花梨終章E



全く不思議な男(ひと)だわ、貴方って。


正式に結婚した途端、抱き締め魔に変身した貴方。
なのに、私が抱き締め返すと、未だに驚く。
散々、お慕いしております、と繰り返して言ってくれるけど。
私も貴方が好きだよ、と何度言っても信じてくれない。

「あまりにも夢のようで、上手く気持ちの切り替えが出来ないようです。」

いや、そういう問題ではないと思うのですが。
私から頬に口付けるだけで、耳まで真っ赤になってしまう貴方。
可愛いけれど、少しは慣れてくれないと私まで恥ずかしくなってしまう。
貴方の驚いた顔も好きだけれど。
照れた顔も、恥ずかしそうに控え目に微笑む顔も好きだけれど。
でも、腹立たしいの。
自分だけが片想いに苦しんでいた、というような顔が。
私がどれだけの涙を流したと思っているの?
貴方のせいで苦しんでいたのに。
貴方と別れるのが辛かったからなのに。
貴方の傍に居たかったからなのに。
なのに、私が貴方を想っていると、未だに信じてくれないなんて。
時々見せる、申し訳無さそうな表情も嫌いなの。
私が決めた事なのだから。
貴方の為じゃない。
私自身の望みを叶えただけなのだから。


だから毎日伝えるよ、私の気持ちを。
言葉でも態度でも。
頼忠さんの事が好きだから、ここに居るんだって。
貴方の妻となる事が、私の幸せだって。
貴方の子供を産んだから、結婚したんじゃない。
幸せになれるから、貴方の傍に居たいの。

それでも信じられないのなら、覚悟してね。
貴方の価値観を滅茶苦茶に壊すから。
源頼忠の生命を惜しむように。
未来を大切にするように
私に捕まった事を後悔するほどの、新たな世界に連れて行くよ。


つまり。

愛し愛される日々を貴方に贈ります―――。






注意・・・本編08Cからの別バージョン。
     向こうが現代EDだったので、こちらは京EDで書いてみました。

頼忠に「幸せすぎて怖い」と言わせたい花梨ちゃん。―――ムキになっています。
他の終章とは違う雰囲気にしようとしたら、大胆に迫る花梨ちゃんになりました。
こういうのもアリかな、ってね。

創作過程

2005/08/12 15:39:03 BY銀竜草


花梨13E 頼忠終章E

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