花梨終章B



全てが終わり、新たに始まる。
冬が去り、春が訪れた。
雪が溶け、梅から桜の花へと変わる。


自分の世界に帰りたいと泣いていたのに。
魂だけでも、向こうで眠りたいと考えていたのに。
それなのに。
気付いたら、「京」で生きる事になっていた。
頼忠さん、貴方のせいで。


半年前。
ぼんやりとした憧れ、夢があった。
格好良い男の子に、愛の告白をされるっていうもの。
遊園地や公園に遊びに行ったり。
勉強を教え合ったり。
他愛も無い二人の時間を楽しみたいと言う、
子供っぽいけれど女の子なら誰もが憧れ、経験する事。
それなのに。
全て夢で終わってしまった。
頼忠さん、貴方のせいで。


だから。
貴方が何度言ってくれても。
貴方が欲しい言葉は言わない。
言葉にしてしまうと、自分を保っていられなくなるから。
貴方に溺れていて。
貴方しか見えなくて。
貴方以外、欲しい物など無くて。
貴方を守れるなら。
この「京」はもとより、
自分の生命さえ犠牲にしても後悔などしなかっただろう私の、
この激しい恋心を知られたくは無いから。



その代わり。
心の中で何度も言おう。
選択肢を与えてくれてありがとう、と。
そして、貴方を強く抱き締め返す。
――――――頼忠さん、私も貴方を愛しているよ――――――






花梨B編終了。
私にとって、これがメインでした。
我が儘で自分勝手な花梨・・・たまにはこんな女の子でも良いかなって考えてしまった。この花梨が素直に想いを伝えられる日は何時か、と考えるのも一興かな。

長らくお付き合い下さいまして、ありがとう御座いました。

共通の後書き

2005/02/16 14:07:05 BY銀竜草

花梨09B  頼忠終章B

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