眼瞼けいれん        更新日 2015.6.3   1.002 本文へジャンプ
眼瞼けいれん、メージュ症候群、眼輪筋ジストニア、瞬目異常、線維束収縮(目の周囲などがピクピクする症状)、顔面けいれん(眼科領域ではありませんが、類似した症状があります)

○現代医学での概要
○針灸治療の実際
○患者さんからよくある質問
○院長よりひとこと
○関連リンク・参考文献

現代医学での概要

・眼瞼けいれんは、目周囲の筋肉(眼輪筋)が過度に収縮することで、無意識に過多の瞬目(まばたき)を起こす症状です。中枢神経系の障害によって正常な瞬目ができなくなるもので、瞬目過多、強い羞明感(まぶしさ)、眼を開けていられない、眼の不快感や乾燥感などを生じ、重症例では口輪筋などの運動障害もみられます。原因が不明とされる本態性眼瞼けいれんは40歳以降の女性に多い傾向があり、概ね4割の症例でドライアイを合併します。また向精神薬や抗不安薬による薬剤が原因となる場合も有ります。また症状によりMeige(メージュ)症候群と診断される場合も有ります。

・眼科での治療は、A型ボツリヌス毒素(ボトックス)を眼の周囲に注射することで、眼輪筋などの筋力を低下させて開瞼を行いやすくするものです。しかし注射後から3〜4ヶ月で効果は消失するために、繰り返し注射を続けなくてはならないことや、一過性に顔面部のこわばり感や流涙、閉瞼不全による角膜障害を生じたり、後遺症として眼瞼下垂が残ることがあります。またボツリヌス療法の無効例は2割程あり、眼科での治療ができない場合も有ります。


・眼瞼けいれんに近い症状として、眼瞼部を含めた目の周囲が数秒間ピクピクと不規則にけいれんを繰り返す線維束収縮があります。神経の皮膜の一部が障害されて起こるもので、疲労やストレスで悪化しますが多くは数週間で自然に収束します。ただし目の周囲以外でも同様なけいれんが続く場合には、多発性硬化症も疑われますので注意を要します。

顔面けいれんについては、けいれんが片側に限られることや、眩しさの症状があまり無いこと、口元の症状が強い場合が多いです。厳密には眼科領域ではなく脳神経外科の領域ですが、来院される方が多いため、このページに書いています。顔面けいれんについては、脳の深部で顔面神経と脳内の血管が干渉して生じているもので、根本治療としては手術となり、ボツリヌス療法は対症療法になります。


・千秋針灸院では針治療により、副作用のリスクもあり対症療法に過ぎないボツリヌス療法や薬物治療に頼らず、眼瞼けいれんを軽減する効果を挙げています。適切な針灸治療で症状を抑えながら、発症の原因となる問題をできる限り解決することで、眼瞼けいれんは安全に軽減し、軽症例では終息へ向かう可能性があります。ボツリヌス療法に対しての不安や無効例、副作用がある場合などでは、当院の針治療もご検討いただけたらと思います。また線維束収縮については自然に治ることも多いのですが、針治療により循環改善や疲労回復を促すことで回復し易くなります。1ヶ月以上けいれんが続く場合には、適切な針治療もご検討下さい。

・顔面けいれんについては、根本治療については手術が唯一となりますが、当院の針灸治療により比較的落ち着く症例は多いです。ボツリヌス療法に比較して安全性は高く、対症療法としては選択肢の一つと成り得ます。手術は神経を傷つけ麻痺を生じるなど障害を残すリスクもあるため、手術に踏み切る前に安全性の高い針灸治療から検討されることをお勧めします。

ページのトップへ

針灸治療の実際


・治療開始当初は週2回〜1回、その後は週1回以下へと良好な状態を維持できる治療間隔を設定します。

・患者さん毎に症状の内容や重さは多様ですので、初診時の問診や状況から週2回もしくは1回程度の適切な治療間隔を設定します。治療開始当初の数回で症状は軽減したり、軽いものでは消失することも多いため、鍼治療の効果は直ぐに自覚できます。初回治療の直後には、まずは目が開けられるようになり驚かれる患者さんが多いです。ただし治療開始当初は針灸治療の治療間隔が空いてしまうと、症状が戻ってくることが多いため、症状が戻り切らない程度の治療間隔が必要です。当院では症状が軽くなってからは、週1回〜隔週1回程で継続されている患者さんが多い傾向です。

・眼瞼けいれんでは頚肩部、腰背部、手足、目の周囲、頭部などに針を行います。

・眼瞼けいれんに必要な基本的な経穴(ツボ)と、様々な症状に合わせた部位や経穴に針を行います。概ね8歳以上の子どもさんが行っている治療ですので、強い痛みや出血などの心配はほとんどありません。現在では低周波針治療を一部に取り入れることで、以前に比較して効果が高くなってきました。

・顔面けいれんでは、針治療に加えて顔面部に温灸を行うことで効果を高めています。
・顔面けいれんでは顔面部に温灸を行うことで、症状が落ち着きやすくなります。当院のスタッフが付き添い、丁寧に行っていきますので、火傷の心配もありません。

ページのトップへ

患者さんからよくある質問


Q.針灸治療で眼瞼けいれんなどは治癒しますか、再発はしませんか

A.針灸治療で多くの場合に症状は軽減しますが、状態によっては完治は難しく、再発する場合も有ります。

・針灸治療の効果は症状・程度により異なります。眼瞼けいれんは軽症の場合は治癒するケースもありますが、一般に軽減・安定は見込めるものの完治は難しい傾向です。逆に線維束収縮では、重症例を除けば数ヶ月以内に治癒していきます。顔面けいれんについては完治は見込めませんが、重症例を除けば軽減・安定するため、手術までは必要なくなるケースが多いです。

・適切な方法やペースで針灸治療を行えた場合には、数回までの治療で様々な症状は軽減したり、軽度な症状については消失を確認できることが多いです。ただし眼瞼けいれんの症状は羞明感(まぶしさ)や瞬目過多、ドライアイ、眼の違和感、顔面の不随意運動やこわばりなど多岐に渡ります。また原因も向精神薬や抗不安薬、ストレスや疲れ、睡眠不足など様々な要因があり、複雑に関係して神経障害が生じています。このため原因が複雑で症状が重く多岐に渡る場合では、全ての症状が必ずしも軽減・治癒することは難しい場合があります。

・針灸治療の効果としては、様々な症状がある患者さんでは比較的軽い症状は消失し、やや重い症状は軽減することが多く、治療を続けながら発症の原因を改善・解決することで、次第に治療間隔を空けながら比較的良好な状態を維持していく症例が多いです。全般に比較的軽症な場合には治癒することもありますが、症状を悪化させる原因が生じた場合には再発する場合もあります。眼科でのボツリヌス療法(ボトックス)などに比較して、副作用が無く長期間継続しても安全であることが最大のメリットです。


Q.安定剤などを服用しても大丈夫でしょうか。

A.眼瞼けいれんに影響を与えやすい薬と、それほど心配の無い薬があります。

・発症や悪化の原因となる薬剤としては、向精神薬、抗不安薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬などが挙げられますが、特に睡眠薬として処方されているベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系の抗不安薬が問題になります。心療内科や内科で頻繁に処方される薬ですので、来院される際には服用されている薬のリストをお持ち下さい。眼瞼けいれんの発症や悪化に繋がる内服薬は、問題の少ない薬に変更していただくことをお勧めします。

・ベンゾジアゼピン系薬(チエノジアゼピン系薬を含む)・・・ハルシオン、サイレース、デパス、レンドルミン、マイスリー、リーゼ、メイラックスなど。記載以外の薬についても、製薬会社により商品名は異なるため注意が必要です。医師に「副作用の心配はありません」と説明される場合もありますが、副作用発現の条件として眼瞼けいれんの無い方には新たに生じる可能性は低くても、既に発症している症状に対しては更に悪化させる可能性が高くなります。副作用を生じる基となる条件が異なれば、当然結果も変わってくると考える方が賢明です。


Q.日常生活での注意点は何かありますか。

A.目に対する刺激を避けることや、血流を悪くしない事に気をつけましょう。
・様々な理由により風が顔面部に当たると刺激+乾燥により悪化することが多いです。強風やエアコン・扇風機などからの風が直接当たらないようにして下さい。また日光に加えてLEDなどの強い光も刺激になります。コンタクトレンズも刺激になりますので、できる限り避けて下さい。外出時は遮光眼鏡やつばの広い帽子を利用し、テレビやスマホなどはブルーライトを軽減する眼鏡等の使用をお勧めします。また可能であれば室内の明かりは現状ではLED照明を避けましょう。ただしLED照明の問題については今後の製品改良で改善する可能性はあります。千秋針灸院内では患者さんの目への負担を考え、非常灯などを除き全ての照明でLEDを使用しないことを徹底しています。

・またストレスを溜めないことや、タバコなどの血流を低下させる行為を止めることも大切です。眼瞼けいれんなどは神経の異常な興奮が原因ですが、全ての神経は血管に囲まれ血流により栄養されています。血流が悪くなると神経は正常な機能が失われ、自律神経に代表される様々な調節力も発揮され難くなります。日常生活に軽い運動を取り入れたり、十分な睡眠や栄養を取ることが大切です。時々、タバコを吸わないと反ってストレスが溜まるなどという患者さんがありますが、タバコによる血流低下や煙による刺激も症状を悪化させる原因です。


Q.針灸治療はボトックス注射との併用はできますか。

A.ボトックス注射との併用は問題ありません。結果的にボトックス注射を減らすことに繋がります。
・針灸治療とボトックス注射の併用は可能です。当院へ来院されている患者さんにもボトックス注射と併用されている患者さんもあり、結果的にボトックス注射の回数を減らすことにつながります。比較的楽な間は針灸治療のみとして、季節要因や仕事・生活上の要因から辛くなった時だけボトックス注射を行う方もあります。当院としてはボトックス注射を積極的に勧めるものではありませんが、症状が重い場合など状況により注射も上手に利用して、ボトックス注射の回数を減らすことを目的に針灸治療を併用することは、安全性や長期的な観点からも正しい治療法と考えています。

・患者さんから見た針灸治療の効果は多くの方で、「ボトックス注射がよく効いている時ほどの効果は無いものの、調子の良い日や時間が多くなる傾向」。「調子の波もあり時々悪い日もあるが、気がつけば平均的に調子が良くなっている」という話です。現在の医学で治癒が見込めない眼瞼けいれんなどでは、精神安定剤やボトックス注射のような副作用の心配が無い針灸治療を上手に取り入れ、、長期間安全に程々の状態で落ち着いていくことが大切になると思います。

・近年ボトックス注射を行った後から、不随意にけいれんしてしまう範囲が拡大する症例が増えているようです。現在詳細を調べていますが、注射によるボツリヌス毒素の一部が病所だけでなく健全な部位に流れてしまうことがあり、広範囲に末梢神経が死滅・障害されることで口元や喉が麻痺し、更に後から神経が再生する際に表情筋への間違った神経接続が起こり、顔面神経麻痺の回復過程と同様な形で病的共同運動を生じているものと思われます。こうした状況が事実であれば、ボトックス注射は繰り返すほど状況を悪化させることに繋がりますので、慎重に行うことが必要です。なお病的共同運動とは、口と目が同時に動いてしまうような症状であり、一旦生じると数年以上など長期間続くことが多く、現在の基本的な治療はボトックス注射ですが、実際には解決しないことも多いです。

ページのトップへ

院長よりひとこと


・眼瞼けいれんは様々な症状を伴い中枢神経が障害される疾患で、完全な治癒を期待できる治療法はありません。対症療法として眼科でのボツリヌス療法(ボトックス)などを行っても、数ヵ月後に再発したり副作用を生じることも多く、別のトラブルを抱えてしまうことも少なくありません。眼瞼けいれんについては、どちらかというと針灸治療も対症療法の一つではありますが、全ての眼科的な治療に比較して長期間続けても安全であり、線維束収縮(目の周囲のピクピク)や比較的軽い症状であれば消失することも期待できます。

・千秋針灸院では眼瞼けいれんや顔面けいれんの患者さんは増えつつあるため、症例数の積み重ねが進むと同時に治療法の改良を続けています。現在のところ眼瞼けいれんでは特定部位への低周波治療に効果を認めることや、顔面けいれんでは温灸を用いた治療が効果的であることが分かってきました。今後も治療の評価・改良を進めることで、安全で効果的な針灸治療を実用化していきたいと考えています。

・現在、千秋針灸院で行っている改良された針灸治療は、中医学を基礎にしながらも中国系の針治療に多い強刺激、電気針などとは異なり、強い痛みや内出血などのリスクはほとんどありません。原因となる薬を休止したり、日常生活での課題を改善しながら適切に針灸治療を行っている患者さんでは、関係する頚肩部の凝りや眼の疲れなどの症状への治療と共に、眼瞼けいれん自体も改善しています。また同時に視力などの向上が得られる場合もあり、視機能の改善や良好に維持されることも期待できます。数回の治療で変化し易い疾患ですので、眼科での治療に不安がある患者さんは当院で初診を受けられ、当院もしくは提携治療院などでの適切な針灸治療もご検討下さい。

ページのトップへ

関連リンク・参考文献


○リンク・・・
参考文献・蔵書一覧
○リンク・・・眼科領域の測定・評価法


ページのトップへ

  ・本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いたものです。
・内容や画像は千秋針灸院の著作物です。無断での転用や複製はお断りします。