ウエダ19,普通みたい。

 1960年代に販売されたエンジンです。発売元は東京・大田区の上田製作所。09クラスから61クラスまで、広い範囲をカバーしている製品でしたが、なぜか評判悪!

 つまり設計はさておき、製造が粗雑なのでさまざま問題が生じるってことでして。私がさわったウエダエンジンは09、19、45なのですが、3機種5台中3台に問題がありました。

 回しすぎるとクランクシャフトが折れるそうですが、それは回しすぎが原因でしょう。すぐスカになるのは燃料が粗悪ってことにしても、せめて機械加工の公差くらい

はっきりすろー!

 昭和38年(1963年)1月1日発行の冊子の、裏広告です。「誰でも楽しめる最高のエンジン誕生!」だそうですが、その実は・・・こちらあちらむこうをご覧ください。

 現在の上田製作所は、いすず自動車を筆頭に電装小物や精密機械加工品などを製造しています。もとから町工場だったわけですが、模型用エンジンを生産していたのは数年だけで、しかもUSAへの輸出が主だったみたい。現在の上田専務の話によると、「そんなことを知っているのは会長だけですので・・・」みたい。

 年末に倉庫を整理していたら、何台かエンジンが出てきたそうです。WEBで流したら数台出ていったそうな。以前私がつついたので行動したとしたら、私はウエダエンジンの救世主かな。でも、倉庫の整理(掃除か)しただけだっていうからなあ。まあ、いいか。

 この前上田専務に「私の使用しているのは09、19、45だ」とお話ししましたら、「捜しておきます」って言ったっきりになっています。倉庫には61しかなかったみたい。

 私を含めた「Dのひとびと」って、なぜか世間様の言う「変なエンジン」を多用しますね。ディーゼルエンジンのつどいでは、特に古いそれだけでなく、不評のエンジンも多く見ます。ハイネスは09、20黒・銀、44Tまで飛行しましたし、くだんのウエダは09と19が飛行済みです。ただ回すだけなのにとんでもない苦労をしたりしていますので、自分でもアホくさくなってくるのは事実でしょう。でも、あいつは○○エンジンを使いこなせなかった」って言われるのが悔しいから続けています。

 だいたい、どんな不評エンジンだって、それを設計・製造した方々はそれなりの強い思いで作ったのでしょうから、1度は空に上げてやりたいですよね。

 不都合を修理したウエダエンジンは今のところ問題なく快調に作動しています。アクセルレスポンスも良好だし、パワーだって当時から考えればそれなりに出ている気がします。

 そのうちに「上田製作所・見学ツアー」でもできると良いですね。もともと高い技術を持った町工場なのですから。

(2009年3月7日)