亜鉛は風邪の症状を軽減させる
最新疫学研究情報No.86
インドの医学教育・研究大学院研究所のミーヌ・シン主任研究員らの研究チームによって、「風邪の発症から24時間以内に亜鉛を摂取すると、風邪の症状が軽減し、罹患日数が短くなる」との報告がなされました。
研究チームは、「風邪(*ライノウイルスによる一般的な風邪)に対する亜鉛の効果」について1984年以降に発表された15件の研究報告(*さまざまな年齢層における健康な男女を対象にした二重盲検・無作為割付試験)のデータをもとに、比較分析を行いました。これらの研究報告のうち13件は、被験者に対し風邪の発症後に5日以上続けて亜鉛(*トローチ・錠剤・シロップのいずれか)を摂取させ、風邪に対する治療効果を調査したものです。残りの2件は、被験者に対し5カ月以上続けて亜鉛を摂取させ、風邪の予防効果を調査したものです。
研究の結果、風邪の発症から24時間以内に亜鉛を摂取した人は、摂取しなかった人と比べ、風邪の症状が軽く罹患日数が短かったことが明らかになりました。さらに風邪の発症後に亜鉛を続けて摂取していた人は、摂取していなかった人と比べ、7日以内に風邪が回復する割合が高かったことが判明しました。また亜鉛を5カ月以上摂取していた子供は、摂取していなかった子供と比べて、風邪の発生頻度、学校の欠席日数、抗生物質の服用量がともに低減したことが確認されました。
研究チームは、「今回の調査により、風邪に対する亜鉛の治療・予防効果が明らかにされたが、15件の研究報告は調査条件がそれぞれ異なっているため、今後、亜鉛の適切な摂取量・摂取期間などについてさらなる研究をする必要がある」と述べています。
出典
- 『Cochrane Reviews online版 2011年2月16日号』
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