睡眠時間と死亡率の関係

最新疫学研究情報No.76

英国のウォリック大学と、イタリアのフェデリコⅡ世大学医学大学院の共同研究チームによって、「睡眠時間が6時間未満の人は、6~8時間の人と比べ死亡率が高い」との報告がなされました。

研究チームは、“MEDLINE”“EMBASE”“コクラン・ライブラリ”(※1)の3つの医学文献データベースより、睡眠時間と死亡率との関係についての研究論文(前向きコホート研究)を選び、その研究報告(16のデータ)をもとに比較分析を行いました。

調査の結果、睡眠時間が6時間未満の人は、6~8時間の人と比べ、死亡率が12%高くなることが明らかになりました。また睡眠時間が9時間以上の人も、早死するリスクと関係があることも確認されました。

研究者たちは「今回の研究により、睡眠時間が短くても長くても死亡率が高くなることが明らかにされた。睡眠不足は体調不良の直接の原因となり、それが早死につながったものと考えられる。一方、過剰な睡眠は体調不良を示す指標であり、死亡率の増加は別の要因による可能性が高い」と述べています。

※1“MEDLINE”は、米国の国立医学図書館が提供している医学・生物学に関する研究論文のデータベースです。

“EMBASE”は、オランダのElsevier Science(学術出版社)が提供している生物医学と医薬に関する文献のデータベースです。

“コクラン・ライブラリ”は、英国の国民保険サービスの一環として始まった、コクラン共同計画(国際的な医療評価プロジェクト)が提供している、ランダム化比較試験の論文を集めたデータベースです。

出典

  • 『Sleep 2010.Vol.33』BBCより
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