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8 個別行動
F:では、後編のシナリオを開始します。えーっと(サイコロ1個)先の戦闘から6日経ちました。その後、袁家の残党は、直接は襲ってくる気配はありません。
陶双央:賊の本拠地を攻略して、徐州の安寧を確保するのが今回のシナリオの目的かな?
F:返事はしませんよ。さて、前回、負傷した袁家残党軍の兵士を収容して、治った者は兵として組み込んでいるンですが、軽傷者はもう動けるくらいには回復しています。小理ちゃん、2D6。
陳小理:うぃっす……(ころころ)2ゾロっすね。
F:では、40人くらいは戦闘に参加できるくらいになりました。
陶双央:合計で……1400人ちょうど、かな? 偶然にしてはキリのいい数字だね。
陳小理:狙ったワケじゃないンすけどねー?
陶双央:欲を云えばもう100人はほしいンだけど……また募兵できる?
F:規定日数は過ぎてますから、できないとは云いませんよ。ただし……小理ちゃん、もいっちょ2D6。
陳小理:うぃっす(ころころ)今度は8っすね。
趙二英:明らかに、ダイス目が悪くなってるわね。
F:それはともかく(サイコロ1個)2日後には80人くらい復帰しますよ?
趙二英:……無理に募兵しなくても、治った兵を使えばいいのかな。
楊花玉:でも、食糧とかは大丈夫なのかしら?
F:いいところに注目しましたね。負傷400の降伏100に、劉玄徳が率いてきた兵が1000。もともとの徐州守備兵が500なのに、双央さんたちが集めた義勇兵425と合算ざっと2000もの兵が増えたため、城内の備蓄は割と減っています。徐州城の人口がだいたい1万というところなので、軍備に対する食糧の負担が大きくなっていますね。
陶双央:その辺りの事情って、すぐに判るの?
F:管理しているのアンタでしょーが。この辺りの情報は、無条件どころか悲鳴とともに向こうから入ってきますよ。
陶双央:あ、そっか。わたし書記だっけ。じゃぁ……「花玉、食糧を調達してもらえる?」
楊花玉:「心得ました。買い付けに行ってきましょう」……で、いいの?
F:そうですね。近くの都市まで……(サイコロ1個)片道3日(注1)はかかりますが、食糧調達に出られます。資金はいつぞや云った通り優遇してくれますし、そもそも必要なものですから、老公も金惜しみはしないでしょう。
陶双央:「じゃぁ二英をつけるから、道中気をつけてね」
楊花玉:「ワタシも腕には自信がありますよ?」
陶双央:「でも、この場合は"指揮"の問題だから。食糧調達に出たと知ったら、賊が襲ってくるかもしれないし」
趙二英:「アタシが買い付けしてくるワケにもいかないしねェ」
F:徐州の守りは大丈夫ですか?
陶双央:戦術指揮なら何とかできると思うよ。
F:では、二英たちにどれくらいの兵を預けますか?
陶双央:1000。
趙二英:「300もいれば充分よ」
陶双央:「500。このラインは譲れないよ」
趙二英:「徐州の守りを手薄にするワケにはいかないわよ」
陶双央:「兵を小出しにするのは各個撃破のもとになるもの。出すならある程度の兵を動員しないとダメなの」……と『情報分析』で対抗判定。(ころころ)出目は5だけど"知力"は7で15。
F:すとっぷ。"交渉"での判定なので、『情報分析』は使えません。この場合は"交渉"平目なので10です。
趙二英:アタシは(ころころ)出目が7だから、11だわ。アタシの勝ち。
陶双央:うーん……。
趙二英:「じゃぁ300で出るわね」
楊花玉:「留守をお願いしますね」と出発しまーす。
陶双央:残念そうに見送るね。
F:そこへ、双央さんの部下がやってきました。「陶書記、刺史さまがお呼びです」
陶双央:はい、直行します。「お呼びでしょうか、刺史さま」
F:呼ばれたから来たンでしょうが。「あぁ陶書記。先の戦闘について、成都(注2)に報告書を送っておいておくれ」
陶双央:「了解しました」……そうね、劉玄徳の戦死と兵員の要請を言上しておかないと。
F:ん? まだ兵を?
陶双央:人数を集めるのは戦略の根底でしょ。
F:……ちょっと、孔明ちゃんになったつもりで考えてみてください。
陶双央:ん?
F:他国に隣接する都市から「賊に襲われているから助けてください」との要請があったため、部将に兵を与えて送りました。ところが、その都市から今度は「兵はある程度残りましたが隊長は死にました。別のひとを送ってよこしてください」との書状が来ます。さてはわわ軍師、どうします?
陶双央:……躊躇うなぁ。部将が死んだのに兵の大部分が残って、しかもまだほしいと云われたら、よほど楽観的な頭の持ち主でなかったら、また同じことになることをまず警戒するよね。
F:そうでしょう。下手をすれば隣国との関係を疑われます。
趙二英:……ふたりして、考えすぎるくらい考えすぎてるわね。
F:というか、最初から一千しか送ってこなかった理由を考えてみてください。孫呉との国境に位置するこの都市に大兵力をはりつけたら、いらぬ詮議を呼びますよ。
陶双央:平穏な両国の関係にひびを入れるのは避けたいね……うん、判った。兵力の要請はしないことで。
F:何よりです。
陶双央:わたしの頭で補うことにするね(にっこり)。
F:……取り返しのつかないことをしてしまった気がします。
趙二英:アンタ、バカでしょ。
陳小理:じゃぁ、あたしは偵察に出るっす。賊の本拠地の様子、探っておかないとダメっすよね。
陶双央:あぁ、ちょっと待って。出るなら二英たちが戻ってから全員で、今度こそ1000の兵で出ないと。
F:……見つけ次第叩き潰すつもりですか?
陶双央:えーじろ、ちょっと陶書記になったつもりで考えてみて。
F:は?
陶双央:偵察に出ると云いだした小理ちゃんは、すでに間諜としてのスキルを失っています。また、個人で戦闘ができる人員でもありません。どうする?
F:まぁ、二英か花玉さんをつけるでしょうね。
陶双央:いずれを出すにしても、直接戦闘力が手薄になるでしょ? だったら、最初から全員である程度の兵力を従えて出るのが効果的じゃない。その隙に賊の残党が徐州城を狙ってきても、曹豹率いる従来の守備兵は残っているから、わたしたちが本拠地を叩き潰してから戻ってくるまでの時間は稼げるはず。
F:……『情報分析』で行為判定をしてください。難易度14。
陶双央:? (ころころ)9だから19になって、成功。
F:その意見は、賊の兵力が一千程度という事前情報が根拠だということに気づけます。出目がよかったので云っておきますが、賊の総兵力が一万近かったら城も双央さんたちもお陀仏ですね。
陶双央:……しまった。
陳小理:どれくらいいるのか判らないっすか?
F:それを探るために出るなら止めませんが、どうする?
陶双央:んー……(エアそろばん開始)
F:砂時計出しますね。
陶双央:……いや、いいな。じゃぁ小理ちゃん、出ておいて。無理はしないように。
F:決断早いですね?
陶双央:だって、誰も間諜の真似ができる"機敏"がないもの。それなら"機敏"がいちばん高い小理ちゃんに任せるのが筋でしょ。
陳小理:任されるっす〜。
F:(小声で)経験点に差が出ないよう、集団行動しようとしてますね?
陶双央:(小声)そういうえーじろは、経験点に差をつけようと個別行動させようとしてるよね?
F:(小声)……お互いさまということにしますか。
F:えーっと……じゃぁ、買いだしに出たふたり。
趙二英:やっと出番ね。
F:無事に東の町までたどりついた皆さんは、食糧を購入できます。どっちか……じゃないな。花玉さん、『内政』で行為判定を。
楊花玉:それは『おお、私が都合つけましょう』だとダメなの?
「現在必要とされている物はすべて、金を積めば入手できるようになる」という『超絶能力』
F:どうします?
楊花玉:いや、どうって。
F:以前やった募兵と同じで、判定に成功すると出目の分だけ効果がある、というものですから。それを使えば判定には成功したことにはなりますけど、システム上成功値の最低ラインになります。今回で云えば難易度は14なので、出す自信がないならともかく、自分で振った方が結果につながるかと思いますが。
趙二英:やっとけ。アンタに任せる。
楊花玉:……では、僭越ながら(ころころ)10だから、18ね。
F:はい、充分ですね。3000の兵が18日は喰いつなげるだけの食糧を買いこめました。なお、商談に1日かかるので、徐州城を出てから戻るのに都合7日になります。
楊花玉:まぁ、実害はないでしょ。……賊に関しての情報って集められないかしら?
F:あぁ、噂にはなっているでしょうね……では"交渉"で行為判定を。
趙二英:アタシも?
F:やるといい。高い方で成否を見ますので。
楊花玉:たぶんお姉ちゃんが高いけど……(ころころ)くっ、2ゾロ。合計で10ね。
趙二英:アタシは(ころころ)11だから、合計15よ。口ほどにもないわね。
F:はいはい、仲良くするよーに。えーっと、15だから(メモを確認)……袁家の残党は割と活発に活動していて、長江北岸の孫呉領も被害を受けているという噂を聞けます。
趙二英:ふむ……「呉にも手出ししてるなら、その辺つつけば漁夫の利ってできそうね」と花玉に。
楊花玉:「そうね、双央さんが何かよからぬことを考えるでしょう。考えるのはあのヒトの仕事で、ワタシたちは双央さんが考えやすい環境を整えるのが仕事……と、責任放棄してみたり」
趙二英:つきあい長いンだったわね。「アンタって相変わらずね……」
楊花玉:にっこり笑って「花魁でいいですよ」
趙二英:「……じゃぁ、アタシも真名でいいわよ」
楊花玉:「ええ、万さん」
趙二英:「千よ!」
楊花玉:「エロマ×コ?」
趙二英:「ケンカ売ってンの!?」
F:いきなり仲良し始めたと思ったらやっぱりコレですか……アンタたち、仲間割れは慎むように。
趙・楊:(真顔で)誰が仲間?
F:こういうときは息がぴったりだな。えーっと、街角でそんな話をしていると、不思議な人影が通りかかった。
趙二英:どんな?
F:魔女みたいなとんがり帽子に魔女みたいなローブをまとった色黒の女だ。割と背は高い。
楊花玉:鳳統ちゃん(注3)じゃないわね……? あの仔、ちっちゃいから。
趙二英:『知敵知己』してみるわね。(ころころ)ぐっ、2ゾロ……サイコロ変えるわ。
F:変えるのはいいが振り直しは認めんぞ。二英の視線に気づいた魔女みたいな女は、銀色の瞳を向けてきた。ちなみに『有朋遠来』をしたいなら、難易度20です。
楊花玉:……やめておくわね。
F:では「ん? 何かご用?」と二英に。
趙二英:「いや……暑くないの?」
F:「あぁ……だいぶ慣れたわよ。暑さにも、そう心配されるのにもね」と、割と軽い口調で笑います。
趙二英:……ん?
F:気づいたか。では『情報分析』で判定。
楊花玉:どういうこと?
趙二英:この反応ってことは、コレが誰なのかアタシは……プレイヤーは気づいたけど、キャラクターとしては気づけるかどうかの判定をするってことよ。目標値は?
F:14……いや、お前なら13でいいな。
楊花玉:ちょっと待って。『有朋遠来』で20なのに知っているかどうかの判定がそんなに低いってどういうこと?
F:知名度が高い人物なので、知っているかどうかの判定は易しいものの知りあいかどうかの判定は難しい、というコトです。
楊花玉:有名人?
F:ぶっちゃけ、三国志の登場人物です。出目は?
趙二英:端数も使って(ころころ)11だから、16。「……ひょっとして、占い師の管輅?」
F:「この国ではそう呼ばれているわね」
陶双央:え!?
楊花玉:「神卜管輅!?」……って、ちょっと待って。女のひとなの?
F:『恋姫』の世界ですから。于吉や左慈、馬騰(注4)は男のままですけど、他は原則性転換しています。
ゲームには名のみ登場で、公式の設定はない。女性との言及もない(注5)が、『妙才謀殺』ではオハナシの都合で女性として出した。
楊花玉:「……どうして、あの管輅がこんなところに?」
F:「どうしてって聞かれても、ダウンジングロッドのお導きとしか云いようがないわね」と、手にしているまがった棒を見せてくれます。
楊花玉:……ナニ占いなの?
趙二英:前に見たときは『ゾディアック』って店で水晶玉占いをしてたわね。
陶・楊・陳:ナニ占いなの(っすか)?
F:すると管輅さんは銀の瞳を綻ばせて「最近はカード占いに凝ってるのよ。ひとつ占ってみる?」と持ちかけてきました。えーっと……
陳小理:マジでタロットカード持ち出して来たっすよ、この師匠……。
趙二英:死傷させてやりたくなってきたわね。
F:まぁまぁ。(シャッフルしながら)「何を占おうか?」
楊花玉:「……じゃぁ、ここにはいないワタシたちの仲間が、この先どうなるのか」
F:「おーらい。では……」
テーブルにカードを5枚並べる。
F:「1枚選んで?」どうぞ。
楊花玉:……イカサマしてないわよね?
趙二英:占いにそんなモン持ち込む男じゃないわよ、コイツは。
楊花玉:こんな趣味があったのが初耳よ……じゃぁ、これ!
F:「The Moon……月。その意味するところは……不安」
陳小理:何でトランス入ってるっすか!?
陶双央:怖いから! えーじろがそーいう顔でそーいう声出すとホントに怖いから!
お聞かせできないのが残念です。
F:「――儒教などクソ喰らえ」
趙二英:あ、素だわ。
楊花玉:素でこんなことされたらなおさら怖いわよ!
F:「従うのみが孝行の術にあらず……向ける刃の先を誤るなかれ」
陶双央:うん、えーじろ正気だね。云ってることいつも通りだね。だから、戻ってきて! 直って!
F:「以上!」
趙二英:何がやりたかったのよ、アンタは?
F:いや、ただのタロット占いだが。
趙二英:完全にトランス状態になって魂抜けたような声で普段通りのことをほざいておいて、それが占いですって云われてもこっちが困るわよ……。
F:あっはは。管輅さんは「期待に添えなかったかしら?」と不安そうだが。
趙二英:聞いておいてアレだけどどーでもいいわ。本気で。
F:では、不満そうに管輅さんは去っていきました。えーっと……以後、徐州城に戻るまでイベントはないですね。
楊花玉:何もなかったことにして、ここの領主さんにご挨拶しなくていいかしらね?
F:うーん、無用だと思いますよ。徐州城に出入りしている商人が、書記の依頼で食糧調達に来ただけですから。そこまでする権限があるとは思えませんし、助勢の兵を出せるわけでもない。ホントに挨拶だけならできますが。
楊花玉:実効がないなら、素直に戻ってシナリオ進める方がいいわね、きっと。
趙二英:同感。
どうにも「うまいプレイをした」狙いの言動が目立ちます。全員。
F:では、小理ちゃん。徐州城を出て……どうする?
陳小理:んー、とりあえず……
陶双央:あ、待って。これは、買い出し部隊到着の前日ね。
F:かまいませんが。
陳小理:あたし、6日もお留守番っすか?
陶双央:割と日付が重要なの。たとえば小理ちゃんが偵察に出て、見つかったとするね。その場合、賊の警戒は厳重になるでしょ。じゃぁ改めて偵察に……というときの判定は、難易度が上がるの。
F:当然ながら上げますね。
陶双央:でも、情報って生き物だから、最新のものを得ないといけない。つまり、偵察の効率を考えるなら、何度も行くより必要なときに行くのが正解でしょ? 現にえーじろが、何ひとつツッコミ入れないもの。
F:ナニを云うのかはだいたい予想がつきましたからね。ついでに不吉を云うなら、最悪の事態が起こって小理ちゃんが捕まった場合、双央さんひとりでは助けには出られないでしょう。その意味でも、外出中のふたりが戻るのを待つのは間違いではありません。
陳小理:こーいうとき、間諜じゃなくなった自分が歯がゆいっすね。……じゃぁ、大人しくその日まで待つっす。
陶双央:うん、いい仔いい仔。
陳小理:そんで当日になったら、改めて南に向かってみるっすね。
F:うむ……(ころころ)んー……『直感』で行為判定。難易度は14で。
「直感的に何かを感じとれる技能」……そのままですね。
陳小理:持ってないっすから"機敏"の平目で(ころころ)あ、6ゾロっすね。
F:……お前の期待値が問題なんだな。サイコロのせいじゃないのがよく判った。では、川を越えて南に走ることしばし、小高い丘の上に山城が見えた。割と丈夫な関門には袁家の旗が翻り、見張りのやぐらが経っているのも見える。
陳小理:山城っすか?
F:今度は『情報分析』で行為判定。難易度16で。
陳小理:うぃっす。これまたスキルはなくて(ころころ)出目が11っすから、ぎりぎり成功っすね。
F:……もはや何も云うまい。『地形』で云うなら+3くらいはありそうだから、だいたい1万人くらいは収容できそうだと判る。
陳小理:いちまんっすか!?
陶双央:ちょっと……それは計算外だな。この前の襲撃は本気じゃなかったってことになって……
F:近づいてみるかい?
陳小理:……できる範囲で偵察しておいた方がよさそうっすね。
F:では『直観』で行為判定。
陳小理:(ころころ)えーっと……今度は14になったっす。
F:システム上、どこかに侵入する場合は、その建物の規模に応じた回数の行為判定が必要です。今回で云えば小規模な城……というか砦なので、いちばん奥にいる首領のところまで入り込むには7回の判定に成功しないといけません。
陶双央:口出ししていい? 『こんなこともあろうかと』で事前に作戦を立てていたことに。
F:その場合は『情報分析』で……事後申請だから、難易度15ってところですね。
陶双央:(ころころ)ぅわ、5……でも、ぎりぎり成功。"知力"上げておいてよかった〜。
F:16にしておけばよかったかな。
陶双央:ふふふ。では小理ちゃん、最後まで入る必要はないから。敵の総兵力がどれくらいか判れば充分だから、無理しないように。
陳小理:了解っす。
F:ところで、どうしてこのタイミングで侵入についてのルール説明をしたのかですが、ここを逃すと機会がなさそうだったからなんですね。
陶双央:ん? ……どういうこと?
F:からんからんからんからんからん……
陶双央:……さっきの『直感』判定!?
F:難易度が15だったものですから、失敗しちゃったンですねー、これが。小理ちゃんは鳴子の罠を作動させてしまい、見張りの兵士たちが走ってきます。
陳小理:不覚っすー!
陶双央:先に云ってよ……
F:えーっと、だいたい10人くらい小理ちゃんに向かってくるけど?
陳小理:逃げの一手あるのみっすー!
F:賢明な判断だ。では、競争判定で逃げられるか確認しよう。
競争判定
楊花玉:またコレなのね?
F:今回は、2D6に『移動力』を足した数値での対抗判定になる。小理ちゃんが勝てば小理ちゃんが、追っ手が勝てば追っ手が1マス進める。追っ手が追いついたら小理ちゃんは捕まるが、端まで逃げきったら逃亡成功。
陳小理:純粋なサイコロ勝負っすね。
F:ところで、馬に乗ってきたのか? それとも徒歩でここまで?
陶双央:常識で考えるなら、見つからないようなところに馬を隠して近づいたってところだと思うけど……
F:じゃぁ(サイコロ1個)えーっと、3マス進むと馬がいることにしよう。追っ手は徒歩なので、移動力は3。馬は移動力7だが、小理ちゃんは子供だから移動力2だ。(注6)
陶双央:序盤は不利だけど、馬に乗ればなんとかなるね。
陳小理:では最初のターン……(ころころ)3!?
F:こっちは(ころころ)8だ。悪いな。
第1ターン終了
F:ちなみに、状況の如何を問わず5ターンめにはもう10人の追っ手が、10ターンめには馬に乗った追っ手が現れるので、それまでには逃げておかんと生還は難しいぞ。
陳小理:うううっ、サイコロの神さまがいじわるになったっす……ん?
F:どした。
陳小理:サイコロの神さま、6ゾロお願いっす……うりゃっ!(←投げつける)
F:おっ?(←あたった)
ころころ……6ゾロ
陳小理:ふはははっ♪ さすがはご利益あふれる師匠の頭っすねー!
F:待て!
趙二英:アンタに何か云う資格があるとは思えないわね!
楊花玉:そーねー、コレはお兄ちゃんが悪いわ。
陶双央:それとも、今後ヒトにサイコロ投げちゃいけないことにする?
F:……いや、それを封じられると、いざというとき僕が困るな。やむを得ん、今回は見逃しますが、投げつけるときは相手の了解を得るように。
4人:えー。
F:やかましい! えーっと、こっちのサイの目は(ころころ)9か……。じゃぁ、対抗判定に勝ったのと6ゾロだったので、2マス進んで。
第2ターン終了
陳小理:この勢いで逃げるっすよ〜(ころころ)うぐっ、2ゾロ……。
陶双央:サイコロ変えてみる?
F:変えるにしても次のターンからでお願いしますね。こっちは(ころころ)8だから、危なげなく1マス。
第3ターン終了
陳小理:あと1マスっすのに……。お医者さんになっちまった自分が悲しいっす。めげずに(ころころ)5……
F:こっちは……(ころころ)いっ、ピンゾロ!? えーっと、合計で5だから判定でも負けたな。
陶双央:このタイミングで出すかな……?
F:えーっと、小理ちゃんは2マス進めるが、どうする?
陳小理:どうって?
F:いや、1マスで止まるか、2マス進むか。2マス進むと馬を乗り過ごすことになるが。
陳小理:いぢわる聞かないでほしいっすよ……馬のところで止まるっす。
第4ターン終了
陳小理:これで移動力が7になったっすから……(ころころ)でも出目は5っす。
F:12か。こっちは(ころころ)8で、11だな。
第5ターン終了
F:えーっと、このターンから追っ手第二陣が出現します。出たばかりなので今回は判定には加わらないけど。
陳小理:このくらい離れていれば大丈夫っすよ。えーっと(ころころ)7で、14っす。
F:馬に乗られたら終わりかなぁ……どれ(ころころ)おっ、11だから14、タイなので動かず。
第5ターン終了
陳小理:ううぅ、あたしのサイコロが手元にあればとっくに逃げおおせていられたっす……。
F:アホなことやった自分を悔やめ、一番弟子。こっちは(ころころ)10の(ころころ)8だな。前にいるのが13、後ろから来るのが11だ。
陳小理:あたしは(ころころ)……5っすね。12っす。
F:じゃぁ前の部隊が前進する……と。
第6ターン終了
陳小理:どーにも出目が悪いっすね……うりゃっ(ころころ)いっ、ここでピンゾロっすか!?
F:おいおい……(ころころ)7の(ころころ)10。えーっと、この場合は判定でも勝ったから、こっちが2マス進めるのか。
第7ターン終了
趙二英:馬に乗ったら負け続きね。
F:たぶん、慌てていて馬を乗りこなせないでいるのかと。そろそろ「待てーっ!」という声が聞こえてきます。
陳小理:待ったら貞操の危機っすー! あたしの身体は師匠のものっすー!
F:だから、ヒトの趣味と性格を疑わせる発言すんなっ!
いちばんの被害者:何を今さら。
加害者:やかましい! えーっと、では……
趙二英:ほら、サイコロ変えて。
陳小理:うぃっす……? (ころころ)あ、6ゾロっす。
F:……はっ!?
よけておいたサイコロが、ない。
F:……おい、貴様。ヒトが救済策を講じようとした矢先に、頭上から助けるンじゃない。
趙二英:逃げおおせたンだからいいじゃないの。
馬の移動力は7なので、合計19。追っ手が6ゾロを出しても15にしかならないので2マス進めて、逃亡は成功する。
F:まぁ……確かに。では、危ない局面もありましたが、小理ちゃんは逃走に成功しました。
第8ターン終了
陳小理:命からがらだったっすよぉ〜。
陶双央:心配になったわたしが迎えに行ったとかは?
F:今さらですね。とぼとぼ帰ってきた小理ちゃんを迎えてあげてください。
陶双央:うん「大丈夫だった? 小理ちゃん」
陳小理:「不覚を取ったっす〜……。でも、かくかくしかじかっす」
陶双央:「それくらい立派な砦を築いていたとなると、一筋縄では攻め落とせないか……。うん、ご苦労さま。ゆっくり休んでね」とねぎらう。
F:そこへ……もとい、それはどこでやってます?
陶双央:え? えーっと、城門の近く。
F:……じゃぁ、直接だな。孫呉の甲冑に身を包んだ女がひとり、馬を走らせてきました。こちらに向かってきます。
陶双央:小理ちゃんの前に出るね。「城内に入るときは下馬なさい!」
F:「無礼は許せ! 危急の要件で、太守殿にお目通り願いたい!」と怒鳴り返して、走り抜けようとします。
陶双央:呼び止める。「徐州城書記の陶双央です! 刺史さまへの御用とあらば、まずわたしがうかがいます!」
F:それを聞いて、女は慌てて馬を止めると、飛び降りて拱手します。「ぅあ、これは失礼しました!」
楊花玉:判りやすい反応ね……。
趙二英:つーか、呉の武将が馬に乗るワケ?
南船北馬はどーした、と云いたかったらしい。
F:(ニヤリ)「あたしは呉に仕える公孫続です。陶謙殿にお取次ぎ願います」
4人:……はい?
※
注1 パワーアップブック収録のシナリオに、ちゃんと隣町までの日数が書いてあったのを、この時点では忘れていた。都合よく同じ日数のダイス目だったのでよかったが。
注2 『恋姫』で、なぜか幽州にある蜀の都。ただし、この都市名および「蜀」との呼称は、ゲーム中ではほとんど使われない。
注3 『真・恋姫』に出演の龐統。知ってますね。
注4 水鏡先生でさえ女になっていたのに、なぜか男のまま出演。台詞もグラフィックもなかったが。
注5 「いけいけ僕らの『恋姫無双』」で男のような書かれ方をしていて、正直焦った。
注6 「成人男子」が3、「女、子供」は2、「普通の馬」で7、「赤兎」だと12と設定されている。
津島屋幸運堂は【真・恋姫†無双】を応援しています。