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恋姫無双RPG リプレイ 3 「陶双央、異人を受け入れるのこと」前編

ヤスの妻:せー、の。
ヤスの妻・A2:人妻スキー諸君、お待たせ〜。
他一同:…………………………(冷たいまなざし)
F:なんか居心地がいいなぁ、室内が涼しくて。
A:むしろ冷え切ってないか……?
F:お前、泰永の御家庭が冷え切った雰囲気なんて口にしたら蹴られるぞ。
ヤスの妻:つまり、えーじろがアキラの代わりにそーおーきっくを受け止めるということ?
F:えーじろやめろ。何でそんなことになりますか。
ヤスの妻:アキラが帰ってきたので義姉さんはご機嫌なのです♪(注1)
F:ご機嫌が空回りして周りの空気が冷え込み、僕にしてみれば過ごしやすいのは何よりです。
Y:暑いからなぁ。(注 当時は7月)
A2:すると、苦手なのは熱帯?
F:いや、亜熱帯でも生きていけない自覚はありますがね……。えーっと、そんなワケで、本日は奥方を迎えて『真・恋姫RPG』を一席。僕らと親戚づきあいいただくからには、この辺りは覚えておいてもらわないとならんのです。
A2(こくっ)
A:声に出してお返事しようよ、あーさん。
三妹:両方あの字なのが紛らわしいのよねェ。アタシも義姉さんもちの字だけど。
ヤスの妻:だね。
F:お前らはともかく、夫婦でだからなぁ……。えーっと、それはともかく。時系列としては前回の続きからになるので、二英と花玉さんはそのまま。双央さんは現行ルールで作り直し。で、奥方には未来人をやってもらいますので。
一同:おー。

 RPGを単純に訳すと「役割演技遊戯」です。
 つまり「役割」を「演じる」ゲームなので、はじめてプレイするひとには、なるべく当人と同じ性別、かつ同世代のキャラクターを使わせるようにしてください。誰かを「演じる」のに慣れていないヒトに『じゃぁ熟女やってねー』とやらせて、上手くいくはずがありません。
 このゲームでは幸いにも現代人(ルール上は「未来人」)を男女問わず作成できるので、その辺りのフォローはできるようになっています。(基本システム「GMのススメ」より抜粋)

M:前回のラストで拾ったあの仔、ってコト?
F:です。あの場面では男の子云っちゃいましたが、その辺は……どうします? 何なら男の子でもいいですけど。
A2:どうしよう……(さらさらっ)これ、あり?
F:……1時間頂ければ、その辺りフォローしましょう。ただ、さすがに本人ではちとまずいですが。
A2:ぴったりだと思う。
F:その辺は……えーっと、ちょっとおいで。すみません、双央さん作っておいてください。1時間で戻ります。
 F・A2、離席。
ヤスの妻:行っちゃったー。
A:アキラも行った方がいいのかな。
三妹:……1時間でコレ何とかできるなら大したモンよ。まぁ、成算があるンでしょーけど。
M:なにごと?
 メモ用紙には達筆で2文字、玲奈。

 1時間後。
F:……はい、お待たせしましたー。
三妹:できたの?
F:基本はできあがってるからな。応用すればいいだけだ。
三妹:どこまでもアンタね。
F:どういう意味の発言だ? えーっと、というわけで『真・恋姫RPG』の……ヴァージョンいくつになるンだ? とにかくルール改訂を行い、『少女義経伝』にも対応しました。
A:(知ってる)ぶっ!?
M:(知らない)え?
ヤスの妻:(知ってる)……おいおい。

少女義経伝・少女義経伝弐(いずれもWellMADE社製PS2ソフト)
 未来人の主人公が源平時代にタイムスリップして、武蔵防弁慶になって源義経とともに戦うSLG。
 義経とその郎党(弁慶を除く)が女性化しており、主人公は彼女らと絆を深めながら戦乱を生き抜いていく。

F:まぁ云ってしまえば源平合戦版『恋姫夢想』(注2)です。
A:主人公が未来人、戦乱の時代にタイムスリップ、武将は女の子……だモンなぁ。
M:根っこのところはほぼ同じなのねェ。
A2:伊勢三郎、真名は玲奈……ってやりたかったんだけど、止められた。
F:さすがに本人はやめておいてください。というわけで、どうぞ。
A2:(こくっ)盾親忠、真名は環。
ヤスの妻:旭将軍四天王……出たっけ?
F:出ません。というか、義仲本人も直接はゲームに出なくて、木曾一党で出るのは巴御前だけ。ために、義仲は男で四天王は女の子(ひとりは熟女)、ただし義仲とともに戦死し……親忠はこの時代に飛ばされた、と。
三妹:そういう設定にしたってワケね。どんな奴だっけ?
F:あまり史料がないひとりだ。私見では四天王の他3人、今井兼平が副将格、樋口兼光が特攻隊長、年長の根井行親が補給担当というところなので、残る親忠(行親の子)は諜報を担当していたように思える(注3)。分業がしっかりしていれば、という前提のオハナシになりますがね。
A2:(きらきら)ねえねえお義兄さん、その辺り今度詳しく。
F:喰いつきいいな……というか、お義兄さんやめろ。ともあれ、そういうワケで奥方には、ずいぶんイレギュラーなキャラクターを演じてもらうことになりました。そっちは大丈夫ですか?
ヤスの妻:うむっ♪ しばらくぶりの双央さんが大暴れしてあげるよ。
A:頼もしいです、義姉さん。
F:何で、何でオレはこのヒトを呼んでしまうンだ……いや、今度こそ勝てるはず、この策なら……!
三妹:バカの考え休むに似たり。
F:相対的に劣っているのは全面的に認めるが、このヒトならまだしもお前にバカ呼ばわりされる筋合いはない!
ヤスの妻:それはいいけど、えーじろ。
F:だからえーじろはやめろ……はい、何ですか?
ヤスの妻:スキルの修得条件に「GMの許可が必要」っていうのがいくつかあったけど、これは?
F:……あぁ、魔法系のスキルですか。ゲーム本編では『真・恋姫』になってそっちの類はほぼなくなりましたが、ルールとしては存在しています。プレイヤーが使うには便利なので、修得と使用に制限を設けているンですね。誰かスキル「雨乞い」でも持ちますか?
三妹:効果は?
F:雨が降る。聞くまでもなかろう。
三妹:趣味でそんなモン作るンじゃないわよ!
ヤスの妻:……今回のシナリオ、季節は?
F:真夏です。が、舞台は徐州東部の港湾都市です。
ヤスの妻:水不足はない、か……うん、いいな、持たなくて。
M:深刻に考えて結論を出すことじゃないと思うわ。
ヤスの妻:相手がえーじろでも?
M・三妹:……………………むぅ。
F:じゃぁ、シナリオに入りますね。

F:えーっと、さっきから云っている通り、舞台はいつも通り徐州。双央さんの祖母にあたる陶謙さんが治めています。前回、袁術からのちょっかいを退けて、未来人を保護した二英と花玉さんは、徐州の政庁に帰還しました。
趙二英:「ただいまー」
陶双央:「お帰りなさーい。ごはんにします? おふろに……」
楊花玉:それ、前回ワタシがやったわよ。
陶双央:「ちぇー」しばらくぶりだからボケてみました。
陳小理:で、アキラが小理ちゃん役と。「双央姉さん、ただいまーっす」
陶双央:「おかえり、小理ちゃん!」と問答無用で抱きしめ
F:はいはい、本体攻撃は御法度だ。つーか、そこまで仲良くないだろ?
友好ポイント
 双央→小理 ×―○○×―
 小理→双央 ―×○○○―
楊花玉:あら、6ケタになってるわね?
F:最大で6になりました。どうせ、もともと6までしか使いませんでしたから。……つーか、双央さんから小理ちゃんへが意外と低いな。これだと、問答無用で抱きしめるような真似はしないはずだ。
ヤスの妻:ちっ……
F:素に戻らない。えーっと、この辺のテンションについていけないと話に加われませんが。
盾親忠:(ふるふる)……無理。
陳小理:あっさり諦めないでよぉ……。「かくかくしかじかで、拾ってきたお姉さんっす」と差し出す。
盾親忠:……「拾われました」
陶双央:「ようこそ徐州へ。書記の陶双央です」と、拱手。
楊花玉:ことばって通じるの?
F:通じてるみたいですね、『恋姫』だと。ちゃんとした水滸伝では北方出身者と南方人で言葉が通じないものもありますが、文字はともかく会話については問題なくできるルールになっています。
盾親忠:……じゃぁ「これなるは盾六郎親忠。誇り高き木曾のサムライなり」……続かない。
楊花玉:慣れないうちは仕方ないわよねェ。
趙二英:むしろ、初プレイで馴染んでた義姉さんこそが異常なンだから。「ってことなんだけど、双央、アンタ木曾とかいう国知ってる?」
F:もともとスキル「偵察」で一元管理していた情報関連のスキルが、「地理」「情勢」「外国知識」などに分割化されました。この場合は「外国知識(東夷)」ですけど……持ってても引っかからないだろうなぁ。邪馬台国の時代だし。
陶双央:いちおう「地理」は2レベルで持ってるけど。
F:この時代の日本列島に木曾という地名があったとは思えません。判定するまでもなく失敗ということで。
陶双央:何か悔しいなぁ、それ。
盾親忠:……じゃぁ、私が地図を書いて、それを見てもらうのは?
F:ふむ……いいでしょう。親忠さんが「地理」で判定、それを双央さんがさらに判定で。
楊花玉:ちょっといいかしら。智略はともかく「地理」や「情勢」ならワタシのが上よ?(←もと商人)
趙二英:誰が、って話じゃないでしょ。地図書くならそれをみんなで見ればいいことじゃない。
陶双央:そうだね。じゃぁ、一度わたしの執務室に戻るということで。
陳小理:……ていうか、親忠さんをみんなで故郷に帰そうとしてない?
F:常識的な反応だと思うぞ。非常識な事態ではあるが。
 マスターおいてけボリで話が進むのもまた一興。いまのところ、今回のシナリオに不都合は出ないので。

F:では執務室ですが、未来人の親忠さんの場合、判定に多少の不便が生じます。『真・恋姫』を見るに、北郷くんは武力方面ではやや評価が低く、内政系には通じているような状態です。環境の違いと云ってしまえばそれまでで、未来人はもともとどんな環境に置かれていたかで、判定にペナルティがつきます。
陳小理:そもそも学生だった北郷一刀の場合は、武力方面にペナルティがついて?
F:内政系には多少のボーナスがつく、という具合だ。ただし、もともとの能力値やスキルには影響せず、判定の出目だけが加減される。親忠さんはもともと武将だったので、武力や内政に影響はない。ただ、純粋な時代の格差だけです。
陶双央:つまり、知識には影響が出る、と。
F:そうなります。親忠さんが知っている日本や大陸の情勢は、この時代では完全に役に立たないものですから。
盾親忠:……具体的には?
F:スキル「外国知識(東夷)」で判定ですが、この際のダイスが1個減ります(注4)。「自分の知っている地図を書けるか」という判定ではなく「見てもらって判る地図を書けるか」の判定になるので。
盾親忠:(ころころ、ころ)……12。
陶双央:低いなぁ。
F:確かに、コレはちょっと……マトモな地図が書けたのかも怪しめる数字になりますね。いちおう、大まかな島の形が判るレベルですかね?
趙二英:その方が、この状況だと都合がよくない?
F:……それはそれで事実だな。概観図だけに先入観なく見られるか。全員、スキル「地理」で判定。
陶双央:双央さん、いきまーす。(ころころ、ころころ)……21だね。
楊花玉:ワタシは……(ころころ、ころころころ)って、5D6で10!? 15だわ……。
F:1・1・1・2・5……外しますねェ。
趙二英:アタシ「地理」持ってないのよね。(ころころ)3!
F:智略たしても8かよ。そっちは?
陳小理:うりゃっ(ころころ、ころ)ごめん、6ゾロ。智略たして22。
F:そのダイス、翡翠に返しておこうな!?
陳小理:「えー、何のオハナシっすかー?」
F:似てるからやめろ! ……えーっと、じゃぁ双央さんと小理ちゃんは、このへなちょこ地図が邪馬台国ではないかと気づけます。
陶双央:「夷州の北方に、こんなかたちの島があったね」
陳小理:「だったっすね。じゃぁ親忠姉さんは、そっちから?」
趙二英:口出すわよ。「何で光って現れたのよ?」
盾親忠:(んー)……「私は、鎌倉の兵と戦って死んだはずなのに、気がついたらあの山の中に倒れていた」
陳小理:「かまくら、っすか?」と、きょとん。
陶双央:時代が違うって気づけるかな?
F:双央さんたちでは難しいでしょうねェ。ゲーム同様、未来という概念が認識できないでしょうから。
盾親忠:私は?
F:それこそ『少女義経伝』の平家方武将だったら、未来人に関する知識もあった(注5)ので、その辺りを自分の口から説明できたンでしょうけど、親忠さんとしては「なぜか大陸にいる」くらいの感覚ですね。鎌倉初期の木曾出身者では、三国志に関する知識も薄いでしょうから、気づけないと思います。
陶双央:ふむ……「親忠さん、提案があります」
盾親忠:(こくっ)「はい」
陶双央:「どういう事情か判りかねますが、親忠さんはこの徐州に現れた。わたしには、祖母に代わって徐州を守る責任があります。そして、誰であろうと、この徐州の民を守る責任も」
趙二英:「ご立派な心がけね」
F:茶化さない。
陶双央:「というわけで、親忠さんにはふたつにひとつを選んでいただきたいと思います。このままわたしたちとともに徐州に住まうか、それとも木曾に帰られるか。わたしたちとともにあってくれるようなら、生活は保証します」
盾親忠:……「帰りたい、と云ったら?」
陶双央:「港町までお送りして、海の向こうに詳しい者を紹介はしますが、その先はさすがにフォローできかねます」で、いいよね?
F:相変わらず、シナリオ読まれてるなぁ……。ほぼ、こちらの想定している通りです。
陶双央:えへへ。「どうされますか?」
趙二英:(こそこそ)シナリオとしては?
F:(こそこそ)どっちでも大丈夫だ、フォローできる。
盾親忠:つまり、私の判断は大筋に影響しない?
F:ぅおっと!? ……あぁ、そうですね。基本的には、港町に向かってくれれば大丈夫です。
盾親忠:(こくっ)……「主も、母も討ち死にしたその場で、私も死んだはずなのに、生きながらえてここにいるのは何者かの思し召しでしょう。この上は、拾っていただいた皆さんのために微力を尽くしたいと思います」
陶双央:源平時代だと、仏教かな。
盾親忠:……じゃぁ、御仏の思し召しで。
陶双央:「うん、じゃぁよろしくお願いしますね、親忠さん」
盾親忠:「よろしく」
趙二英:「コキ使ってやるから覚悟しなさいよね」
F:こらこら、お前は……えーっと、そこへ侍女が顔を出した。「書記様……っと、皆さまお揃いで」
陶双央:「はい、何事ですか?」
F:「太守さまがお呼びですので、皆さまおいでください」
楊花玉:長い導入部がやっと終わって、シナリオの本筋に入れるワケね。
F:ペース配分間違えたかな……。ここで、いったん休憩入れますか。



注1 当時、結婚式を控えて、アキラの不在が相次いでいた。
注2 平家方になれない、えろイベントがない……などからこう表現したが、実際旧『恋姫』より早く世に出たゲームなので、不適当な発言だったかもしれない。
注3 行親ではなく息子の行忠(親忠の兄)を四天王に数える場合もある。こちらだと4人とも同年代になり説得力が増すが、兼平・兼光・巴らの父・中原兼遠はすでに故人なので、その役割を引き継いで「行親が、義仲と家臣団の後見役じみた働きをしていた」と考えている。僕が熟女好きなのはさておいて、この辺語り出すと割と長くなります。
注4 12世紀後半の未来人なのでマイナス1(現行ヴァージョンではマイナス2に相当)。
注5 弁慶役の主人公を召還したのが平家。詳しくはゲーム参照。

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