旅日記  扶余・公州


扶蘇山城入口に置かれている百済の半跏思惟像レプリカ
ホンモノはソウルの国立中央博物館にある。


4/7(金)
 全州→大田(高速BT)→大田(西部BT)→扶余と移動し、扶余を観光

 7:00起床。今日も晴れてよい天気だ。
 早いもので今日から旅も後半。

 パンとコーヒーで朝食をすませ、8:30にはチェックアウト。
 といっても窓口にキーを置くだけだが。
 中では昨日のおねえさんが熟睡していた。
 このシドニーモーテルはラブホ仕様だが、とっても快適だった。

 全州市外バスターミナルへ。
 切符売場で「扶余」のハングルを見せた。扶余行のバスはない、とのこと。
 では、大田行は?と聞くと、本数が少ないらしく、時間が合わないらしい。
 予想どおり、隣りの高速バスターミナルへ行くように言われた。
      昨日おとといと、市外バスターミナル内を下見した。
      乗り場の行き先表示や、切符売場の値段表に「扶余」のハングルはなかったのだ。

 カートを引いて5分くらい歩くと、高速バスターミナルがあった。
 ここは2階建てで中央がらせん状のスロープになっている。
 カートホルダーにはとってもありがたい。
 9:05の大田行があった。4500W(約563円)。

 このチケットは指定席制のようだったので、定位置に座った。

 バスはけっこうスピードを出した。
 大田の市内に入ると渋滞したが、定刻どおり1時間で大田高速バスターミナルに到着した。

 大田は新しい高層ビルが目立つ。
 政府機関も移転しつつあるらしい。
 最近地下鉄も延長されているようだ。

 大田から扶余へは、西部バスターミナルからバスが出ている。
 高速バスターミナルから移動しなくてはいけない。めんどうだ。
 荷物がなければ市内バスを利用するところだが、タクシーにしよう。

 すぐにタクシーに乗った。
 初乗りは1800Wだった。
 よく喋る運転手だった。
 私が日本人で目的地が扶余だとわかると、しきりにタクシーで扶余まで行きたがった。
 メーターはひんぱんに上がる。
 こんな調子で扶余までなんて、いくらかかるかわかったもんじゃない。
 紙に値段を書け、となんどもしつこい!
 別に急ぐ旅ではないし、長距離タクシーを使うほど金持ちではない。
 15分も乗らなかったが、西部バスターミナルまでなんと5500W(約688円)もかかった。高いねー。

 大田西部バスターミナルは、こじんまりして暗い建物だった。
 窓口と自販機と両方あった。
 窓口でハングルメモを見せ、扶余までチケット5100W(約638円)を購入。
 バスはもう停車していた。

 しばらく待って、10:50ころ発車した。
 乗客はあかぬけない(失礼!)年配が多い。
 次のバス停からたくさん乗り込んできた。
 最後に乗車した人が、なんと健康食品のセールスを始めるではないか。
 スーツにネクタイ姿の中年男性だった。
 大声で5分以上効能を並べ立てていて、うるさいったらない。
 だが、5.6個くらいは売れたようだ。たいしたもんだ。
 朝鮮人参の粉末か何かのようだった。

 バスは田舎の道をえんえんと走った。

 1時間かかって論山に着いた。
 ここで、大方下車した。
 論山は道の両側に露天の店が広がり、のどかそうな感じだった。

 論山を出ると、急に道がよくなった。
 30分で扶余のターミナルに着いた。これまた、イナカだー。

 さて、まず旅館を決めなくては・・・・。
 目をつけていたモーテルを探すのに、すごく苦労した。
 なんてカンが冴えない日でしょう!
    ガイドブックに教会の隣り、とあったのだが、その教会は存在しなかった。
 ぐるぐる歩き回り、なんども地図を見て、12:50ころようやくたどりついた。

 ユニバースモーテルは25000Wだった。おばさんもフレンドリーだ。
 部屋は花柄の壁紙、カーテンやシーツ、天井まで花柄だ。けっこう広い。
 おばさんの趣味なのね。
 ドライヤーはなかった。
 ペットボトルの水を2本くれた。冷蔵庫はあるので。
 ただバスルームはそうとうくたびれている。
 目地や天井に黒かび。
 廊下に給水湯器があった。


ユニバースモーテル 室内はラブリーできれい モーテルというより旅館という感じだった


 13:20外出する。
 まずはお昼ごはんだ。

 すぐ近くのナルトシッタンへ。
 駐車場に10台以上クルマが停まっていたので、どうかと思ったが。
 アニョハセヨーと店内に入り、1人ですと言うと、気持ちよく個室に案内してくれた。
 座布団が8枚あったので、4人定員か?
 係りの明るいおねえさんはちょっとだけ日本語なので、日本人の客も多いのかもしれない。
 「かばやき?」と聞かれたので、「ネー、ジャンクイオ」と答えた。

 ほどなくして、2人がかりでテーブルごと運んできた。
 副菜が10品以上ある。
 そして、またすぐにメインの亀の鉄板に乗った鰻のかばやきが登場した。
 絶妙のタイミングで「飲み物は?ビール?」と聞かれ、思わず「ちょうだい」と答えてしまった。
 ほんと、勧め上手だわ。
 飲みたそうな顔をしていたのかしら。
 鰻は1匹にしては重なり方にボリュームがあると思ったら、一番下はホネの唐揚げだった。
 考えてるね。
 写真を撮ったところで、スープも来た。

 サンチュその他の葉に鰻を乗せ、コチュジャンなど(3種類あった)も乗せ、巻いて食べた。
 もやしを入れたり、いろいろバリエーションが楽しめる。
 とりあえず、鰻は完食したが、副菜までは無理だ。
 おなかがはちきれそう。
 きゅうりの浅漬けとか、りんご入りフルーツサラダ、もちろんキムチもよかった。
 鰻もけっこう日本的な蒲焼で、油もほどほどにのっていた。とっても美味しかった。
 パプは?と聞きにきてくれたが、もう入らない。
 お茶も持ってきた。玄米茶のパックだったが、それでもうれしい。

 この紙を乗せたテーブルは、漆塗りの使い込んだものだった。
 こういうのはよいね。

 16000W+ビール3000Wで19000W(2375円)。
 高いけどそれだけのことはある。
 サービスも味も満足のいくナルトシッタンだった。


大満足のジャンクイオ                    ナルトシッタンの玄関


 14:00前にはナルトシッタンを出た。
 いつもながら、なんという早食いでしょう。
 1人だとマイペースだからこうなるのだ。

 さて、念願の百済の都、扶余の観光を始めよう。
 近いところから、扶蘇山城へ。


いい感じの門

 2000Wのチケットを購入する。
 ここは広いので気にならないが、とても観光客がたくさんいた。
 小学生の大団体、中学生・高校生の小団体、そして、年配の団体ツアーの方々が、韓国のあちらこちらから来ているのだろう。
 山菜摘みをしている人たちもいた。
 車座になって歌を歌う大学生らしいグループ。
 ウォーキングしている友達同士。
 そして、若い恋人たち。
 1人連れはあまり見ないなー。

 扶蘇山城の観光は百花亭と半月楼は押さえたかった。
 
 上ってすぐのところに忠霊祠があったので、行ってみた。
 中学生らしいグループがお堂の壇に上がって、位牌?を磨いていた。
 なにか奉仕活動か、課外授業かな。感心だ。

 眠っている犬を起こしてしまった。


こんなに平和に眠っているのに・・・・          起こしてしまった。ごめんね!


 百花亭をめざして、登って下りてと起伏が激しい。
 ビールの酔いが回ってきそうだ。
 いい運動だがね。
 百花亭はごつごつの大きい岩(百花岩)の上にあって、なかなかの景観だった。




百花亭の天井裏はとても美しい彩色


 官女たちが身を投げたという崖には、ピンクのツツジのような花が可憐に咲いていた。
 東屋の天井裏も美しい。
 そこからの白馬江の眺めも気分がすっきりする。


 またもどって半月楼へ。
 ここは上に登れるようになっていた。
 だが、とても強い風が吹いている。

 少し霞のかかった風景もきれいだ。

 扶蘇山城の跡あたりは、黄色い花がすごくきれいだった。
 地面には小さい花も咲いていた。春だ。 


 迎月楼の前に大きい桜の木があった。
 蕾が数個開きかけていた。


迎月楼


 16:00に2時間かけて、扶蘇山城の見学を終了した。
 入口横の寺には桜や梅などの花が咲き誇り、よい眺めだった。


 まだ余力があるので、定林寺址へむかった。


定林寺址入口


 1000Wを支払って入場した。
 芝生があちこちにこんもりしていて、説明のパネルが立てられていた。
 いろんな建物があったようだ。
 中央に5層の石塔があり、これが素晴らしかった。
 写真で見るのとぜんぜんちがう。
 というか、実物のオーラは凄い。
 ホンモノは迫力がある。年月に耐えてきた姿は高貴だ。


 笑える石仏を見学した後、塔の横に腰を下ろし、しばらくボーッとくつろいだ。


桜の左のお堂に石仏が


 時間的には、16:45くらいなので、急げば博物館に間に合うが、ちょっと脚も疲れている。
 せっかく美術品を見学するのだから、体力と気力のある時にしよう。
 と、明日にまわすことにした。

 コンビニに入って、カップメンと缶ビールとジュース、チョコレート菓子、ヨーグルトなど購入。
 今夜はあまりおなかがすかないと思うので、部屋で夕食にしよう。

 ユニバースモーテルにもどった。
 
 廊下の給湯器が故障しているので、上の階のを使用した。


カップメンはまずくはないが、
やはり日本の方が麺もスープも先進国だ。


 私のほかにも宿泊客がたくさんいて、にぎやかだった。
 
 

4/8(土)  扶余と公州の国立博物館をハシゴする

 少し曇りっぽいが晴れている。
 7:00起床。
 ソーセージパンetc、あられ入りヨーグルト、コーヒー、人参ジュースで朝食。

 9:00前にカートを預けて、ユニバースモーテルを出た。
 
 昨日見残した国立扶余博物館へ。


扶余国立博物館            向かいの交差点にある百済金銅大香炉

 すいていてとてもゆっくり見学できた。

 百済昌王銘石造舎利龕という陸山里寺跡から出た品はすばらしかった。
 567年に百済の王女が舎利を供養したようだ。

 砂宅智積碑は文字の漢字がとても美しかった。
 まるでお手本みたい。それも現代の。
 654年。百済人の文書と書芸水準を示す貴重なもの、とのこと。

 そして、メインの百済金銅大香炉。
 思ったより小ぶりだ。
 博物館前にでっかいレプリカがある。
 昨日の扶蘇山入口にも同じくらいのレプリカがあった。
 彫金された模様が興味深かった。
 頂上には鳳凰、台は龍、そのあいだに自然と人物と動物たち。
 百済人の儀礼の思想がすべて表現されているらしい。

 あとは、可愛らしい金銅仏が数点あった。
 6世紀の軍守里金銅菩薩像。
 7世紀の窺巌面から出たという観音菩薩像。

 1時間くらいで見終わった。

 もどる途中で、郷校を見つけた。
 門が閉まっているので、外から写真だけ撮った。
 なかなか古めいているが、数世紀前に何度か移転されてきたものらしい。



扶余の郷校

郷校横の道路の敷石の模様が百済的雰囲気だ   近くの民家 屋根は青いトタンで改修するようだ


 ユニバースモーテルへカートを受け取りに行った。
 マルチーズが出迎えてくれた。
 よく吠える子だった。

 扶余バスターミナルへ向かった。
 ハングルで「公州」と書いたメモを見せると、窓口の女性はチケットの裏に、発車時間を11:05と書いてくれた。
 乗り場が2番だとも教えてくれた。とっても気が利く。
 しかし、2番乗り場はどれかわからず、もぎりのおじさんに乗るバスを教えてもらった。
 バスの前にハングルの「公州」を確認して安心した。
 
 ガイドブックには扶余→公州は1時間とあったが、もっと早く着きそうだった。

 公州に近づくと、すごく靄がかかっている。
 スモッグじゃなくて、黄砂なのだろう。
 錦江を渡ったので、公州のバスターミナルが近いとわかった。
 11:50ころ到着した。

 バスターミナルの近くで旅館を探すことにした。
 旅館街は隣接している。ほとんどモーテルタイプみたい。
 事前にチェックしていたプラザパークを発見。
 1Fは駐車場になっていた。旅館なのかモーテルなのかよくわからない。
 階段を上がって2Fへ。
 小さい窓口は内側にTVを置いて、80%くらい狭くなっている。
 窓口にいたおじさんに25000Wを払うと、部屋に案内してくれた。
 まあまあきれいだ。
 室内に給水湯器あり、はうれしい。
 ベッド横のブルーのライトを点けると、緑の森に川が流れる風景が壁いっぱいに広がり、ムーディだ。
 もちろん冷蔵庫とドライヤーはあるし、冷蔵庫内にはスティックコーヒーとドリンクが2本ある。
 なにより、バスターミナルからすぐなのがよいね。 


プラザパーク 25000W(3125円)
右壁がムーディになるのだ


 12:00さっそく外出する。
 まずバスターミナルを下見する。
 チケット売場を探すのに時間がかかった。
 正面からだと、なんと売店の中を通ってたどりつくのだ。
 窓口で水原へのタイムテーブルをもらった。

 公州の観光箇所や繁華街はバスターミナルから川を隔てている。
 表に出ると、Eのバスが停車していた。
 ガイドブックを見ると、市中心に行く番号に入っていた。
 で、飛び乗った。ここで確認するべきだった。

 バスはすぐに発車し、渡ると思われた橋を渡らず、まっすぐに進むではないか?!
 次の橋で渡るのか、と思ったらぜんぜん違う方向へ走る。
 郊外行のバスみたいだ。
 そして、停留所までの距離が凄く長い。
 2つ目の小さい停留所で下車した。
 ここは逆方向のバスがいつくるかわからない。
 しばらく歩き、中央分離帯をよじのぼり、道路を横切って反対車線へ。
 広い国道みたいな道路なのだ。
 クルマはビュンビュンとスピードを出して通り過ぎる。
 1つ手前に停留所でバスを待つことにした。
 おじいさんも1人待っていた。
 ところが、バスはぜんぜん来ない。20分も待っただろうか。
 空車のタクシーが通りかかった。ラッキー。
 この際仕方がない。おなかもすいたし、いつくるかわからないバスを待つ根気はない。
 じっさい、最初からタクシーにすればよかったのだ。

 ガイドブックの食堂名を言うと、運転手は知っていたのでよかった。
 1600Wの初乗りだが、メーターが早く上がる。距離制なのだろう。
 運転手はハングルのみだったが、ちょっとお喋りした。
 黄砂がひどいね、と言ったら、ファンサだと教えてくれた。
 助手席に座ったからか、シートベルトをするように注意された。
 
 クルマだとあっというまにバスターミナル近くの橋を渡り、市街地に入った。
 イハクシッタンの前まで行ってくれた。4900W。痛いわ。

 13:00イハクシッタンに入店した。
 そう大きくもないが、入れかわり立ち代り客の来る店。はやっているようだ。
 タロクッパプを注文した。
 この店の店員の3女性はみんな感じよかった。
 カメラを構えていると、撮りましょうか?と聞いてきたし、
 空にした副菜はすぐに追加を持ってきた。サービスがよい。
 タロクッパプも牛肉のダシがきいていて美味しい。
 牛肉もほどほどに入っているし柔らかい。
 副菜は、ほうれん草のおひたしと山菜だか海草だかの佃煮がおいしかった。
 これで5000Wは安い。
 タクシー代と変わらないもんね。


絶品のタロクッパプ                感じのよいイハクシッタン


 にぎやかな通りを歩いて、公山城へ向かった。
 この公州は活気のある街だ。
 商店街の面積が広い。
 靴修理の露天商(日本では見なくなった)もいくつかあった。
 中高生も元気に歩いている。

 公山城はほんの一部を歩いた。


広い公山城                      目立つ旗

 土曜日だし、観光する人も多い。
 城の門を入ったところで、なにかイベントが始まるようだった。
 たくさんの人が用意された椅子に座っていた。
 昔の兵士スタイルの青年たちが、槍を片手に行進してきた。


 城壁の上に並んだ。
     パンフレットによると、これは熊津城(公山城)守門兵勤務交代式だった。
     輝かしい百済文化を国内外に宣揚するため、徹底した歴史的考証により製作された衣装と小物を利用。
     王城を護衛した守門兵の勤務を再現するプログラム。
     4〜10月の土日14:00〜20:00に7回、とあった。

 この公山城も想像していたより、広い。
 入口の錦西楼から内部の道を下り、拱北楼あたりから城壁を歩いた。
 錦江の眺めは悪くない。

 しかし、空気はファンサ(黄砂)でもやもやだ。
 当然写真の写りもよくない。残念。


城壁から錦江を眺める


 またまた歩いて、宋山里古墳群へ行くことにした。
 これが、とても遠く感じた。


古墳公園横の集落


 武寧王陵は、まず模型館でレプリカを見学する。
 黄金の冠飾りやイヤリングがいいね。
 まわりの壁には細かく彫刻された模様が印象的だ。

 外に出て、武寧王陵その他を外から見学した。


武寧王陵
 この中からお宝が・・・・・


隣りの王陵のドア  百済のデザインは洗練されている


 ここから国立公州博物館に行くのだが、それがとんでもなく遠かった。
 ガイドブックやパンフレットでは、すぐ近くのように思ったが・・・・。
 20分以上歩いた気がする。
 いいかげんに足が疲れていたが、引き返すわけにもいかない。
 あたりは、最近開発された場所のようで空間が目立つのだ。道路は立派だけど。

 ようやく公州博物館にたどりついた。


公州国立博物館

 駐車場には観光バスやマイカーがたくさん停まっていた。
 土曜日のせいかお子様中心の見物者だ。
 それも騒ぎ立てる性格のお子様が多いこと。
 展示室を体育館とまちがえて走り回っている。注意しろよ。
    部屋の隅には係員用の机と椅子があるのだが、係員は見当たらない。
 この公州博物館は、なんといっても武寧王陵からの出土品のホンモノがメインだ。
 有名な冠飾りはもちろん、小さな指貫みたいな金製品も美しかった。

 博物館前にあるバス停で待つが、バスはぜんぜん来ない。
 運良くタクシーが来たので、それをつかまえた。
 バスターミナルまであっという間だった。3800W。

 ファミリーマートで、明朝用にサンドイッチ。
 今夜は出かけるのがおっくうなので、助六とビールを購入した。7100W。
 
 プラザパークにもどる。
 公州の観光は自力だと、けっこう足にくるな。


 
 




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