頼忠終章B



全てが終わり、新たに始まる。
冬が去り、春が訪れた。
雪が溶け、梅から桜の花へと変わる。


貴女と出逢ってからの苦しい日々。
弱さ、卑怯さ、醜さに向き合わされて。
気付いていなかった己を知った恐怖。
初めて知った想いと戸惑い。
その全てが、今では懐かしい思い出となった。
忙しい日々が続くが、心は穏やかだ。
貴女が傍におられる、ただそれだけで・・・・・・・・・。


貴女は今日も簀子に座っておられる。
部屋に閉じ篭っているなんてつまらない、そうおっしゃって。
御一人で出歩かないように言うと、不機嫌になられるが。
それが、怒っているフリだと解っております。
相変わらず、私を困らせるのはお好きだが。
私が心配しないように、
無茶な事はしないようにしておられる事を。
そして、それ以外の理由。
私の帰りを心待ちにしておられるのも解っております。
ほんの一瞬の違いでも、早く逢いたいと想って下さる貴女。
ですから、貴女の為に。
そして、己の為に。
真っ直ぐ貴女の元に帰りましょう。
貴女のお好きな花を携えて。


ですが。
貴女に罠に仕掛けた事を、
今でもお怒りになられておられるのですね。
しかし、私は後悔などしておりません。
あの時はあれ以外の方法、
直接懇願する勇気はありませんでしたから。
断られると、思い込んでおりましたから。
貴女が、私と同じ想いを抱いているとは、
夢想だにしておりませんでした。
そして、それだけが原因でしょうか?
私が欲しい言葉は、一度もおっしゃって下さらない。
「絶対に後悔しないと解るまで言わない」
ならば、それを貴女からの新たな試練として。
貴女が自然と言えるようになるまで努力致します。
幸せだと心から思えるように。
ずっとお傍でお守り致します。
貴女と・・・私達の子の笑顔を・・・・・・・・・。



心の奥底から湧き上がるこの気持ちを、
何度でも貴女に贈りましょう。
感謝と愛しいとの想いを込めて。
――――――花梨、貴女をお慕いしております――――――






頼忠B編終了。
私にとって、この頼忠の行動は冒険でした。でも、頼忠に動いて欲しかった。いつも耐えていたから、自分の望みを叶える為に強引な、卑怯な手段を取る頼忠を見たかったの。

長らくお付き合い下さいまして、ありがとう御座いました。

共通の後書き

2005/02/16 14:14:37 BY銀竜草

頼忠09B  花梨終章B

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※B編参考※


これっきりだなんて決して言わせない

すべてを失くしても
あなたを愛していたいだけ


『熱視線』〜安全地帯〜
一部分抜粋




もう はなさない はなさない
はなさない はなさない
悲しいあなたがきれいで
まだ はなせない はなせない
やさしいあなたの 願いはもう捨てて

めまいに堕ちてゆく
からめた指先
ふたりで見た夜の
うれしさ忘れない
なにもみない あなただけでいい
傷ついて凍えても
かまわないから


『プルシアンブルーの肖像』〜安全地帯〜
一部分抜粋