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5 徐軍混乱
趙二英:ちょっとまとめるわよ。
・コレは『三國志演技』のゲームシステムを『恋姫無双』の世界で行っている、要するに外史。
・基本的には『恋姫』の世界設定を採用していて、北郷軍が曹操を助け魏領を併合した頃のオハナシ。
・舞台の徐州は、曹操領を経て本郷領に入った……と思われる。何しろ、その辺『恋姫』では記述がない。
・統治者の陶謙老(婆)は、北郷と面識はないが、そのまま徐州の統治を任されている……という設定。何しろ、その辺『恋姫』では記述がない。
・袁紹一行は南への道中で袁術の旧臣に担がれ、旗頭にされている。……という独自設定。なお『真・恋姫』との関連は一切ないものとしているので、袁術がどんなキャラだったのかは考えていない。
・劉玄徳なる武将(というか、部将)は、北郷軍から派遣されてきたが、対袁紹戦・対曹操戦のいずれでも勲功は少なく、手柄を焦るあまり志願して徐州に来た。ンで死んだ。なお、上記理由によりコレが本物の劉備かは考えていない(というか、考える必要がない)
・他は、趙二英(のプレイヤー)が看破した通り、パワーアップブック収録のシナリオに沿っている。
F:というか、『恋姫』の世界だと判るようなネタがいくらでもあったでしょうが、今まで(注1)。
趙二英:気づくワケないでしょ!
F:アホは黙っとけ!
楊花玉:でも、『恋姫』ってひとが死ぬの?
F:死にますよ。直接死んだ描写がなされるのは華雄ひとりですけど、公孫賛(注2)と周瑜が死んでいます。周瑜は焼身自殺ですが、公孫賛は文醜・顔良によって攻め殺されたと明記されています。
楊花玉:その文醜・顔良が相手とはね……
陶双央:――相手は袁紹でしょ。
F:(ぞくっ)……えーっと、他に質問がなければシナリオを再開しますが。
陶双央:いいよ。……ね?
趙二英:相手にとって不足はないわね。
陳小理:むしろ手に余るっす……。
F:では、再開します。「おほーっほっほっほっほ! 我が袁家の栄光の礎となることを誇りに思いなさい!」とか何とか後方で高笑いが起こっていて、中陣辺りにいる顔良が困ったように溜め息をついています。そして前衛にいる文醜が、グレートソードを振り回して「命の惜しくない奴は前に出ろー!」と大暴れ。劉・関・張が相次いで討ち取られた(順不同)ために、前衛の援軍は浮足立っています。全員『情報分析』で行為判定してください。
陶双央:(ころころ)8だから、19。
趙二英:(ころころ)5……9よ。
楊花玉:(ころころ)うっ、また1ゾロ……えーっと、8。
陳小理:あたしは……(ころころ)11っすから16っすね。
F:では、双央さんと小理ちゃんには、誰かが前衛を統率しないことには、勢いに負けて壊滅するであろうことが判ります。そんなモン見れば判るような気もしますが。
趙・楊:ほっときなさい!
陶双央:では「徐州軍陶双央分隊、前進! 劉玄徳隊を収容し、反撃に転じます」……ということで行動開始。
F:まず『士気判定』をしてもらうことになります。
曰く「部隊に特別な要求をしたり、不利な戦況に動揺する兵をまとめるのは指揮官の技量次第です」として、「指揮官が敗れ動揺する兵をまとめる」場合の行為判定基準が決められています。
F:公式は『敗れた指揮官の最も優れた技能修正値』に部隊の耐久度の3倍を足した数値です。今回で云うなら、劉玄徳のもっともすぐれた技能は『むしろ作り』なので+9……
陶・趙・楊:えーじろ!
F:いや、ルールブックにもそう書いてあります!
劉備は『製作・むしろ』を3段で持っている。冗談はヌキです。
趙二英:持っていてもそんなスキル、戦場では役に立たないでしょうが!
F:それは関係ない。高い技能を持っているということは、その道のエキスパートと知られているということだ。たとえむしろ作りの名人としてでも、そう知られていれば討ち取られて士気は落ちる。引き合いに出すとお前は怒るかもしれんが、『角色扮演遊技・平家物語』が出ていたら『演奏』5レベルの平敦盛が討ち取られて平家全軍が動揺する様が再現できていたと明記されているぞ。思うにこのシステム、そのために作られたンじゃないかとさえ邪推できるが。
趙二英:ええい、そういう賛同できない理屈をこねる……!
F:話を戻すぞ。えーっと……次に、部隊の耐久度ですが、これは兵士数で決まります。一千台なら3ですので、3倍して9。よって、最終的な難易度は18になります。
陶双央:ずいぶん高いね……
実は、実際に劉備が討ち取られた場合は、+9の『むしろ作り』より高い『愛想』か『士気高揚』の+11で振らなければならないのですが、劉玄徳は劉備本人ではないことと、それでは成功の見込みが薄くなることを考慮して、この数値にとどめました。
楊花玉:なにで判定するの?
F:基本は"風采"+『士気高揚』ですが、他のスキルを使いたいなら申告してください。たとえば二英なら『威圧』して従わせる、というのを試してみる価値はあります。一方で『愛想』や『説得』では難しいでしょうね」
楊花玉:『説得』も?
F:コレは『道理を説いて相手に自分の主張を認めさせる』スキルですから。将を討たれた混乱状況では、兵たちに道理を説いても通じにくいでしょう。使うというなら難易度を上げますよ。
陶双央:じゃぁ『情報分析』は?
F:どう使います?
陶双央:えーっと……「うろたえないでください! 彼我の兵力はいまだ我が方有利! 確かに劉隊長は討たれましたが、司令部は健在です! 落ちついて陣形を組み直しなさい!」みたいな。
F:どちらかと云えば状況分析にも聞こえますが、いいでしょう。『情報分析』での判定を認めます。
陶双央:端数も使って"知力"が7、情報分析は3段だからこの時点で10……8以上なら成功。
趙二英:女傑がいないのはこれが目的? 確かサイの目にボーナスがつく『超絶能力』があった(注3)でしょ。
F:いや、女傑という概念が成立していない世界だから。結果としてそれを封じることには成功しているが。
陶双央:ちなみに、失敗したらどうなるの?
F:組織的な抵抗はできなくなり、劉玄徳隊は散り散りに逃げます。たぶん徐州城に逃げ込むでしょうが、双央さんたちは手元の425名で一千からの軍勢に対抗することになります。
陶双央:んー……(ちょいちょい、ちょい)。
このヒトは、考えごとをする時に、指先でそろばんを弾くような動きをする癖がある。
趙二英:……どーしてコイツらって、考えごとをする前にそれを口に出さないワケ?
陶双央:(←聞こえてない)んー……(とんとんっ)。
そろばんを立ててテーブルに打ち、玉をそろえる仕草。
陳小理:見事なエアそろばんっすね。
陶双央:……劉玄徳隊、そっくり残ってるのかな(すーっ)。
上の段を指で引いて上げる仕草。
F:どうします?
陶双央:(←指が止まる)……できる?
F:判断は任せますよ。
趙二英:アタシたちにも判るように喋りなさいよ!
F:いや、そのままだ。さっき云った通り、部隊の耐久度は兵士数で決まる。千以上だと3。人数が減ればその分耐久度は落ちるが、まとめるのは簡単になる。
陶双央:先に討たれた張益徳分隊300が減っているとしたら、難易度は?
F:兵士数が1000未満なら耐久度が2になります。難易度は15にまで落ちますね。
楊花玉:わぁ……!
F:ただし、というかもちろん、その後の戦闘が難しくなりますが。
趙二英:……そりゃそうね。
陶双央:そこが問題……さて。(コイントス)
ちりーんっ
F:おもて。
陶双央:勝負。(ころころ)……9!
F:成功です。指揮官を失った劉玄徳部隊一千は、双央さんの情報分析を受け入れ、踏みとどまって抗戦する意思を見せました。ただし、さすがに無傷とはいかず……(サイコロ1個)100人ほど死傷および逃亡しています。
陶双央:すとっぷ。きりのいい数字で、足して1400になる人数が逃げたことにしない?
F:ふむ……割と都合のいい展開ですね、それは。まぁ、実害はないですが。
陶双央:表(コインを差し出す)
F:ふむ(コイントス)……いいでしょう、減ったのは75人として、双央さんたちが率いるのは1400の兵とします。これを率いて、袁家残党軍1000との戦闘になります。
初期状態
楊花玉:……またコレが出たわね?
F:基本的にはひとつの判定ルールしかないですから。集団戦闘の場合でもシステムは同じで、対抗判定で相手を押し、部隊耐久度を上回るマス(を、限界ラインと呼びます)に押し込めば勝ちになります。
陳小理:はー……この『川』ってなんすか?
F:さっき云った、徐州城の南の、歩いて渡れる川。ここから先に敵部隊を追いやる場合には、川の規模より大きい差で判定に勝たなければならない。今回で云うなら規模は+2だから、2以上多くなければならないワケだ。こーいう、戦況に影響する障害物を『地形』と呼ぶ。今回で云うならひたすら下がれば徐州城(防御効果+3)があるけど、その前に限界ラインがあるのでそっちは割愛。
陶双央:困ったことに、川は相手の耐久度の限界ラインにある……と。
F:『情報分析』での判定をどうぞ。目標値は12です。
陶双央:え? (ころころ)18、成功だね。
趙二英:だから、それ持ってないのよ(ころころ)7だから……11。
楊花玉:(ころころ)7だから、13ね。
陳小理:えーっと……(ころころ)6ゾロっすから、その時点で成功っすね、あたし。
F:地形を利用しているということは、割と用意周到に攻めてきた可能性があると、二英を除いて気づきます。気づけ!
趙二英:やかましいわよ!
楊花玉:つまり、賊の間諜が徐州城に来ているってことかしらね。
陶双央:来てるってえーじろが先に云ってたよ。
楊花玉:……あぁ、そーいえば。
F:しまった……そーいえば口に出してたな。
趙二英:ん……?
「じゃぁあの時の視線は何だったのよ?」とか考えたらしい。
F:とりあえず、話を戻しますね。今回、兵力は徐州軍1400に袁家残党軍1000ですので、いずれも部隊耐久力は3。また、兵力差は大きくないので修正はつきません(注4)。
陶双央:その3マスより先、川の向こうに追いやればいいの?
F:です。"指揮"と『陣形』で対抗判定を行い、勝てば1マス押せます。例によって、判定の勝敗を問わず、6ゾロなら1マス押せますし、ピンゾロなら1マス押されます。
陶双央:誰が判定するの?
F:任意ですよ。『必ずしも総大将でなくてかまいません』とパワーアップブックにも明記されていますので。
趙二英:そーなるとアタシね。(←"指揮"60、『陣形』4)
陶双央:うん、お願い。(←"指揮"60、『陣形』2)
F:また、策を弄したい場合は申告してください。『三十六計』を使えば戦況を一変させることができます。こちらは、使うヒトしか判定できませんが。
陶双央:それは当然だね……えーっと、手持ちの『三十六計』は、こんな具合。
囲魏救趙:『地形』を取り除く。⇔不意打ち(2倍ダメージ)を受ける。
借刀殺人:敵の間諜を寝返らせ、偽の情報を流す。⇔敵にとって都合のいい状況が発生する。
声東撃西:敵を二分し片方ずつと戦うようにする。⇔不意打ち(2倍ダメージ)を受ける。
遠交近攻:同盟国が援軍を出してくれる。⇔援軍が来ない。
指桑罵槐:戦争中サイの目に+1。⇔戦争中サイの目に−1。
反客為主:敵を計略を見破る。⇔相手は判定にボーナス。
楊花玉:えーっと?
F:戦争中に『三十六計』を使う場合は、そのシチュエーションに応じた難易度の『計略』判定を行わなければならないンですけど、成功すれば効果が得られる半面、失敗すると反作用を受けます。
陶双央:両刃の剣だね。とりあえず、戦闘に入る前に『指桑罵槐』しておきたいけど。
F:では、"知力"+『計略』で判定してください。袁家残党軍には軍師がいないので、いちばん"知力"の高い顔良(注5)が対抗判定します。勝てば計略が発動したことになります。
陶双央:顔良さん、"知力"いくつ?
F:……50です。もちろん『計略』も持っていません。
陶双央:じゃぁ、端数は使わなくていいかな。(ころころ)……9だから、足して17。
F:ちょっと待ちましょうか。『指桑罵槐』の正式な作動条件はこうなっています。
第二十六計 桑を指して槐を罵しる
使用タイミング:合戦直前/合戦中
使用条件:なし
ペナルティ:−2
効果:士気が高まり、合戦中、味方全員のサイの目に+1。
反作用:むしろ士気が下がって、合戦中、味方全員のサイの目が−1。
F:問題はこの『ペナルティ』で、『三十六計』を使う判定の際にこれを受けます。高度な計略ほど実現しにくいわけですね。
陶双央:ということは……わたしの出目は15になっちゃう?
F:なりますね。顔良が2D6で10以上を出せば、『指桑罵槐』の反作用を受けることになるワケです。
陶双央:……まぁ、大丈夫のはずだよ、うん。いい出目がそう簡単に出るとは思えないし。
F:出しましょうか。
趙二英:イカサマ(注6)は許さないわよ?
F:いや、イカサマはしない。もっと単純な方法がある。
陶双央:その心は?
F:翡翠ちゃん、キミのサイコロを貸しなさい。
陳小理:はい師匠、どーぞっす。
陶・趙・楊:それはずるい!
F:ずるくない! このダイスの出目が何もかも悪いのじゃ! てやっ……(ころころ)2ゾロ!?
陳小理:……4っすね。
F:おかしいな……? このサイコロならうまくいくと思ったのに。
陳小理:どれ(ころころ)3の6、(ころころ)6ゾロ、(ころころ)6の4、(ころころ)6の2……。
陶双央:助かった……のかな?
趙二英:そうみたいね。……つーか。
陳小理:(ころころ)4の4、(ころころ)5の6、(ころころ)2の6、(ころころ)5の5……。
楊花玉:……サイコロじゃなくて、この仔の期待値が無情に高いンじゃないかって思えてきたわ。
F:くっ、単純でいて抗しようのない策を弄せたと思ったのに……。判りました、『指桑罵槐』は作動します。
陶双央:よかったよかった。では、とっとと撃退しちゃおうか。
F:いい気になりおって……。はい、では戦争に入ります。戦場の中央からスタートですが、他の策は使いますか?
陶双央:んー……このターンはぶつかってみて、様子を見るってことでいいかな?
趙二英:相手が『恋姫』の3バカとはいえ、武力はあるワケだし、慎重に越したことはないわね。
F:いいですか? じゃぁ代表者、さっき云った通り"指揮"+『陣形』で判定を。
趙二英:端数はない……(ころころ)10ね。足して20……じゃなかった、『指桑罵槐』で21。
F:対してこちらは"指揮"70の『陣形』2段……6ゾロ出してもドローがいいとこじゃないか。
趙二英:えーじろの、ちょっといいとこ見てみたい♪ それ6ゾロ、6ゾロ、6ゾロ……♪
F:やかましい!(←サイコロを投げつける)
Hカップ:ふんっ!(←胸で跳ね返した)
陶双央:……え?
転がったサイコロは、6ゾロ。
楊花玉:何やってるの!?
趙二英:な、なし! コレはさすがになしよ!
F:ふはははははっ! さすがはオレがこの手で育てた爆乳! 文句があるならその胸にでも云え!
楊花玉:ちーちゃんがそんなでっかいモノぶら下げてるから悪いンじゃない! その胸が悪いわ、ええ確かに!
陶双央:えーっと……そんなこと云ってると、1マス押されちゃうけど
陳小理:口出ししたら巻き込まれるっすよ、センセ……。
Aカップ:その胸が何もかも悪いのよ! お姉ちゃんにごめんなさいしなさい! それが嫌ならむしろちょーだい!
(仲間割れ発生……オイオイ)
※
注1 探してみましょう。
注2 『恋姫』におけるコーソンさん。外字のため当て字にされた。……このサイトを見てるひとなら知ってますね、ええ。
注3 「味方全員のサイの目に+1」の効果を持つ『貪夫をして廉に、惰夫にして立たしむ』のこと。もっとも、内容の性質上、男にしか効果はないが。
注4 部隊耐久力が違う場合は、耐久力の差だけサイの目にボーナスがつく。たとえば、10000の兵で500の兵と戦う場合は、耐久力が4対2なので多い方は+2の修正を受ける。1000と9000の場合でも多い側は+1されるが、400では差が多いとは評価しにくいので、今回はボーナスをつけないことにした。
注5 袁紹・顔良・文醜のうち、本来の武将データでいちばん"知力"が高いのは袁紹(さらに『計略』を2段で所有)なのだが、『恋姫』の袁紹が"知力"61もあるようには思えない。ために、逃げ足用に"機敏"と"命運"は高くし、他は全て半分に切った能力値を用意しておいた。
注6 そりゃRPG歴20年を数えれば、狙ったサイの目を出すくらい自在にできますね。好んではやりませんが。
津島屋幸運堂は【真・恋姫†無双】を応援しています。