第9話 「砕けえぬ誓い」   脚本:中瀬理香 作監:南伸一郎
ジョン荒れ狂う吹雪のなか、山小屋の陰でぎゅうと身を寄せあい天候回復を待つ奥羽軍。
ボルゾイ(体高70cm↑)、シェパード(体高60cm台後半)、コリー(シェパと同等)に囲まれ守られているうぃたんが大将ぽいなあというか、ジェロムたんももっとふさふさしたデザインだったら違和感なかったんだけどなあというかw
ところであれ、具体的にはどういう配置のかよくわかりません(アングルによって重なり方がちがって見える)。身を寄せる…というより、折り重なってるに近い? …それ萌える…!(←ちょ)

一方、法玄軍のほうでは逃亡したジョンたちの行方を追っている最中でした。
ろくに推察もせず、どこへ行ったかわからないと音をあげる手下に対し、ボスの法玄は「通常行くと思われる沢ぞいではなく、その裏をかきかつ吹雪で足跡も消せるはずの山道を進むだろう」と機略をめぐらせ、脅しもまじえつつ指示をとばしたあたり、こっちはこっちで形はぜんぜんちがうんだけど一軍の大将なんだなあ、と。

追われている当犬たちはというと、おりしも雪風が弱まってきてしまったので、二手に分かれてヒロと麗華さんは西へ向かうようにジョンからお達しが。そしてジョン自身は、満身創痍ながらも法玄軍を迎えうつ決意を。
ただしそんなことを聞かされて、はいそうですかと言うようなおとこではないヒロ。
「だめじゃ!わしはいっしょに行く!! あんた、死ぬ気じゃろ!!」
吠えるように体を動かしていたので(久々の演出。嬉)、よっぽど強い抵抗を見せたのでしょう。
が、ジョンは銀に「ヒロと麗華を死んでも助ける」と誓い、ここでジョンはヒロに「絶対に死なない」と誓い、ヒロはジョンに「絶対に麗華を守る」と誓ったので、結局は逃亡班と迎撃班に分かれることに。

一連のシーンがほんっとうに熱くて、胸にきます。
死地に赴く戦士の心意気だとか、守るべきもののために自傷してでも衝動的な感情を押しとどめたりだとか、悲壮感(悲愴ではない)のこみあげるBGMだとか、いかに体が地面に崩れようとも志は最期まで不屈であるだとか…!
この空気と私的経験(某V事務所タレントの不当の数々)があり、レフティに関してはあまり気になりませんでした。(そら、ほかのひとに比べれば劣るのは確かですが)伝えるものは伝えてたよ。

そんな奥羽魂を蹂躙するように現れたのは、やはり覇道将軍法玄でした。
互いの主張は真っ向からぶつかり、なぶり殺しの命がくだされ、ついに死を覚悟するジョン。もちろん、ただで死ねるわけはなく。
「この魂…だれかに託さねば死にきれん…。だれかに…託さねば…っ!!」
そんな思いが届いたのか、はたまたおてんとさまがなにかを伝えたのか、アルプスの山道を行くウィードはだれともつかない声のしたほうへ。そこに、あのヒロと麗華さんが歩いていたのでした。

奥羽軍本体と合流して明かされたのは、いまだ総大将がとらわれていること、法玄軍の追っ手はジョンが引き受けたという事実。
まともに立つこともできず、意識も半混濁と瀕死状態のヒロでしたが、ジョンを助けにいこうとする気力はなくならず、それはおなじ魂をもつウィードに伝わった模様。群れが一丸となってヒロを介抱する一方、ひとり戦いの地へ。
ちょうどそのころ、フックがジョンを発見したのですが、彼はそれを知ってか知らずか、未来ある若者の命をいたずらに奪ってはならないと口上をあげ、フックの加勢を涙をのんで耐えさせたのでした。
どんなに痛めつけても決して屈しない、自分の思いどおりにいかない相手にいらだった法玄は、牙を折り、木の枝に串刺し。ですが、それですら態度をかけらも砕かず、むしろ串刺しにされながらも強引に枝を折って戦闘体勢を崩さず、その枝を引き抜いて投げつけてくるおとこによって、作中はじめて「恐怖」という感情をひきずりだされた法玄のほうが勝負には負けていたような気がします。

ウィードの不在に気づいた奥羽軍と、彼らの治療により体の自由をとりもどしたヒロもジョンのもとへと急ぎましたが、ウィードがたどりついたころには、法玄軍撤収後に無惨な姿で横たわる4頭の犬たちと、ジョンのかたわらでその名を必死に呼びかけるフックがいるのみでした。
目も見えない様子でしゃべるのがやっとのジョンを安心させるべく、赤目さんと一千の援軍と総大将救出を演じるヒロたち。
…なんとなく、途中から演技だってわかってた気がするな、ジョン。
なんとなくですがね。いかに血まみれでも赤目さんがいるかいないかくらいにおいでわかりそう…とか、赤カブト戦でも兵数750頭だったのに千頭は盛りすぎじゃないか…とか、そのくらいの考えですが。でもうその内容よりも、安心させようとしてくれる仲間がいるということに安堵してくれたんじゃないかなと。
「赤カブトを追いかけまわす」は、ひと足さきに奥羽へ行っているということの婉曲表現かなあ…。

わんこ萌え要素はそこかしこにあったのに、それを書くと不敬罪に問われる気がするほど燃えあがった回でした。
リピート放送では2話連続なのでふだんは続けて観ているのですが、今回は前半30分を父親にゆずっていてそのあと律儀にCSに変えられたため、10話(→ガンバ)→9話と視聴したので、9話の余韻をずっとひきずっていました。
ジョンが死を覚悟したあたりからウィードが泣きわめくあたりをピークにガチでぼろぼろに泣けたし、終わったあともしばらく悲しみに身をひたしていたのですが、それと同時にただ悲しいだけではなく、なにか熱いものがわきあがってきたのがこの回に特有の感覚でした。

思えば、桜さんは病魔というなすすべのない相手によって死を余儀なくされていたのだし、時宗やスミスは間接的にはこれからの楽園のためとはいえ、手段としてはウィードを守って死んでいった(スミスは桜や時宗への償いもあったけど)のに対し、ジョンは自分の正義や誇りや魂を直接つらぬくために敵と自ら相対して、しかも上記のとおり勝負には勝って散っているというあたりが、彼の死に様は賞賛にあたいするものでもあるんじゃないか、という一念をいだかせるのかもしれません。
単純というか純粋というか、そういう犠牲精神だけでジョンが死んだとは、どうにも思えない感じです。

戦って散ってこそ漢と言うつもりはありません(ジョンだってトミーたちに「あきらめるな」言ってた)し、ときにはどん底に落ちてそこから這い上がってでも生き抜くようなしぶとさが必要だったりすると思いますが、生死とはべつの次元で守るべきものが自分のためにあって、それが死をも辞さぬ態度につながったり、生きる気勢を支えたりするというのは、ときに悲しみをもたらしますが、わるくはないなあと思うのです。



 第10話 「二つの正義」   脚本:山田隆司 作監:山田勝
狂四郎・ウィード変わりはてたジョンの姿に自分をさいなまずにはいられない麗華さんでしたが、そんなことでジョンが浮かばれるはずはないと諭し、おもむろに地面を掘り出すヒロ。
奥羽の戦士全員でつくった墓に御仏をとむらい、また、兄弟の死を知らされたロケットを皮切りに全員で星空へと鎮魂の遠吠えをあげ、死者には安寧を、生者には前を向く決意をもたらしたのでした。
供養の描写がしっかりなされているのは、とてもいいんじゃないかと思いました。

総大将が自ら語った、そう簡単に命を奪われることはないという言葉を信じ、奥羽軍はふたたびアルプスを西へ。麗華さんとフックはジョンの形見である折られた牙をあるべき場所へ還すために奥羽へ。

そのころ甲斐の国ではアルプス越え手前で分かれたふたりが、影虎の実父であり先達である戦士・黒虎に謁見し…そしてなにやら、最年長の老兵によってほのぼのボケ展開がくりひろげられていました。…ぽかーん。

え、WEEDてこういうアニメだったっけw; 基本ストーリーなりシリアスシーンなりで構成されて、そのちょっと息抜きというかアクセント的なものとして、あらほほえましい♪と思える程度のお遊び要素が入っているだけであり、いかにもギャグそのものというのとは無縁だとばっかり。
なまじ終盤の熱い燃え展開から入ってるだけに 衝 撃 的 …。
ベンの目って、虎縞かどうかの判断はつくんだ…? …老眼?(違) 完全に失明してるわけではないんですね。

まあ、そんなやりとりも「元気そうでよかった」(by影)ということなので、これが甲斐の日常なのでしょう。クロスが「影ちゃん」なんて呼んでいましたが、後にも先にもちゃんづけされる間柄なんてこのあたりだけなことを考えると、
こういう牧歌的な風景はむしろかけがえない幸福のような気がします。
黒虎が「かわいい息子のためなら、いつでも礎となれる」と発言したり、ベンが「剣のやつ、でかくなったな…」と感慨深げにしていたのを見ると、やっぱりこういうふれあいは(いかにアグレッシブwでも)いいですね。家族ものだいすき。
黒虎の言う「息子」のなかには、実子だけじゃなくて甥っ子たちや剣ほか懇意にしている奥羽の若者たちまで含まれているといいなあ。
ともあれ、影虎の弟ふたりは兄たちとともに大将のもとへ、黒虎・中虎の息子4頭・ベン・クロスたちは手薄の牙城を守るために奥羽へと向かうのでした。

そんなあたたかい家族像とは一転、滋賀ではテル少年が虐待を受けており、そこへ現れたのが件の猛者・滋賀の狂四郎でした。
汚いおとなに対して鉄槌をくだす狂ちゃんのおててがかわいくてたまりません☆(あいかわらず前脚の親指ないけど)
しかし偶然出くわした奥羽軍から見れば、まるでヤンキーによる弱いものいじめの現場さながらな光景。
仲裁に入ったことで、思わぬ出逢いをとげるリーダー犬ふたりでしたが、このときは「狂四郎が親の愛を知らずに生きてきた少年たちを率いている」「虐待を受けた子どもを保護する」「むやみやたらと殺生をする気はない」「群れの仲間に手を出さない限りは、なわばり内でも行動を制約しない」ということを知り、狂四郎になにかを感じたらしい大将。

夜半にひとり群れを離れたうぃたんは狂ちゃんのところへ向かったこと、狂ちゃんは正義感の強い子だから、そういう事情を話せば協力してくれるはずだということ。これらをさもあたりまえのように言ってのけたジェロム先生は、小児カウンセラーに向いてるんじゃないでしょうかと思いましたが、顔と口調がこわすぎてダメだなと思いなおしました(ぇー)。
なぜ子どもに対しては、ああもするどく洞察がはたらくのやら。
まあ、うぃたんには漢としての理想を見ていて、狂ちゃんに関してはあの子わかりやすすぎるwという前提があるからとも言えますが。

しかし、テルの父親は法玄にやとわれた殺し屋兄弟レクター&サンダーにそそのかされ、忠告を無視して少年犬たちへ接近。狂四郎が牙をかけようとしたそのとき、話し合いにきたはずの奥羽の大将がとびだしてケンカを売ってきました。
…11話(…?あれちがう。12話冒頭のダイジェストだ。たぶん)をはじめて観たときは、なんかすれ違ってるけど、なにがあったんだろう?とか思ってましたが、あんまりこう…やむにやまれぬなんとかとかじゃなかったw
でも、うぃたんに投げ飛ばされた狂ちゃんも闘争心を燃やしてうきうきしていたあたり、拳でわかりあうのがてっとりばやく確実なおとこのこたちなんだなあと思ったので、これはこれでほほえましい感じですかねー。

いやあ、フォーンのグレートデンは(犬のできてる甲斐犬にくらべて)かわいいし、ガラわるい子が大量に出てきてかわいいし、仔犬だらけで見た目もかわいいしで、中〜後半はにやけっぱなしでしたwww
あと、狂ちゃんはなぜああも 肉 球 が よ く 見 え る カットばかり抜かれるのかと。だれに対するサービスかと。そういやOPでも、名前を背負ってきっちりきめている子たちのなかでひとり肉球を見せつけ、やたらと扇情的wだったなあと。
もちろん、しっかりとあおられた視聴者がここにおりましてございます、ええ。

(追記:記憶がめためたになってるとこに加筆。らくがきもちょい修正)





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