アトピー性皮膚炎   更新日 2013.2.1   2.006 本文へジャンプ

○現代医学での概要と当院の針灸治療
○ステロイド外用薬の全身への副作用について
○当院での治療効果の実際
○患者さんからよくある質問
○院長からひとこと
○関連リンク・参考文献


現代医学での概要と当院の針灸治療

◆アトピー性皮膚炎◆
・アトピー性皮膚炎は、再燃を繰り返す掻痒感をともなう湿疹病変を主体とする疾患です。症状は左右対称現れることが多く、慢性化する傾向にあります。

・先天的な遺伝子変異などにより、Ige抗体を産生しやすい素因を持ち、皮膚のバリア機能が低下しているとろに、さまざまな外的要因(刺激となるもの)が作用してかゆみが生じます。乾燥や汗、気温の変化が増悪因子となるため、季節によっても症状の強さは異なります。

・子どものころに発症することが多いのですが、近年では大人になってから初めて強いアトピーを発症する人も増えています。皮膚科での治療は皮膚症状に対して、ステロイド外用薬、プロトピック軟膏、保湿剤、抗アレルギー剤等が用いられます。


◆アトピー性皮膚炎と眼疾患◆
・アトピー性皮膚炎の患者さんでは、顔面部にかゆみの強い方も多く、目のトラブルや眼疾患を合併する可能性もあります。

・顔面部の炎症が眼瞼部(まぶた)に生じ腫れなどを伴う場合は、アトピー性眼瞼炎と呼ばれます。またアトピー性皮膚炎の約10%に白内障、約6%に網膜はく離の合併がみられます。目の周囲をかくなどの外的な刺激が要因になっていると考えられます。目を叩いたり、掻かないことは重要です。当院は眼科領域を専門としており、眼の合併症にも注意しながら治療を行います。アトピー性角結膜炎についても、アトピー性皮膚炎の状態が改善していくのに前後して、良好な状態へ向かいます。点眼薬での治療を行う場合には、ステロイド系点眼薬は使用せず、抗アレルギー薬の点眼をお薦めします。

◆中医学でのアトピーのとらえ方◆

・中医学では「牛皮癬」、「摂領瘡」などとよばれる疾患に近いと考えられます。
・七情内風(感情の乱れやストレス)、風邪(いわゆる外的要因など)の侵入により、体の中の気、血、水の流れが悪くなり、皮膚が十分に栄養されないためにおこると考えられています。
・中医学で云われるところの涼血清熱、養血潤燥、息風止痒を目的とした治療が主となります


◆当院での治療法◆

・当院ではアトピーの治療に、お灸は原則使いません。鍼のみの治療としたほうが安定してよい結果が得られるようです。

・また赤ちゃんのアトピーについても、刺さない「小児はり」で治療をすることが可能です。発達に伴う免疫力の成長のためにも、可能な限りステロイド剤などに頼らず、アトピーを克服していくことを目指していきます。
「小児はり」は刺さない鍼なので痛みも無く気持ちも良いため、数回以内に子どもさんも慣れて、治療中に寝てしまうこともあるくらいです。なお「小児はり」は夜泣き、疳の虫の予防や体質改善にも優れています。

・アトピー性皮膚炎に対しては、一般にステロイド系の外用薬が多用されています。皮膚症状は薬を塗った時は治まりますが、ステロイドに依存した皮膚は徐々に回復力を失い、より強いステロイド薬に依存する状況に陥ってしまいます。またプロトピック軟膏などの免疫抑制剤についても、皮膚本来の持つ防御作用を弱めてしまうため、根本的に解決には至りません。

・眼科領域を専門としている千秋針灸院では、20代からの比較的若い方で、緑内障や白内障を発症されている方が少なくありません。こうした病気は通常は40代以降に発症する疾患ですが、長期間ステロイド治療を続けられた方では、副作用により早い時期から発症する傾向です。長期のステロイド治療は眼圧が上昇したり、水晶体の酸化を助長するためと考えられますので、ステロイド治療を漫然と続けることは避けたいところです。


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ステロイド外用薬の全身への副作用について

・外用薬として塗られたステロイドは通常、正常な皮膚への単純塗布で3〜5%、密封外用療法や皮膚のバリア機能が低下(アトピー性の皮疹など)している場合には、それ以上の割合で吸収されます。一般に全身的副作用は生じないとされていますが、長期または大量に使用した場合には、ステロイドの全身投与と同様の副作用があり、稀に副腎不全を起こしたり、糖尿病などの持病を悪化させる場合があります。外用薬の強さや皮膚の状況、部位、塗布量、期間が影響します。

・眼科領域に関わる副作用としては、白内障や緑内障の誘発が知られています。皮膚科ではステロイド系外用薬が使用される以前(1952年)に、アトピー性皮膚炎では若年性の白内障の合併が知られていたことから、ステロイドの副作用は心配無いと説明されることがあります。しかしアトピー性皮膚炎には白内障を生じ易いという素地がある上、更にステロイドを使用することで発症や進行が促されることになります。また白内障は発症の有無よりも、進行して視機能を大きく損ない、20代〜30代で白内障手術が必要になる場合があることが問題です。白内障手術後は毛様体筋による水晶体での屈折調整が行えなくなりますので、スムーズな焦点移動が難しくなり見辛くなります。

・緑内障については、顔面部などの局所投与によって高い頻度で発症することが分かっています。千秋針灸院に来院される20代〜30代の緑内障の患者さんでは、外用薬を含めたステロイドの長期使用例が多く、眼科ではステロイド緑内障と診断される場合が少なくありません。ステロイドの皮膚からの吸収率は前腕前面を「1」とした場合、頚部「13」、前額部「6」、頭部「3.5」となり、目周囲を含めた顔面部は非常に高くなります。首から上へのステロイド外用薬の長期使用は避けるべきでしょう。またステロイド緑内障と診断された場合には、ステロイドの使用を完全に止めることのみが、唯一の緑内障の進行を抑える方法になります。

・眼科薬理学での点眼薬のデータにはなりますが、4〜6週間に渡ってステロイド点眼薬(デキサメタゾン、リンデロンなど)を続けた場合には、成人の5%で16mmHg以上の眼圧上昇により、眼圧値32mmHg以上に、3人に1人は6mmHg以上の眼圧上昇を生じ、眼圧値20〜31mmHgに達したという報告があります。この数値は緑内障を考慮した場合には、20mmHg付近を除けば決定的に発症や悪化を生じる眼圧になります。残り2/3も5mmHg以下の眼圧上昇を生じたり、更に長期間の使用により高い眼圧上昇が起こる可能性があります。目が重たい、腫れた感じ、目の奥が痛むなどの症状を感じた場合には要注意ですが、30mmHg以上でも無症状な場合も有ります。皮膚科ではあまり説明されないですが、ステロイド外用薬の副作用には気をつけて下さい。

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当院での治療効果の実際

◆治療効果の評価法◆
・かゆみという本人にしかわからない感覚を、数値化してわかりやすくするために、病院などでも使用されているVAS(Visual Analogue Scale)というカードを使用しています。患者さん自身にかゆみの強さを記録していただくもので、これを自覚症状と併せて記録していきます。(記録自体はカードに線をつけていただく簡単なものです)

・1年以上にわたって毎回(治療間隔内)の状態を本人に記録していただいたところ、多くの場合に以前と比較してかゆみの症状の改善がみられました。状態が悪化することは少なくなり、症状はおおむね安定しています。アトピー性皮膚炎として治療を続けられている方で、ステロイド剤を使用している方はありません。皮膚の発赤や落屑、滲出液といった症状も軽減されています。

・鍼灸治療は時間はかかるものの、ほぼ確実に効果をあげられる治療です。特に繰り返し再燃している方は、じっくりと時間をかけて治療に取り組まれることをおすすめします。当院ではアトピーの治療に、お灸は原則使いません。鍼のみの治療としたほうが安定してよい結果が得られるようです。


◆治療回数の目安◆
・最初は週1回程、症状の改善や安定を確認してからは隔週1回などと、治療間隔を徐々に空けていき、完全に軽快した場合は終了することも可能です。(重症な場合には、週2回から始めることもあります) 完治までは至らない方で、長期に渡り継続されている方の治療間隔は、おおむね隔週1回〜月1回となっています。

・難治例では漢方薬との併用がより有効なケースもあります。体質に合った漢方薬と鍼灸治療の併用で、よい結果が得られるケースも多いようです。

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患者さんからよくある質問

Q.皮膚科ではステロイドの外用薬を処方されますが、使用してはいけないのでしょうか。

A.一般にアトピー性皮膚炎の治療に対しては、ステロイドの外用薬が処方され、日本皮膚科学会などでも積極的に推奨されています。しかしながらステロイド外用薬の長期使用は、結局のところアトピー性皮膚炎を治癒させる効果は無く、「その場しのぎ」の治療です。使い続けることで皮膚が本来持つ感染からの防御性をはじめ、皮膚の健全性が損なわれることによる問題が表れてきます。

・また千秋針灸院では眼科学の観点から、日本皮膚科学会の推奨するステロイドの漫然とした治療には、反対の立場です。当院は眼科領域の専門治療院であり、30歳代までに緑内障や白内障を発症される患者さんを、数多く診てきました。通常は40歳以降にしかみられない緑内障や白内障ですが、若年での発症は多くの場合に小児の頃からアトピー性皮膚炎を患い、長期間ステロイドの外用薬を使用してきた経過があります。皮膚科では、アトピーがあるから白内障が生じ易い等の説明がされるようですが、実際にはステロイドの長期連用による副作用が悪化させたと考えられます。将来、目の大きなトラブルに繋がるリスクを抱える必要はありません。


Q.以前からのステロイド外用薬が効き辛くなり、更に強い薬を塗らないと痒みが治まりません。

A.ステロイドの外用薬については、先に挙げた理由から、出来るだけ早く中止すべきと考えています。当院の治療実績では、適切な治療回数が行えた場合には、ほぼ全ての患者さんでステロイドからの離脱が可能になっています。半年程度の時間を掛けて針治療に取り組めば、ステロイドを使用しなくても皮膚の炎症は概ね治まり、痒みは完全には無くならなくても、ステロイドを必要とするような強い痒みや浸出液はなくなります。また皮膚は時間と共に健康な状態に近づいて行きます。

Q.冷えの症状が強いのですが、アトピーとの関連はありますか。

A.ステロイドの外用薬を長期間使用していると、自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位となり、低体温を生じます。アトピー性皮膚炎の患者さんには冷えを訴えられることが多いのですが、ステロイド外用薬の長期使用によるものです。また皮膚は薄くなったり、黒くなったりしますが、これもステロイド皮膚炎といいます。最近では免疫抑制剤のプロトピックも多く使用されますが、同様の状況を作りますので使用すべきではありません。

Q.必要な期間や治療間隔はどのくらいでしょうか?

A.症状の重さや炎症期かどうかで変わってきますが、当初は週1回(重症の場合は2回)程度の治療間隔です。当院のステロイド緑内障などの眼科領域への治療から、アトピー性皮膚炎への治療方法を改良し、多くの場合に週一回程度の治療間隔で、ステロイドから完全に離脱し、痒みや発赤などの症状を大きく押さえ込むことに成功しています。概ね半年程度でステロイドから離脱でき、症状が安定すれば更に治療間隔を空けていきます。

Q.漢方薬との併用は可能ですか

A.針治療と適切な漢方薬の併用は、アトピー性皮膚炎に対して更に効果的です。基本的には当院での針治療だけでも十分に対応可能ですが、様々な理由で針治療が十分に行えない場合や、重症の場合にはお勧めします。


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院長からひとこと


・アトピー性皮膚炎への針治療は、軽度の方では著明に改善する傾向があり、治癒する場合も多いです。
(重症例でも症状が安定したり、ステロイド依存からの離脱は十分に可能です。ご相談下さい)

・白内障や網膜剥離等の合併を予防する目的でも、針治療は大きな意味を持ちます。
(眼科疾患を合併すると、現代医学では手術以外の治療法がないため、合併症を予防することは大切です)
(一般に手術を行った場合、焦点が合わせ辛くなるなど、健康な眼の状態に比較して、見え方は悪くなります)

・ステロイドを中心とした医薬品による治療は基本的に「その場しのぎ」です。根本的な解決にはなりません。
(医薬品や針治療も含めた、全ての治療を徐々に必要としなくなる治療法が、本物の治療と言えます)
(治療と生活習慣を含めた体質改善ができていけば、治療を終了しても簡単には再発しません)


・針治療は、体調が悪くなると時々皮膚の症状が出る等、軽度であれば僅か数回程度の治療で落ち着いてきます。また常に皮膚症状があり、調子の悪いときには滲出液が出る等、やや重症の方でもステロイドの依存から離脱でき、完治は難しいものの痒みをはじめとした症状は落ち着いてきます。針灸治療は薬物に依存しない、副作用の心配の無い治療方法です。

・当院は眼科領域を専門としていますが、アトピー性皮膚炎の患者さんでは顔面部の痒みや皮膚症状のある方が多く、眼のトラブルや眼科疾患を合併しているケースも目立ちます。眼を叩いたり掻かないことはもちろん、コンタクトレンズの装用も、角膜のトラブルを起こしやすいため必要最小限の使用時間とすべきです。当院では特に眼の合併症に注意をしながら治療を行っています。

・アトピー性皮膚炎への治療は、針灸専門で比較的症例数の多い治療院であれば、普通に治療を受けることができる疾患です。アトピー性皮膚炎に関わる眼科疾患への予防も、根本であるアトピー性皮膚炎の治療と同時に行うことができます。当院の提携先治療院はもちろん、お近くの実績のある治療院で治療を始められることをお薦めします。

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関連リンク・参考文献


関連リンク


参考文献

●参考文献・蔵書一覧(眼科領域、皮膚科領域)

        

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   本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いたものです。
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