完全菜食主義者と非菜食主義者の骨密度は同じである

最新疫学研究情報No.66

オーストラリアのガーバン医学研究所とベトナムのファムゴックタック医科大学の研究者らによって「完全菜食(*動物性食品を一切摂取しない)の仏教尼僧と非菜食(*肉類を含む あらゆる食品を摂取する)の女性の骨密度は同じである」との報告がなされました。

これまで菜食主義者(*特に完全菜食主義者)の食事は、一般の人々に比べてタンパク質とカルシウムの摂取量が少ない傾向にあるため、生涯にわたって菜食を継続することによる骨密度への影響が問題視されていました。

研究チームは、50~85歳までの閉経後の女性を対象に“完全菜食と骨密度との関係”について調査しました。ベトナムのホーチミン市に住む完全菜食の尼僧105人と、同市に 住む非菜食の女性(*それぞれの尼僧の年齢・体型と一致する女性)105人に対し、骨密度検査と食物摂取頻度アンケートを行い、そのデータを比較分析しました。

調査の結果、尼僧のカルシウムとタンパク質の摂取量は、非菜食の女性に比べかなり下回っていましたが、骨密度はほぼ同一であることが確認されました。

研究を指揮したTuan Nguyen教授は、「今回の研究によって、完全菜食は骨密度にマイナスの影響を及ぼさないことが明らかになった。果物と野菜の摂取が、骨の健康にプラスの影響を与えていると考えられる。この結果は、西欧諸国の菜食主義者(*人口の5%を占める)にとって朗報である」と述べています。

出典

  • 『Osteoporosis International online版 2009年4月号』
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