12月20日に内示された、 安倍政権最初となる2007年度予算の財務省原案 が、建設中の新 岩国市庁舎の07年度の補助金をゼロとしました。

 国は、補助金を打ち切ることについて 、米軍再編で、岩国に移駐するKC130は訓練が鹿屋・グアムにローテンションされ負担 が軽減されるので、従来の補助は適当でない 岩国は艦載機受入れに同意して いないので、騒音の増大などの影響を考慮できないと の理由を挙げています。

←防衛施設庁から岩国市へ通告された補助金を財務省に要求しなかった理由についての文書
 

 しかし、補助金は、1996年にSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で普天間基地のKC130空中給油機の受入れを岩国市が認めた見返りとして位置づけられ、交付されてきました。今回の米軍再編とはまったく別の話です。

 しかも、岩国市議団から大西明子、藤本ひろしが25日緊急に上京し、日本共産党国会議員の仁比、赤嶺氏らとともに防衛施設庁に要請・抗議に行 った時、「KC130の騒音が軽減されるとはどういう意味か、何を根拠にそういえるのか」と聞いても、騒音がどのようにどれくらい減るのか、具体的な数値も考え方も一切示されませんでした。要望書はこちらをクリック!

 さらに、「KC130はどのくらいの期間、岩国にいて、鹿屋やグアムにいるのか」 、「KC130の訓練や運用について騒音が軽減するような米軍との確約があるのか」との質問にも、「協議中」と繰り返すばかりで、「およそ米軍基地の訓練や運用に制約は加えられない」ことを認めました。

 建設はすでに基礎工事も終わろうかという後戻りのできない段階で、いきなり補助金をゼロにする国のやり方に、市民にも怒りの声が広がっています。それに、ここで長いものに巻かれろ的に受け入れたら、 また同じように予算を圧力にして、基地負担だけが拡大されていく のではないか、きちんと抗議し国の圧力に道理ないことを主張すべきでないでしょうか。

 

■市長に責任転嫁 米艦載機受入れ容認派が問責決議

  ところが、26日、岩国市議会の移転容認派が、「新市庁舎建設の補助金がゼロになったのは市長の責任だ」と井原市長に責任の全てを負わせる「問責決議」を提出しました。決議文はこちらをクリック!

 朝10時から、議場にはたくさんの住民が傍聴にかけつけ、議会は長時間の休憩をはさむなど紛糾し、午後6時、記名投票のすえ賛成17、反対15、棄権1で強行可決。

 日本共産党市議団は、KC−130空中給油機を岩国基地に移転する条件の一つとして「地域振興のための諸施策への積極的な支援」を約束した経過を述べ、「問責されるべきは、約束を破った防衛施設庁であり、国だ」と指摘、「艦載機を受け入れないからと、イジメのような圧力をかけている国こそ問責されるべきで、民意を尊重しがんばる井原市長を責めるとはあべこべです」、

 「岩国市民は住民投票で艦載機部隊の受入れに『反対』の意思を表明し、『受入れ反対』を公約した市長を選んだ。市議会がやるべきことは、国のやり方に同調するのではなく、安全安心の岩国市を子や孫たちに残すことだ」と反対討論にたちました。藤本ひろしの反対討論はこちらをクリック!  山田やすゆきの反対討論はこちらをクリック!

 容認派は1人しか賛成討論に立ちませんでした。

 岩国市に圧力をかける国の政治家や、山口県知事、桑原敏幸市議はじめ今回決議を出してきた容認派議員の多くも、上記のSACOからの経緯を知らないはずはありません。

 本来ならば議会は市長と一丸となって国に抗議に行くべきなのに、逆に市長を問責とはー。住民投票で移転反対の意思を示した市民を問責するに等しい暴挙と言わずにおれません。

 ふるさとと子どもたちの将来を真剣に考えて住民が選択した道の実現へ、私たちは引き続き全力をつくします。

「問責」決議に賛成した議員17名

市政クラブ   前野弘明  阿部秀樹  縄田忠雄  石本崇  細見正行

憲政クラブ   味村憲征  林雅之  桑原敏幸  武田正之

創政会     宗政久明  貴船斉  中塚一博  藤本泰也

政和会     高田和博  藤重建治  片山現司  松本久次

 

「問責」決議に反対した議員15名

日本共産党市議団   大西明子  藤本博司  山田泰之  古谷清子

公明党議員団     井上昭治  越澤二代  河本千代子  河合伸治

清風クラブ       藤井哲史  石原眞  姫野敦子

市民クラブ        渡吉弘  野口進  重岡邦昭

リベラル岩国     田村順玄

途中退席 1人 無所属の 西村幸博

清風クラブの村中洋は議長

 

 

●岩国市長「民意に従う」

 議会閉会後、井原市長は「私は民意に従って行動しているだけ」と語りました。

 決議文では、補助金打ち切りの責任は移転反対を貫く市長を問題視。しかし、公然と容認転向を求めることはできず、「現実的対応を求める」とあいまいな表記になっています。

 決議提案者の桑原議員は19日に市長に申し入れた際、逆に市長に問われ「現実的対応とは容認と言う意味ではない」と明言しています。

 井原市長は「決議文は艦載機に反対なのか賛成なのかはっきりせず、趣旨が分からない。庁舎の補助を取れ、というなら当たり前の話。国が信義に反したのだから厳重に抗議する。私はもちろん、議会も声を出してほしい」と語りました。 

2006年12月31日更新

 




  2006年度 も補助金11億円の交付 を一時保留するなどしました。

 しかも、補助金の保留は、6月2日の岩国市議会全員協議会で施設庁が初めて明らかにしましたが、5月末に同庁を訪問した岩国市議会議長の「新庁舎建設には議会内にさまざまな異論がある」という発言をうけての決定だと語っていました。

 しかし、日本共産党の仁比聡平参院議員らが同庁から聞き取り調査した中で、保留決定が4月中旬から後半にかけての、同庁の北原巌男長官決済によるものであることが明らかになりました。

 保留は議長来訪の1カ月ほど前に施設庁主導でおこなわれたことになり、虚偽答弁をしたことにもなります。

 この保留に対し、日本共産党岩国市議団は以下のように抗議しました。

 

防 衛 庁 御中

防衛施設庁 御中

2006年6月6

山口県岩国市日本共産党市議員団

団長 大西明子

 

 

抗 議 文

 岩国市庁舎建設をめぐり、防衛施設庁施設部が2006年度の国の補助金11億円の交付を意図的に見合わせていることがマスコミ報道で示されていた。

 米軍再編最終報告の説明がおこなわれた6日の岩国市議会全員協議会でも、防衛施設庁施設部の渡部厚部長は、「議長から私の方へ、事務次官と施設庁長官に対して『新庁舎については市議会で議論する必要がある』とお伺いしたものだから、議会の議論を踏まえて、これまでの計画と同じでいいのかどうか、確認する必要があるので、今保留させて頂いている状況だ」とする旨の発言を行い、補助金交付内定通知書を意図的に遅滞させていることを公然と認めた。

 この補助金は96年の日米特別行動委員会(SACO)合意に伴ってすでに決定された補助金であり、実務は粛々と進められるべき筋合いのものである。補助金交付内定通知書の保留措置は、米軍再編による米空母艦載機部隊の受け入れに反対している岩国市への圧力であり、新庁舎建設補助金の凍結を示唆することで岩国市を屈服させようとするものである。

 さらに3月の住民投票で「艦載機受け入れ反対」の意思を表明した岩国市民を冒涜するものであり絶対に認められない。いかなる理由であれかかる実務の遅滞をもたらしている防衛施設庁に厳重に抗議する。

 厚木基地からの艦載機移転計画が重大な問題となっている中で、防衛施設庁がすでに決着済みの事をひるがえすような対応を取り続けることはいたずらに不信感を拡散させ、国と自治体の冷静な協議の土俵を国の側から破壊して事態を混乱させ、進捗に重大な影響を及ぼすものである。

 速やかに補助金交付の実務を進め、市民が国への信頼感を回復できる措置をとられるよう断固求める。

 

以上

 

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