針灸院探しの手引き (眼科領域をはじめ、様々な難病へ対応できる治療院の探し方) 本文へジャンプ

・千秋針灸院の受付では、「近くで良い治療院はありませんか」という問い合わせが、とても多くなっています。鍼灸院を探すときの一般的な考え方とともに、眼科領域をはじめ、様々な難病へ対応できる治療院の探し方を書いてみます。ちょっと(かなり)お節介かなと思いましたが、最近はインターネット上で検索上位の治療院へ、「何度通っても良くならない」、「毎日のように通わされ、高額の治療費がかかる」等、トラブルが増え始めているようです。

・実際に治療をはじめてみないと分からない場合や、どうしても鍼灸治療で難しい病気や症状はありますが、比較的安価で良質な治療を続けている治療院も少なからずありますので、探している方の参考になればと思います。


針灸院探しの手引き(一般向け)

・私が提携治療院の無い地域の患者さんに治療院を提案する場合、プロの視点から私が自分で通って治療してみたいと思える治療院をご紹介しています。この手引きは針灸治療の場合です。その他の療法については当てはまらない場合があります。

@...治療に通える距離にあること

・たとえどんな名医でも、1回で治る病気ばかりではありません。一度は評判の良い先生に診ていただくのも良いですが、慢性・進行性の疾患では治療回数がかかり、長期間の治療継続が必要となります。疾患によってはあまり治療間隔が空くと効果が薄くなります。少なくとも数ヶ月間までは、週に1〜2回は通える範囲にある治療院を探しましょう。

A...病気の説明や必要な検査を行い、症状を聞いてもらえること、必要な指導を受けられること

・患者さんの立場で納得できる病気の説明や、治療院でも可能で必要な検査を受けられること。様々な症状を問診し、対応した治療をして貰えること。脈や舌で治療者が判る部分もありますが、それだけで全てを理解できるほど単純な疾患ばかりではありません。問診を含めたコミニュケーションはとても大切です。また自分や家庭で可能な運動・食事等、必要な指導を受けられることも重要です。病気の部分だけでなく、生活全般を診る視点が欲しいところです。

B...安全で体に負担の少ない治療法であること

・ディスポ鍼等の普及によって最近では鍼治療の安全性は高まっていますが、確認はした方が良いかもしれません。灸法では直接灸は良く効きますが、消えない痕が残る場合があります。鍼による内出血は数日で消えますが、起こり易い方は治療者に相談して配慮してもらいましょう。治療後に若干体がだるくなるのは、治療によって体の緊張が緩むためですが、治療毎に数日寝込むような場合は刺激量が強すぎます。千秋針灸院では治療時間の加減や、鍼の総数、低周波通電の有無など、様々な方法で解決しています。

C...治療を必要以上に通わせたり、長引かせないこと。モノを売りつけないこと

・定期的に体の状態を整える目的の治療を除いて、必要以上に治療を長引かせるのは考えもの。いつかは治療を離れて生活できることを目指すべきです。調子の悪い時期はしっかり通って、病状と相談しながら徐々に治療から離れていくのが本来の治療の姿ではないでしょうか。また、漢方薬等を併用する治療院を除いて、様々な健康食品等を売りつけるような治療院は避けたいところです。領収書を求めても出さない治療院もどうかと思います。千秋針灸院では、特に眼科領域では様々な測定・評価から、良好な結果を必要最小限の治療回数で得られます。疾患にもよりますが治療開始初期で週1〜2回、状態改善後の良好な状態維持を目指す場合は、週1回〜月1回が標準です。

・また最近では毎日のように通院させたり、一日に数回も治療する治療院があるようですが、最初の数回だけに限って、毎日治療したほうが良好な結果が得られる疾患や症状は、急性の腰痛(ぎっくり腰)や疳の虫、逆子等、ごく限られたものだけです。慢性疾患や進行性の疾患は、ある程度初期には治療間隔を詰めて行うことも必要ですが、少なくとも一日は間隔を空けた方が良い結果が得られることを確認しています。必要以上の治療で反って回復を悪くしてしまっている場合もありますので、遠方で宿泊しながら等の特殊な理由がなければ避けましょう。毎日などの過剰な治療は患者さんのためではなく、治療院の経営的な事情と考えて間違いありません。


D...高額な治療費で無いこと (治療費を比べてみましょう。治療院の考え方が最も反映される部分です)
・鍼灸治療は原則として自由診療ですので、治療費は内容や周辺の相場などの事情から、個々の治療院で大きく異なっています。しかし慢性疾患や進行性の疾患では、長期間に渡る継続した治療が必要なことから、通院に関わる時間的、経済的な負担は相当のものになります。治療院が遠方であることや、治療費自体が高いことは、通院が必要な患者さんにとってマイナス要因です。また治療費には、立地などコストの違いはあるものの、治療院の考え方が最も露骨に反映されています。親身になって治療していただける良心的な治療院は、それほど高額な設定はできないものです。

・千秋針灸院では特に眼科領域においては、全国の提携治療院と当院による連携治療のネットワークを活用して、眼科領域での専門性の高さの確保と、比較的近隣で治療を続けられるメリットの両立を目指しています。まだ提携治療院が無い地域については、良質な治療を提供可能と考えられる治療院をインターネット上から探すことも試みていますが、自費の治療費は最大で当院の2倍までの金額と考えています。これ以上の料金は日本国内では必要無いと思われますので、ご紹介していません。仮に当院へ2倍の通院回数があったとすれば、鍼灸の治療結果で見劣りすることは、眼科領域以外でも考えられないからです。


E...鍼灸の専門治療院であるか、また所属団体も確認しておくこと
・鍼灸の専門治療院かどうかは、鍼灸治療の実績の有無を考える上で、大きなポイントになります。マッサージ・整体等を行っていない鍼灸専門の治療院は、鍼灸治療自体で十分な結果が伴わなければ5年、10年と続けていくことはできません。長期間、純粋に鍼灸治療だけで診療を継続できる治療院は、少なくとも結果を出せる可能性のある鍼灸院と考えてよいはずです。ただし鍼灸専門という看板を掲げていても、実際には異なる場合もありますので注意しましょう。

・また所属団体として、全国レベルでは「日本鍼灸師会」、「全日本鍼灸学会」、地方レベルでは「各県の鍼灸師会」などに所属していることは、その治療院・先生の考え方や努力への意識の高さが分かります。その他にも例えば、私の所属している「抗加齢医学会」や様々な勉強会など、必要な情報収集や勉強を続けていくために、努力をされている先生は、各種団体に加入していることが多いです。ただし中には実態の怪しい団体や認定もありますので、参考程度にした方がよいでしょう。掲げている名前=実力とは必ずしも言い切れません。


・いろいろ挙げてみましたが、波長〔気〕の合う治療者ということも大切かもしれません。実は治療者側も波長の合う患者さんは肌で判るものです。こういう場合は治療効果が上がり易いので、患者さんや治療者にとっても良い出会いになります。調子の悪いときはしっかりお世話になって治していき、また悪くなったらいつでも安心してかかれる治療院を1つくらい見つけておくと良いと思います。なぜか感覚的になってしまいましたが、まずは近所の治療院から探してみましょう。

・またインターネット時代ですから、ホームページを持ち、料金等も明示されていると、なお良いです。私が相談を受けた時には、直接の知り合いの先生もしくは、ホームページを持ち患者さん自身に内容等を確認してもらえる治療院を紹介しています。


なお、リンクにある鍼灸専門治療院ネットワーク、あるいは眼科領域の提携治療院とは、一般にある自薦の治療院リンクではなく、上記の視点から、私達プロが互いに認め合った治療院が相互リンクをしていこうという主旨です。鍼灸治療としての流派は異なっても、様々な疾患に対して真摯に毎日の診療に取り組んでいます。今後の展開にご期待ください。

眼科領域をはじめ、様々な難病へ対応できる治療院の探し方


・一般に良質な鍼灸院の条件と考えられることを上げてみましたが、更に現代医学では治療が難しい疾患に、対応できる治療院をどう探すかという観点で書いてみます。実はこのような問い合わせは、とても多いです。
・千秋針灸院は専門とする眼科領域だけでも、毎年延べ5.000名以上の患者さんを診せていただき、また眼科領域の勉強に集中することで、ようやく鍼灸治療の専門性について一定の結論を出すことができました。

東洋医学のひとつである鍼灸は医療の幅広い分野へ、一通りの対応が可能ですが・・・
・中医学をはじめ、東洋医学は「部分ではなく、体全体を診ている」ことから、鍼灸治療はひとりの治療者で、医学の幅広い分野に治療自体は対応できる可能性があります。実際、私も眼科領域だけではなく、クローン病をはじめ様々な難病から、五十肩や腰痛症まで対応し、ある程度の治療効果は普通に出すことができます。しかし、眼科領域について言えば、大学病院をはじめとした専門の医療機関でも、十分な治療が行えないような難病に対しては、単に鍼灸治療を行っただけでは容易に改善しない場合は少なくありません。

本物の専門性とは、ある分野に関わる全てを説明できるよう努めること
・千秋針灸院の場合は、眼科医学に基づいた視機能の測定に力を入れ、実際に「見え方がどのように変化しているのか」を、患者さんと共に確認しながら治療を進めていきます。客観的な測定・評価を繰り返すことで、私自身が統計的・経験的にも「必要な治療法と治療間隔」、「改善するパターン」、「予後の予測」など、難病の治療に必要な内容を、特に同一病名で100名以上の症例数があるような病気では知り尽くしています。

・また鍼灸治療に限らず、眼科医学としての基礎から、実際に病院で行われている検査法、診断学、薬学、手術などの知識や、サプリメント等の栄養学、日常生活での目に関する注意点まで、眼科領域に関わる全てを理解し、患者さんへ適切に説明できるよう努めています。目指すところは「眼科専門医と同じ内容を話すことができ、患者さんの環境に関わる全てをサポートできること」です。一方で他科から処方される間違った薬や、日常生活の問題点が、期待できる鍼治療の効果を打ち消してしまうことも度々経験しています。針治療に加えて、患者さん自身が環境を変える努力も手伝って、徹底して眼科領域への取り組みに集中することで、ようやく現代医学の常識を超えた結果さえ、少しずつ出てくるようになりました。

医学の全ての分野で本物の専門性を発揮できる「広く深い」治療院は存在しない
・ここまで書いてきた観点からすると、膨大な内容を持つ医学の様々な分野や個々の疾病に対して、本当に専門的に対応するためには、医学の各分野に専門医が存在することと同じく、鍼灸師も対応する医学分野を限定して取り組む必要があり、「一人の治療者が、全ての医学分野を完全にカバーすることは不可能」と、断言できます。しかしながら、私たち治療者も自分の価値観で鍼灸の仕事をしていますので、「幅広い分野で患者さんの役に立ちたい」との考え方も成り立ちます。このあたりは個々の治療院の価値観や事情によります。

・このようなことから現在の鍼灸院には「狭く深い」当院のような治療院と、「広く浅い」一般の治療院に分かれ、両立することは有り得ません。当院との提携治療院についても基本的には「どちらか」であり、当院の測定で眼科領域での一定の治療効果を認められることから、各地域で近隣の患者さんをご紹介し、通院可能な地域での治療をお願いしているものです。私としては特定の専門分野を本当の意味で深く理解し、患者さんの期待に沿える結果を出していける治療院が増えていくことが、今後鍼灸に求められる方向性の一つと考えています。

様々な分野や病名を数多く並べ効果を語る治療院は、本当に専門性が高いとは言えず注意が必要
・ホームページを持つ一部の治療院の中には、多くの病名を挙げた上で、更に有り得ない程多数の症例から何割が治癒している等と、どう考えても無理な説明をしているところがあり、かなり多くの患者さんが一度は通われているようです。私も確認していますが、眼科領域の説明などは教科書的で正しく書かれています。しかし実際の話を聞くと、「高額で毎日治療に通わせる」、「眼科的な測定等は全く無い」とのことで、こうなると改善や治癒の根拠すら疑わしいものです。こういった治療院が増えて苦情も出てくると、美容整形のようにネット上で規制される恐れもあり、情報が必要な患者さんに届かなくなってしまうかもしれません。

・最近になって、当院とは無関係の治療院に通ったが、「さっぱり良くならない」などの苦情が頻繁になってきました。あまり他の治療院を批判したくはないのですが、当院のスタッフが診療を中断して、長時間に渡り電話で対応する場合も少なくありません。当院では電話での問い合わせについては、患者さんの詳細な状況が分からないことや、診療中は私が電話に出ることができませんので、十分な受け答えができかねますことはご了承下さい。そこでホームページや宣伝などに惑わされず、「本物の専門性を持ち合わせている治療院かどうか」、が分かりやすくなるポイントを挙げてみます。

・眼科を含めた難病の専門治療院と称する一部の治療院では、眼科医院や関連するHPの説明、私がHP内で書いている眼科疾患などの内容を、自院のHPにそのまま、もしくは改変して掲載しているケースが目立ちます。こうした治療院は眼科関連のHP情報や千秋針灸院の説明を真似ているだけで、本物の専門性を備えた治療院ではありません。初診時には病気や症状について、眼科で行われる検査や手術、投薬についてなども詳しく聞いてみて下さい。あらかじめインターネットなどで知識を得ておいてもよいでしょう。先生が各分野の専門書などでしっかりと学んでいる場合には、その場で十分な説明をしていただけるはずです。

・鍼治療の評価をどのように行っているかもポイントです。自院では測定等を行わず、「病院で検査をして貰って下さい」に終始する治療院では、検査結果や画像を正しく判断する知識や経験がありませんので、良くも悪くも眼科医任せになります。この場合、眼科でも治療を行っている場合には「注射や点眼薬などの効果」、経過観察だけの場合には「何もしないのに良くなるわけが無い」と決め付けられることが多くなり、例え正しく鍼治療の効果が出ているケースでも、患者さんは次第に疑心暗鬼になり治療が続かなくなります。眼科での検査は必要ですが、当院のように眼科学に基づいた評価法が行われていれば、鍼治療の効果や医薬品の効果を客観的に評価して、詳しく説明できるようになり、また患者さんの自覚できる変化とも多くは一致します。

・眼科領域であれば、眼科領域の専門性を担当する当院と、優れた治療水準を持つ提携治療院による連携した治療が、現状では最もお勧めできる内容と思いますが、これから専門性の高い治療院を探されるのであれば、
「周辺他院に比較して高額ではないこと、毎日のように治療に通わせることがないこと」、「治療だけでなく医学的に客観性のある測定・評価法を取り入れている」、「病気や生活などの全てについて、納得のいくまで詳しく説明できる」ことが条件になります。以上が満たされていない治療院は、残念ながら本物の専門性は有りません。どうしても良くならない難しい疾患もありますが、鍼灸治療に関心を持たれた方が、良質な治療院に巡り会われることを願っています。


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