ジャスミンの風

                                         
                                           
「羌」を訪ねて敦煌へ−中国シルクロード紀行−2





 翌日は蘇州への一日バスツアーに参加(中国人による日本語ガイド
付き)。同行者は、上海に仕事で滞在しているという日本人等4人だっ
た。"〜♭ 上海・蘇州と汽車に乗り ♪♯〜"という歌があったが、中
国語では汽車はバスのこと(ちなみに列車は火車という)。上海の西
100kmほどに位置する蘇州へは高速道路が繋がっており、途中休憩
を挟んで約2時間で到着。蘇州市の北側には無錫市があってともに
太湖に面している。蘇州といえば庭園と運河で知られているが、先ず
は蘇州四大名園のひとつ、明代に造園が始まり清代の庭園様式を今
に伝えて世界遺産にも登録されている「留園(リュウエン)」を訪ねる。奇
妙な形の太湖石が配置されている庭園の間を、種々のデザインの花
窓や透かし彫りのある長い回廊で結ばれた楼閣が連なり、癒される
空間となっている。また「留園法帖」と呼ばれる歴代の名書家の墨跡
を廊壁の随所に見ることができる。


[留園(蘇州)]




 [留園の太湖石(蘇州)]
 次いで、唐代の僧侶 寒山と拾得(ジットク)さらには 張継の漢詩「楓橋夜泊」で知ら
れる寒山寺を訪れる。街中より少し離れた静かな所に建つ臨済宗の寺院である。
やや甘めの蘇州料理の昼食を摂って、精巧な技術と優美なデザインで蘇州名産とな
っているシルク工房を見学。蚕から絹糸をとるという今では中々見られない過程を
見る。軽くて軟らかい本絹と化繊との違いを知る。つぎは中心部から北西5kmほど
の所に移動して、春秋戦国時代の呉王闔閭(コウリョ)の墓陵「虎丘」を訪ねる。周りは
市民の憩いの場となっているようで、多くの家族連れたちが散策している。ここには
高さ47m八角7層の巨大な塔が聳えているが、地盤沈下で北西〜南東方向に15°
ほど傾いており(400年ほど前から傾き始めたとのこと)、"東洋のピサの斜塔"と呼ば
れている。周辺を囲っている壁の水平な上端部と見比べると傾いているのがよく分
かる。
 東洋のベニスと称えられる蘇州は街中のいたる所に細い運河がはりめぐらされて
おり、最後は舟に乗って岸辺で洗濯をする庶民の生活風景を眺めたり、いくつかの
太鼓状の石橋をくぐったりして山塘街(サントウガイ)に至る。ここは両側にぎっしりと店
舗の立ち並ぶ商店街で、土曜日ということもあって人,人,人でごった返している。色
彩豊富な刺繍で見事に描かれた絵や飾り物等も展示・販売されている。蘇州は訪
れてみて期待していたほどの感慨は無かったが、落ち着いた静かな街だった。近年
郊外に工業団地が造られ、日系の企業も数多く進出しているという。残念ながら太
湖には時間が無くて訪れることが出来なかった。18時過ぎに上海のYHに帰着。



[留園にて(蘇州)]




[山塘街の太鼓橋から眺める運河(蘇州)]
 再び歩いて外灘(ワイタン)への散策に出掛ける。川沿いの遊歩道
は適度の風があって涼しい。多くの家族連れやカップル等で賑わ
っている。外灘の北端「黄浦公園」の北側では外白渡橋という鉄
橋の架かる蘇州河が黄浦江に注ぎ込んでいて、地図や民芸品等
色んな物売りが立っており、ここも若いカップルたちで賑わってい
た。








* 水の都 蘇州といえば"蘇州夜曲"(西条八十作詩/服部良一
作曲)。 「蘇州夜曲」で検索すれば、You Tubeで李香蘭(山口淑
子)の歌を聴くことが出来る。





                                         
                                           


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