ここでは、初めて動物病院にかかろう、と思ったときに遭遇する、よくある疑問、お問い合わせの多いものを取り上げてみました。
長く読み辛いですが、動物病院が初めてではない方も、病院のかかり方、病気に対する考え方を院長が書きましたので、ご参考にしてください。
また、さらにわからないことがございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。

Q.診察には予約が必要ですか?
A.必要ありません。診察時間内に来院してください。
新規の患者様や検査(血液検査やレントゲン)が必要と思われる症状の患者様は、午前、午後の診察終了時刻の30分以上前に受付を終えておいてください。
また、継続治療で、獣医師の指名がある方や院長の診察をご希望の方は予め電話でご確認いただいたほうがより確実に診察を受けることができます。
また、当院は予約制をとっていないため、混雑状況は、時間帯によって異なります。特に土曜、日曜日や午前午後の診療終わり前1時間は混むことが多いので、それ以外を避けるとスムーズに診療を受けられることが多いようです。

Q.2、3日前から.朝から吐いて、元気も無いのですが、原因は何でしょうか。
 どうすればいいでしょうか、連れて行ったほうがいいですか?

A.電話でのお問い合わせが多く、お答えに困ってしまうのが、初診の方で症状のみを伝えられて、それは何ですか?原因は何ですか?という質問です。
「医師が診断を下す」という行為は、その医師の医学的知識や経験や勘によるもの、ととられがちなものです。しかし、どんな医師でも、基本的に必ず、 「診察(問診、触診、視診など身体検査)→異常点の把握→必要に応じて臨床検査(レントゲン、血液検査など)→病気の診断(もしくは考えうる病名)→それに対する治療」 という長い思考回路を経て診断、治療法を決めるものです。したがって、数ある病気の多くは電話で症状を聞いただけでは診断が下せないのが実際です。(たとえば、人間のお医者さんに行って、検査もしないで「あなた、肝臓病だよ」とは言いませんよね)
しかし、交通事故にあってしまった、毒物を飲んでしまった、爪から血が出ている等、明らかに原因が判っているものに関しては、電話での対処方法や救急処置の方法を伝えることができます。
前置きが長くなりましたが、本題の質問のお答えですが、「嘔吐の原因は様々です。食餌の変更やストレス、胃炎、腸炎、腎臓病、肝臓病、ガン、胃捻転、尿道閉塞などなど、原因を挙げればきりがありません。ご心配なさっているのであれば、早めに病院に連れてきてください。」と少し冷たいお答えになってしまいます。
しかし病院側としては、動物のことを第一に考えての返答なのです。
動物たちは、自ら話をすることができません。病院へ連れて行く、行かないは、飼い主さんが責任をもって決めなければなりません。飼い主さんが動物達の訴えを汲み取って、手遅れにならないよう、早め早めの対処をお願いします。

Q.初めてかかろうと思うのですが、治療費はどのくらいかかりますか?
A.動物病院の医療費が心配なことから、多くの問い合わせがきます。
お電話では、初診料や糞便検査料、ワクチン注射の料金、血液検査、レントゲン検査料など病院で規定されている料金はお答えできます。また、簡単なことであれば、大体の料金をお伝えすることはできると思います。
「食欲が無くて下痢をしているのですが、どれくらいかかりますか?」「他の病院で、ガンと言われたのですが、そちらでの手術料は幾らですか?」というご質問には、診察料の全てをお答えするのはなかなか困難です。(たとえば、自分の車がいきなり止まってしまって、修理屋さんに電話して、「クルマが動かないのだけど、直すのにいくら?」では、修理屋さんは答えようがないですよね。)診断や病気の状態によって必要な検査や治療の方法が異なります。
実際、来院されて診察を受けていただければ病気の状況や程度がわかりますので、必要な検査や治療にかかる具体的な料金の概算は出来ます。 来院したからといって、検査や治療などの説明なしに、いきなり高額な診察料をご請求することはありません。また、当院規定の診療費一覧が、受付カウンターに設置してありますので、そちらを参考にしてください。
とは言っても、大まかな相場を知りたいと思いますので、ご参考までに。
初診の方で、内科的な病気で問診、身体検査(視診、触診、聴診など)と一般的なお薬の処方のみ、という場合は通常は5000円以内でしょう。それに注射や点滴などが加われば、1万円くらいかかってしまうかもしれません。さらに各種検査(レントゲン検査、血液検査、超音波検査)などが加われば、それに準じて加算されます。
飼い主さんは、病気のことに限らず、診療の中で、獣医師が病気の説明している過程で気になる点があれば、「その処置を行うには、どのくらいリスクが伴いますか?」「それで、その治療をしようと考えているのですが、いくらくらいかかりますか?」といった、どんな質問でもご遠慮なくなさってください。飼っている動物の飼い主さんが望んでいて一番よいと思われる治療方法を獣医師と一緒に考えていきましょう。

Q.病院へ連れて行きたいのですが、ストレスが心配です。
A.特にこの質問は、ウサギや爬虫類などのエキゾチック系を遠方から連れてこられる方の問い合わせが多いです。
確かに、小さく繊細な動物を病院へ連れて行くことはその動物にとって大きなストレスになるに違いありません。ですので、病院側としても、ストレスは気にしなくてもいい、ということは決して言えません。
しかしながら、来院のストレスを気にするあまり、必要な医療行為を受けることが出来ずに死んでしまう動物も沢山いるということも事実です。
この問題には、二つの相反するものを天秤にかけなければなりません。その動物にとって「ストレスというデメリット」のほうが「病気が治るメリット」より問題になるようであれば、病院へ行く必要はないでしょう。逆に、「ストレスというデメリット」より「病院へ行って、病気を治すメリット」が上回ると考えられるのであれば、病院へつれてきて、診断、処方を行ってもらうほうがより望ましいでしょう。
この考えは、「病院で検査したり、家で薬を飲ませたりする」という行為にも同じことが言えます。「薬を嫌がるのですが、飲ませたほうがいいですか?」という質問を時々受けます。「薬を嫌がるストレス」と「薬による治療効果や期待」を比べてみて、病気を患っている動物がいま本当に必要なのはどちらかを考え、選択するようにします。多大なストレスをかけて効果の低い薬を無理して飲ませる必要もないです。(泣き叫ぶ人間のあかちゃんに、押さえこんでワクチンを打つことがありますが、それとて、そのあかちゃんにとっては、大きなストレスになります。しかし、それをもってもなお、ワクチンの効果を期待して接種しています。)
病院側は、まずは動物のことを第一に考えてご返答します。動物が健康になれば、飼い主も幸せになると思うからです。動物たちは、自ら話をすることができません。病院へ連れて行く、行かないは、飼い主さんが責任をもって最終的に決めなければなりません。