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7 準備期間

F:はいっ、では後編に入りますねー。(注1)まず皆さん、前回のラストで得た経験点を消化してください。
各人が得た経験点
 双央さん:45点
 二英:40点
 花玉さん:45点
 小理ちゃん:35点
楊花玉:どう使えるの?
F:基本としては2通りです。技能を得るか能力値を伸ばすか。技能のレベルアップに必要な経験点は、前に云ってありますね。まとめるとこんな具合ですが。
 持っていない技能を1レベルにする:10点
 1レベルを2レベルにする:20点
 2レベルを3レベルにする:30点
 3レベルを4レベルにする:40点
 4レベルを5レベルにする:50点
 必要経験点は累積され、たとえば持っていない技能を2レベルにするには「10+20」で合計30点、いきなり5レベルにするには「10+20+30+40+50」で150点が必要になる。
 また、あらゆる技能で必要な経験点は共通しており、最高レベルも5で統一されている。
F:経験点を消費して能力値を伸ばすこともできますが、以前云ったようにこのゲームでは、能力値はサイの目の補数程度の扱いでしかありません。上げたいなら応じますけど、お勧めはしませんね。
陶双央:うーん……
F・趙:悩むな!
楊花玉:……いや、だから。
F:とりあえず小理ちゃんから処理していこうか。どうする?
陳小理:『製造』でおくすりとか作れるようにしておきたいっすけど。
F:薬品か……
 『製造』は「何かを発明したり新しい工夫を加えたりする技能」だが、劉備がコレをむしろ作りに特化させて持っているのは以前見た通り。そういう特異な持ち方をしたいらしい。
楊花玉:この時代の薬学ってどんなレベルなの?
趙二英:割と高いわよ。麻酔薬が開発されていたくらいだから。基本的に中国の文明は、同時代のヨーロッパを3世紀先んじていると考えていいわね。
F:よくない。
趙二英:何でよ!?
陶双央:ヨーロッパという範囲をどこで切るのかにもよるけど、ギリシャの医学や天文学は同時代の中国に劣るものじゃないよ。イギリスやフランスだけで見るなら確かに劣っているけど、その辺りだけをヨーロッパと考えるのはちょっと幼稚だね。
F:勉強不足だな。
趙二英:むっ……
F:ともあれ、そういう持ち方が許されるのかな? あの華佗でももっていないものを持たせてよいものか。
陳小理:華佗センセも持ってないっすか……じゃぁダメっすね。
楊花玉:華佗さん?
趙二英:麻酔薬作ったこの時代の名医よ。……どんなスキル持ってるの?
F:『医術』と『応急手当』が各5段、のみ。この『応急手当』はルールブックでも効能が書かれていないが、『医術』と修正値が違うので機敏系の技能ではないらしい(注2)。さらに云うと『医術』は「応急手当や手術などの医療技術の技能」と書いてある。
趙二英:……何に使うのよ?
F:まるで判らん。ちなみに……ん?
陳小理:なにっす、師匠? あたしに欲情っすか?
F:しないと云うに。小理ちゃん、キミ転職しないか? そういえば、華佗のみがなっている人物種類に医師というのがあるンだが。(注3)
陶双央:転職って……
F:ルールでは、上位職への昇格はありますけど、それを除くと最初に決めた人物種類を変えることはできません。どうせ間諜やる気がないなら、いっそ変えてしまわんか?
陳小理:そんなのがあるなら先に云ってほしいっすよぉ、師匠ったら〜。
趙二英:すっかりその気なのはいいけど、それをするメリットとデメリットは?
F:ご要望の『製造・医薬品』を3レベル(経験点60点相当)と、何に使うか判らん『応急手当』3レベルをあげよう。ただし、用意されていないのに加えて足抜けしたということで、今後『超絶能力』は使えなくなる。
陳小理:いまあたしが持ってる35点は……
F:それは使っていい。どうする?
陳小理:……えーっと、どうしたモンっすかね?
陶双央:反対(即答)。前回使わなかったとはいえ『鶏鳴狗盗』が使えるヒトはひとりくらいいないと。
趙二英:でも120点分のスキルでしょ? アタシは賛成するけど……。
楊花玉:何に使う判らないので60点だもの。お薬はいいけどその60点好きに使えるなら、手放しで賛成するわね。
F:嫌なら別にかまわんぞ。あ、コレを理由に、用意してあるシナリオを変えることはしないと明言しよう。
趙二英:その台詞、赤字で云える?
F:オレの発言は基本的に赤文字で表示しているぞ?
楊花玉:(苦笑)ちーちゃん、ちーちゃん……このヒト、そのネタ知らないみたい。
趙二英:そうみたいね……。
F:何の話(注4)なんだ? ともかく、どうする?
陳小理:……じゃぁ、双央姉さんには悪いっすけど、転職お願いっす。
F:おーらい。では、知力系技能にさっき云ったふたつを3レベルで加えて。
趙二英:知力系なんだ?
F:『製造』はそうだが『応急手当』は判らん。華佗で修正値が+7だから、少なくとも"武力"と"指揮"ではないだろうけど、それを云うと華佗の"機敏"が100だということになるンだよなぁ。
 コーエーの三國志シリーズで、華佗は「武将として登場する」場合と「イベントキャラクターとして登場する」場合とがあり、武将として出た2作(XとZ)での武力は17と34、知力は96と68となっている。どう考えても武官向けの人材ではなく、医術としてはともかく"機敏"がそこまで高いとも思えない。
陳小理:で、その他に35点分っすね。
陶双央:数字が抜け目ないなぁ。今とったふたつを上げるには足りないなんて。
F:……偶然ですよ? ホントに。(注5)ちなみに全員。経験点は、使い切らずに残しておくこともできますので。
陳小理:うーん……じゃぁ5点は残して『流言飛語』を2段で取っておくっすね。
F:じゃぁ、次。花玉さんは45点ですね。
楊花玉:5点はやっぱり残すとして……そうね、『愛想』か『説得』は4段にしておきたいけど、あるいは『白兵』を伸ばすのも手段かしらねェ。
趙二英:それやられるとアタシの立場がなくなるのよ。
F:コインででも決めますか?
楊花玉:んー……
 ちりーんっ
楊花玉:いいわ、『説得』あげましょ。4段につぎ込むね。
F:……ですか。お前はどうする?
趙二英:悩むことじゃないわよ。『白兵』上げてちょうど40点。終わり。
陶双央:手早いなぁ。わたしどうするか、ちょっと悩んでて。
F:相談には応じますよ?
陶双央:ずばり、もう5点ほしい。
F:却下します。理由はいりませんね?
陶双央:じゃぁ15点。
F:却下します。理由はいりませんね?
陶双央:使ってない小理ちゃんと花玉の5点ずつを集めて、残り5点はボーナスで。
F:却下します。理由はいりませんね?
趙二英:あえて理由を聞くなら?
F:オレに理由を聞くな!
趙二英:頼むから死ね!
F:とりあえず、コイツは無視して。無茶云わないように。ほしいからとあげるようでは文字通り話になりませんよ。
陶双央:うーん……じゃぁ、そこらの賊を討伐して経験値稼ぎに。
F:そこらの賊はあらかた討伐したので、袁家残党の根城くらいしか残ってませんよ。
陶双央:それを攻め陥落すのに『計略』と『陣形』を上げておきたいのに。城攻めに持ち込ませないために『計略』、持ち込まなかったときのために『陣形』がいるの。
楊花玉:なるほど……15点要るわね。
F:正直、アンタに好き放題動かれるとまた負けかねませんから、譲歩は致しかねます。
趙二英:そーいやアンタ、前回、勝ちに来てたわね。
F:兵力はほぼ互角で武将のスペックは上だったのに、どーして負けたのやら……。相手の運りが悪いと苦戦するのはやむを得んのだろうなぁ。では、妥協案をひとつ。
趙二英:ん?
F:『夜襲』と『引率』を各2段にするなら、もう5点と、ふたりの残している経験点の譲渡を認めましょう。
 『夜襲』および『突撃』は作動に際して『引率』での判定が必要なので、それらを習得する場合はさらに高い(最低でも同じ)レベルの『引率』を持っていないと、実効性に欠けることになる(注6)
陶双央:『引率』はともかく『夜襲』が必要になるシナリオなんだ?
F:返事はしませんよ。
陶双央:ある程度のレベルで『夜襲』を持っている方がいい……ふむ。
楊花玉:怖いのは、お兄ちゃんの思う通りのキャラクターに仕立てていいのかってオハナシよねェ。まぁ、双央さんだけじゃないけど。
趙二英:……確かに。
陳小理:師匠の好意なら、素直に受けるのが筋じゃないっすか?
趙二英:アタシたちは、アンタみたいにあの雪男に心服してるワケじゃないのよ。つきあい長いだけに、アレの好意には警戒が先に立つわ。
陳小理:後半はごもっともとうなずくっすけど、前半は他称と自称を取り違えてるっすよね?
趙二英:どういう意味よ!?
陶双央:……よし、覚悟は決めた。その話、受けるね。
趙二英:聞きなさいよ、アンタも!
F:ただ、もちろん花玉さんと小理ちゃんの同意があれば、のオハナシになりますよ。
陳小理:あたしは異存はないっすよ? ……どーしたっすか?
趙二英:世の無常さを儚んでいるだけよ……。
楊花玉:同情はするけど相手はしない。お姉ちゃんは商人キャラとして、いちおう商談を持ちかけておこうかしら。
F:何です?
楊花玉:『内政』2レベルと、二英さんの要求を容れること。
F:前半は容れますが後半は却下します。
趙二英:アンタね!?
F:お前相手に譲歩なんぞしておれるか。じゃぁ花玉さんは『内政』を、二英は『引率』を2レベルずつ取得しておいてください(注7)。あと、装備とか所持品でほしいものがあるなら申し出てくださいね。
趙二英:州の刺史サマがスポンサーだから、ある程度の物は手に入るワケね?
F:戦功もありましたから、ほとんど手放しで用意してくれると思いますよ。
陳小理:あたし、医療用具と生活資材とお馬さんがほしいっす!
F:お前、戦場では何もしなかっただろうが! まぁ、手に入れてもいいと思うが……
(しばし、持ち物の調整)
F:では各自、要求は終わりですね? 経験点は使い切りましたね?
陶双央:ちょっと待って。能力値上げておきたい。
F:ちっ……"命数"ですか。
楊・陳:?
趙二英:"命数"を10点消費すると、任意の能力値を1点上げられるわ。
F:任意のタイミングでそれをするのを認めるわけにはいかないので、上げるなら今ですが……判ってますよね? 5点ないし10点単位で上げないと、ほとんど意味がないのは。
陶双央:うん、それを承知で"知力"を6点上げたいンだけど。
F:6点!?
 云いだすなら5点と想定していたので、この発言にはちょっと驚いた。
F:えーっと……ちょっと待って。まって。このヒトに知力80のキャラクターを与えるとなると……
趙二英:80ったって、それができるのはシナリオ通じて1回だけでしょ?
F:オレを策にはめるのは1回あれば充分だ。……このヒトなら、な。
趙二英:……そうね。
陶双央:にっこり。
F:……おーらい。"命数"を60点減らしてください。その上で"知力"を71にどうぞ。
陶双央:うん、おーらい。
F:ただ、いいんですね? 双央さんの"命数"は25になりますが。
陶双央:大丈夫。(自分の頭をつついて)ここに40点くらいはあるつもりだから。
F:……ケタがふたつくらい違う気がするけど、最大が100だしなぁ。ともあれ、小理ちゃんはできないとして他3名は『超絶能力』の選定に入ります。……が
 ざらざらざらっ!(←テーブルにサイコロの山をブチまける)
趙二英:ぅわっ!?
F:今回は、この中から好きなダイスを使ってもらいます。使うたびに変えてもいいですが、持参品は使わないように。
陳小理:ダメっすか。
F:ダメっす。
楊花玉:問答無用ねェ……気持ちと理屈は判るけど。
陶双央:50個くらい……? 大きさも色もとりどりなサイコロ。あ、コレ綺麗だね? わたしコレ借りよ。
F:何気なく、いちばん高いのを見抜きましたね。
趙二英:……ちょっと、ちょっと。
陳小理:うぃっす?
趙二英:(ぼそぼそ)
陳小理:ニヤリ。しーしょぉ♪
F:はい、何ですか?
陳小理:うりゃっ♪(←例の、無情に出目のいいダイスを山の中に投入!)
趙二英:そして、かきまぜかきまぜ〜!(わしゃわしゃわしゃわしゃっ!)
F:何をしている、お前ら!?
陶双央:考えたねー。コレなら、どこかのタイミングであのダイスにあたる可能性があるか。
趙二英:この中から選んで使うなら、問題はないのよね?(ニヤリ)
F:お前らね……。じゃぁ、とりあえず僕も確保しておきますよ。
 サイコロを4つ抜き出し、ふたつは脇によけた。
趙二英:……えーじろ、それは?
F:えーじろやめろ。意味はないぞ? ほら(ころころ)2ゾロだし。
趙・陳:何で見分けがつくのよ(っす)!?
F:振ってみるか?
陳小理:……やめておくっす。あたしが6ゾロ出したらシャレになんないっすから。
F:じゃぁ『超絶能力』決まったら、とっとと始めますよー。



注1 実時間で1週間経過している。
注2 ルールブックによれば、華佗の『医術』は+15、『応急手当』は+12。能力値は公開されていない。
注3 于吉・左慈は道士、管輅は占師、献帝は皇帝という特殊な人物種類になっている。皇帝はともかく他の連中までルールに組み込んで、プレイヤーが天気を変えたり寿命を延ばしたりするのを躊躇ったらしい。
注4 あとで聞きました。
注5 思いつきで云いだした転職なので、技能についても深く考えずに3レベルとしたのに、日頃の行いのせいで疑われたようです。無理もないが。
注6 例としてあげると、顔良は『引率』・『突撃』がいずれも4レベル、文醜は『突撃』3『引率』2レベルとなっている。二英のように『突撃』だけというのは、スキル配分として間違っている。
注7 看破された通り、シナリオとして都合のいいスキルを優遇したのだが、何もかも完全にムダになった

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