市長問責決議への反対討論 日本共産党市議団 山田泰之

 

 私は「井原勝介岩国市長の責任を問う決議」に反対の立場で討論を行ないます。

  まず最初に新庁舎建設に至る経過を述べさせていただきます。

  新庁舎建設に対する補助金については、「沖縄に所在する米軍施設・区域にかかわる諸課題に関し協議することを目的として、平成7年に日米両国政府によってなされたもので、 SACOが取りまとめた 最終報告の中に「普天間飛行場に配備されている12機の KC-130航空機・空中給油機を適切な施設が提供された後、岩国飛行場に移駐する旨の措置が盛り込まれたものです。

 岩国市は沖縄普天間基地所属の KC-130航空機・空中給油機の岩国基地への移駐要請について、平成9年4月22日、国に対して、受け入れを容認することの報告及び、地元住民等の間に KC-130航空機・空中給油機の岩国基地への移駐に当たって諸種の不安・懸念があることから、その対策として4項目に亘る要請を行ないました。

 その中の1つに「岩国市及び周辺町における防音対策工事及び民生安定施設に対する助成措置の拡充をはかると共に、地域振興のための諸施策への積極的な支援をされたい」との要請項目があります。

 平成12年10月鳥取西部地震発生、岩国市において震度4を記録し、現庁舎に被害が発生しました。

 平成13年3月芸予地震発生、岩国市において震度5強を記録し、現庁舎に甚大な被害が発生し、その後実施した耐震診断の結果、耐震性能の著しい低下が判明したことは議員諸氏も御存知の通りであ ります。

 これらの地震の被害を受け、新庁舎の早期建設が緊急の課題になったことも議員諸氏御存知と通りであります。

 しかしながら、基金の積み立て状況、厳しい財政状況を考え、岩 国市単独での事業が困難であり、防衛施設庁に支援を要望した結果、防衛施設庁において、岩国市の実情を勘案の上、平成9年4月のKC-130航空機・空中給油機の受け入れ容認時の要請に応え、平成15年度には SACO関係経費から新庁舎の基本設計に5926万円、平成16年度には実施設計に9857万7000円、平成17年度には新庁舎本体工事並びに体育館解体工事等に2億9568万8000円、平成18年度には新庁舎本体工事等基礎部分に11億3000万円の交付が行なわれています。

 このように現在に至るまで、 SACO関連の補助事業として出来高事業量に応じて助成が行なわれています。

  又、岩国基地滑走路軍民共用化計画いわゆる民間空港再開の事業も本年の2月に山口県と岩国市で構成する「岩国基地民間空港再開推進協議会」会長・綿屋副知事での「中間報告」によりますと予算規模134億円を山口県と岩国市で負担することを確認し、拠出割合2:1で調整するとしていました。

 それを2月17日、山口県の綿屋副知事は山口県東部11市町村意見交換会をシンフオニア岩国で開催し、134億円は国から出してもらう旨の発言をし、国に要望を行なっています。

 岩国市の重要プロジェクトとして位置づけている民間空港再開関連予算は山口県と岩国市を中心に負担すると決めています。

  以上が経過であります。

 政府が来年度予算については、今まで KC-130航空機・空中給油機の受け入れの見返りに補助金を交付していたもので「厚木基地の空母艦載機部隊を受け入れない」から新庁舎建設に対し補助金を交 付しないということは2階に上げておいて梯子を外すと同じことです。

 市民は今回の再編にはガマンが出来ないというのが率直な気持ちであり、「厚木基地の米空母艦載機部隊受け入れ反対」「これ以上の基地機能強化反対・これ以上の騒音はごめん」その市民の意思がはっきり示されたのが住民投票であり、市長選挙です。

 市庁舎建設にかかわり政府が補助金を予算化しないことを岩国市長に対して責任を問うことは、岩国市民に責任を問うことと同じであり、的外れもいいところであります。全くけしからんことで、このように的外れなことが行なわれるとなると今後なにが起こるかわかったものではありません。とても許すことは出来ません。

 決議書には「現在建設中であり、市民の安全を守る岩国市の防災拠点として位置づけをしている新庁舎の建設補助金が見送られた」と記載されていますが、それであれば、政府に抗議するのが当然ではないでしょうか。多くの市民は口々にこのように言っておられます。

  「市民の安全安心という問題は何ら解決されておらず、到底容認することは出来ない」とする立場にある市長の責任を問う決議を出された議員諸氏も政府が約束を破ったことに対して抗議するべきであります。

 又、民間空港再開関連予算は、政府に出していただければ岩国市の負担も軽減されますが、そもそも山口県と岩国市が実施するとしていました。これも米軍再編とは別問題であります。

 日本全国で地方空港の多くは赤字空港が多く、利用の見込みの少ない民間空港、軍民共用空港は危険を伴う空港であります。中止すべきだと考えています。

  以上で「井原勝介岩国市長の責任を問う決議」に反対の討論といたします。

 

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