ジャスミンの風
「羌」を訪ねて敦煌へ−中国シルクロード紀行−15
翌朝、「天安門」に登ってみる(入場料約240円;手荷物預け料を含めて)。こ
の天安門は紫禁城の外城壁南端に位置する正門で上には二層の楼閣があ
り、1949年10月1日にここから毛沢東が中華人民共和国の成立を宣言した
中国にとって象徴的な場所となっている。そこに立って前を見降ろすと、50万
人収容可能で世界最大とも言われる天安門広場が一望に見渡せる。文化
大革命,1989年の天安門事件 等の舞台となった場所である。広場の背後に
は人民英雄記念碑や毛主席記念堂が、両横には人民大会堂と中国国家博
物館が厳かに建ち並んでいる。 |
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[天安門から広場を臨む]
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[観光客で賑わう大和殿前にて]
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一時間ほど涼んでから、すぐ北側に位置する「故宮博物院」へ向かう。明〜
清代の歴代皇帝と皇后が暮らしていた旧紫禁城(最後の皇帝=ラストエンペラー=
は宣統帝 溥儀)で、元々は160万点あった貴重な文物の内65万点あまりが台
北に運び去られたとされる所である。世界遺産にも登録されている。入場料
は約840円で、手荷物は特に預ける必要はなかった。東西に鐘楼と鼓楼を有
する巨大な午門(ゴモン)をくぐって、高さ35.5mという極彩色の内部を持ち即位
式や婚礼等の国家的儀式や式典が行われた正殿 太和殿 に至る。その北側
に連なる中和殿,保和殿は太和殿に対する控えの間であって、ここまでは公式
行事や儀式が行われた「外朝」と呼ばれる区域となっている。その先の乾隆
門以北は「内廷」と呼ばれる皇室一家のプライベートな生活の場だった所であ
る。乾清宮(ケンセイキュウ;寝宮),養心殿(居住所),坤寧宮(寝宮他)等数十の宮殿
が配置されており、北東側の皇極殿は珍宝館として故宮が保有する種々の珍
しい文物を展示している。が、宝物に関しては台北の方が見ごたえがあったよ
うな気がする。中央部北側には、太湖石を積み上げた庭園「乾隆花園」等が
あり、また紫禁城を囲む城壁の四隅には天守閣様の角楼が配されている。高
さ10mの城壁の外側は幅50mあまりの濠に囲まれている。 |
[故宮内の通り]
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[溥儀と西太后が住んでいた館]
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どこも観光客でいっぱいの広い宮廷内を4時間半ほど散策した後、北
端の神武門から外へ出る。休むこと無くその北側にある景山公園に入
る。比高43mの山頂にある万春亭から南を見降ろすと、皇室の色とされ
る黄褐色の屋根を持つ故宮全体の殿閣群が一望に眺められ、それらが
正確に南北一直線上にあることが納得出来る。そこから今度は西口門
を出て、地安門西大街の北側にある湖「前海」に向かう。周辺は中国の
伝統的な建物 胡同(フートン) が数多く残されている地区で、今でも瀟洒な
売店等の建物の間で昔とあまり変わらない生活を営む人々が多く住ん
でいる。胡同巡りをする三輪リキシャが観光客を乗せて走り回っている。
一時間あまり散策してから、帰る途中で人だかりを見つける。大きな筆に
水をつけて路上に文字を書いているのである。帰り道にあった食堂で夕
食を摂って、21時過ぎにYHに帰着。シャワーを浴びて荷物を整理。ウク
ライナへの入国ヴィザの発給を待っているという中年の男性ポーランド
人(南西部のヴロツワフから来たとのこと)2人と同部屋だった。なお、どこの
YHにも日本式のコンセント孔があって、念のため持って行った中国型式
の電源プラグは使う機会が無かった(電圧は240Vなので変圧器は必
要)。 |
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[景山公園より眺める故宮]
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[胡同(フートン)]
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[胡同通りで出会った母娘]
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[水で路上に文字を書く風景]
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