４つの健康条件を実践することの医学的意味

ここでもう一度、先に示した「真のホリスティック医学の全体図」を見てください。私たちは、なぜ病気になるのでしょうか？ それは「３つの生体維持システム」が正常に機能しないからです。では、なぜ生体維持システムは正常に機能しないのでしょうか？ それは自律神経やホルモンという「全身調節系」がアンバランス状態・不調和状態に陥っているからです。では、なぜ全身調節系はアンバランス状態に陥っているのでしょうか？ それは人間が“４つの健康条件”を正しく実践しないからです。

このように考えていくと、病気の“根本原因”は――「心・食・運動・休養」という４つの健康条件にあることが分かります。病気の原因を追究していくと、最終的に４つの健康条件に行き着くのです。

病気の根本原因である“４つの健康条件”には、私たちの日常の考え方・生き方がそのまま反映します。私たちが「自然法則（利他性の法則・霊優位の法則）」に反した考え方・生き方をすれば、４つの健康条件は不完全なものになります。自然法則に反した考え方・生き方について具体的に言えば――「物欲・肉欲に支配された利己的・自己中心的な考え方・生き方」ということになります。

一般的に医学とは、病気を治療することであると考えられていますが、実は医学には病気治療のほかにもっと重要な役割があります。それは病気にならないようにすることで、こうした医学を治療医学に対して“予防医学”と呼びます。ホリスティック健康学が明らかにしている“４つの健康条件”を万全なものにするための実践は、“最良の予防医学”になるのです。

検査技術が発達している現代医学では、病気の兆候をいち早く発見し、できるだけ早くその異常を取り除こうとします。しかし、身体（肉体）にはもともと異常な部分を取り除くためのシステムが備わっています。現代医学は、身体に備わっているその働きを無視したり、阻害してしまうことがあります。とかく無駄な治療をして医療費を増大させ、国家財政に多大な負担をかけています。

人々が、健康状態を決定する４つの健康条件（心・食・運動・休養）の重要性を自覚し、自発的にそれを健全なものにするための実践に取り組むなら、世の中に蔓延（まんえん）している多くの病気を防ぐことができるようになります。日常的に運動を心がけ、食事に気をつけるだけで、かなりの生活習慣病を防ぐことができるようになるのです。毎日の生活の中で４つの健康条件を高める努力をすれば、病気で苦しむという辛い人生を送らずに済むようになり、高額な医療費も不要になります。

ホメオスターシス・免疫システム・自然治癒力という「３つの生体維持機能」は、心・食・運動・休養という“４つの健康条件”によってその働きが左右されます。ホリスティック健康学は、４つの健康条件を健全なものにすることによって生体維持システムの働きを正常化し、病気を治すことを目的としています。したがって「ホリスティック健康学」は、病気の一番の原因に働きかける“根本療法”そのものと言えます。

病気はさまざまな原因によって発生しますが、それを突き詰めていくと“４つの健康条件の不備”という根本原因にたどり着きます。ほとんどの病気の原因は、日常の間違った考え方と生き方にあるのです。何度も述べてきましたが、間違った考え方・生き方とは、自然法則（利他性の法則・霊優位の法則）に反した考え方・生き方のことです。

もし自分が病気になってしまったときには、病気はそれまでの間違った考え方・生き方の反映であり、自業自得として受け止めなければなりません。病気に対する最も適切な治療とは――「４つの健康条件を自然法則に一致した健全なものにする」ということです。４つの健康条件を健全なものにするための努力は、病気の根本原因を取り除き、身体に備わっている生体維持システムの働きを高めることになります。それこそが、まさに病気の“根本療法”なのです。

病気は、長い間の間違った考え方・生き方の結果ですから、その原因を取り除くためには一定の期間が必要となります。現代医学の対症療法のように薬で一時的に症状を抑え込むのとは違い、根本療法には時間がかかります。しかし結局、それが最も優れた治療法になるのです。

病気による苦痛が大きいときには、現代西洋医学の対症療法で緩和しつつ、４つの健康条件を健全化させるという形で根本療法を進めればよいのです。４つの健康条件を高めるための「自己努力」が、病気に対する最も優れた治療法であることを、しっかりと理解しておかなければなりません。自然法則に反した生活を送った結果、病気（生活習慣病）になったとしても、「心・食・運動・休養」という４つの健康条件を健全なものにすることによって病気は治るようになります。高額な先端医療など受けなくても、病気は治癒するようになるのです。