副食のメニュー

副食の中心は「野菜」

主食の穀類(米・雑穀・豆)についで重要な食品は「野菜」です。野菜は副食(おかず)の中心に置く食品で、主食をしっかり固めることができたら、あとはいかに多くの野菜を摂るようにするかが問題です。食事全体に占める野菜の量は約30%が理想ですが、これは大半の現代人にとってはかなりの量になります。

野菜をたくさん食べられる人、野菜の好きな人は例外なく健康です。野菜の好き嫌いは、健康度を知るための最も簡単で確実な指標です。常にできるだけ多くの野菜を摂取することに意識を向けなければなりません。

野菜の中でも、特に季節の野菜には栄養素がたくさん含まれているため優先的に用いるようにします。(※野菜料理の半分は、季節の野菜・旬の野菜を使うようにします。)

加熱しないで食べられるものは、できるかぎり“生”で摂ります。加熱による栄養素の損失を防ぐためです。モヤシや生野菜のサラダは、ビタミン・ミネラル・植物栄養素・酵素をたっぷり補給できるよい料理です。生野菜をそのままでは摂りづらいという場合は、少し塩をふってしんなりさせたり、浅漬にすると食べやすくなります。胃腸が弱くて生野菜が摂れないような場合には、自家製の野菜ジュースが勧められます。

ごく短時間だけ加熱した野菜は、大半の酵素は失われているものの、ビタミン類の損失は最少限に抑えられています。ほとんど水を加えずにつくる「蒸し野菜」は、理想的な野菜の調理法です。野菜自体の水分を利用することで、油を使わずに簡単に、栄養豊かな野菜料理をつくることができます。キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・アスパラガス・小松菜など、少々の塩だけで野菜のうま味が引き出され、おいしく食べられます。さらに干しエビを加えたりドレッシングを工夫すれば味の変化も楽しめます。(※蒸し野菜の調理には、ステンレスの“多層構造鍋”が向いています。大半の野菜は数分で調理できます。)

同じく厚手の鍋でつくる「焼き野菜」も勧められます。カボチャ・ジャガ芋・サツマ芋・玉ネギなど、切ってただ焼くだけの簡単さです。時々ならば野菜の炒めものもいいですが、その場合はオリーブ油を使います。

野菜の煮物は、必ず煮汁ごと食べるようにします。汁の中にミネラルが溶け出しているからです。煮物のように長時間加熱した野菜は酵素だけでなくビタミンなどの一部も失われていますが、汁もすべて摂るようにすれば、多くのミネラルを補給することができます。

野菜料理のおいしさは――「野菜に含まれる栄養素を、いかに損なわずに調理するか」ということにかかっています。栄養素があるものは、無条件においしいのです。もう1つは―「調味料やドレッシングを工夫する」ということです。「生野菜」と「温野菜(加熱野菜)」を準備すれば、2品の副食が整います。(※具体的な調理法については「クッキング・ブック」を参考にしてください。)

食が細くてあまり野菜を食べられない人がいますが、温野菜なら量を摂ることができます。特に野菜のスープは、少食の方でも摂りやすいものです。味噌汁の中に野菜の具を多めに入れるだけでも、充実した野菜料理になります。

ただし酵素は失われていますから、ジュースで補うようにします。自家製の野菜ジュースは―「栄養素が失われていない」「酵素が生きている」「少ない量に栄養素が凝縮している」といった点で、野菜摂取の最も合理的な方法と言えます。ガンなどの栄養療法では大量の野菜ジュースが強力な手段となり、高い治療効果を上げています。

子供は一般的に野菜が嫌いですが、無理じいする必要はありません。調理を工夫したり、好きな野菜だけを食べさせるなどして、結果的にたくさんの野菜を摂れるようにするのがよいのです。嫌がる野菜を何とか食べさせようとするより先に、油料理・肉料理・乳製品・砂糖などを排除することの方が重要です。「ご飯と味噌汁」がしっかり摂れていれば、あとは好きな野菜だけを食べていても大きな問題は生じません。

動物性食品について――多過ぎないことが大切

ここでの動物性食品とは、肉ではなく「魚介類」を指します。魚の食べ方として最も優れているのが、刺身や酢の物などです。アサリは味噌汁の具として最高ですが、魚介類は生でも煮ても焼いても、おいしい食品です。

しかし動物性食品は、少量に抑えるべきです。1日に摂っていい量は、中サイズのアジなら1匹、小さめのサケの切り身なら2切程度です。こうしてみると食事全体の中で動物性食品の占める割合が、いかに少ないかが分かります。これまでの食事と比較して、ずいぶん動物性食品を減らさなければならないことが理解できるはずです。「動物性食品は食事全体の10%以下にとどめる」というのが原則であり、同時に分かりやすい目安です。

“卵”については、健康な人でも1週間に1〜2個以上は摂らないようにします。卵は安価で手軽に調理できるため、現代人は明らかに摂り過ぎています。アレルギーの人にとっては卵がアレルゲンになることが多く、避けることが必要です。

“牛乳”については、すでに述べたとおりです。栄養豊富なよい食品という考えを根底から変えなければなりません。牛乳は卵と同じようにアレルゲンになるだけでなく、脂肪(バター)が大量に含まれ、生活習慣病・成人病を引き起こす原因になります。日本人の多くは乳糖不耐症のために牛乳を摂ると下痢をしますが、そうした人には牛乳はいっさい必要のない食品であるどころか、健康に大きなマイナスをもたらす“悪い食品”なのです。

これまで牛乳は優れたカルシウム源のように言われてきましたが、むしろ多くの弊害を生み出しています。牛乳からカルシウムを摂取しようとするのは、時代遅れの間違った考え方です。もし子供がアレルギーの場合には、学校給食の牛乳も避けるようにしなければなりません。卵も牛乳も肉類同様、できるかぎり控えた方がいい食品なのです。

では“ヨーグルト”などの発酵乳製品はどうかということですが、これについてもすでに述べたとおり、無条件に勧められるものではありません。ヨーグルトに頼って腸内環境を改善しようと毎日、大量に摂るとするなら、「食事全体のバランスを崩す」ことになってしまいます。ヨーグルトだけで脂肪やタンパク質の必要量が満たされ、他の必須の食品を摂る余地がなくなってしまいます。

日本には多くの優れた「発酵食品」があり、それらを上手に食事に取り入れるなら、食事全体のバランスを保ったまま腸内環境をよくすることができるのです。日常摂取する食品の構成が日本と全く異なる習慣をもつ人々においては、ヨーグルトを無理なく食事の中に組み込めるかもしれませんが、日本人がそれをすると、他の食品の構成をすっかり変えなければならなくなります。

時々の楽しみとしてプレーン・ヨーグルトを摂るだけなら問題はないでしょうが、“乳酸菌が多い”という1つの長所だけを取り上げて、ヨーグルトの大量摂取を勧めるのは賛成できません。

健全な食事・正しい食事とは――「1つ1つの食品が、全体の中にうまく溶け込み、バランスを保っているもの」を言います。ある食品を加えることで食事全体のバランス・食品構成が狂ってしまうなら、それはよい食品ではなくなってしまいます。

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