宇宙物理学者が解きたい12の謎について目次 どうしても解きたい12のなぞ2     



宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎(スティーブン・ウエップ、松浦俊輔訳、青土社)

 

著 田 敞

(以下{ }内は上記本よりに引用)

 

かんたんビッグバン宇宙史と謎

1 

{137億5000万年±1億1000万年前、ある量子の揺らぎがこの宇宙を生んだ。}

 ある量子とは何か? 量子の揺らぎとはどのようなことなのか。振幅は?サイクルは?謎は解けたのでしょうか。

{駆け出しの宇宙はごく短い間、指数関数的な膨張、つまりその体積を少なくとも1078倍に増やした一瞬の猛烈なインフレーションを経た。}

その時間で大丈夫?

そのエネルギーは?指数関数的な膨張のシステムは?

謎は解けたのでしょうか。

{インフレーションが終わったとき、この指数関数的膨張を起こした謎の場が崩壊して、「ふつう」の亜原子粒子になった。}

謎の場が崩壊するシステムは?「ふつう」の亜原子になるシステムは

謎は解けたのでしょうか。

{この宇宙はその後も膨張を続けたが、それははるかに穏やかな速さで、従来から言われているビッグバンの膨張となった。}

減速させたエネルギーは?そのシステムは?ハッブルの法則で大丈夫?

謎は解けたのでしょうか。

{インフレーションが終わるとき、この宇宙はものすごく高エネルギーの高速運動をする素粒子によるスープで満たされていた。}

素粒子のスープとはどんなものなのか。言葉だけで、中身はないのでは?インフレーションがあっても、宇宙はまだ小さかったはず(ハッブルの法則では138億年前は、宇宙は1点にあったということになっている)。そこに、全宇宙の物質が詰め込まれていたら、スープどころではないのでは?その中で素粒子は動けるのかしら?

謎は解けたのでしょうか。

 

{この宇宙の歴史のもっと後になって、たぶんビッグバンから100万分の1秒後あたり―クォークとグルーオンという素粒子が結合して、もっとおなじみの陽子や中性子などの物体になれるほど冷えてくる。}

{100万分の1秒後}に全宇宙のクオークとグルーオンという素粒子が宇宙に詰め込まれていたら、陽子や中性子になれるのだろうか。太陽を20個ほど集めた星でも爆発すると、中性子星ができるという。できて100万分の1秒しか経っていない宇宙は非常に小さかったはず。そこに全宇宙の物質になる素粒子が詰め込まれていたのだからすごい圧力が発生したことでしょう。ブラックホールにならなかったのかしら。

謎は解けたのでしょうか。

 

{この宇宙はまだ熱く密度も高いので、あの付き合いの悪いニュートリノも含めて、他の粒子と衝突せずに長い距離を進むことはできなかった。}

超新星爆発でも、ニュートリノはやすやすと飛び出てくると言います。そのニュートリノが動けないのだからかなり密度が高いということです。中性子星とかブラックホールにならなかったのかしら?

 また、恒星はハッブルの法則では膨張しないことになっている。恒星より密度の高い宇宙はどの法則で膨張したのだろう。この時刻ではインフレーションは終わっている。

 まだ謎の膨張システムがあるようだ。

謎は解けたのでしょうか。

 

{ビッグバンから1秒後になって、さらに冷えてくると、ニュートリノが自由に移動できるようになる。ビッグバンから1秒後に飛び出したニュートリノが、今宇宙をスイスイ飛んでいるとは、何とすごいことか。}

ニュートリノはどこに飛び出したのでしょう。1秒後の宇宙は隅から隅まですべて素粒子で満たされていたはずです。他に宇宙はないのだから、飛び出すところなどないはずです。でも宇宙から飛び出したというのだから飛び出したのでしょう。

飛び出すが、飛び始めるという意味なのでしょうね。

それにしても、光速で飛ぶニュートリノが、いつまでもそこいらにうろついているというのです。なぜ地球を置いて宇宙のかなたにすっとんでいかなかったのでしょう。時間はたっぷり、138億年−1秒もあったのに。それじゃ、宇宙にまんべんなく散らばっている星や星間ガスと同じじゃない。光速(ニュートリノ)で飛んでも、低速(物質)で動いても、同じようにそこいらにあるというなら、速度は関係ないということです。

謎は解けたのでしょうか。

 

{ビッグバンから10秒ほどすると、ほとんどの粒子は反粒子と対になって消滅しており、この宇宙の温度は、もう新たに粒子と反粒子の対ができることはないほどに下がっている。}

 粒子は今の宇宙の全物質の10億倍ほど生まれたということです。対の反粒子とでこの宇宙に今ある物質の20億倍の粒子が消滅したということになります。地球が20億個、太陽系が20億個、銀河系が20億個、全宇宙の銀河の20億倍の銀河。それが、真空から突如生まれて、10秒後には跡形もなく消えているというのです。それも「無」の1点から生まれて、無の1点に消えたのです。小さな宇宙であったはずの宇宙の中にそれだけの粒子が詰まっていたのです。それが{素粒子のスープ}になっていたというのです。その素粒子はどこから生じてどこに消えたの?そのシステムは?

謎は解けたのでしょうか。

 

10

{物質粒子1個について光子が10億個ほどあり、放射が優勢となっている。物質の粒子―電子、陽子、中性子など―は、高エネルギーの光子に衝突しないで長い距離を進むことはできない。

電子、陽子、中性子ができていたという。

宇宙の大きさは、まだ太陽系ほどだったのではないだろうか。そこに、全宇宙の物質が電子、陽子、中性子の形で詰め込まれているという。入るのかしら。ブラックホールにならないのはどうしてだろう。せめて巨大中性子星くらいにはなってもいいのではないのかな。物質どうしがぎゅうぎゅうで動けないんじゃないかしら。もちろん光子も。謎は解けたのでしょうか。

 

11

{ビッグバンから3分後から20分後のあいだに、この宇宙の温度はわずか10億Kにまで下がる。}

{この温度になると、陽子と中性子が結合して原子核を形成できるようになる。陽子のうちおよそ75パーセントは単独で残り、そのまま水素原子核となるが、重水素原子核(陽子1個と中性子1個)、さらにヘリウム原子核(陽子2個と中性子2個)もでき、リチウムのようなもっと重い原子核もごく微量ながらできる。}

 まるで恒星の中の反応です。宇宙全体が巨大な星になっていたということです。

 このときの宇宙の大きさはどれくらいだったのだろう。

 銀河系はハローを含めると、半径50万光年の球形だということです。光速でも中心から端まで、50万年かかる距離です。1点から膨張させるとすると、光速でも50万年かかります。ハッブルの法則では膨張できません。できたとしても、何千億年もかかるでしょう。宇宙誕生後3分から10分で宇宙はどれくらいの大きさになれるのでしょう。少なくとも銀河系より小さかったことは分かります。そこに全宇宙の物質を詰めたら、どうなるでしょう。

謎は解けたのでしょうか。

 

13

{ビッグバンから20分たつと、この宇宙には高エネルギーの光子、電子、軽い原子核がある}

 宇宙が光速で膨張したとして半径20分光年です。(もちろんこの速度はハッブル定数からはるかに逸脱しています。20分光年以下ではハッブル定数では膨張速度はカタツムリよりはるかに遅いです)それでも太陽系よりはるかに小さな宇宙です。そこに宇宙の全物質が電子や軽い原子核の形で詰まっています。押し合いへしあいどころか、電子も、軽い原子核も身動きも取れないでしょう。

謎は解けたのでしょうか。

 

14

{光子は長い距離を進もうとしても、電荷を持った粒子に散乱されてしまう。このような状態がそれから38万年(プラスマイナス数千年)続く。}

 太陽の中と同じですね。やっぱり宇宙全体が物質の固まりで星だったんだ。よくブラックホールにならなかったこと。

謎は解けたのでしょうか。

 

 

15

{しかし、この時期もずっとこの宇宙は膨張を続けていて、そのためにさらに冷え続ける。}

このときの膨張速度はハッブルの法則に従っているのでしょうか。それともインフレーションの膨張の名残なのでしょうか。この本ではインフレーションは終わり、ビッグバンになっているということなのだから、ハッブルの法則に従っているということです。現在、太陽系でも膨張できていません。それより小さな宇宙に宇宙の全物質が詰まっていては、膨張どころかつぶれてしまうでしょう。

謎は解けたのでしょうか。

 

16

{この宇宙ができて三十八万年たつと、その温度はおよそ3000Kまで下がる。突然、原子核が電子を捕まえて、安定した、電気的に中性の水素原子やヘリウム原子になれるくらいの温度だ。光子はもう荷電粒子に吸収されたり錯乱されたりしなくてもよくなる。ビッグバンから1秒後のニュートリノの場合と同じく、今度は光子が宇宙空間を自由に飛べるようになった。}

ブラックホールにならずによくぞここまで膨張してこれました。素晴らしいことです。無から生まれて38万年。よくぞここまで成長できました。

 もちろんハブルの法則ではまだ、膨張速度はカタツムリよりはるかに遅いでしょうから。そもそもハッブルの法則のシステムではそんなに物質が詰まっていてはその重力で膨張はできないことになっています。太陽系はすかすかです。遠く離れた冥王星だって、空間膨張より太陽と引き合う力の方が大きくて、膨張していかないのです。どうして、やっと光が直進できるようになったくらいの、物質がぎゅうぎゅうに詰まった宇宙が膨張できたのでしょう。

謎は解けたのでしょうか。

 

17

{どうすればこうしたことが分かるのだろう。130億年以上前にあったことについてどうして自信を持って語れるのだろう。}

{それはこういうことだ。}

{光子が物質から分離したときの波長は3000Kの黒体温度に相当する長さだった。}

{その後のこの宇宙の膨張により、その波長は伸びて、今や2,75Kの温度に相当する長さになっている。}

空間が光の波長を伸ばす仕組みは?何故波高は伸びない?横幅は伸びない?光子は膨張しない?

謎は解けたのでしょうか。

 

21

{その光子はマイクロ波望遠鏡が検出できる。}

22

{マイクロ波観測衛星が、このビッグバン直後の時期から来たメッセンジャーを極めて詳細に調べている。}

{そのごく初期の痕跡、たぶん他ならぬインフレーションの痕跡が、マイクロ波背景放射に刻印されていた。}

マイクロ波背景放射が、ビッグバン初期の光であるという証拠は。ガモフの予想以外にあるのだろうか?

謎は解けたのでしょうか。

 

U その後の宇宙

{インフレーションの後もこの宇宙は膨張を続けた}

 膨張のエネルギーは?

{ダークエネルギーは最初からずっとあったのだが、ビッグバン直後は空間が小さすぎて、それが演じる役割は無視できる程度だった。}ということから、ダークエネルギーではなさそうだ。では宇宙膨張のエネルギーはなに?

膨張のシステムは

 ハッブルの法則では、インフレーションの後の宇宙は小さすぎて、ハッブル定数ではゾウリムシより速度が遅い。138億年たっても1mも膨張できないだろう。

謎は解けたのでしょうか。

 

{ただ、膨張はずっと減速する一方だった。この宇宙にある、ダークマター、普通の物質両方すべてによる自己重力が、膨張に対するブレーキとして作用した。}

いつからブレーキになったのか?最初全宇宙の物質とダークマターが詰まっていたときに、なぜ、ブラックホールにならなかったのか?

 重力は空間膨張も減速させるのか?そのシステムは?

謎は解けたのでしょうか。

 

{この宇宙が冷えるにつれ・・・できる恒星や銀河は増え、銀河はそのうち群れをなして宇宙の網目模様をなし、その構造をダークマターが決めた。}

 ダークマターはなぜ恒星や銀河にならなかったのか?

謎は解けたのでしょうか。

 

{ビッグバンからおよそ30億年から60億年後(正確な時期はまだ定かではない)、私たちのいる、天の川銀河ができた。}

{ビッグバンからおよそ80億年後、極めて特異なことが起こり始めた。それまで減速していたこの宇宙の膨張が加速に転じたのだ。}

{何らかの現象―宇宙論学者はダークエネルギーと呼ぶ―がこの宇宙をばらばらに引き離しはじめた。}

{このふるまいを引き起こす何らかの特性が宇宙空間そのものにあるらしい。ダークエネルギーは最初からずっとあったのだが、ビッグバン直後は空間が小さすぎて、それが演じる役割は無視できる程度だった、ところがこの宇宙が膨張するうちに、空間が大きくなった。その分ダークエネルギーも増えるということだ。}

 ダークエネルギーの正体は?ダークエネルギーが増えることとエネルギー不変則の関係は?

謎は解けたのでしょうか。

 

{ビッグバンからおよそ80億年たって、この宇宙ではダークエネルギーの方が優勢になり始める。ダークエネルギーは今や、この宇宙にある質量=エネルギーのほぼ4分の3を占める。}

ダークエネルギーノ正体は?

{ダークエネルギーが一体何なのかは誰も知らない。この謎はあらゆる科学の中でも最高クラスの奇妙な謎だ。ダークエネルギーを理解するには、おそらく、重力をもっと深く理解する必要がある。そのため、重力の特性のひとつ―光線の経路を曲げ、それによって重力レンズと呼ばれるものを生む能力―が、ダークエネルギーを調べるために用いられている。}

{この宇宙にある質量=エネルギーのほぼ4分の3}ものエネルギーが「謎」であるという。

ビッグバン理論の4分の3は「謎」によって成り立っているということだ。それでもビッグバン理論が正しいと言い切れるのはどのような証拠によるのだろう。

 

終わりに

 これらの謎についてこの後考えていきます。