ホリスティック運動学

実践の目的と方向性――運動を自然法則に一致させ、自然界と調和状態にする

ホリスティック運動学は、「運動」の健全化を目指します。運動の健全化とは、運動習慣を「自然法則」に一致させ、自然界と調和したものにすることです。現代人が病気を多発させている原因の1つに、物質文明が発達した社会での“運動不足”があります。

人間は本来、身体を適度に動かすことによって生体維持システムの正常性が保たれ、健康を維持することができるようになっています。日常生活におけるさまざまな活動や労働を通して身体を動かすことで、健康が維持されるようになっているのです。ところが、近代以降の急激な物質文明の発展にともない、こうした人間として当たり前の生活が失われ、“運動不足”という自然法則に反した不自然な生活をするようになってしまいました。

運動は、肉体という物質の機械をまとった人間にとって、食生活と同じくらい重要なものです。「霊的成長」のために与えられた肉体を手入れすることは不可欠な営みです。運動については、最近になってその重要性が認識されるようになり、健康を維持するうえでの運動の効用や病気治療の効果が明らかになってきました。その結果、今では多くの人々が意識的に運動に取り組むようになっています。また、専門家によって新しい運動理論が次々と発表されるようになってきました。

運動に関して最も大切なことは――日常的に「適度に身体を動かす」ということです。それが運動の大原則です。一方、運動の重要性が認識されるようになったことで、運動のやり過ぎという不自然な動きも発生しています。運動によって健康になるのではなく、度を越した激しい運動によって“体を壊す”という本末転倒した現象が発生しています。こうした動きの根底には、人類の霊的・精神的な未熟さという本質的な問題が潜んでいます。

現代では、スポーツが“健康づくり”という本来の目的ではなく、人間の競争心を煽り、金銭と名声を獲得するための手段になっています。スポーツの多くは健康を増進させるためのものではなく、人間の本能的欲望を刺激する手段になってしまっています。人々の心を堕落させ、霊的成長にとってむしろマイナスの影響を及ぼしているのです。

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