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「宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎」(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)4

 


著者 田 敞


(以下{ }内は上記本よりの引用)

問題
{インフレーションが終わったとき、この指数関数的膨張を起こした謎の場が崩壊して、「ふつう」の亜原子粒子になった。}

考察

1 {インフレーションが終わったとき}

 インフレーションはどのようにして終わったのだろう。どのような力が働いて、どのようなシステムで終わったのだろう。超光速で膨張していた宇宙がどのようなことで普通の速度になったのだろう。しかも、{およそ10−36秒後に始まり、やはりビッグバンからおよそ10−33秒}の間にインフレーションが始まり終わっているのだから、減速した時間は10−123ほどの短い時間だろう(もちろんあてずっぽう。インフレーション論者も減速にかかった時間は科学的に出せないでしょう。セシウム原子が10−27回しか振動できない間にインフレーションは始まって終わっているのですから。加速と等速と減速の時間なんて計りようがないでしょう)。この短時間にどうやって、巨大な宇宙を超光速から普通の速度に減速したのしょう。誰も言っていないけど、膨張が指数関数的なら、減速も指数関数的でなければ追いつかないでしょう。指数関数的減速はどのようなシステムでおこっているのでしょう。そうでなくても、減速のシステムは分かっているのでしょうか。当然「謎」でしょう。

地球の公転を止めるにはどれくらいの力がいるだろう。人間には不可能なことだ。インフレーションのとき、地球もその中にあって、光速をはるかに超える速度で指数関数的膨ます。言葉だけで科学的根拠は0である。得意の「謎」です。

 このときの減速のためのエネルギーはどこから生まれたのしょう。減速で生じたエネルギーはどこに行ったのしょう。そのシステムはどのようになっているのしょう。すべて「謎」です。重力というかもしれません。重力がこのような短時間で全宇宙の物質と、空間を超光速から通常の速度に減速できるものなのしょうか。もしできるなら、始まりのとき、物質は1078分の1に詰まっていたのだから重力は1078の2乗倍に強かったはずだから、重力で膨張を抑えつけていたはずです。いや全宇宙が重力で潰れてしまって、ブラックホールになったでしょう。

ここでも、すべては言葉だけで根拠はありません。あるのは矛盾と「謎」だけです。

 

2{ある意味で光速よりもはるかに速く膨らんだのだ。この現象は一般相対性理論で許容されている。それに対して、特殊相対性理論によって課せられる「局所的」速度制限―光速が上限―に従わなければならないのは、空間の中にある物質だ。}

考察

ここでは宇宙の膨張は空間の膨張と、物質の膨張に分けていると考えられる。非常にあいまいな表現で、難しく書いているのでわざと分からなくしているようにも見えるのですが。たぶん空間は、光速を超えて膨張してもいいけれど、物質は光速を超えることはできない、ということなのでしょう。もちろん{ある意味で}の宇宙のことなのでしょう。もし、「あちらの意味で」なら、空間は超光速で縮んで、「こちらの意味で」なら宇宙はバラバラに分裂したりするのでしょう。まあ、この本の著者は{ある意味で}を採用しているのだから、この宇宙は{ある意味で}存在しているのでしょう。「こちらの意味で」ではなく。

 そう考えてみます。すると、宇宙の空間部分は、{光速よりもはるかに速く膨らんだ}けれど、物質は速度制限を受け、光速以下で膨張したということになります。宇宙は超光速で広がったために巨大になった空間と、その中の光速以下で膨張した物質の小さな広がりができます。そういうことなのでしょう。

ところで、ハッブルの法則は空間と物質との膨張速度を分けているのでしょうか。そんなことはなかったようですが。空間が膨張するから、それに伴って物質も膨張するということでした。物質だけで膨張しているのではなく空間の膨張によって、物質が動かされているということでした。すると超光速で膨張する空間によって動かされている物資はやはり超光速になるということでしょうか。といっても、空間が物質を動かすシステムは不明です。いわゆる「謎」です。

私たちの周りの空間は実際には何にもないものです。私たちが動く時、空気の抵抗は受けます。ヨットは風に押されて走ります。しかし、私たちが走っても空間の抵抗はありません。人工衛星も、希薄な空気の抵抗は受けても、空間の抵抗は受けていません。もちろん押されてもいません。地球も同じです。抵抗を受けたり押されたりしていません。物質に何もしないのが私たちの周りにある空間です。空間はなにもありません。無です。それが物質を動かしているというのはいかがなものでしょう。幽霊に突き飛ばされるようなものです。何もない空間がどのように物質を動かしているのかその仕組みを解き明かさなくてはなりません。もちろん科学的証拠と共にです。ビッグバン論者には分かっているのでしょうか。

ハッブルの法則は、138億年遡ると、宇宙は空間も物質も1点に縮まるということです。インフレーションはハッブルの法則とは無関係だからそうなのでしょうか。宇宙は始まったとたんに、インフレーションで巨大になっていたのだから、銀河の赤方偏移だけで計ったハッブルの法則の膨張とは完全に違っているはずです。ハッブル定数で計った138億年前は、インフレーションが終わった後の巨大な宇宙のはずですから。その前は、インフレーションをさかのぼると宇宙は一瞬より速く1点に凝縮するはずですから。

 ややこしいですね。

 これらの現象の科学的説明はもちろんありません。「謎」です。

 空間とは何なのでしょう。空間が膨張するとは空間の何がどのようになることなのでしょう。これも科学的に証明された説明はありません。空間が直接観測されたことはありません。空間は今のところ何もないということが観測されているだけです。何もないものが膨張したり収縮したりできるのでしょうか。その膨張のシステムを説明しなければなりません。実証と共に。ビッグバン論には空間膨張という言葉だけで一切の科学的説明はありません。みんな「謎」です。

 まあ、インフレーションという現象を説明する科学的根拠は一つもありません。今正しいと考えられている物理の法則にすべて反する現象であるということだけはいえそうです。これはSFと同じお話です。

 

結論

{インフレーションは、宇宙論の標準モデルの一つとなった。しかし、宇宙論者はインフレーションという、この宇宙が生まれた後のあるかないかの時間の間に起きたはかない出来事について、これ以上どうやって知るのだろう、インフレーションが起きたことをどうやって証明できるのだろう。}

そのとおりです。証明は不可能でしょう。見てきたように、インフレーションの科学的仕組みや、エネルギーの問題や、あまりにも短時間に加速減速していることなど、すべてが現在証明されている物理理論に反する現象です。この本でも認めているように、今のところ証明する理論も、実証も何一つありません。

そもそも、この宇宙全体が光速をはるかに超える速度に加速され、膨張し、一瞬より短い間に減速されたという現象を{はかない}と表現しているのです。おそらくその理由は、インフレーションのときの宇宙が一瞬より短いことから言っているのでしょう。それはインフレーションが頭の中にあることだからです。どんなに短い時間の出来事であっても宇宙は地球より巨大なのです。インフレーションで超光速でぶっ飛んでいる宇宙の中には、庭石も富士山も日本列島も地球も含まれているはずです。これらをぶっ飛ばすどこが{はかない}のでしょう。これこそインフレーション論の真髄です。すべて頭の中の出来事であるから{はかない}のです。すべて事実ではないということです。だから、事実に照らし合わせるとインフレーションのすべてが「謎」になるしかないのです