割り箸戦争 (4,5,6年生) War of disposable wooden chopstick guns


中青戸小学校図画工作科での活動 Nakaaoto Elemetary School

■全校写生会(絵画)
Sketch festival

 本校では、毎年春―5月に全校写生会を実施しています。学校の周りに緑あふれた公園が多く点在していることや、ゴールデンウイークの中日に当たっていることも、その理由になっています。学校がますます過密になり、競争に追い立てられていく状況下で、「自然に親しみ、自分を見つめながら、ゆとりある活動をする。」―それは、とても貴重な体験(学習)です。まさに、「表現」の中で「生きる力」をはぐくんで行きます。時間数の関係で、今後いつまで実施できるかわかりません。しかし、自分を表現するための「方法」や・自分らしさのための「下地」のようなものが培われていく感じがします。
葛西城址公園 In the park
 美術教育においては、「写生は子どもの創造性が発揮できず、下手な子が図工を嫌いになる」という主張はかなりあります。そのため、現在では教科書でもほとんど写生題材が扱われていません。しかし、大正時代の有名な『自由画運動』とは―山本鼎は、児童を絵の手本『新定画帳』より脱却させ、臨本によらず実際の物を見て描くことを主張していたのです。
「観察」=見ることから自然科学が生まれ、その「解釈」で芸術が波及し、「対応」で文化が築かれてきれたように思います。写生とはそのような一連の創造的行為です。それは、マンガやキュラクターと遊んでいる「構想画」よりは、ずっと新鮮で、個性的になり得るものです。自分で描く絵は「写真」ではなく、表現としての「君自身だ!」と指導していくことが大切な鑑賞教育・図工科としての「生きる力」のような気がします。それで、子どもにも「生きる喜び」や「自分らしさの自信」のようなものがついていくように思います。


平成8年度は、あいにく当日は雨になりました。そのため室内で1年から6年まで『花のある教室』の写生をしました。

6年 I児


*平成9年度は、すばらしい五月晴れに恵まれました。学年毎に校庭や近くの公園に出かけて、ほとんど1日かけて、写生の完成をめざしました。

Sketch Festival at Nakaaoto Elementary School, 1999

6年生O児 Grade6 6年生I児 Grade6

■ギコギコ・ゴシゴシ・トントン(木工作) 
Woody handicraft

 はじめてのノコギリ学習は、児童にとって興奮し・夢中になります。「右と左どう違うの?」「どうやって使い分けるの?」これが、[両刃のこぎり]と[げんのう] の共通の導入です。−おわかりになりますか?。また、ゴシゴシも喜びます。木工ヤスリ、ドレッサー、紙ヤスリなどを使って汗をかいて磨くのです。「刃は命!」でも、かすり傷はつきものです。木の素材を生かしながら真剣にやること・用具の使い方を身に付けることが学習のめあてです。自由にのびのびを旗印に、この大工の技能や上達が下位に見られることは大きな間違いです。頭でなく手で覚えること。知識ばかりの医者より、腕のいい医者が頼りになります。手間をかける根気や手先の巧緻性もこの教科は育てているのです。満足した子どもたちの顔はとてもチャーミングです。

 4年生「自由木工作」Grade4


プロダクトデザインProduct Design
 工作は真に総合的な学習です。まず、全体のアイディアとしてのデザイナー、作図(製図)の後に大工・ペンキ屋さんの体験もします。そして、実際に使ってみて生活科としての鑑賞者・消費者の学習までします。それは、創造性だけでなく、腕のいい多くの職業の「生きる力」を支えていきます。

 5年生「サンドイッチ箱」Grade5
 電動糸のこぎりを使っています。

(学習の振興等)
第十六条  国は、青少年をはじめ広く国民があらゆる機会を通じてものづくり基盤技術に対する関心と理解を深めるとともに、ものづくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的気運が醸成されるよう、小学校、中学校等における技術に関する教育の充実をはじめとする学校教育及び社会教育におけるものづくり基盤技術に関する学習の振興、ものづくり基盤技術の重要性についての啓発並びにものづくり基盤技術に関する知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

ものづくり基盤技術振興基本法
(平成十一年三月十九日法律第二号)


■手作りリース(紙工作)
 Papercraft
12月になると宗派を超えて「リース」を作ります。これは、てづくリース。紙を切って貼る他に、リボンや金銀紙を使って子どもたちは喜んで制作します。また、「とびだすカード」も夢中になります。手渡すまでが学習−手づくりは「汗と愛情」が大切です。「プレゼントする人がサンタさんですよ。」 

 

 4年生「リース・飛びだすカード」Grade4


 5年生 「多面体」Grade5
 
 正3角形を基本にして、正4面体、正8面体、正20面体を作りました。
 さらに、正5角形を使う32面体、64面体を目指します。

完成した64面体(Y児童)


 接合するときは、セメダインが乾く間にマスキングテープを貼っておくと作業がしやすく、後で簡単に剥がすことができます。
 


■立体パズル 6年生

Woody Puzzle

 かって子ども達は学校から帰ると、ランドセルを放り投げて飛び出して、群をつくって遊んでいました。そんな子ども時代を失った子ども達、ファミコンなど自分一人で完結するような自閉おもちゃに囲まれている子ども達に、―自分でつくり・それで遊ぶ・共に遊ぶような題材を考えています。
 プログラムの組まれた生活や日々をただ送らされているような受け身の生活から、『手づくりおもちゃ』は、為すことによって学ぶ―アイディアや色、遊び方などを自分で決められるような自己決定力をつけさせていきます。それは、ともすれば教えられるだけの学校の、活性化・人間化を目指しているのです。


実践事例Grade6 STANDING & ASSEMBLING PUZZLE Lesson Plan

割り箸鉄砲で戦争《美術工作クラブ》
Club activity

 遊びは自由=楽しみのための身体的及び精神的な諸活動と言われています。強制によらないはずの“遊び”を授業で取り上げるとき、児童が自発的に遊び心を抱いて工夫しているか、楽しんでいるか、何を学んでいるかがキーになると思います。
 毎年やっているこの活動では、児童は基本的な作り方を学んだ後、自分だけの鉄砲やライフルに挑戦します。そのあと机を2列に離して、東軍と西軍に分かれて打ち合うのです。帽子をヘルメットにしたり、盾を作ったり、いろいろ工夫しながら「来い、やれ!」と興奮して活動します。列を離してやっていますが、顔に当たって泣く子もいます。そうです−ファッミコンと違って、やられれば痛いのです。
 学校という枠組みのなかで、かりそめの「子どもの時代−熱い世界」の創出になるのか、ただうるさいだけで終わるのか…。息抜きではなく、子どもらしい喜びを持った、主体性と行動力を養うための学習にしたいと考えています。

■ピカソからの抽象画 6年生
Abstract Art

 
ピカソはでたらめではない―これがこの題材の大きな学習と言えます。小学校でも造形の楽しさを強調し、絵画の技術的な「上手・下手」の観念を崩すためにピカソを真似るような題材が多く見られるようになってきています。
 しかし、指導者に模倣から解放された「絵画の自由」を教えようとする意図があっても、児童にとってはピカソの革新的な意味はなかなか理解しにくいようです。
 子どもにとって、ピカソの“変な・おかしな絵”のイメージは、逆に「適当や偶然でも構わない」―というような、安易な造形意識をもたせしまうこともあります。
 そこで、〔多視点のスケッチ⇒分解・組み合わせ⇒抽象画〕を体験させながら、少しでも児童がピカソを理解できるように工夫しています。
抽象画が模倣を意図するあらゆるフォルムから離れ、純粋に『自由な形や色の組み合わせ』であることを教えたいと考えています。 しかも、モーリス・ドニの言うように絵画は「ある秩序によって組み合わされた形態、線、色」によって成立することにも気づかせていきたいと思います。そして、美とは自分勝手ではなく、調和していることを感じてほしいものです。

コンテ、パスを使った6年生の作品です。T児
<計算と感覚と実技>これこそ、美術教育の目指すものかもしれません。
コンピュータの抽象画作品は、中青戸小学校40周年展覧会で発表しています。

やきもの
Ceramics

 「陶器はあらゆる芸術のなかで、最も単純であるとともに最も困難なものである。〜歴史的に言えば、それは諸芸術の最初のものである」と、ハーバート・リードは『The Meaning of Art』で述べています。
 土と火を素材にするこの学習は、触っている手の実感やダイナミックで直接的な形の変形(可塑性)が児童に生きていることを実感させてくれます。自然に触れている感覚を大切にして、あまり、手わざや技巧を求めずに、「自分がいる」という体験を第一にしたいと思います。


 4年生 「缶人形」
 缶に紙を巻いてを芯にして作りました。
 テラコッタ粘土の素焼きです。


 6年生 「一輪差し」
 たたら板で粘土の板を作ってから、缶を芯 にして巻きました。缶を抜いてから、首をつ ぼめていきました。
 素焼きしてから、自分で好きな色の釉薬を かけました。(本焼き)

体験学習の教育的意義<文部科学省>
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/055/003.htm

 体験活動について

 体験活動とは、文字どおり、自分の身体を通して実地に経験する活動のことであり、子どもたちがいわば身体全体で対象に働きかけ、かかわっていく活動のことである。この中には、対象となる実物に実際に関わっていく「直接体験」のほか、インターネットやテレビ等を介して感覚的に学びとる「間接体験」、シミュレーションや模型等を通じて模擬的に学ぶ「擬似体験」があると考えられる。しかし、「間接体験」や「擬似体験」の機会が圧倒的に多くなった今、子どもたちの成長にとって負の影響を及ぼしていることが懸念されている。今後の教育において重視されなければならないのは、ヒト・モノや実社会に実際に触れ、かかわり合う「直接体験」である。


(2)「知」の活用・実践化を図る体験活動
  知ること・学ぶことは,単に知識を頭に貯えることにとどまらず,知識や学び方を働かせ,活用して,自分自身をより豊かなものへと高め,生活の場や社会の様々な問題解決を図り,よりよい社会を創り出すところにつながることが重要である。つまり,学習と生活とが再度結びつき,自己実現や実践化を進めることによって,学びはしっかりと身についたものとなる。
  この学習と生活との再結合を図る「知の実践化」の過程において,直接体験が重視され,重要な活動方法の一つとされている。新設された「総合的な学習の時間」においても問題解決的な学習とともに体験的な学習が強調されているが,ここにおいても直接体験を重視することが求められている。
  このように,「体験活動」は,子どもたちの学びと成長の過程全体において重要なものである。子どもたちの「学び」を確かなものにし,豊かな成長を支えることを願って,「体験活動」を充実することが求められている。
*体験的な活動を「総合的な学習の時間」で行うと記述されていますが、図画工作科では以前から活動しています。


宇喜田小学校での活動は、宇喜田美術館で紹介しています。
UKITA ART MUSEUM


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