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宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)6

 

著 田 敞

(以下{ }内は上記本からの引用)

 

宇宙マイクロ波背景放射

 

考察

これがビッグバン名残の光だということです。しかし、それはビッグバン論者の主張にしかすぎません。ビッグバンの名残の光であるという科学的な証拠は提出していません。ガモフ(有名なビッグバン論者)の予想通りだったから正しいと主張しているだけです。予想は科学的な証拠ではありません。予想なら、他の分野の人がもっと早くから他の理由で宇宙背景放射が存在することを予想しています。

1 宇宙マイクロ波背景放射は宇宙の塵の出す光

 ビッグバン論の前から、宇宙には塵があり、その塵の温度は2,7Kであるという研究が複数の分野の人から出されていました。予想通りだったから正しいとするなら、こちらも正しくなります。異なる予想ですから、どちらかが正しいか、どちらも間違っているか、両方とも正しいかということになります。

2 宇宙マイクロ波背景放射は何が光源か

上のことから、宇宙マイクロ波背景放射は、ビッグバン名残の光りか、宇宙の塵の出す光かという問題が生じます。ビッグバン論者のいうように単純にビッグバン名残の光というわけにはいかなくなります。検討が必要になってきます。

 

(1) 予想から

・ ガモフの予想

 ガモフは、ビッグバン名残の光は70Kだといっていました。実際に観測されたのが2,7Kだったから、ビッグバン論者は、とたんに、「そうだ2,7Kだ」、と言い変えています。

・ 塵の温度を研究した人の予想

 塵の予想を立てた人は、宇宙の温度を計算して、塵の温度は2.7Kだといっていました。最初から正しかったのは、塵の予想をした人たちです。

結論

どちらかというと、予想が正しかったのは塵説の方ですが、これだけではどちらが正しいという結論は出ません。

(2) 科学的根拠

ア 塵説

 宇宙空間に塵があるのは観測されています。塵が温度を持っていたら必ず電磁波を放射します。

宇宙には星からの光り(電磁波)が飛び交っています。その光が当たるので塵は必ず温度を持ちます。星の光で暖まるのですから非常に低温です。でも光りを受けている以上必ず暖まります。塵は光りを出すことで温度を下げ、光を受けることで暖まります。互いに光りでエネルギーを与え、もらいあいながら平均温度になっていきます。それが宇宙に漂う塵の2.7Kの温度だということです。

また、物質が温度に応じた黒体放射をするのは実証されています。

したがって、宇宙には、宇宙にある塵が出す2,7Kのマイクロ波が飛んでいるのは確実です。地球から見ると、全天にまんべんなく塵が存在します。したがってその塵から出る光(2.7Kの電磁波)が全天から地球に降り注いでいるのは確実です。ビッグバン名残の光があったとしても、この塵の出す光は必ず存在します。

イ ビッグバン名残の光説

 ビッグバン論では、138億年前に宇宙が晴れ上がってその時直進し出した光が今地球に降り注いでいるのが宇宙マイクロ波背景放射だといっています。そのことについて考えてみます。

@ 地球と晴れ上がりのとき直進し始めた光との距離

 ビッグバン論では、138億年前の晴れ上がりのとき宇宙はできたてでした。その時、やがて地球の形になる物質も他の物質と共にできたての粒子だったはずです。そして、他の物質と共に光を出していたはずです。やがて地球になる粒子の周りにもビッグバンの光は満ちていたはずです。

ビッグバン論では、宇宙の晴れ上がりで光は光速で直進し始めたと云っています。したがって、やがて地球になる粒子の出す光も周りの粒子が出す光も光速で真っすぐ飛び去り始めました。8分光年先に有った光は8分後、一部はやがて地球になる粒子に降り注いで消え、他は飛び去りました。1光年先にあった光は、1年後、やがて地球になる粒子に一部が降り注いで消え、他のすべては飛び去りました。10光年先にあった光は、10年後、やがて地球になる粒子に一部が降り注いで消え、他は飛び去りました。1億光年先にあった光は、1億年後、やがて地球になる物質に降り注いで消え、他は飛び去りました。92億光年先にあった光は一部は92億年後、できたての地球に降り注ぎ消え、他は飛び去りました。136億光年先にあった光は、136億年後恐竜が跋扈する地球に降り注いで消え、他は飛び去りました。

このことから、現在地球に降り注いでいるマイクロ波宇宙背景放射は宇宙の晴れ上がりのとき138億光年先にあった光が138億光年の距離を飛んできて138億年後の今現在の地球に降り注いでいるということになります。

このことについて考えてみます。

 ビッグバン論によると、宇宙マイクロ波背景放射が粒子から出たのは、宇宙がまだ40万年くらいしか経っていないときのことです。宇宙が光速で広がっても、宇宙の直径は80万光年です(この本では、物質は特殊相対論の言うように、光速以上の速度は出せないと述べてます)。地球はその中にあったのですから、その時の光は一番遠いところでも80万光年の距離(互いに宇宙の端と端にあったとして)です。だから、晴れ上がりの時、地球から一番遠かった光も80万年たったら地球に降り注いで消えたはずです。宇宙空間が膨張しているから、光は地球に対して遅くなるという考えもあるかもしれません。しかし、ハッブルの法則(この時点ではインフレーションは40万年前に終わっているので、宇宙はハッブルの法則で膨張しているはず)では、80万光年の距離では宇宙空間の膨張はほとんどないに等しい速度です。銀河系とアンドロメダ銀河は260万光年離れているけれど、ハッブルんの法則による空間膨張の影響は無きに等しいことからも考えられます。またアンドロメダ銀河の光は、空間膨張に影響されずに260万光年の距離を260万年かけて届いていることになっています。だから、宇宙の晴れ上がりの光は空間膨張に影響されずに普通の光速で飛んで80万光年の距離を80万年かけて飛んで地球の前駆物質の粒子に降り注いでいたはずです。

したがって、80万年たったら、宇宙の晴れ上がりの光はすべて地球に衝突して消えるか、通り過ぎていくか、どこか別の方向に飛んでいるかのどれかになっているはずです。したがって、宇宙の晴れ上がりのときの光で138億年後地球にやってくる光は存在しないはずです。

(ビッグバンの最初の頃の宇宙の膨張の法則は、何によっているのでしょう。ハッブルの法則だと、小さな宇宙では、膨張速度は無きに等しくなります。260万光年先のアンドロメダ銀河が近づいてきていることからもこれが分かります)

A 背景放射を見るということ

ビッグバン論では宇宙マイクロ波背景放射は宇宙全体からやってきていると述べています。その光は138億光年先から地球にやって来ているということです。すると、地球を中心とした、半径138億光年の球の表面に晴れ上がりの光の光源が見えているということです。太陽の光を見ると、太陽が8分光年先の宇宙に見えるのと同じです。アンドロメダ銀河の光りを見ると、260万光年先にアンドロメダ銀河が見えるというのと同じです。

すると、138億年前に晴れ上がりを起こしたときの宇宙は、すでに、半径138億光年の球状に、広がっていたということになります。晴れ上がりは、宇宙誕生から40万年ほどだと言っています。すると、この宇宙は40万年で、1点から、半径138億光年の中空の球に膨張していたということです。

 ものすごい膨張速度です。しかしこれはハッブルの法則には当てはまりません。ハッブルの法則では、宇宙は138億年前は1点にあったということになっています。そこから距離に比例した速度で宇宙は膨張してきたといっています。それが銀河の赤方偏移から割り出したハッブルの法則による宇宙膨張の速度です。誕生40万年で、半径138億光年の中身空っぽ(その時は宇宙にまだ銀河も星もなかった)の宇宙になったら、ハッブルの法則は無意味になります。そのときは他の法則を根拠と共に提出しなくてはならないはずです。その時は、ハッブルの法則を否定することになるし、銀河の赤方偏移が宇宙膨張と無関係であったということにもなります。

もうひとつの問題もでてきます。地球は宇宙の中心ではないというのが今は定説です。すると、地球を中心として、半径138億光年の宇宙は宇宙の一部であるということになります。宇宙は晴れ上がりの時、半径138億光年の中空の球を一部とするとてつもなく大きな宇宙になっていたということになります。ハッブルの法則はいよいよ無意味になります。

B 晴れ上がりのときの物質の行方

 ビッグバン論では、宇宙が晴れ上がる前、宇宙には粒子と光が満ちていたということです。ビッグバン論によると、その光が今地球に降り注いでいるということです。

 では、その時の粒子はどこに行ったのでしょう。簡単です、ビッグバン論では、それらが、太陽や、地球や、今見えている銀河系の星や、全宇宙に2兆個もあるという銀河になったのです。

問題はここからです。

先に書いたように、光を見るということはそこに光源を見ているということです。

太陽の光を見るということは8光分先に8分過去の太陽を見ていることです。アンドロメダ銀河の光りを見るということは260万光年先に260万年過去のアンドロメダ銀河を見ているということです。

したがって、晴れ上がりの光りを見るということは、138億光年先に138億年過去の宇宙の粒子を見ているということです。

問題はその先です。

晴れ上がりの光りを出した粒子の中には、やがて富士山になる物質も粒子の形で混ざっていたということです。やがて地球になることになる粒子も混ざっていたということです。太陽や、アンドロメダ銀河になった粒子もその中にあったということです。そのほかのすべての銀河もその構成粒子であったことです。

すると、晴れ上がりの光りを見るということは、138億光年先に粒子の形をしていた大昔の富士山を見ているということになります。138億光年先に粒子の形をしていた大昔の地球を見ているということになります。大昔の太陽を見ているということになります。大昔のアンドロメダ銀河を見ているということになります。宇宙のすべての銀河が138億光年先にも粒子の形であったとしても見えているということになります。

今現在地球上に見える富士山と138億光年先の富士山とが同時に二つ見えているということです。地球が、ここと、138億光年先とに二つ見えているということになります。太陽が、8分光年先と、138億光年先とに二つ見えていることになります。アンドロメダ銀河が、260万光年先と138億光年先と二つ見えているということになります。すべての銀河が二つ見えていることになります。

同じものが二つ同時に見えるということはありません。去年の地球は、宇宙のどこを探しても見えません。1000年前地球があった場所を計算して、1000光年先の宇宙に望遠鏡を向けても地球は見えません。そこにはもう地球はないからです。地球は1000年かけて今ここに移動してきたからです。同じように138億年前の地球はどこを探しても見えません。地球は138億年(ビッグバン論が正しいとしたら)かけてここにやってきているからです。電波望遠鏡で持ってしてもないものは見えないのです。

では100億年前の銀河が見えているのはどういうことかという問題が生じます。それは、太陽と地球の関係と同じです。今現在の太陽は見えている太陽と違うところに存在します。それは見えません。見えるのは8分過去の太陽です。現在の太陽も、2分過去の太陽も、10分過去の太陽も、10年過去の太陽も10000年過去の太陽も地球からは見えません。なぜかというと地球と太陽が8光分離れているからです。

同じように100億年前の銀河と地球が100億光年離れているから、100億年過去の銀河が見えるのです。

同じように、138億年前のビッグバンが138億光年先に見えてもいいではないかということが言えます。確かにそうです、しかしそれは、地球とビッグバンが138億光年離れている場合にのみ可能です。しかし、ビッグバンの時、地球はビッグバンの中にありました。上に書いたように、間の距離は0から、最大で80万光年です。だから、ビッグバンの光は0秒から80万年で届いてしまうから、それから138億年たった地球からは見えないのです。(もちろん、ビッグバンが正しいとしたらの話です)

なぜ、138億年前の地球や、太陽や、アンドロメダ銀河や、無数の銀河が見えることになったのかと言えば、宇宙マイクロ背景放射を宇宙の晴れ上がりの光りと考えたことからです。その考えが間違っていたのです。宇宙マイクロ波背景放射は宇宙晴れ上がりの光ではなく、宇宙の塵の出す、光なのです。

 

 

結論

宇宙マイクロ波背景放射がビッグバンの宇宙の晴れ上がりの光とすると、宇宙の物質のすべてが2組見えるという変なことが起こります。それに対して、宇宙マイクロ波背景放射は宇宙の塵の出す光だとすると、何の矛盾も起きません。理論も現在証明されている物理理論で過不足なく説明できます。

宇宙の塵は観測されています。物質が、その温度に応じた光りを出すのも実証されています。それに対して、ビッグバンの晴れ上がりは実証されていません。そんなに小さな空間に全宇宙の物質と、ダークマターが詰まっているのだから、ブラックホールになってしまうはずなのに、光も物質も悠々と飛び交い、まるっきり理論も実証もないダークエネルギーやインフレーションなどの謎のエネルギーに頼っている空間膨張までしています。現在証明されている物理学に反する現象です。

このことから、宇宙マイクロ波背景放射はビッグバン名残の光ではなく宇宙の塵の出す光であるといえます。