4つの健康条件における原則と、それらの相互関係

「心・食・運動・休養」の4つの健康条件は、すべて満たすことが大切

人間が健康であるためには、「心・食・運動・休養」の4つの健康条件のうち、どの要素も欠かすことはできません。すなわち“4つの健康条件”は――「すべて満たすこと」が大切です。それぞれの条件を「常に健全なものにすること」が必要です。4つのうちどれか1つ欠けても、健康を維持することはできません。また、1つの条件にこだわりそれだけを徹底しても、健康を手にすることはできません。すべての健康条件が満たされなければ、高い健康レベルに至ることはできないのです。

世間では“食だけ”“運動だけ”といった健康法が多く見られますが、派手な宣伝文句とは裏腹に、いつまでたっても健康にはなれません。食事療法に一生懸命に取り組むのはよいのですが、それと同じくらい運動にも取り組まなければならないのです。食事療法に専念してその他の条件を無視するなら、結果的に努力の多くが無駄になってしまいます。

4つの健康条件が私たちの健康状態を決定するという事実は、「ホリスティック健康学」が明らかにしたシンプルで深い真理です。

4つの健康条件の鎖

このように人間が健康を維持するためには、4つの健康条件を常に健全なものにしていく努力が必要です。たとえ「食」という1つの条件が万全であっても、「心・運動・休養」のどれかが不十分であるなら健康レベルは下がり、身体に異常が発生するようになります。深刻な病気を招いてしまうこともあります。同じことが「心」にも「運動」にも「休養」にも当てはまります。4つの条件が常に正しく実践されてこそ、健康を維持することができるのです。

4つの健康条件は、1つにつながった鎖(くさり)(チェーン)に譬(たと)えることができます。図1は、4つの健康条件がすべて整った健全な鎖の状態を示しています。図2は、「食」が弱化した鎖の状態を示しています。図3は、「心」と「運動」が弱化した鎖の状態を示しています。弱化した部分は細くなっていて、それが“鎖全体の強度”――すなわち身体全体の健康レベルを決定することになります。

細くなった部分は健康にとってのネック(弱点)となり、健康を維持するうえで制約を受けることになります。1つの部分があまりにも細くなると、それが原因となって病気が発生するようになります。さらに弱化すると、鎖が切れて死を迎えるようになります。

4つの健康条件の鎖

人間が病気になるのは、“4つの健康条件”のいずれかに欠陥があるからです。その弱点を強化し健全なものにすることで全身の調和が取り戻され、健康を回復することができるようになるのです。

4つの健康条件の相互作用

健康を手にするためには、4つの健康条件を常に高める必要があることが分かりました。さらに4つの健康条件には、もう1つ知っておかなければならない重要な内容があります。それは“4つの健康条件”は――「互いに影響を及ぼし合っている」ということです。それぞれの条件が影響を及ぼし合いながら、身体全体の健康状態を決定しているのです。

「心」は「食」に影響を及ぼします。反対に「心」は「食」から影響を受けます。悩みや心配事を抱えていると食欲はなくなり、消化も悪くなります。また、孤独で寂しい生活を送っている人は食べることに楽しみを感じられず、粗末な食事で済ませるようになってしまいます。老人の栄養失調が社会問題になっていますが、それを防ぐには栄養ではなく、愛情関係がより重要な要素になるのです。健全な食事を摂っていると心が落ちつき、やる気が湧いてくるようになります。

一方、「心」は「運動」にも影響を及ぼします。反対に「心」は「運動」から影響を受けます。心が落ち込んでいると、運動をする気力が湧いてきません。そのまま体を動かさずにいると、どんどん心が落ち込んでいってしまいます。しかし、思いきって運動をすると全身のバランスが回復し、イライラも収まり、心が明るくなります。

また、「心」は「休養」にも影響を及ぼします。反対に「心」は「休養」から影響を受けます。焦りや不安といったストレスが多いと、十分な休養・質のよい睡眠をとることができなくなります。しっかり睡眠をとることができれば、神経の疲れも取れ、心の状態がよくなっていきます。同じように「食」と「運動」、「食」と「休養」、「運動」と「休養」も影響を及ぼし合っているのです。

このように「心・食・運動・休養」という4つの健康条件は、互いに影響を及ぼし合っています。「心」は食・運動・休養に、「食」は心・運動・休養に、「運動」は心・食・休養に、そして「休養」は心・食・運動に影響を及ぼしています。4つの健康条件は、互いに影響を及ぼし合い、そのトータルとして「生体維持システム」の働きを左右しているのです。

生体維持システムの働き

4つの健康条件の影響力の比率

心・食・運動・休養の4つは、どれも健康にとって必須の要素であり、1つとして欠くことはできません。4つの要素(条件)は互いに影響を及ぼし合って健康状態を決定していますが、それぞれの条件の影響力という点で重要な内容があります。それが、4つの健康条件の影響力の比率です。心・食・運動・休養が健康に及ぼす影響力の割合は同じではなく、違いがあるのです。心・食・運動・休養の影響力の比率は、「4:2:2:2」となっています。ただし、これは生体維持システムとの関係を基準にしたときの表面的な影響力の比率です。

次で述べますが、「心」は他の3つの健康条件に対して圧倒的な影響力を持っています。心が持つ強い影響力を考慮すると、その比率は大きく変化することになります。結論を言えば――「心」と「食・運動・休養」の影響力の比率は「9:1」にもなってしまうのです。

9割もの影響力を持つ「心」

ホリスティック健康学が示す健康条件としての「心」とは、厳密に言えば人間が有する心的要素全般を指しています。その“心的要素”とは――具体的には「霊」と「霊の心(精神)」と「肉の心(肉体本能)」という人間の3つの構成要素を意味しています。「霊的エネルギー循環理論」から明らかなように、こうした心的要素は身体(霊体・肉体)に対して上位に立ち、身体全体の健康状態を左右しているのです。

心は、食事や運動や休養よりも、はるかに大きな影響力・広範囲の影響力を持っています。トータル的に見るなら、生体維持システムに対する心の影響力は、全体の9割にも及んでいます。まさに「心」が、4つの健康条件の中心に位置しているのです。

こうした実際の影響力を基準として“4つの健康条件”の全体を図示すると、次のようになります。

4つの健康条件

この図は、「心」が4つの健康条件の中心部分を形成し、他の3つの健康条件(食・運動・休養)が生体維持システムに及ぼす影響力をも左右している、ということを示しています。4つの健康条件は互いに影響を及ぼし合っていますが、その中で「心」が最も重要な立場にあること――すなわち「心」が健康状態を決定する“最大の要因”であることを示しています。

次のページへ


Copyright(C)2004-2024 ホリスティック医学・健康学研究所. All Rights Reserved.