旅日記  南原・全州・群山

4/5(水) バスで南原に寄って、全州へ

 6:50起床。外は曇っている。予報では晴れてくるようだ。
 ピーチジュース、パン3種類とバナナで朝食をすませ、ゆっくり荷造りをした。

 9:00チェックアウト。レセプションは初めて見るおじさんだ。
 カムサハムニダ。けっこう快適ステイでした。

 今日は祝日だと思ったが、通勤通学の人がたくさん行きかっている。休みじゃないのか?
 脚の調子はまあまあだ。一晩寝るとなんとか回復するもんだ。

 地下鉄2号線は足元から暖房・・・暑いんじゃない?

 9:40には沙上に着いた。
 南原行のチケット14200W(約1775円)を購入した。
   当初の予定では、ノッポドンの総合バスターミナルから大田を経由し、扶余に行くつもりだった。
   しかし、西部ターミナルから南原行があるとわかり、ここか全州に泊まることに予定変更した。
   釜山の西面からだと、バスターミナルまでの距離は西部が近い。

 10:00発の南原行のバスに乗り込んだ。
 乗客は30%くらいか。

 空は晴れ、の快適ドライブだ。山の中を走っている。
 農作業をする人々。
 桜の木もけっこうあるし、黄色い花見目立つ。春ですね。

 途中のサービスエリアで、10分強の休憩があった。


後で調べたら、山清という所だった               釜山→南原へのバス

 トイレをすませ、コーヒーを買った。アメリカンで1000W。

 南原までは3時間かかる予定のダイレクト便だったが、2時間40分で到着した。

 南原市外バスターミナルは小さくて暗い。
 見渡してもコインロッカーがない。
 構内に売店を出しているおばさんに声をかけた。
 ハングルのみだったので、ちょっと苦労したが、その店の奥にカートを預かってもらうことになった。
 2000W(250円)だと。高いな。
 南原に泊まるなら旅館に預かってもらえばよいが、意外と早く到着したので、観光後、全州まで行ってしまうことにしたのだ。
 同じバスから下りた中年女性も、やりとりに参加。
 この人もハングルのみだったが、親切心は伝わるのでうれしかった。

 住宅街を抜けて南の方角へ歩いた。
 たぶんこっちに川があり、川沿いに歩いていくと観光場所にたどりつくみたい。

 川の土手は桜のアーケードになっている。


蓼川沿いの土手

 川向こうの山の上にはお堂が見える。
 その右は観光団地のようだ。写真だけ撮った。

 おなかがすいたので、観光より食事が先。
 土手の上を桜見物をしながら歩いた。
 桜はまだ5分咲きくらい。
 風が爽やかで、川の音も心地よい。気分がいいね。

 しばらく歩くと、右に広寒楼があり、さらにその向こうに目的のセチブがある。
 なぜか遠くからでもわかったのだ。

 セチブの手前にも観光団体向けの食堂があった。
 年配の韓国人がいっぱい道路にたむろしていた。食後みたいだった。

 セチブは新しくて大きい店だった。
 左側の入口から靴を脱いで上がった。
 けっこうにぎわっている。
 10人くらいのグループや、2,3人連れが多い。
 ここの従業員は制服だった。
 黒地に赤がポイントの可愛いパンツスタイル。

 「チュオタン、チュセヨ」そして「メクチュもネ」
 副菜がいっぱい並んだ。
 もやしはスープとおひたしと2種類ある。キムチも種類が多い。
 そして、空心菜?のおひたしがとっても美味。
 メインのチュオタンはどじょうの姿ははっきりわからないが、小骨でわかる。
 けっこう量が入っているようだ。
 臭み消しにしょうがを使っている。
 もちろん唐辛子も効いているので、後でこたえる。
 ごはんをチュオタンに入れ、もやしも入れてみた。いろいろ楽しめる。
 これで7000Wはとっても満足だ。
 それに、途中でどんどんメインの補充にまわってくるのだ。サービスがいい!
 客は次々と回転よく出入りした。はやっているね。美味しいし、サービスもいいし。
 ビール3000Wとあわせて、10000Wをカード払いにした。



セチブのチュオタン最高!

  セチブから広寒楼へ向かう。


民家の密集している小道をのぞいてみた。       駐車場で見かけた電話BOX


 さて、本日の唯一の観光は春香伝の舞台、広寒楼。
 1600Wを払って入場した。
 わりと広いし観光客も多い。駐車場には観光バスが10台以上停まっていた。


広寒楼入口


 メインの広寒楼は奥まったところにある。

 前面にはいくつか池があり、島にお堂や竹薮があって、見事なロケーションだ。
 楼閣の上には上がれない。
 下から見ても天井の絵などカラフルで美しい。


 説明板が漢字で書かれている。
 ここはほんとに上がって近くでじっくり見学したい。
 想像していたよりずっと大きい楼閣ですばらしかった。
 角度を変えて写真を撮った。


 左の島    広寒楼の前面の池に浮かぶお堂    右の島


 右奥に春香祠堂があり、願い事をかなえたい参拝客が多いらしい。
 正面上にいるのは可愛い犬かと思ったら、兎らしかった。
 下に亀がいたのでね。


 春香の肖像画が本尊だった。


春香祠堂のまわりは、清廉な空気が漂っていた。    内部の絵もカラフルで華麗だ。


 敷地の隅に茅葺の一角があった。月梅チプというらしい。
 マネキン人形や家具で春香伝の世界を再現しているとのこと。
 池にお金を投入する人がいた。


春香伝の世界


 おそろしく長いブランコがしつらえてあり、中学生らしい女の子たちが乗っていた。
 これも春香伝がらみのモニュメントのようだ。

 最後に玩月亭に上がって、月を見る場所に腰を下ろした。
 いにしえを想像する。
 屋根のひさしが出ているので、空の面積が小さくなるのでは?

 敷地内には満開の梅やいろんな花が咲いていた。
 けっこうのんびり見学できた。


桜はまだまだ                           梅は満開


 外に出て、土手に上り、桜の下をぶらついた。
 あちこちでお爺さんたちが固まってなにかやっている。
 近づいて覗いたら、なんと花札だった。あのイノシカチョーだ。
 これって・・・・。
 60代後半から70以上というふうに見えた。それも男性ばかりだ。
 4人一組で、取り巻きが2人くらいずついる。それが5セットくらい。
 ということは総勢30人くらいだ。大花札大会だ。
 もしかして日本占領時代の置き土産?

      この南原は慶長の役ゆかりの万人義塚とか南原城跡などの史跡がある。
      それに19世紀には東学党の拠点のひとつだったようだ。
      南原郷校もたぶん、反日抵抗の砦だったのではないだろうか。
      今回はちょっと見学する心構えもないので寄ることはできないが。

 川向こうには春香伝を題材にしたテーマパークもあるようだった。
 あまり関心がないので寄らない。

 バスターミナルでカートを受け取り、窓口で全州行のチケット5000W(625円)を購入した。
 少し待ち、16:15の全州行のバスに乗った。

 道路はあまりよくなくて、けっこう揺れた。珍しいね。
 1時間くらいで全州に到着した。

 全州市外バスターミナル近辺には旅館街があった。
 ほとんど日本のラブホテル街という雰囲気だ。
 いちおうぐるりと物色してみる。
 結局遠くからも見えたシドニーモーテルにした。
 ビラビラをくぐると駐車場で、小さい入口の向こうに小さい窓口があった。
 これは車用の裏口だった。正面入口はちゃんと立派だった。

 窓口にはおじさんがいた。
 「パン、イッソヨ?」「オンドルパン?」「いいえ、チムデッパン」「30000W」「たのんます」
 とりあえず1泊分30000Wを払い、歯ブラシ2本とキーを受け取った。
 おお、エレベーターもある。
 新しい建物なのか、改装したてなのか、部屋はきれいだ。
 でっかいTVに冷蔵庫、ドライヤー完備。
 そしてうれしいことに水とお湯の出る機械が室内にあるのだ。


シドニーモーテル 1泊30000W(約3750円) 使い切れないテイッシュと右が給水湯器

 部屋からバスルームは丸見えのガラス張り。
 窓ガラスは鏡張り。入口には避妊具の自販機もあった。
 つまりソレ用のモーテルなのだ。ま、いいけど。
 ベッドシーツはパリッとしていた。しかし、掛け布団は何度か使用した様子。

 18:30外出。
 バスターミナル近辺を探索した。
 平屋建てだが、わりと広い。
 売店がたくさん並んでいる。
 食堂もいっぱいあって、外の通りに抜けられるようになっていた。
 通路の売店で明朝用のサンドイッチ1300Wを購入。
 ついでに、こぎれいな食堂に入って、ビビンパプを注文した。
 けっこう量が多い。味はまあまあかな。
 しかし、6000W(750円)もするのだ。


全州名物ビビンパプ               市外バスターミナルは食堂がたくさん並んでいる

 昼の南原のチュオタンが7000W(875円)だったことを考えると、ここは割高な感じがした。
 まあセチブがよすぎたのだとは思うが・・・。



4/6(木)  午前は全州、午後は群山

 7:00起床。天気はよさそう。
 サンドイッチとコーヒーで朝食をすませた。あまり美味しくない。

 9:00ころ部屋を出た。
 1Fの窓口は暗い。アニョハセヨーと声をかけると中で就寝中だった女性が2人目を覚ました。
 もう1泊お願い。ついでに「カッカジュセヨ」と値切ってみたが、ダメだった。30000Wのまま。
 2泊くらいじゃディスカウントなしだね。

 市外バスターミナルの前からタクシーに乗った。

 豊南門まで2600Wだった。
 豊南門は入場はできないが、立派な門だ。

 屋根はコンクリートで補修してあるのが横から見ると丸わかりで、ちょっと興ざめだ。



 すぐ近くの殿洞聖堂へ。レンガ造りの大きい教会だ。


 中に入ると信者の女性が熱心に祈っていた。





 向かいのインフォメーションで日本語のシティマップなどをもらった。

  
             慶基殿の前
 
 慶基殿を見学する。

 広いし見応えのある空間だった。
 説明版に日本語があるところも多く、わかりやすい。

 李成桂が祀られている本殿は撮影禁止。


この中央に李成桂が祀られている           右からの塀越しに眺めた


倉庫  なんて趣のある建物!


 護衛の人たちが生活していた左側の建物も再現されていて、とても興味深かった。
 見学者は意外と少ない。


この中に守僕庁などがある              御井 王様の食事に使われる水を汲んだらしい

 少し歩いて、東学革命記念館へ。
 ワンフロアが展示室になっていた。
 窓口に声をかけて電灯を点けてもらった。
 ・・・・・・・・・・・・・
 予想はしていたが、日本人の私にとってはキツイ展示だ。
 過去の日本の植民地支配、反日運動に対する弾圧は酷いとわかっている。
 だが、写真を目のあたりにすると、やはり気分は悪い。 


東学革命記念館


これぞ韓屋という雰囲気の屋根を発見
レンガの塀もいい感じ


哀しげなおとなしい子だった

 気を取り直して、美しい家並みでも見よう、と梧木台へ。
 頂上への坂道は工事中でブルドーザーで地ならしをしていた。
 石材などがあちこちに置かれている。
 韓屋の眺めは期待しすぎた。



梧木台からの韓屋の眺めはまあまあ         李成桂が戦勝を祝って宴会した場所

 南側に下りて、ぐるっと迂回し、郷校を目ざした。
 全州郷校には渋い建物が残されていた。
 創建は高麗時代だが、今のは16世紀後半のものらしい。



 地元のおじいさんたちが中に出入りをしていた。
 桜草などの花がきれいだった。



 そろそろ12時なので、ランチにしよう。
 全州といえばビビンパプだ。
 家族会館が有名らしいので、そこにする。

 12:10ころ家族会館にたどりついた。
 店に入り、1人だというと、なんとか席には案内された。
 しかし、なかなか注文を聞きに来ない。
 私より後で入店した2組はもうすでにオーダーも済み、副菜がテーブルに並べられている。
 すぐ隣りのテーブルなのだ。
 これはわざと無視しているとしか思えない。
 向こうから来るまでじっと待ってやろうか、とも思ったが、時間がもったいない。
 10分ほどたって店員の1人に声をかけたら、待て、という。
 そしてまた別の人にも注文取ってよ、と催促したがすぐに来ないのだ。
 まったく一人客がいやなら最初から席に案内するなよ!
 帰れといわんばかりの対応だ。
 ようやくメニューと注文表を持ってきたのは、入店して20分くらいたっていた。

 ビビンパプを頼んだつもりだったが、トルソッビビンパプが来た。まあいいけど。
 副菜は12品あった。これは見事。
 さつまいも煮とかカレー味のゼリーものとか、なかなか凝っていた。
 トルソッビビンパプも美味しかったが、絶品というほどではない。
 なにしろ接客の感じが悪すぎるので、料理の内容がまずまずでも印象はよくない。
 まあ値段的にはこれで8000W(1000円)は破格に安いと思う。
 メインは完食したが、副菜は半分くらい残した。


家族会館のトルソッビビンパプ   ガイドブックに出ている有名店だが最悪サービスの店だった!


 客舎を見学。なんということはない。
 タクシーで市外バスターミナルへ。

 午後は例の本に書かれている、群山へ行こう。
 バスのチケット群山までは4000Wだった。
 
 13:30ころバスが発車。

 群山に近づくにつれて、道の両側には桜の木が目立った。
 しかし、まだぜんぜん咲いていない。
 こりゃあ群山の桜もダメだな。

 1時間で群山のバスターミナルに着いた。
 ちょっと寒い。全州より気温が低い。
 今日は最高18℃だというので、ジャケットは着てこなかった。しまったかも。

 迷わずタクシーに乗り、ハングルのメモを見せて月明公園へ向かってもらった。

 麓の寺の前で下ろしてもらった。
 坂を上がってあっちだよ、と運転手は親切だった。
 この寺は元は東本願寺。日本の寺だったのだ。


興天寺


 石段を上がって月明公園へ。


月明公園中腹から港方面の眺め

 桜の名所なのだが、あー、やっぱりまだ蕾だ。
 そうとう膨らんではいるが、あと1週間は必要かな。 


 頂上のモニュメントをめざして階段を上がると、海の眺望が開ける。
 彫刻のある一角もあった。


 けっこう人出がある。
 ウォーキングとかちょっとした散策にもよいところだ。
 しばらく海を眺めた。

 日本家屋の残るあたりをうろついた。
 五分咲きくらいの桜を見つけて思わず撮影する。


 群山のこのあたりは、
 あの本、「日本の昭和を歩く」で読んだとおり、ほんと日本の小都市みたい。
 それも再開発前の。
 家並みに美しさは感じない。
 だが、なんか不思議な奇妙な感じだ。

 60年以上も前にたくさんの日本人が住んで生活していたのだ。日本の国じゃないのに。
 「8月のクリスマス」のロケ地に使われたそうだ。
 未見だし別に興味はないが。
 こういう旧日本の残し物を文化的に利用するなんて、韓国人は逞しいし利口だ。
 群山の街を歩くと、なんといっていいのか、複雑な気分になる。

 ベーカリーを見つけたので、2個購入。
 なにしろ全州のバスターミナルあたりには気のきいたパン屋が見当たらないのだ。探せばあるだろうが。
 
 大学路から海方向へ向かい、古めいた建物を撮影する。
 少し右にある旧朝鮮銀行群山支店は無残な姿をさらしていた。
 最後に使われたのが、キャバレーだったのか、その装飾をつけたまま朽ちようとしていた。
 屋根は錆び付いたトタンだ。ひどいね。
 往時はさぞや、と想像させるような立ち姿だけに哀れだ。


旧朝鮮銀行群山支店


 タクシーを使おうかと思ったが、なんとなく歩いてしまった。
 交差点で1箇所迷い、通りすがりの男の子に尋ねた。

 ようやくバスターミナルにたどりついたが、チケット売場に全州のボタンがない。
 ここは窓口はなくて自販機だけなのに・・・。
 近くにいる人やもぎり席にいる人に聞いた。
 乗り場はここだが、全州行の切符自販機は隣りの建物らしい。
 まったくわかりにくい。
 まあバス会社の人らしい人物は案内してくれたので、なんとかチケットを購入できた。

 16:30ころ発のバスに1時間乗り、全州にもどってきた。
 シドニーモーテルにもどった。
 カッカジュセヨのおねえさんから鍵を受け取った。

 部屋はきれいに掃除されていて、バスルームの床も流した跡があった。
 タオル3枚(フェイスタオルのみだが)もちゃんと交換してあった。
 なかなかゆきとどいたモーテルだ。
 冷蔵庫内のスティックコーヒーやパック入りオレンジジュースも補充されていた。

 19:00夕食に外出した。
 市外バスターミナルの食堂街へ。
 年配女性2人が休憩していたのでもう閉店かと思ったが。
 コンナムルクッパプ4000Wを頼んだ。
 家庭的な味で美味しかった。
 キムチも3種類付いた。大根キムチがあっさりしていて、いつも完食だ。
 2人に「イルボン?」と聞かれたので、「ネー」と答えたが、だからなんなの?
 確認したかっただけかね?


4000W(約500円)はお手軽価格だ              店の名前はわからない


 明日は無事に扶余にたどりつけるだろうか・・・・・?
 

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