心臓病を予防するための7つの項目(禁煙・運動など)と死亡率との関連性
最新疫学研究情報No.93
米国疾病管理予防センター(CDC)のQuanlu.Yang博士らの研究チームによって、「心血管疾患を予防するための7つの項目(*禁煙や運動など)の基準を多く満たしている人ほど、心臓病および全ての原因による死亡率が低くなる」との発表がなされました。
米国では心血管疾患による死亡者数が年間80万人以上となり、全死亡者数の約1/3を占めています。心血管疾患による医療費だけでも、年間2730億ドルにも達しています。米国心臓協会(AHA)は、心血管の健康を維持し、心臓病を予防するために「禁煙」「運動」「正常な血圧値」「正常な血糖値」「正常な総コレステロール値」「適正な体重」「健全な食事」の7項目を提唱しています。研究チームは、これらの7項目が心臓病および全ての原因による死亡率にどのような影響をもたらすのかを確認するために、調査を実施しました。この研究では、米国国民健康・栄養調査(NHANES)に参加している成人男女44959人を対象に、1988~1994年、1999~2004年、2005~2010年の調査結果、およびNHANESⅢ研究(*1988~1994年に実施)の追跡調査(*死亡記録)のデータを比較検討しました。
調査の結果、7項目の基準をすべて満たしていた人の割合は1988~1994年では2%、2005~2010年では1.2%と少なかったことが判明しました。基準を満たしている項目が多かった人は、若年者や女性、ヒスパニック系以外の白人、高学歴の人であることが明らかにされました。基準を6項目以上満たしていた人は、1項目以下の人に比べて、心血管疾患による死亡リスクが76%、虚血性心疾患による死亡リスクが70%、全死亡リスクが51%、それぞれ低かったことが確認されました。また、基準を満たしている項目が多い人ほど、ガンによる死亡リスクが低下したことも明らかにされました。
研究チームは、「2020年までに心血管疾患の罹患率・死亡率を20%に低減させるという国の目標は大きな挑戦課題だが、7つの項目の基準を満たすための取り組みにより、達成可能となるだろう」と述べています。
出典
- 『Journal of the American Medical Association 2012年3月16日号』online版
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