第15話 「絶 天狼抜刀牙」   脚本:平野靖士 作監:宇都木勇、武内啓
ウィードやっとのことで川を這いあがっていたジェロムが、なぜか一瞬だけ片耳のやぶれたジョンのようだったことは、このさい気にしない方向でw
川ぞいにジェロムを捜していた奥羽軍一行は彼の血痕を発見。どうやら何者かに連れ去られたことを察し、無事をいのる大将。

血痕とにおいを頼りに追跡していくと、たどりついた先は硫黄の臭気がたちこめる岩場。
そこでジェロムを連れ去ったとおぼしき謎の集団と出会い(そしてかるく挑発を受け、温泉につっこむ醜態をさらしw;)、ジェロムと実は彼を助けてくれていた集団=哲心率いる忍犬たちに再会したのでした。

お湯のなかでじたばたしてるうぃたんがかわいらしかったとか、原画家のクセか若干おっきめに描かれたジェロムたんの前脚がムダにかわいらしかったとか、まあそんなことは置いておくとしてw
最初は血をだらだらこぼしていたというのに、岩場のあたりには一滴も見当たらず、むしろもう温泉にだって平気でつかれるほど治癒されているジェロムの体を見て、道中 な に を し た の か 忍犬てすごいなあと感心wです。

とりあえず忍犬と野良っ子の格のちがいを見せつけたところで話は本題へ。
総大将がウィードにあてたお言葉とは、
「法玄がこの世を支配すれば、また己の欲に満ちた弱肉強食の世界に戻るであろう」
「ウィード、おまえが法玄を倒し、楽園を再建するのだ。我ら犬族のため、その命を使え」
というほどのことでした。
そのお志に感銘を受けた血気盛んな連中は、生命の危機にある総大将を助けにいこうと気をはやらせますが、大将ウィードは自軍の疲弊を考慮し、涙をこらえつつそれを牽制。

ジェロム「ウィード、俺はかまわんぞ。仲間のためならいつでも覚悟はしている」
GB「そうだぜウィード! 俺たちケガぐらい平気だぜ!」
ロケット「俺たちの命は、おまえに預けてる!」
狂四郎「俺の命、投げうってでもかまわねえ。助けに行こうぜ!なあ!」

…あつくるしいばかやろうどもだな、おまえたち!! その熱さがだいすきだ!!!(燃。そしてうすら涙)

しかし、命を預かっているからこそ、おいそれと軽率な判断はできない大将。
哲心の支持と彼によって知らされた湯治場の効能もあって、結局出立はみんなの傷が癒えてからとなりました。

そして、哲心のもうひとつの使命、総大将の必殺技、絶・天狼抜刀牙の継承もここで行われることに。
仲間も様子を見にきたところ、以前その技を幼いうぃたんが使っていたらしいことがGBたんによって知れ(あれだけスミスが抜刀牙抜刀牙言うてたのにはっきりしないのがいまいちアレですが…;)、また、抜刀牙とまではいかずとも戦力UPのために忍犬に教えをこう野良っ子たち。
…戦力もいいけど、ぜひ頭のほうを鍛えr(ry)。
(それと特訓中のヒロたんや狂ちゃんが媚びてんのかと思うくらいかわゆかったのはスルーしておこうw)

というかおまえたち、ジェロム先生にはそんな素振りみじんも見せなかったのに忍犬に対するその態度はなんなんだ;;と、つい思ってしまいました。
が、休息らしい休息ははじめてだし、目的が法玄軍との全面戦争にシフトしたのだし、タイミング的なものなんだろうなと思いなおしました;
まあ、本気で「戦闘技術:殺し屋<忍犬」と言われても、あんまり違和感ないといえばないのですがw;

そんな、ちょっぴりメンツのあやうくなった元殺し屋はというと、湯治場に突如あらわれた犬喰いの猪三兄弟とご対面。
向かっていくも返り討ちにあってしまった次郎たんを見て猪にガンをくれたり、飛びかかる狂ちゃんを必死で助けたりしたので、やっぱりジェロム先生は顔に似合わず子ども好きのおにいさんなんじゃないかなあ…と思いましたが的外れですかそうですかw
ええと、そうでなければ「もう二度と、仲間をだまって見殺しにはしたくない」という気持ちの表れかなあ。

なんにせよ、駆けつけてきてくれた大将がおぼえたての必殺技をご披露し、巨体のサンチョたんを一撃のもとに沈めたことで、その場は収束。
犬族以外には容赦ないなあ…と若干遠い目をしてしまいそうになりましたw
が、べつにサンチョたんは命乞いしたわけでもなし、逃げる弟ふたりに追い討ちをかけたわけでもなし、手加減などしていたらやられていたのだろうし、多少結果がシビアでもしかたないか…という感じでしょうか。

ひと騒動ありつつも、順調に回復した奥羽軍。
しかしジェロムは、みんなに悟られないようにしながら脚に銃弾を残していたのでした。
いわく「これまでの俺に対する、戒めだ」と。
…人間の命によって背負ってきた咎を、人間から受けた弾丸にこめるというのは、なんか…象徴的だなあ……。

あらためて敵地へ向けて出立する奥羽軍でしたが、そのころ南アルプスでは法玄たんとカマキリたんが合流を遂げていました。
スキをついてカマキリたんを組み伏せ、同盟相手ではなく配下として軍に加えて自らの力を誇示する法玄たん。
超大型わんこどうしがじゃれ組み合うのは、とってもかわいらs(ry)。

いくつかつっこみ要素や鬱要素はある回でしたが、
温泉での大将と仲間たちの熱い語り合いが印象深く、初見ではその仁義・忠義心に燃えを感じたのが大きかったですね。
…まあ、必殺技伝授のときに哲心たんが手本だと示した抜刀牙もどきに、ちょっとぽかーんとしたりもしましたがw(CSの20話のほうで先に完成形の抜刀牙を見ていたもので…)



 第16話 「決別」   脚本:山田隆司 総作監:河南正昭 作監:遠藤栄一
ウィード・ジェロム法玄軍との戦いが犬族の未来を賭けた戦へと変わり、1歳に満たないような幼い子たちを巻き込むまいとした大将は、子どもたちを甲賀の里に預けていくことに。

しかし、戦などわけもわからない仔犬たち。
当然残される理由もわけがわからず(しかも狂ちゃんがぶきっちょさんwなもんだから)自分たちは厄介払いされてしまうのかと反発。
テル「お願いします!おいてかないで…! きっと…きっと立派に死にますから!!」

死に花を咲かせることを潔しとする仔犬たちを、大将はやわらかくいさめます。
「死ぬことは決してえらいことじゃないんだよ。えらいのは死ぬよりも生きることのほうだ」
「君たちは、ぼくたちの意志を継いでくれる唯一の男だ」
「悪党どもを根絶するまで、死ぬことは許さない。わかるな」

こうして大将の真意は伝わり、子どもたちは甲賀の長老が引き取ることになりました。
また、在りし日の総大将のようなウィードの正義に賛同した哲心とその部下たる忍犬たちが、あらためて奥羽軍へ加入。
正義の志はもちろんなのですが、そこから発する言動においても、ひとを動かす有徳さが総大将にそっくりですね、ウィード。

そんな王道をいく奥羽軍の敵、覇道の法玄軍はといえば、まもなく奥羽へやってくるとのこと。
偵察行動によってそれを知った赤目さんは、ウィードに知らせるべくメルを伝令役に。
情報どおり、法玄軍本隊は満身創痍の総大将を引きずり回して見せ物にしながら北上中でした。
どこの犬もへつらってくるのに上機嫌な法玄たんの横で、まっったくおもしろくなさそうなカマキリたんがかわいいw No2は頭がキレるという定石はないんだなこのアニメwww

そうして抜け殻になってしまった元法玄軍アジトに到着した奥羽軍。
ひとけのなさを不審に思った哲心が探りを入れようと申し出ますが、いてもたってもいられないのかうぃたんもついていくことに。
軟禁小屋の外には見張りがいないことがはっきりし、小屋へ飛び込むうぃたんでしたが、実は中には滋賀で対峙したあのレクター&サンダー兄弟が待ち構えていたのでした。
…頭に血ぃのぼっちゃうと判断力がにぶるのか、おとうさんがらみだからつい気がはやっちゃったのか。冒頭のおちつきぷりとの対比もあって、ちょ;待;うぃたん?;;;という感じが。

だれもいないはずの小屋の中でどたんばたんはじめたので、アルプスに残っていた法玄兵も異変に気づいたのですが、そいつらには「手を出すな」なんて言っちゃう暗殺犬、私はけっこう好きです。
うぃたんにけりをくらって、お顔を前脚でぐしぐしするサンダーたんにきゅんきゅんです(ぉ)。
が、奥羽軍大将と甲賀忍犬総統とのバトルではさすがに分がわるく、サンダーたんに続きレクターたんも牙を折られ、結局ハデにぶっとばされてしまいましたとさ。

総大将が連れ去られたことを聞いて落胆する奥羽軍。その隙をついて逃げ出そうとする兄弟でしたが、その行く手に狂四郎が立ちふさがりました。
命乞いをはじめる兄弟を見て、再度情けをかける大将。あくまで理解を示さず制裁をくわえようとする狂四郎。
……そこの白いわんこは滋賀でなにを思って大将についてきたんだっけか……(遠目)。
いや、あんまりものわかりのいいタイプではないのはわかりますけども…。
あ、あれか。「俺はよ、頭に血がのぼると、まわりが見えなくなるんでよ」(cf.10話)だから前後不覚状態なのか。結局ものごとを体でしかおぼえられない子なのか。そうか…。
とりあえず、ジェロムによる体を張った制止もあって、この場は大事にいたることはありませんでした。

しかし、悲劇はこのあと訪れることに。
逃亡したレクサン兄弟を、ジェロムはひそかに追跡。兄弟が本音を吐露したところで姿をあらわし戦線布告。
ジェロム「所詮殺し屋は殺し屋…。死んでもらう」
レクター「笑わせるな! てめえだって、おなじ殺し屋だろうが!!」
しかし勝負はものの数秒で決し、まずはレクターの首を捉えるジェロム。
レクター「ま…ま、ま、待ってくれ…。俺が…俺がわるかった…」
ジェロム「わるいな…。俺には二枚舌は通じん」
そのままのどぶえを噛み切り、殺害。さらに今度はサンダーののどをくわえたところで、様子がおかしいことに気づいた大将たちが駆けつけたのでした。

捉えた相手を離すように命じる大将でしたが、ジェロムはそれを聞かず、兄に続きサンダーも絶命。
戦意を失った者の命をうばっておきながら、「理想のため」との大儀を持ち出し、また「命令無視」との論点のすり替えをしだすジェロムに、大将は「ふざけるな…!」と激昂。
ウィード「あんたは、またただの殺し屋になってしまったのか!」
    「聴けジェロム! 命はひとつしかないんだ! その重さがわからないあんたに…っ用はない!!」

このあたり、いろいろ設定や台詞がリンクしていますね。
レクターも言うとおり「殺し屋」という言葉はそのままジェロムに返ってきているし、「二枚舌」も結局ジェロムを表している。
言葉以外にも、そもそものジェロムの行動。
ロケットのときは警戒していても命をうばうことはなかったのに、なぜ暗殺犬兄弟には手をくだしたのか。それは、兄弟の発言のこともあるけど、やはり兄弟が「殺し屋」だったことに起因するのではないかな。「殺し屋の犯した罪は、死をもって清算」という考え方があるんじゃないかな、てね。
だいたい、大将を守るだけなら脚の1本か2本折っておけばすむ話だろうし(TV表現的な話は置いといて…)。

また、ウィードの「命はひとつしかない」。これはまんま14話でのジェロムの発言。脚本担当はちがうので、たまたまかもしれませんが、それを抜きにしてもウィードの成長にジェロムが多大な影響を与えてきたのは容易に想像できます。視聴者はね。
でもジェロムはどうだろう。ウィードからジェロムに与えられていたものは、それは本犬がいちばんよくわかっているでしょう。じゃあ、逆にジェロムがウィードに与えていたものを、ジェロム自身はどのくらいわかっていたのかな? 実はけっこう、自分のことでいっぱいいっぱいだったような気がするよ。戦局での立ち回りはべつにして、精神的な話。
ここでこうして対立したことによって、逆説的に自分とウィードの双方向的なつながりに気づいたんじゃないかな。ウィードが己の正義・理想のためにすべからくくだした追放という判断が、涙を流すほどつらい決断だって、実際に見なければわからなかったようだし。
あと、ウィードのなかのジェロムがジェロム自身を責めているようで、どこまでも自傷的というか、因果な感じもあります。

ジェロムの行動とウィードの裁定は是か否かで意見がぶつかる奥羽軍。
哲心たちはウィードの優しさをほんとうの強さであると認めてくれましたが、狂四郎はジェロムに共感し、子分らとともに奥羽軍を離脱。
しかしジェロムのあとを追ったものの、当のジェロムにウィードの正しさを教示され、戻るように諭されたのでした。

ちなみに、個人的にはウィードの判断を全面支持かといえば、そうでもないです。
理想に反するという意味ではジェロムの行動は叱責すべきと思いますが、なんでそこで追放なのか。群れの外でなら殺してもいいというのか。その点がひっかかりますのでね。
そのあたり、裏切られた相手を視界に入れたくないがための、感情的なもの言いのような気もします。それをいいとかわるいとか言う気はありませんが。
あとジェロム。今回のことも含め殺し屋として数々の罪と傷を負っている事実はあると思いますが、そういう犬だからこそ、生きて償っていろんなものに報いることができるんじゃないかと思っておりますよ。

まあ、初見の時点ではジェロムの過去のことを具体的には知らなかったのですが;
なので初印象はここのやりとりよりも、頭がまわるのかまわらないのか、一人称はぼくなのか俺なのか、いまいちはっきりしないウィードを見て、まだまだ成長過程なんだなあ…とか思っておりました。
あと、そろそろキャラの区別がつくようになっていたので、CSのほうの終盤(特に「激流」)でのジェロムの立場や言動とがつながって、ああこんなことがあったのかと納得してたりとか。
そ し て ナ タ が 。超絶インパクトでした…w

ところで作画について。今回会話シーンなどは遠藤氏のどうにも気のぬけるw作画でしたが、総作画監督として主にバトルシーンを河南氏が手がけてくださり、そのギャップも手伝って燃え全開の画面に素直にほれぼれです。
が、これも初見では気づくことなくふつうに観ていたので、作画はいいに越したことはないのだけれど、それがすべてではないなあと、再視聴してあらためて思ったりしました。





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