オメガ3脂肪酸は大腸ガンのリスクを低減させる
最新疫学研究情報No.26
英国エジンバラ大学のEvropi Theodoratou博士とHarry Campbell博士の研究チームによって「魚やナッツなどに含まれるオメガ3脂肪酸は、大腸ガンのリスクを低減させる」との発表がなされました。この研究は、国の前向き症例対照研究として1999~2006年に実施されました。研究者は、大腸ガンの患者(1455人)と大腸ガンにかかっていない人(1455人)を対象に、食事に含まれる脂肪酸の摂取と大腸ガンのリスクの関係を調査しました。
その結果、大腸ガンの患者は、大腸ガンでない人に比べてオメガ3脂肪酸の摂取量が少ないことが明らかになりました。さらにオメガ3脂肪酸の摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループに比べて大腸ガンのリスクが37%も低く、特にDHAやEPAの摂取が多いグループほど、大腸ガンのリスクが低下することが報告されました。
一方、オメガ6脂肪酸の摂取と大腸ガンのリスクの関連性は見られませんでした。しかし、オメガ6脂肪酸は、体内で大腸ガンの発生を促進する化学物質の濃度を上げることが確認されています。
また大腸ガンの患者は、飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の摂取量が多いことも明らかになりましたが、それらがどのようにして大腸ガンのリスクを高めるかについては、明確な結論は得られませんでした。
出典
- 『American Journal of Epidemiology Vol.166 2007年7月号』