幼児期の大豆摂取は、乳ガンのリスクを大幅に減少させる
最新疫学研究情報No.65
米国の国立ガン研究所のRegina G.Ziegler博士らの研究チームによって、「幼児期に大豆を多く摂取していたアジア系米国人は、乳ガンの発症リスクが大幅に低下する」との報告がなされました。
この研究は、アジア人女性が米国に移住すると、2世・3世と世代を重ねるごとに乳ガンの発症率が高くなるという現状を踏まえ、アジアの食習慣が乳ガン発症の抑制にどのように関わっているかを調査したものです。
研究チームは、20~55歳までの米国に住む中国人・日本人・フィリピン人女性を対象に、「大豆の摂取時期と乳ガンの発症リスクとの関係」について症例対照研究を行いました。597人の乳がん患者と966人の健康な女性に対し、幼児期・青年期・成人期における大豆摂取量を調査し、そのデータを比較分析しました。(*幼児期の大豆摂取量については、被験者の母親への面談により調査)
調査の結果、幼児期に大豆摂取量が最も多いグループは、最も少ないクループに比べて乳ガンの発症リスクが60%も低いことが明らかになりました。また青年期・成人期に最も多く摂取したグループでも、それぞれ20%・24%低いことが確認されました。
研究者は、「今回の研究により、幼児期に大豆を多く摂取する習慣が乳ガンの予防に重要な働きを持っていることが明らかになった。詳しいメカニズムは分かっていないが、幼い頃に大豆イソフラボンを摂取し続けることが、乳ガン発症リスクの低下にプラスの影響をもたらしているのではないかと考えられる」と述べています。
出典
- 『Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention 2009年3月24日号』