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「宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎」(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)2

 

著 田 敞

 

1 インフレーション宇宙のでき方

(1) 

{137億5000万年±1億1000万年前、ある量子の揺らぎがこの宇宙を生んだ。}

(2)

{駆け出しの宇宙はごく短い間、指数関数的な膨張、つまりその体積を少なくとも1078倍に増やした一瞬の猛烈なインフレーションを経た。}

(3)

{インフレーションが終わったとき、この指数関数的膨張を起こした謎の場が崩壊して、「ふつう」の亜原子粒子になった。}

 

2 問題

1 インフレーションについて

(1)

{インフレーション説の基本的な考え方は単純で、この宇宙の初期に、急激な膨張があったとする。}

(2)

{インフレーションはビッグバンからおよそ10−36秒後に始まり、やはりビッグバンからおよそ10−33秒後に終わった。}

3 考察

(1) このことからわかること

ア ビッグバンからおよそ10−36秒までにはすでにこの宇宙はできていたということ。

イ 非常に短い時間で宇宙の物質や空間ができたということ。

(2) このことは可能であろうか。

ア 

{ある量子の揺らぎがこの宇宙を生んだ}ということだから、この量子が宇宙のすべてを生んだということです。

考察

この量子が、宇宙のすべての物質と、ダークマターと、空間、(ダークエネルギーは後から空間が膨張するとともに大きくなったと述べています)を生んだということなのだから、この量子は巨大なエネルギー(全宇宙のエネルギー)を持っていたということです。

地球の、巨大な岩を吹き飛ばし、灼熱の溶岩を流す火山一つを取ってみても、巨大なエネルギーがあるのが分かります。それさえ宇宙に比べれば無きに等しいエネルギーです。たった、数キロメートルほどの隕石でさえ地球に衝突したら、ほとんどの生物を殺すという破壊力を持っていたと云います。それさえ、宇宙に比べれば無に等しいほど、宇宙には天文学的物質とエネルギーがあります。(ダークマター、ダークエネルギーを抜いたとしても)それを{ある量子}が一瞬より短い時間で作ったということです。

問 {ある量子}とは何だろうか。どのようなものでできているのでしょうか。

・ 「ある量子」(量子だからかなり小さいものだと考えられる。おそらく直径は10−36mほどだろう。これ適当な数。10−36秒と同じくらいに)の中に、どのようにして、宇宙全体の物質、エネルギーを収納していたのでしょう。ビッグバン論者はそれを解明し、説明しなければなりません。もちろん「謎」です。

・ その量子はどこから全宇宙を生むエネルギーを手に入れたのでしょうか。エネルギー不変則との関係は説明できるのでしょうか。量子の中にかってに湧いてきたのでしょうか。ビッグバン論者はそれを解明し、説明しなければなりません。もちろんこれも「謎」です。

それは{量子の揺らぎ}、といっています。

・ 量子の揺らぎがこの宇宙を生んだということですが(真空の揺らぎという人もいる。真空の揺らぎから粒子と反粒子が出てきて対消滅をするという人もいる)量子の揺らぎがどのようにして宇宙の構成物質を生んだのか、ビッグバン論者はそれを解明し、説明しなければなりません。宇宙全体を生んだのだからものすく巨大な、宇宙全体を揺らすほどの揺らぎだったのでしょう。最初は小さな宇宙だったから小さな揺らぎで十分という考えもあります。しかしそんな小さな宇宙ではこの100億光年を超える宇宙を作ることはできません。月1個だって、庭石1個だって作ることはできません。もちろんこれも「謎」です。

 

 これらのことをビッグバン論者は何一つ説明していません。分かっていないからです。ビッグバンは今分かっている物理理論に反することでしか構成されていないからです。

あるとき顕微鏡でも見えないくらい小さな量子がゆらぎます。それが突然3トンもある大きな庭石をポンと作ります。その間0.1秒もかかりません。こんな現象は今分かっている物理学ではありえない現象です。

 それを、10−38秒で量子から宇宙の全物質が生まれたというのだから、あまりにも奇想天外な話です。もちろん、上に書いたように、今までに証明されている科学的理論も、実証も無い話です。ビッグバン論者は少なくとも{ある量子}の科学的組成と性質と、いかにして全宇宙を生んだのかを説明しなければなりません。もちろん答えは「謎」でしょう

イ 非常に短い時間で宇宙の物質や空間ができたということ。

この10−36秒という時間は人間には測ることができないほど極端に短い時間です。その短い時間で何もないところから、突然宇宙のすべてが出現したというのです。

・ {量子の揺らぎ}ということですが、これほど短い時間なのだから、普通の揺らぎでは、動くことはできないから停止と同じになります。1秒間に1036回揺らぐと10−36秒で1回揺らぎます。まあ、量子の揺らぎの速さも、波高も波長も分からないから何も分からないけれど、とにかくすごい速度であるのは間違いありません。ガンマー線の振動だって、電子の振動だって、それに比べればジェット機となめくじのちがいでしょう。

この世ができる前だから、この世にあらざるものがあってもいいのでしょう。「謎」だけでできている世界(理論に証明はいらないようですから)は何でもありだから素晴らしい世界が出来上がるのは請け合いですから。

 例えば目の前にある庭石を考えてみましょう。3トンはあるでしょうか。その石を、何もないところから、10−36秒以内にポンと作り出すことは可能でしょうか。不可能です。実際にも理論でも。しかし、ビッグバン論者はそれができたというのです。

20世紀最大の天才手品師ならどうでしょう。「はい」という掛け声の「は」の「H」が声帯を震わせ始める瞬間より前にもう庭石は出現していなくてはなりません。いや、脳が庭石を出そうと考え始めた「に」が頭に浮かぶ前にもう出現していなければならないのです。さすがの天才手品師もそんなにすばやくは不可能だと降参するでしょう。

 では富士山ならどうでしょう。何もないところから10−36秒以内にポンと出てくるでしょうか。いや、ポンのポの字も言えないくらい短い時間なのだから、不可能でしょう。それができたというのがビッグバン論です。私にはとてもそんなことは信じられません。あなたは信じますか。信じる人に聞きます。信じた根拠はなんですか。

 では地球ならどうでしょう。地球なら、何もないところから10−36秒以内にポンと出てくるでしょうか。そりゃ無理だとみんな(ビッグバン論者とその信奉者以外)言うでしょう。

では太陽はどうでしょう。やはり出てきそうにありません。では星はどうでしょう。やはりあの星がポンと出てくるとは思えません。ただ無数にある小さな光だから、その中の一番小さな光の一つくらいは宇宙の闇から間違って出てきそうに思う人もいるかもしれません。では宇宙はどうでしょう。宇宙ならポンと出てきそうな気がします。あの広大ななんだか分からない真っ暗な宇宙なら出てきてもよさそうです。

具体的に考えられる目の前にある庭石は出てくるわけがないと考えても、具体的に何一つ考えられない宇宙となると、これはもう言葉だけのものだから出てきてもよさそうに思えてきます。

 それも、とても具体的に考えられない10−36秒で出現するのです。これはもう時間ではなくて、たんなる数字にしかすぎません。宇宙という理解できない言葉と、判断できない数字だけの問題です。判断基準は偉い科学者がみんな言っているのだからそうなのだろう、ということになります。信用してしまいそうです。

 目の前の庭石も、裏山も、富士山も地球も、無からポンと出てきたというのがビッグバン理論です。庭石や、裏山はずっと後になって地球が生まれた後になってからできたというのはビッグバン論では間違いです。宇宙のすべての物質はビッグバンのときできたことになっているのです。形や組成が違うだけです。ビッグバン論者はそのことには触れません。目の前の庭石が、何もないところから、一瞬でできた、といわれると、やはり「この庭石が、何もないところから一瞬でできたって。信じられないなあ」と考える人がいるからです。それを、宇宙は10の−36乗秒までに、{ある量子の揺らぎがこの宇宙を生んだ}となれば、「なるほどそうか」となるのです。これなら見たことも触ったことも無い「無」やら、「量子」やら、「10−36秒」やら、判断できないことしかないものだし、反論しようにも分かっていることがないから反論のしようもないことだから、偉い科学者のいうとおりに思うしかないわけです。

結論

{ある量子の揺らぎがこの宇宙を生んだ}という現象を説明できる科学的な理論はありません。また、実証もありません。架空の話です。この現象は、今分かっている実際にある物質とエネルギーから考えられた物理の理論とは相いれないとてつもなく奇想天外な話(庭石が、何もないところからポンとできる)です。

 以上のことから、ある粒子から、この宇宙が10−36秒でできたというのは、「謎」しかない理論であると言えます。もちろん今までに証明されている物理学に反する現象です。「現象」ではなく、「幻想」という方がぴったりな考え方です。