離れているしかない。

ここが通常の物質との大きな違いである。したがってダークマターの星が生まれることはないということになる。

ダークマターと通常の物質ではどうだろう。互いに引き寄せあっても、反応しないからそのまま通り抜けていくことになる。するとやはり、減速しながら離れていき、元の距離と同じになったところで止まる。位置エネルギーを放出するシステムがないので、互いに行ったり来たりするだけで距離が縮まることがないことはいえる。

これでは通常の物質もダークマターによって集まることはできない。

もしダークマターの重力で通常の物質が集まるなら、その反動で、ダークマターも集まるしかない。もしダークマターの重力で通常の物質が集まり、星ができたなら、ダークマターも集まり、ダークマターの星や通常の星とダークマターが混ざった星もできなくてはならない。その時は、通常の星よりダークマターの星の方が多くなる。混ざったとしたら、ダークマターと通常の物質の比は5:1になるだろう。しかしそのような星は観測されていないから、ダークマターが通常の物質を集めて星を作るということもないと言える。

B ダークマターの観測とチェレンコフ光

ダークマターの観測に、チェレンコフ光を見つけるという考えがある。ダークマターと通常の物質がごくたまに反応するという考え方からだ。チェレンコフ光を出すということあ、エネルギーを光にするということになる。すると、運動エネルギーが、光になって発散されるということだ。すると、ダークマターも、集まることができるということになる。長い年月と、膨大な量を考えると、ダークマターの星ができている可能性がある。しかし、そんなものはないし、ダークマターが、通常の物質と反応するというのはいまのところ観測もされていない。さまざまな宇宙線が大気に突入してチェレンコフ光を出しているのに、その何倍もある、ダークマターが今までチェレンコフ光を出したという現象が観測されていないのは、それがないということを表している。非常にまれにしか反応しないという見解だが、それは科学的根拠がないので今のところいいわけである。

 

ウ 弾丸銀河団のダークマターの例

弾丸銀河団には、恒星と、{きわめて高温の銀河間ガスの巨大な雲も含んでいる。こうした雲はとてつもなく大きい。全質量は銀河にある恒星の質量合計を軽く上回る。銀河団には厖大な量のダークマターもある。}(この、高温の銀河間ガスはフリッツ・ツヴィッキーやルービンが見ることができなかったダークな物質の一つである。ビッグバン論者は無視していたが)

{ダークマターが存在すると、弾丸銀河の質量分布は次のようになる。中央の領域の左右にはダークマターと銀河があり、質量の大半がそこにあるが、熱いガス雲がある中央の領域は質量が比較的少なくなる。}

この例から考えるとダークマターは銀河と共に移動して、ダークマターの雲を作っている。ダークマターが集まっているのである。上に書いたように、ダークマターが位置エネルギーから変わった運動エネルギーを他に変化させることができないなら、ダークマター間の距離はいつも同じになるはずである。けっして収縮して集まることはできないはずである。少しでも収縮したということは、位置エネルギーを放出するシステムを持っているということになる。するといつかは必ず接触して塊になり、ダークマターの星ができることになる。

この弾丸銀河のダークマターは集まっているということなのだから、ダークマターが収縮しているということを表している。それならなぜもっと収縮して星にならないかを解き明かさねばならない。ダークマターの雲(ダークマターが収縮している)ができるのに、ダークマターの星ができない理由がいる。(銀河間ガスの場合、ガス雲の中で星ができると、星になったガスが持っていた位置エネルギーが電磁波などで放出される、その電磁波で残ったガスが吹き飛ばされる。残ったガスはさらなる位置エネルギーをもらうことになるので、ガスの多くの部分が星になることができなくなるので、ガスがいつまでも残ることになる)

{銀河団には厖大な量のダークマターもある。}について。

 このダークマターといわれているものは、中性水素を中心とした、低温の銀河間ガスではないだろうか。高温のガスがあるなら、低温のガスがあっても不思議ではない。銀河系内部にも、ハローにも低温のガスが観測されていることから、銀河内や銀河間に低温ガスがあるのは普通のことであると推測される。銀河団の衝突でガスも衝突して高温になる場合もあるだろうが、銀河がすり抜けるのであるから、希薄なガスもすりぬけるものが出てくるだろう。銀河間ガスは銀河のハローよりもはるかに希薄なのだから。その多くがすりぬけているであろう。それが銀河団と共にあるダークマターであろう。

銀河団には大量の低温ガスがあるはずなのに、この観測では低温のガスは写っていないし、言及もされていない。写っているのは重力レンズによるというダークマターの固まりということだ。といっても本当に写っているのではない。謎のダークマターは光りと反応しないのだから写ることはない。コンピューターによる推測されるシュミレーションだ。

これが、低温のガスではないだろうか。中性水素の出す光は観測が難しいといわれている。地球の大気の光にまぎれて識別できないという。だから高温のガスが写っても、低温のガスは写らなかったのではないだろうか。

これまでも銀河間の中性水素ガスは非常に希薄であるからなかなか写すことができなかった。やっとこ近年になってその存在が見つかり出したばかりだ。高温のガスが大量にあるなら、低温のガスも大量にあってしかるべきだ。それなのに低温ガスについて何も言っていないのはどうしてだろう。やはり、不都合なことは無視ということなのだろうか。

では、重力レンズは?ということになる。

ダークマターによる重力レンズといっているものは、この低温ガスによる光の屈折現象ではないだろうか。気体があれば光りは必ず屈折するのは地球上の現象で証明されている。宇宙にガスの固まりがあればそこを通りぬける光りは必ず屈折する。これは重力レンズではなく、ガスレンズであると言える。

(重力レンズは証明されていない。エディントンの観測、アインシュタインリング、アインシュタインクロス。すべてガスによる屈折であるともいえるから、科学の方法論では実証には使えないことになる。重力レンズにはこれ以外の実証はないが、気体による屈折は、陽炎、逃げ水、蜃気楼、幻日、星のまたたきなど、様々な現象で実証されている。それまでに証明されている現象で、他の理論の証明はできないという科学の方法論がある。ここでは、エディントンの観測、アインシュタインリング、アインシュタインクロスは、気体による屈折現象で説明できるから、重力によって光りが曲がる、という新しい理論の証明には使えないことになる)

 

エ エイベル1689銀河団

 エイベル1689銀河団は、重力レンズ効果で、後ろの銀河をゆがませているということだ。{このレンズ効果を説明するためにはダークマターに訴えざるをえなかった。銀河団内のダークマターが集中しているところは、予想されるように、銀河団の中心部分にあった。}とある。

 ダークマターは、銀河団の中心部分に集中しているということは、ダークマターは何らかのシステムで位置エネルギーを放出したということになる。そうしないと、密集できないからだ。

 密集できたということは、さらに密集して星になることができるということになる。密集はできても星にはなれないという、システムはあるのだろうか。もちろん不明であろう。

これを水素を中心とした銀河団ガスとすれば問題はなにも無くなる。中性水素ガスは引力で収縮する。引力の強い銀河団の中心に集まるのは必然である。銀河間ガスとすれば矛盾はない。宇宙にあるガスからは星ができる。また星が爆発したり、光で、ガスを吹き飛ばしたりと、ガスと星は、流動的に変化している。謎のダークマターが、ビッグバンのために通常の物質を集めるほか何もしないのとは大きな違いがある。

 ではエイベル1689銀河団が後ろの銀河の像をゆがませた原因はなんだろう。簡単である。銀河団のガスによる屈折現象である。これなら現在証明されている物理理論ですべて説明できる。謎しかないダークマターに頼る必要はない。

 比べてみよう。

ダークマター

 重力でダークマターが集まる原理がない。重力で光りが曲がる現象は地球上では観測されていない。物質(星、銀河)があると空間が曲がり、空間が曲がると光りが曲がる、というのが重力レンズの仕組みだが、星や銀河が、空間の何にどのように作用して空間を曲げるのかは不明である。理論もないし、実証も無い。また空間が曲がると、光が曲がるというが、何もない空間が光りのどこにどのように作用して曲げるのか解明されていない。あるのは願望的憶測と、手前みそな解釈(光は真っすぐ進む。空間の曲がりは直線だ。だからその曲がりに沿って進むことが真っすぐ進むことになる。などという。では、地球はその曲がりの真っすぐに沿って真っすぐ進んでいるから公転しているのだろうか。そうではなく、地球の公転は、真っすぐではなく曲がりの底に落ちているという説明だ)だけだ。

ガス

宇宙空間にガスがあるのは観測されている。ガスが、銀河や銀河団に大量に存在するのは観測されている(ここでも、高温ガスが銀河の星よりはるかに多いと書いてある)ガスが引力で収縮するのも観測されている。ガスが光を曲げることは地球上の大気(ガス)で観測されている。また、理論もある。

 

以上のことから、ダークマターによる重力レンズは、不明なことだらけだが、銀河団にあるガスによる屈折現象なら、すべて証明済みの物理理論と現象だけで完全に説明できる。どちらが、事実かは明白である。

 もし重力レンズがあるとしても、必ず、銀河団のガスによっても光は曲がっているはずだ。

 重力レンズがなくても光は曲がるのだから、重力レンズは必要ない。

 このエイベル1869銀河団のダークマターは、通常の物質(銀河間ガス)でできていると言える。

 

オ ダークマターと通常の物質

 ビッグバン理論では、ダークマターは通常の物質を引き寄せることで、恒星や銀河などを作ったということだ。ダークマターは通常の物質を引き寄せるということだから、質量(動きにくさ)を持っているということだ。重いものと軽いものが引き合うと軽いものがより多く動く。ダークマターと通常の物質の質量の違いはどれくらいなのだろう。ニュートリノのように、あまりに軽いと普通の物質はそれに引きずられないから、それなりの重さを持っているということなのだろう。この本でも{質量も比較的大きくなければならない}と述べている。すると、それは通常の物質と作用してもおかしくないのではないだろうか。ほとんど質量のないニュートリノでさえ、ときどきは反応するのだから。見つからない理由を{ニュートリノの方は、それが見つかる発生源が手近に―太陽の内部や原子核反応炉の中―知られているので、どこを見ればいいか物理学者は知っている点だ。ニュートリノがどんな性質のものかあらかじめ分かっている。ダークマター粒子には同じことはいえない。}とある。

ニュートリノは、太陽や原子炉の中だけではなく、宇宙から来るニュートリノも検出されている。ダークマターの性質が分からなくても、この宇宙の通常の物質の5倍もの量があるのだから、どこを見てもあるはずだ。この巨大な宇宙の構造を作ったというのだからあれば反応してもいいはずだ。それに比べれば微々たる量しかないニュートリノでさえ検出されているのだから。

そもそも、ダークマターはビッグバン論に必要だから生まれてきたものだ。だから、ビッグバンに必要な性質しか備えていない。ようするにダークマターはビッグバン論者のビッグバンの不都合を埋めるために、あれば助かるなあ、ということから考えだした架空の物質だ。ビッグバン論者の頭の中に浮かんでいる雲にしかすぎないのだからいくら頑張っても現実世界の中では観測されないのだ。

 いろいろいいわけはあるだろうけど、重力と通常の物質を引き寄せるだけ(この、巨大な宇宙のすべての構造を作った原動力だという)の質量があるというのに、あらゆる観測からいまだに逃れているということは、そういうものがないということの実証であると言える。

結論

 この弾丸銀河団にある高温のガスの雲は銀河にある恒星の質量を軽く上回っている、ということだ。銀河団はガスにすっぽり覆われているという観測もある。ガスは高温のガスばかりではない。中性水素からなる低温のガスも豊富にある(銀河系の円盤部やハローに大量に観測されている)。これらを合わせたら、恒星の5倍くらいになるのではないだろうか。

 ダークマターは銀河間ガスだとすると、何の不思議もないし、観測もされている。

 それで困るのはビッグバン論者だけだ。そもそも、10のマイナス数十乗秒で真空(真の空っぽ)から全宇宙が飛び出てきたなどという奇想天外な考えが間違っているのである。出てくるわけがないでしょう。SF作家でも思いつかなかったことです。「光あれ」の、神がこの世を作ったという宗教では昔から常識みたいですが。日本でも、神様がかき回したときのしずくから日本が生まれたとか言っているけれど。まあ、どこもよく似たものですか。スケールはかなり違うようですが。まあ、ビッグバン論者のが一番でっかいようです。人間の想像が神様を生んだように、人間の想像がビッグバンを生んだということなのでしょう。共通するのは、奇跡以外に実証がないというところですか。