チリ通信−22 (2006年8月3日)

皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
日本は猛暑のようですが、こちらイキケは寒い毎日です。

今回はチリの首都、サンチャゴの案内です。

先月は日本料理屋の市場調査のためサンチャゴに5日間滞在しました。
チリに来て1年半になりますが、正直に言ってサンチャゴに長期滞在するのは初めてでした。
学生時代は夜な夜な六本木に通ったものですが、今は"オジサンは人がウジャウジャいるのは嫌いじゃ!"という感じです。

サンチャゴは南緯33度付近に位置し、日本でいえば福岡の緯度になります。
街は周りを山に囲まれた盆地に有り、550万人が広い場所に住んでいます。
街は海に面していませんが、海水浴場やスキー場には1時間で行ける好適地に有ります。
盆地のため車の排ガスによるスモッグが深刻な問題になっていますが、晴れた日曜の朝などは青い空に雪をいただいたアンデスが絵のようです。





金融街などでは100年以上経つ古いビルや石畳が今でも使われていますが、商業地区では近代的なホテルやビルの建築ラッシュです。
チリは鉱物資源が豊富で、銅が主要輸出品目となっています。最近は銅の国際価格が高沸しており、膨大な輸出利益を上げています。
したがって好景気になりバブル経済になっているかと言うとそうでもなく、
逆に景気が悪くなっているという意見も聞きます(チリ人はラテン系には珍しく悲観的な観測が好きなのですが・・・)。
日本もそうですが最近の石油価格上昇のあおりで燃料が値上がりしており、庶民の足であるバス料金の値上げが繰り返されており、
いろいろなストライキが始まっています。
今回の輸出利益は公共施設の拡充など形の残るものや、教育など将来を見越した投資として使って欲しいものです。





町の中心にある官庁街には大統領官邸があり、普段は中を見られるそうです。
しかし私の時は要人が来るらしくて、中には入れませんでした。
官邸入口の両脇には近衛兵が立ち、彼らの制服ははっきり言ってカッコいい。
話した感じもソフトな感触を受けました。


  


市内には古くから地下鉄が敷かれており、手入れが行き届いており清潔でごみ一つ落ちていません。
鉄道警官が良く巡視しており安全なように見受けられました。
料金はICカードに入金し、改札口のセンサーにかざすシステムになっています。
これは日本ではスイカと言うのでしょうか、恥ずかしながら生まれて初めて使いました。
"チリ大学前"駅には構内が吹き抜けになっており、大きな壁一面に絵が描かれています。
歴史をモチーフにしたもののようで、なかなか立派なものでした。
日本も効率だけを優先せずに、このようなゆとりが有ってもいいのではないでしょうか。


  


次に市内の昔からある市場を訪問しました。

鮮魚に関しては鮮度かイマイチで、食べたら腹こわす状態でした。
ここのところ海況が思わしくなく、入荷が少なくなっているのが原因のようですが、
鮮度が下がれば加工するなど市場が未成熟のように思われます。
聞くところによるとチリの南部はジャガイモが主役で、北部は豆が食事のメインだそうです。
沿岸部では昔から海産物が食べられていましたが、最近は漁獲が少なくなり価格も上昇し消費が落ち込んでいます。
さらには高い金を出して買った魚で腹痛を起こすという、魚離れスパイラルに陥っています。
青物市場の方は色々な果物が並べてあり、色使いの鮮やかさに目を惹かれます。
写真が綺麗に撮れてないのが残念です。
ここは10年以上前にも訪れた市場ですが、色の見事さは少しも変わっていませんでした。


  


最後は郊外にある新しい魚市場の紹介です。

郊外とはいえ最近できた高速道路のおかげで、短時間で市場に行くことができます。
ここはJICAが10年以上前に寄贈した卸売市場の隣にチリ政府が作った市場で、セントロの市場に比べて清潔です。
小売店が30件ほど並んでいましたが、ここの魚も鮮度がいただけません。
日本食レストランで使われている材料は直販ルートを確保しており、日本とは違い誰でも鮮度のよい材料を購入できるようにはなっていません。
しかしここで巨大なムラサキガイの仲間を発見しました。
こちらではチョロサパトと呼ばれており、名前のとおりスリッパほどもありました。
前に紹介した巨大フジツボのピコロコといい、海の濃厚なプランクトンスープが彼らを育てるようです。

チリの海産物についてはこちらを参照ください。
http://www.foods.co.jp/FRESH/kikou/200009_2.html

SDCにいたころ、鈴木某氏が"沖縄は何でも大きくなるケン、アワビもこんなんがいる!"と両腕を開いて見せましたが、
ここではあながちホラでもなさそうです。

今回はこんなところで、お開きです。


  



        


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